2018/11/29LROニュース(6)

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  • 2018.11.30 UP
    2018/11/29LROニュース(6)
    • 【1】 T&E:欧州の海運の脱炭素化に向けたロードマップ
      • 【1】11月15日、NGOの「交通と環境(Transport and Environment)」が、欧州の海運におけるゼロカーボン技術の導入とそれによってもたらされ得る再生可能エネルギー電気需要への影響について評価した報告書を公表したところ、その概要は以下のとおり。①海運の脱炭素化に向けては、バッテリー式電気駆動とアンモニアも含めた水素技術の利用を優先し、これら技術を運航距離に応じて適用するべきである。②しかし、これら技術の利用にあたっては、再生可能エネルギー部門への追加投資のみならず、送電網や沿岸の充電設備、水素・アンモニアの生産施設の整備、新たな船舶推進設計などにも相当な追加投資が必要である。③2050年に欧州の海運を完全に脱炭素化させる場合、欧州全体で再生可能エネルギーの発電を2015年比11~53%増加させる必要がある。まずは追加的な再生可能エネルギー電気が最小で済む内航海運で脱炭素化に向けた規制を取ることが円滑な移行を実現していく上で望ましい。④一方、合成メタンや合成ディーゼルの利用、大気中から回収したCO2の利用技術は、脱炭素化に向けた省エネ技術としては最も効率性が低く、それらを利用した場合に必要となる追加の再生可能エネルギー発電は、2015年比でそれぞれ約42%と53%に上る。そのため、将来的に燃料として合成メタンを利用することを念頭に置いたLNGバンカリング施設の整備への投資については、すでに現在行われているものの、持続可能性と実効性の低さから、それらへの公的投資は行うべきではないと言える。
      • 原文 Nov. 15, 2018, Transport and Environment(野口美由紀)
    • 【2】 欧州船主協会事務局長が英のEU離脱に関する暫定合意案を歓迎
      • 【2】11月15日、欧州船主協会(ECSA)事務局長が英国とEUの間で英のEU離脱に関して暫定合意案が成立することを歓迎するコメントを発表したところその概要は以下のとおり。①円滑な貿易の重要性が暫定合意案で考慮されたことを歓迎。②2020年までの経過期間が設定されたことも歓迎。③経過期間経過後にどのような規則が適用され、どのような手続きが必要となるかを一刻も早く両当局間で明確化してほしい。④適用される規則・手続きが明確化されない限り、海運事業者は将来的な事業・投資計画を立てることが困難。⑤ECSAは今後とも両当局間の交渉をフォローし、両当局に船主の希望を伝えていく。
      • 原文 Nov. 15, 2018, ECSA (Julie Harper)
    • 【3】 マイクロプラスチックの環境影響を判断するには更なる研究が不可欠
      • 【3】10月17日、環境に悪影響をもたらしているとされるマイクロプラスチック(MP)の科学的根拠について評価した論文が、環境毒性化学会 (Society of Environmental Toxicology and Chemistry) の学術誌に掲載されたところ、その概要は以下のとおり。①これまでの文献を再考察した結果、MPは確かに環境中に発生しているが、検出されている濃度は生物の摂食や生殖、成長などに影響を与えると報告されている濃度より桁違いに低い。また、MPは有機汚染物質を吸着するため、それら汚染物質を生体内に蓄積させる運び屋として機能しているという根拠もこれまでの研究だけでは弱い。②従って、MPが環境や生物に大きな悪影響をもたらしているとする証拠は限られており、現時点で影響の有無について結論付けることはできない。③また、実験室の試験で使われたMPと環境中で計測されたMPの種類、大きさ、濃度は異なっており、実際に環境中で生じている状況に即したより現実的な影響調査と包括的なモニタリング研究を緊急に実施する必要がある。④それによって初めて、MPの環境へのリスクを完全に特徴付けることができ、環境の質を真に改善し得る規制管理の導入にもつながる。
      • 原文 Oct. 17, 2018, 環境毒性化学会 (野口美由紀)
    • 【4】 豪がIMO理事会で議論の公開を提案言
      • 【4】豪は理事会を前に、IMOの議論をライブで公開し、録音し、すべての会議資料を公開し、許可なしでも発言国を明示した報道ができるようにすることを提案したが、米・英・パナマ・マーシャル諸島等は外部から圧力がかかることを理由に公開に反対する立場を表明している。Transparency InternationalもIMOは業界と特定国の影響力が強力で、IMOで4月に合意された2050年までに海運から排出されるCO₂を半減するという目標達成の障害となる恐れがあると指摘している。報道関係者はIMOの全体会議を傍聴することが許されているが、発言国の明らかな許可がない限り、発言国を明らかにした報道は現在認められていない。10月のMEPCでは、直ちに実行できる短期的な船舶からのCO₂削減策に対していくつかの加盟国が反対したが、これらの国の代表は記者の質問に対して反対の理由を明示しなかった。理事会では、情報の公開の可否を含め、幅広いガバナンス改革について議論が行われる見込み。
      • 原文 Nov. 15, 2018, Climate Change News(長谷部正道)
    • 【5】 ECとIOC-UNESCOが国際的な海洋空間計画のためのガイドラインを作成へ
      • 【5】2017年から、欧州委員会(DG MARE)とUNESCO政府間海洋学委員会(IOC)は複数国にまたがる海洋空間計画(Maritime Spatial Planning: MSP)のために協力し、「世界中でMSP策定を促進するための共同ロードマップ」を作成したが、このほどその後継3年計画として、総額175万ユーロ(うち欧州員会負担分140万ユーロ)のMSPGlobal事業を開始した。新事業は①国際的に複数国の海域をまたぐMSP作成のためのガイダンスを作成し②地中海西域と東南太平洋で複数国をまたぐMSP作成のパイロット事業を行い③ガイダンスとパイロット事業の結果を周知することを目標とする。共同ロードマップに基づく他の9事業と今回のMSPGlobalの成果によって、2030年までにMSPが作成されている領海の範囲を世界中で現在の3倍に増加させることを目標としている。
      • 原文 Nov. 12, 2018, 欧州委員会(長谷部正道)
    • 【6】 ReCAAP月間レポート(2018年10月)
      • 【6】ReCAAP情報共有センター(ISC)が2018年10月に報告を受けたアジアの海賊及び武装強盗事件は6件で、すべて武装強盗事件であった。今年1月から10月までの合計は70件(うち既遂事件56件、未遂事件14件)となり、前年同期(合計74件、うち既遂事件64件、未遂事件10件)から5%減少している。これは1月から10月の数値としては過去10年で最小となっている。また、スル海・セレベス海での身代金目的誘拐事件は10月には報告されていないが、10月30日付でISCはアブ・サヤフによる具体的な誘拐計画についての警報を発出するなど、依然として深刻な脅威が存在している。
      • 原文 Nov, 2018, ReCAAP ISC(武智敬司)
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