2018/11/22LROニュース(6)

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  • 2018.11.26 UP
    2018/11/22LROニュース(6)
    • 【1】 BIMCO:用船契約における燃料油中の硫黄分に関する条項を採択
      • 【1】11月13日、ボルチック国際海運協議会(BIMCO)の文書委員会の会合が開かれ、定期用船向けの国際海事燃料硫黄分条項(Global Marine Fuel Sulphur Clause for Time Charter Parties)が採択された。本条項では、用船者にMARPOL条約の要件及び用船契約書で規定された等級・仕様に適合した燃料の供給と、同条約を順守している燃料供給事業者及び油バージ運航者の利用を義務付け、船主には燃料管理の責任を課している。さらに、硫黄含有分規制開始前後は、船主と用船者が協力して2019年末までに船内の不適合燃料油の量を最小限にすること、2020年1月1日以降も不適合燃料油が船内に残っている場合は、遅くとも燃料を再供給する日あるいは2020年3月1日のいずれか早い日までに処分すること、処分に係る費用は用船者が負担し、タンクの洗浄費用は船主が負担すべきことも規定している。
      • 原文 Nov. 13, 2018, BIMCO(野口美由紀)
    • 【2】 アジア諸国が船員に対する公正な処遇に関するマニラ宣言を採択
      • 【2】11月13日、Seafarers’ Rights International (SRI)とフィリッピン労働雇用省が主催した国際会議にアジア諸国10か国以上が参加し、IMOとILOによって作成された「船員の公正な 処遇に関するガイドライン(Guideline on the Fair Treatment of Seafarers: GFTS)」の効果的な実施を促進するためのマニラ宣言(Manila Statement)を採択した。GFTSは自主的なもので、各国の刑事・民事法に対する法的拘束力を持たないが、寄港国・沿岸国・旗国・船員供給国・船員といった関係者間の権利・義務の均衡化を企図している。参加国はさらに以上の関係者間の間でGFTSに対する認識が高まり、船員の公正な処遇を担保するための体制や知見を発展させ、さらなる地域的・国際的な連携が必要であることを確認した。
      • 原文 Nov. 13, 2018, Safety4Sea(長谷部正道)
    • 【3】 ReCAAP週間レポート(11月6日-12日)
      • 【3】11月6日から12日の間にReCAAP情報共有センター(ISC)が報告を受けた海賊及び武装強盗事件は、アジア域外の1件であった。11月2日午後0時40分頃、アデン湾を航行中のタンカーの当直者が不審な母船と2隻のスキフを発見したため船長に報告した。船長は接近防止用の水スプレーを作動させ、VHFで状況を放送するとともに警備員を配置につけた。また、船の施錠を行い、状況を船社及びUKMTOに報告した。タンカーは回避行動を取りつつ速力を上げたことから、不審な母船はタンカーの追跡を止めた。
      • 原文 Nov. 12, 2018, ReCAAP ISC(武智敬司)
    • 【4】 2018年EMSA海難年次報告
      • 【4】11月14日に欧州海上安全機関(EMSA)が発表した年次報告によれば、2017年にEU加盟国から報告された海難及び人身事故は3,301件で、うち74件が重大事故であった。死者は64名、負傷者は1,018名で、事故に関与した船舶は3647隻、喪失船舶は12隻である。これらの事故について、122件に対しEMSAが事故調査を実施している。その他詳細はリンクから。
      • 原文 Nov. 14, 2018, EMSA(武智敬司)
    • 【5】 南シナ海で中国に挑戦する米国
      • 【5】ベンス米副大統領はASEAN首脳会合のため空軍機でシンガポール入りする際、スプラトリー諸島に中国が造成した人工島の50マイル内を飛行し、これを「航行の自由」作戦の一環であると明らかにすることで、米国は中国の同作戦中止要求は受け入れないとのメッセージを発した。最近米海軍は同作戦の頻度を増している。今月初めに米国は公式に、中国に対し南シナ海からミサイルなどの引き揚げを要求するとともに、力による問題解決を避けるよう繰り返している。これらの米のメッセージを受け、ASEAN首脳会談の共同声明には、中国の名指しを避けつつも南シナ海の人工島造成などを念頭に、各国の信頼を損ね、緊張を高め、地域の平和と安定を損ねる行為に対して「懸念」の表現が復活した。ボルトン米大統領補佐官は首脳会談の成果について、南シナ海の無害通航とそれに関連する権利を有するすべての国が受入れ可能なものでなければならないと述べ、マティス米国防長官は中国の南シナ海軍事化を受け入れず、米は「航行の自由」作戦を今後も続けていくことを明らかにしている。中国は日米を念頭に、南シナ海問題から域外国の締め出しを企図しているが、米は中国による南シナ海支配を傍観しないことを明確にしている。
      • 原文 Nov. 15, 2018, ASIA TIMES(武智敬司)
    • 【6】 スクラバー排水に関する包括的な環境影響評価を実施すべき
      • 【6】(論説)硫黄含有分規制対策として、スクラバーの利用は低硫黄適合燃料油と比べ経済的と見られていることから、スクラバーを搭載する船舶が増加しているが、長期的に見たスクラバー利用による環境影響も検討する必要がある。オープンループ式スクラバーの場合、海水で排ガスを洗浄し、洗浄後の海水をそのまま海中に排出するが、排出された洗浄水に含まれる亜硫酸塩は最終的に海中に豊富に含まれる硫酸塩になることから、硫黄酸化物を大気中に放出するより環境への影響は小さいと考えられている。しかし、亜硫酸塩等の酸化による海中の化学的酸素要求量(COD)の上昇やpH値の低い洗浄水の排出による海洋生態系への影響、微粒子状の重金属の流出や硫酸塩の蓄積による健康影響、多環芳香族炭化水素(PAH)の流出による環境汚染など他にも多くの懸念が残っている。そのため、スクラバーの利用によってもたらされる得る環境影響について徹底的な研究や分析が求められ、バラスト水管理システムで、活性物質を利用する際に国連海洋専門家会議(GESAMP)の包括的な影響評価に基づいた承認が必要とされるように、スクラバーから排出される洗浄水についても同様の影響評価を行うべきであり、IMO加盟国はその点について提言を行うべきである。
      • 原文 Nov. 13, 2018, The Maritime Executive(野口美由紀)
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