2018/10/5 LROニュース(4)

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  • 2018.10.09 UP
    2018/10/5 LROニュース(4)
    • 【1】 硫黄分規制:IMOが犯した大きな間違いを修正させる時間はもうわずか
      • (論説)硫黄分排出規制強化の開始時期について、2016年当時の燃料精製施設とその後の投資計画にかんがみ、2020年1月までに規制適合油の供給体制を整えられる見込みがなかったにもかかわらず、2016年の10月のMEPC70において、2020年に規制強化を開始することを決定したのはIMOの大きな誤りであった。IMOは規制適合油の供給見通しについて、自分に都合の良い外部コンサルタントを雇って報告書を書かせたうえに、フィンランド政府気象庁が発表した規制強化開始を2025年まで延期した場合、57万人が早く死亡することになるという報告書を2020年規制開始の根拠とした。国際エネルギー機関(IEA)等は適合油の供給が1日当たり1~1.5百万バレル不足し、さらにガスオイルの価格が2020年に20~30%上がると見ており、米上院は米環境保護庁(EPA)に対して本規制による経済的な影響の調査を本年7月に指示したところである。MEPC73では、スクラバーを搭載しない船舶が規制不適合バンカーを輸送することを禁止するためのMARPOL条約改正を承認する予定であるが、規制を遵守しない船舶による混乱を避けるためにも、IMOに過ちを認めさせ、現実に向き合うことを求める時間は限られている。
      • 原文 Sep. 7, 2018, Splash247(野口美由紀)
    • 【2】 ICSがBBNJ協議でIMOの働きを強調
      • 9月5日、国連本部で開催されているBBNJ協議でICSの会長が、国際海運についてはIMOがきちんとルールを定めており、BBNJによって新たな規制を受ける必要性がないことを強調したところ概要は以下のとおり。①BBNJ協議によって、国連が「意図せずに」航海の自由などの国際海運にすでに認められている原則やIMOの権限に介入して、将来的な国際海運の効果的な管理に悪影響を与えないことが必要である。②IMOによる国際的なルールの下、外航海運は公海上においてもすでに国際的な規則に従っており、公海上で規制が行われていない漁業や深海底の資源開発とは異なる。③IMOは環境面でも必要な規制を行っており、さらに旗国のいかんにかかわらず、沿岸国がPSCによってIMOの規制の順守を担保するシステムができている。④BBNJによって公海上に海洋保護区(MPA)が将来的に設置される可能性があるが、クジラ等との衝突を防止するために公海上のMPAにおいて船舶の運航速度の規制をする場合も、検討はIMOで行われるべきである。
      • 原文 Sep. 5,2018,ICS (Julie Harper)
    • 【3】 英海軍艦船が南シナ海を航海
      • 中国が実効支配するパラセル諸島付近を英国海軍の揚陸艦が航行し、中国政府は主権の侵害であるとして非難している。中国外交部報道官は、英揚陸艦の航行は国際法及び中国国内法に違反しており、安定と平和を乱すこの種の挑発を英国は直ちに止めるよう要求した。今回の英揚陸艦の行動目的は航行の自由を主張することにあり、これに対処するために中国海軍のフリゲート艦とヘリコプター2機が現場に派遣されたが、双方は冷静に対処している。中国報道官は、自国の権利と安全保障のため必要な措置を今後も継続すると述べている。英国艦艇が南シナ海を航行するのは今年に入ってこれで少なくとも2回目であるが、いずれも中国が主張する領海へは侵入していない。
      • 原文 Sep. 6, 2018,gCaptain (武智敬司)
    • 【4】 中国による南太平洋征服
      • 中国による南シナ海の軍事施設化は、世界有数の戦略的重要航路における航海の自由に対する脅威と広く受け止められているが、見方を変えれば、中国はそれらを前線基地として、米軍基地があるグアムを含む南太平洋への戦力投射が可能になったといえる。中国の戦略爆撃機はスプラトリー及びパラセル諸島の基地から中国が経済的・政治的野心を抱く太平洋島嶼国を含むオセアニアまで十分に到達可能であり、ファイアリークロス礁、スビ礁、ミスチーフ礁の艦船・航空支援施設は、オセアニアまで中国本土の基地よりも約1,500マイル近い。5月中旬にはウッディ島の滑走路で核搭載能力を有する長距離爆撃機が確認されており、ここを拠点として、太平洋島嶼国や豪州を巡航ミサイルで攻撃することも可能である。一方、米中経済安全保障調査委員会の報告によれば、中国と太平洋島嶼国との2017年の貿易額は82億ドルに上るほか、より広範な外交的戦略的利益、台湾の国際的地位低下、天然資源へのアクセスを求めて中国は太平洋島嶼国に対し関与を強めているのである。
      • 原文 Sep. 7,2018,ASIA TIMES (武智敬司)
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