2018/10/3 LROニュース(7)

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  • 2018.10.04 UP
    2018/10/3 LROニュース(7)
    • 【1】 インドにおける輸出入貨物等の国内留保規制緩和の効果
      • インドにおいては、輸出入貨物や空コンテナの国内港湾の間の横持は、従前はカボタージュ規制に基づき国内船社に留保されていたが、輸出入貨物等のインド国内のフィーダーコンテナ輸送を外国船社に開放するというのは大変大きな政策的決断であり、インド国内港湾間の農産物・肥料・食肉・乳製品・生鮮貨物のコンテナ輸送量を大幅に増加させることが期待される。こうした国内輸送の増加に対応するため、インド政府は補助金を与えて19の新たな岸壁の整備を進めているほか、合計で約50の新たな岸壁が整備される予定である。コンテナ輸送のほかにも、Ro-Ro船・自動車輸送船・LNG輸送船等に対して5年間のカボタージュの適用除外が認められたため、自動車製造事業者などの大手荷主は大きな恩恵を受ける見込みである。さらにこうした国内フィーダー輸送を行う船舶のロードファクターを上げるため小口荷主の貨物をまとめるフォワーダーにとっても事業機会が広がっている。
      • 原文 Aug. 28, 2018, Loadstar(長谷部正道)
    • 【2】 COSCO:2年以内にピレウス港を地中海最大のコンテナ港に
      • ギリシャ最大の港湾であるピレウス港は、コンテナの取扱量において、地中海の港湾の中で現在3番目だが、同港を実質的に経営する中国のCOSCO Shipping Ports (CSP)社は、同国の取り扱い実績を引き続き拡大して、18か月以内に地中海で最大のコンテナ港とすることを目指している。COSCOはギリシャに子会社のピレウスコンテナターミナル(PCT)を設立し、わずか2年間で同港をCOSCOの海外部門の中心に育ててきたが、2018年上半期の実績は同港の第2.第3岸壁を合わせて対前年比18.4%増の207.5万teuとなり、COSCO PPAが運営している第1岸壁の160万teuと合計で、367.5万teuを取り扱った。COSCOは同港への投資を続けており、第一岸壁のインフラ投資はちょうど収束するところだが、港湾荷役機器の近代化も進めている。また、PPA社はトラックターミナルの後背地に4万7千㎡の倉庫の整備も計画している。
      • 原文 Sep. 3, 2018, Seatrade Maritime News(長谷部正道)
    • 【3】 中国長江デルタECAで10月1日から硫黄分排出規制を強化
      • 中国上海海事局及び浙江海事局は、10 月 1 日より長江デルタ排出規制海域(ECA)で使用される船舶燃料油の規制を強化するとの発表を行い、それによれば、上海港湾区域で運航・停泊する船舶と寧波港または舟山港を目的地とし、長江デルタECA内に入域した船舶は、硫黄分濃度が0.5%以下の燃料油の使用を義務付けられる。ただし、規制要件を満たすために、クリーンエネルギーやスクラバーなどの代替手段を用いることも可能である。また、低硫黄燃料油の使用が安全上問題とされた場合や適合油を確保できなかった場合は適用が免除され得る。使用燃料油の規制に加え、上海港湾区域では、陸電装置を有する船舶は陸電設備が整備されたターミナルに停泊中、陸上電量の使用も義務付けられる。寧波港、舟山港、嘉興港においては、停泊中、陸上電力の使用が優先される。なお、上海港における本規制の適用は、当初2019年1月からとされていたが、今回の通知により開始時期が早まった。
      • 原文 Aug. 31, 2018, Huatai Insurance Agency(野口美由紀)
    • 【4】 低硫黄分規制強化対策でVLCCの運賃が33%上がる可能性
      • 2020年硫黄分排出規制強化後の大型石油タンカー(VLCC)の運賃について、タンカーブローカーのPoten & Tankerが発表した試算によれば、アラビア湾から極東まで同一定期用船等価レートで運航した場合、用船主が支払う運賃はスクラバーを搭載したVLCCでは11.14米ドル/トンであるのに対し、低硫黄適合燃料油を使用するVLCCでは14.87米ドル/トンと33%割高になる。また、2020年時点でのスクラバー搭載VLCCはごくわずかと見られることから、規制強化開始時のタンカー運賃レートは低硫黄適合燃料油の使用を前提に取り決められると予想され、この場合、スクラバー搭載VLCCの船主には予期せぬ収入をもたらすかもしれない。
      • 原文 Aug. 31, 2018, POTEN&PARTNERS(野口美由紀)
    • 【5】 国際海上保険連合が北極海における航海に関して基本的な立場を表明
      • 8月28日、国際海上保険連合(IUMI)が北極海における航海に関し、IUMIとしての基本的な考え方を発表したところその概要は以下のとおり。①IUMIは極海コード(Polar Code: PC)が着実に適用されることを支持するとともに、現在PCの適用対象となっている総トン数500トン以上のSOLAS船舶ばかりでなく、総トン数300トン以上の漁船やプレジャーボートにもPCを適用することを支持する。また船主がPCに定める極海運航マニュアル(Polar water Operational Manual: PWOM)を作成するのを支援するために、国際海運会議所(ICS)と石油会社国際海事評議会(OCIMF)が2019年までの発表を目指して作業中の業界ガイダンスや、各船級協会が作成しているガイダンスを、北極海の航海を行うとする船主や船社は最大限活用することを求める。②船舶の運航に支障が発生した際に備えて、救出船・避難港・補助部品の貯蔵場所・サルベージ・船舶を修理できる造船所・砕氷船などのインフラの整備が必要。③より信頼できる海図作成のための調査を開始すべき。④PCの着実な実施を支援するためにウェブ情報ポータルを立ち上げた「北極海における船舶運航のベストプラクティスに関する情報共有フォーラム(Arctic Shipping Best Practice Information Forum)」にIUMIも積極的に参加する。
      • 原文 Aug. 28, 2018, IUMI(長谷部正道)
    • 【6】 この夏の北極海北航路の通航量が記録的に増加
      • 2018年1月から8月までの北極海北航路の船舶運航実績は対前年比80%と急増したが、この背景には北極海沿岸の石油ガス資源の運送量の増加ばかりでなく、特に夏季における一般貨物船・クルーズ船の運航の増加に加えて、今年から史上初めてコンテナ船の運航も開始されたことが貢献している。具体的には中国のCOSCOが昨年に引き続き非常に熱心で、今までの最高実績と並ぶ5回の通過運航を行ったほか、Hapag-Lloyd傘下のクルーズ船が200人の乗客・乗員を載せて運航し、マースクも初めて同航路のコンテナ船の運航を試行した。ヤマルLNG事業については、5隻の新造LNG運搬船を利用して、仏のモントワール港や蘭のロッテルダム港など欧州市場との間を34回シャトル輸送して、2018年上半期に250万トン以上のLNGを搬送した。
      • 原文 Sep. 3, 2018, High North News(長谷部正道)
    • 【7】 中国がアフリカ諸国に対して向こう3年間に新たに600億ドルの支援を約束
      • 9月3日から、アフリカの54か国の首脳が出席して開催された中国=アフリカ協力フォーラムの席上、習近平国家主席はアフリカ諸国におけるインフラの整備等のために、今後3年間で新たに600憶ドルの支援を行うと表明した。新華社電によれば、600億ドルの内訳としては、150億ドルの無償資金・無利子融資・低利融資、100億ドルの中国国営・民間企業による投資、100億ドルのインフラ開発のための特別基金、50億ドルの中国からの輸入品購入のための信用供与などが含まれている。600億ドルという額は、チベットと青海省の合計GDPと同額、先日中国国民に発表された減税規模の2倍、2017年の中国政府の医療関係予算の2倍、社会福祉関係予算の6倍に匹敵する巨額な支援額で、中国国内のSNS上では巨額の支援額に対し疑問の声が上がっている。
      • 原文 Sep. 4, 2018, Asia Times(長谷部正道)
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