2018/10/29 LROニュース(6)

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  • 2018.10.30 UP
    2018/10/29 LROニュース(6)
    • 【1】 マースクオイル:シンガポールに低硫黄適合燃料油用の貯蔵タンクを確保
      • 10月10日、世界最大の船舶燃料供給会社の一つであるマースクオイルが、硫黄分排出規制強化を前にアジアでの低硫黄適合燃料油の供給体制を整えるため、シンガポールを拠点とするタンクストア(Tankstore)社のオイルターミナルにおいて12万㎥の燃料油貯蔵タンクを6か月リースしたことが明らかになった。マースクオイルはすでにロッテルダム港において、タンクターミナル運営会社のRoyal Vopakと共同で低硫黄適合燃料油の供給施設の整備を開始しているが、世界最大のバンカリングハブであるシンガポールにはこれまで貯蔵タンクを有していなかった。
      • 原文 Oct. 10, 2018, Reuters(野口美由紀)
    • 【2】 米国、硫黄分排出規制で大きな恩恵を受ける可能性も
      • (論説)10月10日、大手石油トレーダーのGunvor Groupは、ロンドンで開催された石油・資金会議(oil and money conference)で、米国が硫黄分排出規制強化で大きな利益を上げるとの見方を明らかにした。通常、割安な重質油からは0.5%以下の低硫黄軽油より重油の方がはるかに多く生産されるが、米国は世界で最も進んだ精製システムを有するため、燃料用には割安な重質油をより多く輸入し、同国で産出される付加価値の高い軽質油は輸出に回すことで、大きな利益を得ることができると同社最高責任者は説明する。ただ、同業他社の中には、多くの精製業者がすでに硫黄分を取り除く設備を準備していることから、上述の意見には懐疑的な見方もある。
      • 原文 Oct. 10, 2018, Reuters(野口美由紀)
    • 【3】 DNV GL:船舶の代替燃料に関する評価報告書を公表
      • 10月9日、DNV GLは硫黄分排出規制とGHG排出削減への対応策として、様々な代替燃料と科学技術のコスト、利用可能性、規制上の課題、環境への利点を評価した報告書「より環境に配慮した海運のための代替燃料と科学技術(Alternative fuels and technologies for greener shipping)」を公表したところ、その概要は以下のとおり。①最も将来有望な船舶燃料はLNG・LPG・メタノール・バイオ燃料・水素であり、船舶への応用が見込める新技術としてはバッテリーシステム・燃料電池・風力推進が挙げられる。②LNGは最もCO2排出量が少ない化石燃料であるが、GHGであるメタンを放出する点でメリットが低減する。メタノールと水素については、再生可能エネルギーやバイオマスから生産した場合、カーボンフットプリントを大幅に減らすことができるが、液体水素は大規模な貯蔵設備を必要とする点で遠洋航海においては使用が難しい。③2050年までにGHG排出を50%削減するには、ゼロカーボン燃料の拡大と更なる燃費向上が必要であり、燃料電池はその点潜在的な可能性が大きいが、船舶への応用技術はまだ開発の初期段階である。風力推進は特に低速運航の場合、燃料消費を削減できる可能性があるが、商業利用するにはまだ課題も多い。バッテリーはエネルギー貯蔵手段として広義の意味で代替燃料源とみなすことができ、とりわけ運航距離の短い定期船においては、推進システムの効率性を高める可能性を秘めているが、遠洋航海には十分なエネルギー源となり得ない。
      • 原文 Oct. 9, 2018, DNV GL(野口美由紀)
    • 【4】 豪政府、IPCCの警告を無視して石炭火力発電の続行を表明
      • 豪政府は、このほど、石炭火力発電を廃止しない限りグレートバリアリーフは壊滅的な影響を受けると気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が警告したのに対し、国民に低価格な電力を提供することの方が重要との見解を表明し、IPCCの警告を退ける姿勢を示した。グレートバリアリーフはすでに温暖化の影響で約50%が危機にさらされており、その割合は世界の気温が1.5℃上昇した場合70%に、2℃上昇した場合は99%にまで上ると見られている。現在、同国における石炭火力発電の割合は10年前の90%から69%まで縮小したものの、気温上昇を1.5℃に抑えるためには、同国の石炭火力発電を2050年までに現在の2%以内に減少させる必要がある。しかし、同国環境大臣は今後も国の主要電力源として維持していく方針を明言している上、再生可能エネルギーについては政府の長期エネルギー計画から除外されている。豪政府はパリ合意の下で2020年までに2005年レベルから28%削減することを約束しており、同環境大臣は現在も達成可能と見ているが、9月に公表された最新のGHGインベトリでは、2018年の第一四半期の排出量はこの7年で最も多くなっていた。石炭事業は同国に多くの歳入をもたらしているのも事実だが、グレートバリアリーフもまたそれに匹敵する経済効果をもたらしている他、地球最大の生命体として多くの海洋生物や魚食文化の人々を支えており、環境活動家らは来年実施予定の総選挙で気候変動が争点の一つになることを期待している。
      • 原文 Oct. 12, 2018, Asia Times(野口美由紀)
    • 【5】 エルファロ号関連安全強化策に対応してUSCGがACPを改正
      • 米沿岸警備隊(USCG)はエルファロ号事件の事故調査を踏まえて、2017年12月に長官による最終行動計画(Commandant’s Final Action Memo: FAM)を発表したが、FAMに規定された新たな安全規制の変更点に対応して、大幅に改正された新たなAlternative Compliance Program(ACP: USCGに代わり承認された船級協会等による安全検査で代替できる制度)を、USCGは10月2日に公表したところ改正の主要点は以下のとおり。①ACPの手順や用語についてIMOの認定代行機関(Recognized Organization: RO)に関する国際コード(ROコード)との整合性を図る。②内部業務手順・情報の伝達・報告・情報分析などに関するISO9001に基づいた品質管理制度(Quality Management System: QMS)であるUSCGの業務管理システム(Mission Management System: MMS)にACPの管理業務を取り込む。③国際船級協会連合(IACS)の手続き要件1Aに従い船級を行う権限を認定代行機関に移転する。
      • 原文 Oct. 2, 2018, USCG(長谷部正道)
    • 【6】 英国防大臣が新たな「北極防衛戦略」を発表
      • 【6】9月30日、英国防大臣は「北極防衛戦略」の発表にあたり、概要以下のとおりコメントした。①北極海の海氷が縮小し、新たな航路が現実する中で、北極圏と北極海の重要性が増加している。②ロシアは北極海で運用する潜水艦を増加させ、北極圏に100以上の軍事関連施設を建設し、北極圏の主権を主張し、軍事化を進めているが、英国はこれらのすべての軍事的な脅威に対処するための準備をしなくてはいけない。③新たな「北極防衛戦略」はより利用が可能となった北極海と北極圏を英国の国防上、中心的に重要な地域と位置付けるものである。④英国海軍は極寒地における訓練をノルウェーで毎年実施しているが、今後重要な同盟国であるノルウェーと共同で訓練を行い、ノルウェーの防衛計画の中できちんと位置付けていく。⑤2019年にはNATOとの連携も強化し、英空軍の航空機4機を初めてアイスランドの上空哨戒に従事させる。
      • 原文 Sep. 30, 2018, 英国防省(長谷部正道)
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