2018/1/5 LROニュース(21)

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  • 2018.01.05 UP
    2018/1/5 LROニュース(21)
    • 1】ノルウェーが自律運航船試験のための3番目の公式試験海域を開設
      • 【1】12月6日、ノルウェーのホーテンに、同国海事局と沿岸警備隊によって、自律運航船の研究開発のための試験運行海域が開設され、ノルウェーの企業と国際機関に開放された。ホーテンにはコングスバーク社の研究開発施設が立地しているので、同社がホーテン市、DNV GL, ノルウェーの防衛研究機関であるFFI等と連携して、同海域の運営管理を担当する。今回の試験海域はノルウェーでは3番目、世界的には4番目の指定となる。同社は世界で最初に試験海域に認定されたトロンヘイムの試験海域も管理運用しており、両試験海域は世界で最初に運行を開始する予定のYARA Birkelandの完全電気動力自律運航コンテナ船等の開発にとっても重要な試験場となる。
      • 原文 Dec. 7, 2017, Kongsberg (長谷部)
    • 2】欧州理事会が船員の労働条件の改善に関するEU命令の改正を採択
      • 2】2014年にILO海事労働条約が改正され、その後欧州船主協会(ECSA)と欧州運輸労連(ETF)との間で条約の改正内容に基づく合意がなされたことから、このたび欧州理事会は船員の労働条件に関する理事会命令に所要の改正を行う改正案を採択した。具体的には、今回の改正により、船主は海外の港で船員が放棄された場合に、船員の本国への帰還費用など船員の権利を保護するための所要の経費を保障する保険契約を締結することが義務付けられるとともに、船員が職務の結果、負傷しまたは病気となり、その結果死亡または長期間の身体障碍者となった場合には、契約上保証金を当該船員に支払うことを船主に義務付けている。ECSA・ETF共に今回の理事会の決定を歓迎している。
      • 原文 Dec. 7, 2017, ECSA (長谷部)
    • 3】欧州委員会がブルガリア、フィンランド、ギリシャを欧州司法裁判所に提訴
      • 3】EU加盟国は海洋空間計画に関するEU命令(Directive 2014/89/EU)に基づき、各国内で海洋空間計画を策定するための国内法を2016年9月18日までに整備することを義務付けられているが、ブルガリア、フィンランド、ギリシャの3か国はこの命令に従って、未だ国内法を整備していないため、欧州委員会は2016年11月に当該国に対し違反手続きを開始し、当該国の釈明を求める公式通知を行い、2017年7月にはEU命令に従うように理由を付した正式な要求を行った。これに対し、ブリガリア、ギリシャからは何の返事もなく、フィンランドからは国内法は整備するが、オーランド諸島は適用除外したいという返事を得た。欧州委員会としては当該適用除外も認められないので、上記3か国とも欧州司法裁判所に正式に提訴することを決定した。
      • 原文 Dec. 7, 2017, 欧州委員会(長谷部)
    • 4】OCIMFが会員向けに北極海北航路の利用に関するガイダンスを発行
      • 4】石油会社国際海事評議会(Oil Companies International Maritime Forum: OCIMF)が会員企業向けに、北極海北航路を利用する際に留意すべき課題や、運航計画や運航を実施するにあたってのベストプラクティスをまとめたガイダンスを発行した。OCIMFとしては、北極海北航路の利用については勧奨も反対もしない中立の立場であることを表明し、同航路の運航許可権限を持つNSR運航管理庁から提供する情報等に留意する必要性を強調している。ガイダンス本文は以下のリンク参照。
      • 原文 Dec. 7, 2017, OCIMF (長谷部)
    • 5】LB・LA港がコンテナ船以外を対象とした着岸時の排気抑制技術を募集
      • 5】ロングビーチ港とロスアンゼルス港におけるコンテナ船着岸時の排気ガス抑制については、両港の港湾当局は既に4億米ドルを投資してコンテナバース等における陸上電源供給施設を整備することにより、排ガスの大幅削減に成功している。コンテナ船以外の船舶で陸上電源の供給義務付けの対象となっていないばら積み貨物船等の船舶からの排気ガスをさらに削減するために、両港は技術開発計画の資金から100万米ドルを支出して、これらの船舶を対象にした新たな排気ガス削減技術の実施試験の費用を半額補助することとし、技術提案を募集している。
      • 原文 Dec. 6, 2017, ロングビーチ港(長谷部)
    • 6】デンマーク海事庁が船主に対し各種証書の更新について注意喚起
      • 6】デンマーク海事庁(DMA)が各種証書の有効期限について、船主に対し注意喚起を行っているところ概要以下のとおり。船主は常に船舶に有効なCLC証書、バンカー証書、アテネ条約関係証書、船骸撤去条約関係証書を設置しなくてはいけないが、これらの証書は対応する保険が失効するとともに失効する。国際P&Iグループに加盟するP&I保険事業者から保険を購入している(ブルーカードを受領している)場合にはこれらの証書は一律に2018年2月20日に失効するが、国際グループに加入していないP&I事業者のブルーカードを持っている船主については、ブルーカードの失効日が2月20日ではないので、証書の有効期限についても特に注意を払う必要がある。DMAは承認した保険事業者については、その電子ブルーカードを受け付け、対応する証書も電子証書として発行する。
      • 原文 Dec. 7, 2017, DMA (長谷部)
    • 7】英海軍新造空母Queen Elizabethが就役
      • 7】12月7日、英国女王の臨席のもと、英国の新造空母HMS Queen Elizabethの就役式典が行われた。同空母は今後最終的な艤装作業の後、航空機発着艦テストのため2018年秋に米国に向かう予定。HMS Queen Elizabethの就役に伴い、1998年に建造され現在の英海軍旗艦であるヘリコプター揚陸艦HMS Oceanは解役される予定で、ブラジル政府が英国と購入交渉を行うことを決めている。
      • 原文 Dec. 7, 2017 The Maritime Executive (武智)
    • 8】デンマーク船主協会が2021年までの戦略を発表
      • 8】12月7日、デンマーク船主協会は2018年から2021年までの戦略を発表したところその概要は以下のとおり。デンマーク船主協会は国内的にも国際的にも影響力を行使し、会員企業の国際競争力を維持するために国際的に最も有利な競争条件を整備する。このため以下の5つの戦略を立てる。①デンマークに船舶登録し、デンマーク人の船舶職員を雇用するためのコストを引き下げる。②EUによる地域的な規制に反対し、船舶からの二酸化炭素や硫黄酸化物の排出規制に関するIMOの議論をリードする。③デンマーク人の船舶職員の教育訓練に協力し、最低でも年間350人が乗船実習できるように協力する。④デンマーク・EUの研究開発費を確保するとともに、国際・国内規制が新技術開発の障害とならないようにする。⑤デンマーク国内の国民や政治的な支援を取り付けるために、デンマークの海運事業がどのような価値を生み出しているかについて、当該期間中に少なくとも2本の分析を発表する。以上の戦略を実施し、計画期間終了後に、トン数ベース・隻数ベースとも、デンマーク船籍船を1割増加させ、デンマーク人の船員数を少なくても現状維持し、陸上の海事関連の雇用を7000人以上拡大することを目標とする。
      • 原文 Dec. 8, 2017, デンマーク船主協会(長谷部)
    • 9】国連が2021年から2030年を「海洋科学と持続可能な開発の10年」に指定
      • 9】12月6日、国連はより良い海洋と沿岸資源の管理と海洋関連のリスクを削減するための国際的な調整と協力を進めるため、2021年から2030年を「海洋科学と持続可能な開発の10年」に指定し、UNESCOが実務を取り仕切ると発表した。UNESCOは小島嶼開発途上国(SIDS)や後発開発途上国(LDC)等に対する財政的な支援の強化が優先課題の一つであるとしている。
      • 原文 Dec. 6, 2017, UN (長谷部)
    • 10】ロイズ船級協会が2030年までにゼロ排ガス船を実現するための報告書を発表
      • 10】ロイズ船級協会がUMAS(University Maritime Advisory Services)と連携して、2030年までにゼロ排ガス船(Zero Emission Vessels: ZEVs)を開発するための技術的な課題を検討した報告書を発表した。報告書では7つの技術的な選択肢を5つの異なる船種と3つの異なる規制上・経済上のシナリオにそれぞれ当てはめて比較検討を行っている。7つの技術的選択肢は具体的には①電気②ハイブリッド・水素③水素燃料電池④水素内燃機関⑤アンモニア燃料電池⑥アンモニア内燃機関⑦バイオ燃料を動力源として使用する。5つの船種とは①ばら積み船②コンテナ船③タンカー④クルーズ船⑤RoRo旅客フェリー。3つのシナリオとは①電気がほとんど再生可能エネルギーから発電され、割高ではあるが発電に伴うGHGの発生はほとんどない場合。②GHGを排出しない方法で海運業界にアンモニアが供給される場合。③再生可能エネルギーからのみ水素が生産される場合となっている。
      • 原文 Dec.8, 2017, LR (長谷部)
    • 11】中国が電気動力の自律運航船を2019年までに実用化
      • 11】12月6日、中国で研究・軍事用に小型無人海上艇を建造しているOceanα社は、武漢大学と珠海市と契約し、2019年の運航開始を目指して、電気動力の500トン積みの自律運航沿海貨物船の開発に合意した。予定とおり完成すれば、ノルウェーのコングスバーグ社等が開発中の電動自律運航コンテナ船より早く、自律運航船を実用化することとなる。珠海市周辺には多くの有人島があるが、生活日常品の供給を海上輸送に依存しており、この自律運航船が就航すれば、波が高く海象条件が悪い時にもより安く安定的に海上輸送を行うことが期待されている。周辺海域は海賊多発海域ではないが、海賊対策として遠隔操縦の警備艇が自律運航貨物船に伴走することも検討されている。
      • 原文 Dec. 8, 2017, The Maritime Executive (長谷部)
    • 12】9周年を迎えたEUのアタランタ作戦
      • 12】2017年12月で9周年を迎えたEU海軍のアタランタ作戦は、主に4つの任務を遂行してきた。即ち、①WFP及びアフリカ連合によるソマリア支援物資運搬船の護衛 ②海賊の逮捕・勾留及び引渡しを含むアデン湾及びソマリア沿岸における海賊の抑止及び鎮圧 ③海上交通路を航行する各種商船の保護 ④ソマリア沖における漁業監視 である。また、この間の特記すべき成果として、アデン湾の国際推奨通航回廊(IRTC)の設定や、ケニア、セイシェル等による海賊の訴追を認める国際合意の形成、SHADE会合を通じたEU、NATO、連合任務部隊(CMF)と各国海軍の協力である。海賊が最も盛んであった2011年1月には736人の人質と32隻の船舶が海賊に拘束されていたが、各国海軍による警備と民間武装警備員の乗船により、2016年10月までにこれらはゼロとなった。またEU海軍は、WFP及びアフリカ連合による支援船の護衛を100%成功させているとともに、海難救助活動を実施している。
      • 原文 Dec. 8, 2017 gCaptain (武智)
    • 13】IMOとNoradが東南アジアの海洋環境を保護する協定を締結
      • 【13】12月8日、IMOとノルウェー開発協力庁(Norwegian Agency for Development Cooperation: Norad)は、東南アジアの海洋環境を保護する協定(Marine Environment Protection for Southeast Asia Seas: MEPSEAS)を調印した。対象となる東南アジア諸国は、カンボジア・マレーシア・ミヤンマー・比・ベトナム・タイの6か国で、今後4年間これらの国々がバラスト水管理条約(BWMC), MARPOL, 船舶の有害な防汚方法の規制に関する国際条約(AFSC)等の重要性の高い海洋環境保護に関する条約を適正に批准・履行するための能力を向上することを支援する。NoradはIMOの統合技術協力事業(Integrated Technical Cooperation Program; ITCP)を通じ、本事業のために200万米ドルを提供する。
      • 原文 Dec. 11, 2017, IMAREST (長谷部)
    • 14】上海の世界最大の自動コンテナターミナルが試験運用を開始
      • 14】上海国際港湾グループ(SIPG)が洋山の世界最大の自動化コンテナターミナルの試験運用を開始した。21億米ドルを投資した新ターミナルは当初は400万TEUの取り扱いだが、最終的には最大630万TEUの処理能力を持つ。同社は、自動化ターミナルはコンテナ荷役の効率を高めるだけでなく、二酸化炭素排出量を10%削減する環境面での効果も期待できるとしている。同ターミナルは上海振貨重工業がすべて作成した中国製のブリッジクレーン、無人誘導搬送車(Automated Guided Vehicle: AGV)、軌道上を動くガントリークレーンによって自動化されている。
      • 原文 Dec. 11, 2017, Splash 24/7 (長谷部)
    • 15】ヤマルLNGから初めての砕氷LNG船が出航
      • 【15】12月8日、ヤマルLNG事業で生産された最初のLNGを積載した砕氷LNGタンカーがヤマル半島北端のサベッタ港から中国に向けて出港した。同タンカーはヤマル事業のために建造される15隻のタンカーの一番船で、17万2600㎥のLNGの輸送能力を持ち、Arc7の船級で機関の能力は45MWと原子力砕氷船並みの能力を持ち、厚さ2,1mまでの海氷を自力で砕氷し、砕氷船の伴走なしで北極海北航路を通年単独運航することを想定して建造されている。ロシアの北極海航路では、ヤマルLNG事業によって年間1700万トンの輸送量が発生し、他の貨物と合わせて、2020年までに年間4000万トンまで輸送量が増加する見込み。2023年から北極海第2LNG事業も操業を開始すれば、さらに北極海の海上輸送量は拡大することが予想される。
      • 原文 Dec. 8, 2017, The Barents Observer (長谷部)
    • 16】DNV GLが民間企業に地球温暖化対策に対する意識調査を実施
      • 16】DNV GLはGFK Euriskoと協力して、1200人の企業関係者を対象にして、地球温暖化対策に関する意識調査を実施したところその概要は以下のとおり。回答企業のほぼ全部が地球温暖化に起因する少なくても一つの自然災害が、彼らの事業に直接あるいは間接的に影響を与えるだろうと認識しているが、中でももっと大きな懸念は気温上昇・熱波(55%)であり、嵐(44%)、洪水(38%)がそれに続いている。回答企業の1/4はすでにその影響を受けていると回答しながら、実際に自分の企業で何らかの対応策をとっている企業の割合は25%だったが、大企業に限ってみれば、4割の企業がすでに何らかの対応策をとっている。今後の対策の進展にとって考慮すべき重要な要素として、政府による法規制(50%)、顧客からの要望(43%)といった回答が多かった半面、企業としての社会的な責任・事業の継続性が重要と答えた企業は相対的に少なかった。しかし、一部の先端的な意識の高い企業は、事業継続性の確保(55%)に加えて、環境規制が厳しくなる将来を見据えた企業の競争力の確保や、新たな価値の創造(35%)が対策を進める動機づけになっていると回答している。
      • 原文 Dec. 5, 2017, DNV GL (長谷部)
    • 17】UK P&Iクラブが海洋生物付着対策について取りまとめ
      • 17】UK P&Iクラブがこのほど船体に付着する侵略性海洋生物(Invasive Aquatic Species: IAS)対策の現状について①海洋生物付着(Biofouling)の定義②海洋生物付着が海洋生態系に与える影響③IMOによるIAS防止対策④IMOの海洋生物付着管理計画(MEPC. 207(62))の効果的な実施⑤海洋生物付着を管理するメリット⑥海洋生物付着に関するカリフォルニア州、米国、NZの法令についてわかりやすく取りまとめたところ以下のリンク参照。
      • 原文 Nov. 30, 2017, UK P&I (長谷部)
    • 18】深刻化するロシア北極圏の廃棄物放置問題
      • 18】ロシア天然資源・自然環境省の調査によれば、ロシア北極圏には廃棄物質が不法投棄されている地域が102か所あるとされるが、専門家によれば、実際には廃棄物が放置されている地域ははるかに多いものの、地方政府はこれらの廃棄物を処理する財源がなく、廃棄物の量は増える一方である。ロシア議会自然環境委員会の委員長は、北極圏において廃棄物の汚染者を突き止めるのは非常に困難で、不法投棄者に対し捜査を行い立件できるのはごくわずかであるが、地方政府の監督機関はそもそも現地企業が環境関連法規を遵守しているかほとんど監視しておらず、規制対象となる施設の登録さえ進んでおらず、中央政府の検察当局が動き出すまで重い腰を上げず、問題をひた隠し・先送りしているとしている。地方政府は連邦政府が動き出すまで座視するのではなく、問題の解決の必要性を訴え、廃棄物処理に必要な財源の確保を図るべきである。
      • 原文 Dec. 6, 2017, TASS (長谷部)
    • 19】デンマーク海事庁:自律運航船に対する規制の在り方に関する報告書
      • 19】12月8日、デンマーク海事庁(DMA)がRamboll and CORE法律事務所に委託して作成した自律運航船に対する規制の在り方に関する報告書を発表した。報告書は今後DMAが具体的に自律運航船に対する規制を策定する際のたたき台とされる見込みで、既存の規制で再検討されるべき論点が示されている。本件を担当する産業・ビジネス・金融担当相は「デンマークとデンマークにとって新技術とデジタル化の最先端をリードすることは重要であり、自律運航船技術の目覚ましい開発についても世界をリードする必要があるが、既存の規制の中で帆船時代からの伝統を単に引き継いでいるような規制は見直す必要があり、規制が自律運航船技術開発の支障となるべきではない。」としている。報告書では、既存の規制の改正についてはIMOで国際的に合意される必要性を強調しており、DMAはIMOに対して、自律運航船のための規制見直し作業について最優先事項として取り組むよう強く働きかけている。
      • 原文 Dec. 8, 2017, DMA (長谷部)
    • 20】アントワープ港湾庁が港湾周辺の物流の効率化に投資
      • 20】アントワープ港湾庁は、港湾周辺の交通混雑を緩和し効率化するために、今後3年間で140万ユーロを投資すると発表した。資金支援の対象となる7事業によってトラック輸送を年間25万回減少させる見込み。フランドル州政府も同時にこれらの事業費として140万ユーロを負担する。アントワープはオランダ・北フランス・ドイツ西部のRuhrの間に位置する経済・物流上の要衝であり、今後数年内にアントワープ市内とその周辺で物流機能向上のための様々な事業が行われる予定。
      • 原文 Dec. 8, 2017, アントワープ港 (長谷部)
    • 21】ギニア湾における商船警備の問題点
      • 21】(論説)ギニア湾沿岸のナイジェリア、トーゴ、ベニンにおいては、船舶への民間武装警備員の乗船は禁止され、代わりに軍あるいは警察が有償で乗船警備サービスを提供しているが、これには以下の問題点を孕んでいる。①商船に乗船する警備員は沿岸国の軍人等であって、法令上その船の船員、旅客、予備船員のいずれに該当するか明確でなく、とりわけ保険の面で問題が生じる。②乗船する警備員は海上での警備中はその上級機関との通信手段が限られているため、自らの擬律判断により行動しなければならないが、ここに船長との責任の分裂が生じる。さらに、当該船舶に民間警備会社のリエゾンが乗船している場合、リエゾンは事実上乗船警備員の指揮官として機能するものであることから、乗船する警備員が誰の命令に服すべきか混乱し、十分に任務を全うできない。③GUARDCON West Africa等において言及されている武器使用規定は国際標準化されたものでも、沿岸国の軍等と調整されたものでもないため、乗船する警備員がこれら武器使用規定を熟知していない場合がある。誤った武器使用により死傷者を生じた場合に軍事法廷で当該警備員が刑事免責されるなど、不適切な警備に対する責任追及の仕組みが存在しない。④あたかも商業活動の如く沿岸国が海軍による警備を売り込む、あるいは沿岸国の役人が警備員たる軍人からキックバックを受け取るなどの腐敗により、警備サービスの周旋手続きに透明性が欠如しており、結果として船社に過大なコストが生じる。
      • 原文 Ocean Beyond Piracy (武智)
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