2018/1/4 LROニュース(27)

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  • 2018.01.04 UP
    2018/1/4 LROニュース(27)
    • 1】英国立海洋学センターが無人艇を使用して海洋の炭素ガス分圧を測定
      • 1】英国立海洋学センター(NOC)はエクセター大学と協力して、海洋上の大気と海水中の炭素ガス分圧を観測する装置CaPASOS (Calibrated pCO2 in Air and Surface Ocean Sensor)を開発し、南極海などの気象海象条件が厳しい海域で炭素ガス 分圧を測るため、同センサーを無人の自律運航艇に搭載する予定。一年あたりに10ペタグラム(1016g)の炭素が人間活動により大気中に放出されているが、その約半分は海洋に吸収されている。残りの半分は、陸上の植物によって光合成されるか、海洋に過剰摂取される。海洋による炭素ガスの吸収は気候変動を遅らせている一方で、海洋が酸性化し海洋生物とその海洋生物に直接依存する人々に悪影響を及ぼすことになる。CaPASOSは、海洋上の大気と海水中の両方の炭素ガス分圧を観測できるので、大気と海洋の間の炭素の移動に対する理解の促進に貢献することが期待される。
      • 原文 Nov. 28, 2017, NOC (Dafnis)
    • 2】USCGが米国籍船に対して電子証書を発行できる承認船級協会等を公表
      • 2】11月28日、米国沿岸警備隊(USCG)は政策通達17-09を出し、どの承認船級協会(Authorized Classification Societies: ACS)・認定代行機関(Recognized Organization)が米国籍船に対して電子証書を発行でき、米国内で行われるPSCに際し、外国籍船の電子証書がどのような条件の下で承認されるか公表した。IMOも従来からの紙の証書に起因する問題を軽減し、電子証書の正当性を確認するために「電子証書の使用のためのガイドライン」(FAL.5/Cir.39 Rev.2)を既に発表している。
      • 原文 Nov. 28, 2017, USCG (長谷部)
    • 3】シンガポールMPAが燃料消費実績収集制度の自主的経験蓄積期間を開始
      • 3】 第70回IMO海上環境保護委員会(MEPC)で採択されたMARPOL条約附属書VIの改正案に従い、燃料消費実績収集制度(DCS)は2019年から実施される予定である。シンガポール海事港湾庁(MPA)は、2019年からのDCSへの円滑な移行を担保して実施上の問題を抽出するため、2018年1月1日から自主的経験蓄積期間(Voluntary Experience Building Period: VEBP)を開始し、シンガポール籍船の船主等に対し、同VEBPへの参加を要請する海運通達を発表した。このVEBPは、総トン数が5000トン以上であるシンガポール籍船に適用されるが、シンガポール港のみで運航する船舶・機関的動力のない船舶・洋上プラットフォームには適用されない。参加する船舶の乗組員は、毎月MARPOL条約附属書VIの付録IXに規定する情報を収集して、MPAの認定代行機関に報告することが求められる。
      • 原文 Dec. 1, 2017, MPA (Dafnis)
    • 4】北極海北航路でタンカーが氷に閉じ込められ漂流の後に座礁
      • 4】北極海で原子力砕氷船を運航する国営ロスアトム社によれば、船齢35年の老朽化したアイスクラスの認証を持ち1万1千トンの積載能力を持ったタンカーが、10月30日に砕氷船の支援なしに北極海北航路に入ったが、新シベリア諸島と本土の間のサンニコヴァ海峡で海氷に囲まれて、自力航行が不可能となり、海氷とともに漂流した後に砂洲に乗り上げて座礁した。11月22日にロスアトムの原子力砕氷船が現場に到着して、タンカーを離礁させたが、タンカーが破損し油が流出したか否かの情報は提供されていないが、離礁後、タンカーは砕氷船を伴走させて目的地に向かって航行を継続した。もし、タンカーから積み荷の油が流出していれば、東北極海やシベリア沿岸に大規模な油濁汚染が発生した可能性もあった。北極海において船舶が海氷に閉じ込められることはよくあり、2017年初めにも、砕氷船を含む3隻の船舶が海氷が解けるまで数か月海氷に閉じこめられた事故もあった。
      • 原文 Dec. 4,2017 The Barents Observer (長谷部)
    • 5】ソマリア政府が改正ジブチコードを批准
      • 5】12月1日、ソマリア政府が改正ジブチコードの批准書をIMOに寄託し、同コードの締約国は14か国となった。ジブチコードは2017年1月にサウジアラビアのジッダで行われたハイレベル会合で改正が行われ、海賊行為のほか武器・薬物・野生生物の密輸、燃料油の強奪、人身売買、有害廃棄物の違法投棄にその対象を拡大している。
      • 原文 Dec. 04, 2017 IMO (武智)
    • 6】世界海事技術協力センターネットワークが発足
      • 6】EUが資金を拠出して、IMOが3つの国連持続可能な開発目標(目標7:エネルギー、目標9:産業と技術革新、目標13:気候変動対策)を達成するのを支援するために、世界海事技術センターネットワーク事業(Global Maritime Technologies Cooperation Centers Network: GMN)が開始され、アフリカ、アジア、カリブ海、ラ米、太平洋地域にそれぞれ海事技術協力センター(MTCC)が創設された。12月4日、IMOでこれらの5地域のMTCCのセンター長が集まり、センター間の世界的なネットワークを結成するために、IMO事務局長立会いの下、覚書署名式が行われた。
      • 原文 Dec. 4, 2017, The Maritime Executive (長谷部)
    • 7】ReCAAP情報共有センター週間報告書 (11月28日―12月4日)
      • 7】アジア海賊対策地域協力協定情報共有センター(ReCAAP ISC)が11月28日から12月4日の間の週間報告書を発表したところ、当該期間中に発生した(報告された)海賊及び武装強盗事件はなかった。ReCAAP ISCは引き続き、あらゆる海賊及び武装強盗事件について最寄りの沿岸国及び旗国に通報するよう求めるとともに、警戒を怠らないよう注意を呼び掛けている。また、船員誘拐事件が頻発しているとして全ての船舶に対し可能な限りスールー海・セレベス海及び東サバ州沖を迂回するよう求めた2016年11月21日付の警報について引き続き注意喚起するとともに、やむを得ず当該海域を航行する場合は格別の警戒を払うよう、強く求めている。
      • 原文 Dec. 5, 2017 ReCAAP(武智)
    • 8】EU海軍と中国海軍がソマリア沖海賊対策について意見交換
      • 8】11月30日、EU海軍司令官は中国海軍の商船護衛部隊幹部を伊艦艇に迎え、ソマリア沖海賊対策について今年3回目となる意見交換を行った。この意見交換は、世界の異なる地域から派遣されている海軍部隊がソマリア沖の重要な海上貿易路の安全について如何に協力できるかを示している。会合では、お互いの任務について紹介するとともに、海賊対策をより有効に行うためのオペレーション上の議題について話し合われた。
      • 原文 Dec. 4, 2017 EU Navfor (武智)
    • 9】デンマークの海事関連法改正の概要
      • 9】デンマーク議会がデンマークにおける海事活動の成長を強化し、プレジャーボートに関する事業を促進するために、海事法令を改正したと発表したところ主要改正点の概要は以下のとおり。①デンマークが国際的に魅力的な船籍国となり海事関係のハブとなるために、外国の船主が船舶をデンマーク籍に登録するための条件を緩和する。②中型プレジャーボートに対する先取特権等の権利を登記する方法を簡素化し、プレジャーボート購入のためのローンを組みやすくして、プレジャーボートの販売促進を図る。③海難残骸物の除去に関する船主責任の限度額を引き上げ、海難事故によって発生した海難残骸物の除去に必要な費用を船主及び船主の保険者に支払わせるようにする。プレジャーボートに関連する改正は2018年3月1日から、その他の改正点は2018年1月1日から適用される。
      • 原文 Dec. 4, 2017, Safety4Sea (長谷部)
    • 10】ノヴァテクがヤマルLNGの操業を開始
      • 10】12月5日、ノヴァテク社はカラ海のヤマルLNG事業の操業を開始したと発表した。最初のLNGは12月8日に、中国に向けて砕氷LNGタンカーで出荷される見込み。タンカーによる輸出に加えて、鉄道輸送についても計画とおり予算の範囲内で最初の車両編成が運行可能となり、第2・第3の編成も計画とおり5-6か月後に運行が可能となる予定。ノヴァテク社はすでにヤマルLNGの生産量の拡大と新たな鉄道編成の追加を検討しているほか、中国国営石油天然気集団(CNPC)と中国国家開発銀行の支援を受けて、オビ湾の対岸に第2のLNG事業である「北極海第2LNG事業」を建設中で、2019年の操業開始を目指している。
      • 原文 Dec. 5, 2017, The Maritime Executive (長谷部)
    • 11】ロシアが独自の海底石油ガス生産技術を開発中
      • 11】従来、ロシア石油ガス産業は海底石油・ガス田の開発にあたっては、西欧諸国の技術と機器に頼ってきたが、クリミア併合に伴うロシアに対する継続的な制裁に対抗するため、ロシア政府は独自の海底石油・ガス田の生産技術を開発している。具体的には、ガスプロムとロシア研究院の支援を受けて、工業貿易省の資金で開発が続けられており、試作機が2019年に完成し、2020年に実用化に向けた包括的な試験を行う予定である。海底における石油・ガスの生産は、オフショアプラットフォームや海上の施設を使用せず、厳しい気象海象条件の下、海氷の下でも操業できるシステムで、ロシアの大陸棚では、サハリン第3事業が唯一、海底生産を行っている。
      • 原文 Dec. 5, 2017, The Maritime Executive (長谷部)
    • 12】2017年における中国船の北極海北航路の通航が急増
      • 12】中国の海運会社の船舶が2016年に北極海北航路を通航した実績は5隻だったが、2017年には12隻となり、2倍以上の伸びを見せ、ロシア以外の船舶としては過去最大の実績となった。さらに、中国は中国の砕氷船を北極海に送り、カナダの北極海北西航路を含め、同砕氷船は約3か月間北極海で活動した。COSCOは、アジアから欧州にむけて3航海、欧州からアジアに向けて2航海の合計5回北極海北航路を通過航行し、ヤマルLNG事業向けの製造プラントを3回サベッタ港まで輸送した。広州サルベージ社も同様に製造プラントを輸送した。また、中国海洋石油総公司(China National Offshore Oil Corporation: CNOOC) と中海油田服务股份有限公司(China Oilfield Service Limited: COSL)はカラ海で石油・ガス資源の探査のため、地震波・試掘調査を行った。
      • 原文 Dec. 6, 2017, High North News (長谷部)
    • 13】欧州委員会がCOSCOによるOOILの買収を承認
      • 13】欧州委員会は欧州合併規則に従い、中国遠洋運輸集団(COSCO)によるバミューダに本社を置くOrient Overseas International Limited (OOIL)の買収を承認した。今回の買収によって競争上の影響を受ける8航路のうち、北部欧州=北米航路において特に買収後のCOSCO及びCOSCOが加盟するアライアンスのシェアが高くなるが、同航路においては力を持った競争船社が存在すること、同航路においてもともと両社間の競争はほとんどなかったことなどを勘案して、競争制限効果は大きくないと判断して欧州委員会は今回の買収申請を承認した。
      • 原文 Dec. 6, 2017, EU (長谷部)
    • 14】各国の競争当局の買収承認条件を実行するとHSの運航船舶が大幅に減少
      • 14】11月30日に完了したマースクによる44億米ドルをかけたHamburg Sud (HS)の買収については、世界各国の競争当局から承認の条件として、様々な航路からHS社が撤退する等の条件が付されたため、この条件をそのまま履行すると、HS社は現在47隻のコンテナ船(合計322802teu)を保有し、傭船も合わせると約100隻のコンテナ船を運航しているが、このうち最低25隻(輸送能力にして合計20万TEU)のコンテナ船の運航を停止しなくてはならないと海事情報会社のAlphaliner社は試算している。なかでも欧州委員会と中国政府によってつけられた条件が厳しく、EU関係ではEUの港湾に寄港する5つの航路からHSが撤退することにより8隻が不必要となり、中国関係では、HSはアジア=南米東岸航路の船腹共有協定(Vessel Sharing Agreement: VSA)から直ちに撤退し、アジア=南米西岸航路のVSAについても協定延長時に脱退することに加え、マースク自身、今後5年間アジア=南米関係のいかなるVSAやアライアンスに新たに加入しないことと、合併手続き完了後90日以内にアジア=南米間の冷蔵コンテナ輸送のシェアを現在の45-59%から、34-39%に引き下げることが求められている。
      • 原文 Dec. 6, 2017, The Load Star (長谷部)
    • 15】USCGのBWMSの認証実験方法に受託研究機関が異論
      • 15】メリーランド大学の環境科学センター(University of Maryland Center for Environmental Science: UMCES)は、20年以上に及ぶバラスト水の中の侵略性生物に関する研究成果をもとに、環境にやさしい船舶と港湾(Green Ship and Green Port)に関する革新的な研究開発を支援するために、2008年に海洋環境資源センター(Maritime Environment Resource Center: MERC)を創設した。MERCはIMOのBWC G8ガイドラインに従い、世界の国々で認証されたBWMSの性能を独立した第3者試験機関として評価を行い、米国沿岸警備隊(USCG)によるBWMSの試験と認証のための最初の独立研究所として認定された。しかし、バラスト水に侵略性生物が混入するリスクを最小限にすることを目的とした規制の欠陥が明らかになり、MERCは現行規制の下でのBWMS認証のための試験を行うことを中止することを決定した。MERCは過去5-6年にわたって、科学的に健全で、予測可能で、整合性・透明性の高いBWMSの認証試験を行ってきたが、現行制度の下では適正な標準的なアプローチと十分な監督が欠如しており、環境的・経済的に破壊的な影響を与える侵略性生物の侵入を防止するという国家的・国際的な基本目標が達成できないことが明らかになったので、今回の決定に至った。(訳者注:これまでIMOやUSCGに型式認定されてきたBWMSが科学的に十分な能力を持たないとされると大混乱が起きる可能性がある。)
      • 原文 Dec. 6, 2017, MERC (長谷部)
    • 16】新たな損失と新株発行の発表で三星重工業の株価が急落
      • 16】 世界第3位の造船会社である三星重工業は14億米ドルにのぼる新株の発行計画と今年と来年の損失見通しを発表したところ、株価が27%急落し、2016年12月以来の安値を付けた。今回の発表で過去2年間にわたって何十億米ドルもの損失を計上してきた韓国造船業がようやく不況から立ち直るという希望が打ち消された。三星重工業は船舶部門とオフショア部門の新規受注の減少により2017年は4900億ウォン、2018年は2400億ウォンの損失を見込んでいる。新規株式の発行は2018年5月末までに実施される見込み。現代重工の株価が4.3%、大宇造船海洋の株式も3.3%影響を受けて下落した。
      • 原文 Dec. 5, 2017, Bloomberg (長谷部)
    • 17】6つの国旗を偽装した中国漁船をインドネシアが検挙
      • 17】インドネシア当局は先週、6つの国旗(東チモール、マレーシア、シンガポール、中国、フィリピン、インドネシア)を船内に保有していた中国漁船を逮捕した。スシ海洋水産大臣によれば、当該漁船は取締りを逃れるために都合よく国旗を変更していた疑いがある。この取締りはインドネシア漁業者のほか、豪州漁業管理当局やNGO組織であるGlobal Fishing Watch、インドネシアの海洋・漁業監視任務部隊との協力のもと行われており、Global Fishing Watchはこの中国漁船が過去4か月間にインドネシアのEEZに19回侵入したことを特定している。インドネシア海洋水産省は最近Global Fishing Watchと協力し、同国の船舶動静監視システムのデータを同NGOの活動マップを通じて公にしている。これにより、すでにGlobal Fishing Watchがデータベース上で把握している数千隻に加え、約5000隻のAISを装備していない小型漁船の動静が把握できるようになっている。
      • 原文 Dec. 6, 2017 The Maritime Executive (武智)
    • 18】海運業界がPPRに硫黄含有分規制値を超えるバンカーの輸送の禁止を提案
      • 18】国際海運会議所(ICS)、ボルチック国際海運協議会(BIMCO)、国際独立タンカー船主協会(INTERTNKO)、クルーズ船社国際協会(CLIA)、国際パーセルタンカー協会(IPTA)、国際海運評議会(WSC)は、2月に開催されるIMOの汚染防止・対応小委員会(PPR)に燃料として使用される(貨物として輸送されるものは含まない)硫黄含有分0.5%を超えるバンカーの輸送禁止等を共同提案する。バンカーに含まれる硫黄分の規制強化にあたっては、規制の順守を担保し、規制違反から生じる競争条件の不均衡を防止するためにも、統一的かつ現実的な規制の適用が必要であり、MARPOL附属書VIのRegulation 14.1を改正して、バンカーとして使用される可能性がある規制値を超える燃料油の輸送自体を禁止することを提案している。
      • 原文 Dec. 7, 2017, Ship & Bunker (長谷部)
    • 19】IBIAは規制値を超えるバンカーの輸送禁止に慎重
      • 19】 国際海運業界は2020年から実施されるバンカー硫黄含有分の規制強化の実施担保措置としてバンカーとして使用される可能性のある規制値を超える燃料油の船舶による輸送禁止をIMO汚染防止・対応小委員会(PPR)に提案するが、国際バンカー事業者協会(IBIA)は会員事業者に海運業界の提案について意見を聴取したところ、38%の事業者は海運業界の提案を支持したものの、過半数を超える55%の事業者は、規制適合バンカーの供給体制が整うまでは、規制に適合しないバンカーの輸送を一律に禁止するのは時期尚早と回答した。この調査を受けて、IBIAは2月のPPRの場で意見表明を行う予定。
      • 原文 Dec. 6, 2017, Ship & Bunker (長谷部)
    • 20】中国がピレウス港に次ぐ投資先としてElefsina港に着目
      • 20】中国遠洋運輸集団(COSCO)によるピレウス港の民営化が順調に推移する中で、中国国家発展改革委員会はギリシャ西部のElefsina港を次の投資先として焦点を当て、ギリシャの極左のツィプラス首相も中国資本によるElefsina港の開発を支援している。具体的には、港湾に接続する鉄道網の整備など、Elefsina港の窓口港としての機能を向上させるインフラの強化に加え、ピレウス港にはないギリシャ船主の得意分野でもあるドライバルク取り扱い拠点港としての整備や、中国の得意とする造船業や船舶修理業の拡充が検討されている。
      • 原文 Dec. 4, 2017, The National Herald (長谷部)
    • 21】国連環境総会で海洋プラスチックゴミ削減のための決議を採択
      • 21】12月6日、国連環境総会で海洋プラスチックゴミ削減のための決議を採択したが、米国等の諸国が明確で国際的な削減目標を決定することに反対したので、明確な期限も拘束力もない決議となった。一方で、化粧品等の成分としてマイクロプラスチックを使用しないことは現在においては化粧品メーカー等の自主的な努力目標に過ぎないが、独環境庁は自主規制ではなくEUとして禁止することを独政府が提案することを明らかにした。独国内では、自主規制の対象は歯磨きなどの限定的な製品しか対象となっておらず、独環境大臣は業界として自主規制を2020年までに強化しない限り、法的措置をとると2017年4月に業界に対し警告している。欧州環境局(European Environmental Bureau: EEB)は今回の決議を一歩前進としながらも、使い捨てプラスチック製品の削減などについてパリ協定のような拘束力のある国際的な合意が必要だとしており、2018年1月中旬にはEUとしてのプラスチック削減のための戦略を決定する予定。
      • 原文 Dec. 7, 2017, Euractiv (長谷部)
    • 22】ロシアが北極圏LNG事業のために2隻の大型原子力砕氷船の追加建造を検討
      • 22】ロシアの北極海北航路を管理するロスアトムはムルマンスクを拠点として北極海北航路を担当する原子力砕氷船を5隻運用しているが、10年以内に退役する予定の1980年代に建造された2隻の原子力砕氷船の代替と北極海北航路の輸送増加に備えて、現在3隻の新型原子力砕氷船を建造中で、2019年から2021年にかけて、毎年1隻ずつ運用が開始される予定である。しかし、ヤマルLNG事業で製造されるLNGを輸送するタンカーは新たに「ヤマルマックス」と呼ばれ、トン数9万dwt・船幅50m・船長300mで、現在建造中の新型砕氷船より大きい。従って、ロシア政府はさらに大型の原子力砕氷船の追加建造を既に基本的には承認しており、資金的な裏付けが出来れば、2023年から建造に入る予定。
      • 原文 Dec. 6, 2017, The Barents Observer (長谷部)
    • 23】ReCAAP情報共有センター11月月間報告書
      • 23】アジア海賊対策地域協力協定情報共有センター(ReCAAP ISC)が11月の月間報告書を発表したところ概要以下のとおり。11月のアジアにおける海賊・武装強盗の発生件数は9件で、うち7件が既遂である。また、9件のうち4件が海賊事件、5件が強盗事件であった。船員誘拐事件は発生していない。懸念される事項として、ヤシ油を搭載した艀が強奪される事件が発生したこと、南シナ海の近接した海域で錨泊中の船舶への侵入事案が頻発(4件)したことである。全体として状況は改善しており、今年に入って11月までに報告された事件は71件と、過去10年で最も少ない。
      • 原文 Dec, 2017  ReCAAP (武智)
    • 24】新規STM事業に450万ユーロの資金提供を決定
      • 24】EUは船舶と港湾を繋いで効果的な情報交換を行う船舶交通管理(STM)事業を推進しているが、このほどスウェーデンとフィンランド間の効果的な交通を図るEfficientFlow事業に対し、2018-2020年で450万ユーロの資金提供を決定した。EfficientFlow事業はスウェーデン海事局、Satakunta応用科学大学、ラウマ港湾当局、イェヴレ港湾当局、フィンランド運輸庁が行い、スウェーデンのイェヴレ(Gävle)港-フィンランドのラウマ(Rauma)港間及びストックホルム-トゥルク間にSTMを導入する事業である。
      • 原文 Dec. 14, 2017, The Maritime Executive (武智)
    • 25】英国で自律運航船に関するSWANS事業が開始
      • 25】海事技術系コンサルタント会社であるBMTは英国政府の新技術開発担当機関であるInnovate UKから120万ポンドの支援を得て、ASV Global社等と連携して、共有海域における衛星を利用した自律運航船の運航(Shared Waterspace Autonomous Navigation by Satellite: SWANS)事業を実施する。現状では自律運航船はAISの情報に基づいて他船との衝突を回避するが、AISを搭載していない船舶や物体との衝突のリスクが残り、海上交通管制や他船がよけてくれることに依存せざるを得ないが、衛星センシング技術を活用し、両社の保有するシミュレーション技術を統合して、視認範囲外の海域における自律海上運航船(ASVs)の安全な運航と、混雑海域におけるASVsの安全な運航管理技術の向上について研究開発を行う。
      • 原文 Dec. 6, 2017, BMT (長谷部)
    • 26】中国で最初のスマートシップが上海で運航を開始
      • 26】中国国内で開発された学習能力を持った航法システム(intelligent navigation system)を装備した中国で最初のスマートシップが12月5日上海で運航を開始した。この船は38800トンのばら積み船で、中国船舶工業集団公司(China State Shipbuilding Corporation: CSSC)の子会社である上海商船設計研究院で設計され、広州市の中船黄埔文沖船舶有限公司で建造され、中外運航運(Sinotrans Shipping)によって、中国と豪州・東南アジア間の航路で石炭や塩の運送に従事する。この自習能力を持ったインテリジェント運航システム(SOMS)は、リアルタイムで航海・気象情報を分析したうえで、最適な航路を選択して運航効率を上げてコストを削減するとともに、乗組員に隠れたリスクについてあらかじめ警告することができ、情報を蓄積する過程で自己学習し、判断能力が向上する。
      • 原文 Dec. 6, 2017, China.org (長谷部)
    • 27】アジアの劣悪な船舶リサイクル場で船舶を解体する船主の責任
      • 27】(論説)バングラデシュ・パキスタン・インドの海岸における劣悪な船舶リサイクル場に売り渡されることを承知のうえで、廃船の現金買取会社に船舶を売却した船主は、船舶リサイクル場の労働者が死傷するリスクを予見できたとして、死傷事故に対する責任を裁判上問われる可能性がある。英国に本社を置く船社に限っても、過去2年間で28隻をこうした劣悪な船舶リサイクル場に送っており、そのうち6隻はバングラデシュのチッタゴンに送られ、現在リサイクルを待っている2隻はZodiac社の管理する船舶だった。船主はEU規則で定められた方法で適正に船舶をリサイクルする船舶リサイクル場に船舶を売却する場合と比べ、廃船の現金買取会社に船舶を売却すれば、1隻あたり100万から400万米ドル高く売却することができる。チッタゴンは世界で最大の船舶リサイクル地域であり、2016年には230隻の船舶を解体し、1000万トンの轍をリサイクルしている。
      • 原文 Dec. 2, 2017, The Guardian (長谷部)
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