2018/1/26LROニュース(7)

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  • 2018.01.26 UP
    2018/1/26LROニュース(7)
    • 1】 欧州港湾機構がEUへの海外直接投資審査制度について意見表明
      • 1】 1月18日、欧州港湾機構(ESPO)が2017年9月に欧州委員会が提案した「EUへの海外直接投資を審査する枠組みの設定に関する規則」に対して意見を表明したところ概要は以下のとおり。①EUの港湾にとって、海外直接投資は重要であり、引き続き自由に投資できる環境の維持が必要。②欧州の港湾は交通のみならず、地域の戦略的な拠点であり、地域社会が港湾管理会社の経営に参画することが重要。③欧州の港湾はEU命令上でも「重要なインフラ(critical infrastructure)」と位置付けられており、欧州全体の交通・港湾政策の観点からの港湾管理が必要④提案された規則については、既存の審査制度の基本的な枠組みを与えるものとして評価するが、加盟国に対して審査制度の枠組みを強要し、計画されている海外直接投資を阻害すべきではない。⑤本規則の適用にあたっては、加盟国間の透明性の確保の観点から、加盟国間で情報の交換が行われるべき。
      • 原文 Jan. 18, 2018, ESPO (長谷部)
    • 2】 船員の英語能力向上にIMOの標準海事通信用語集の活用が有効
      • 2】 (論説)IMOによれば、船員の英語能力不足により、毎年約150人が死亡し、何百万米ドルもの損害が発生している。2012年に発生したCosta Concordia号事件は、32名が死亡し、120万米ドルの損害が生じたが、主な事故原因の一つが船長と船員の間の英語による連絡の齟齬であった。IMOはこうした問題を解決するために、「標準海事通信用語集(Standard Marine Communication Phrases: SMCP)を作成し、英語を母国語とする船員も含めSMCPの習得を500総トン以上の船舶の当直員の資格証明の要件の一つとしている。STCW条約に基づくこの要件を無視して、SMCPを習得していない船員が当直を行うのは違法行為であり、船舶保険会社の保険金支払い拒否理由にもなりうることを海運会社は認識すべきである。EUは船員がSMCPを習得する際の補助を実施している。
      • 原文 Jan 17, 2018 Safety4Sea (長谷部)
    • 3】 ReCAAP、上級担当者会合をシンガポールで開催
      • 3】 アジア海賊対策地域協定情報共有センター(ReCAAP ISC)は1月17日から2日間にわたり、各国フォーカルポイントの上級担当者による会合をシンガポールで開催する。会合ではアジアにおける海賊・武装強盗の現状と、進化する海賊等の脅威や新たな課題に対する対策の共有が図られる。ReCAAP ISCの黒木事務局長は、海賊等に対し効果的に対処するには各国が共通の目的意識と責任を共有することが必要であり、本会合において各国関係機関が一堂に会し、関係を深め、安全で秩序ある海という共通のゴールに向かっていくことが重要であると述べている。
      • 原文 Jan. 17, 2018 ReCAAP ISC (武智)
    • 4】 英国政府が船員に対する平等法・最低賃金法の適用についてガイドライン
      • 4】 1月18日、英国政府ビジネス・エネルギー・産業戦略省は、「2010年の平等法(The Equality Act 2010: EA)と国家最低賃金法を船員へ適用するためのガイドライン」を発表した。英国領海内で航行する外国籍船船舶では外国人船員に対して、英国の最低賃金法を下回る賃金しか支払われず、このような外国人船員に対する劣悪な労働条件が結果的に英国人船員の雇用を奪っているという船員労働組合からの批判を受けて、英国国境警備隊(UK Boarder Force: UKBF)は50か国語で外国人船員への英国最低賃金法に基づいた賃金の支払いを促すパンフレットを作成し、船員と雇用主に配布している。最低賃金法以下の賃金しか支払っていない雇用主は、最低賃金と実際に支払った賃金の差額の最大2倍の罰金刑を科され、会社の名前を公表され、悪質な場合は刑事訴追されることもある。
      • 原文 Jan. 18, 2018, 英国政府(長谷部)
    • 5】 GARDが最初の排ガスゼロ自律運航船の保険引き受けを検討
      • 5】 1月17日、保険会社のGARDは1月17日、世界で最初の排ガスゼロ自律運航船となるYARA BIRKELAND(YB)について船体保険と第三者責任保険の引き受けを検討していると発表した。ノルウェーの肥料会社であるYara社は製造工場から港湾までの間の製品輸送に使用する電池で動く排ガスゼロの自律運航船であるYBをコングスバーグ社と共同で開発している。YBはさらに自動離着岸・係船装置も装備する予定。YBの建造のための事業費は総額で4億NOKが予定されているが、内1億3300万NOKはノルウェー政府が支援する。YBは船長79.5mでバラストタンクを持たず、6ノットで航行し、2019年の就航を予定しているが、当初は船長と少人数の乗組員が乗り組んで、7海里と30海里の2ルートを肥料と化学製品を運送し、2020年から完全自律運航を開始する予定。
      • 原文 Jan. 17, 2018, GARD (長谷部)
    • 6】 無人運航船に関する契約上・保険上の検討点
      • 6】 1月18日、英国海事弁護士事務所Clyde & Coが海事科学工学技術院(IMarEST)と共同で、無人運航船の運航に伴う船主の第三者責任に対する法規制・付保・管理の在り方につき研究した結果を発表したところその概要は以下のとおり。無人運航船と法規制との関連については、COLREG条約関係の規制に関心が集まりやすいが、標準傭船契約書の中にも、多くの規定が船長や乗組員の存在が前提としており、無人運航船による海上運送については契約の枠組みを大きく見直す必要がある。例えば、最初の自律運航船となることが予想されるYARA BIRKLANDのように貨物の積降作業を船舶に搭載された機械が自動的に行うとすると、理論的には貨物の積降作業に関する責任は船主に移転し、船主の負担が重くなる。一方で、貨物の積降作業の自動化は、貨物の紛失や損壊といった作業員の人的ミスによる損害を大きく減らすことになると考えられる。
      • 原文 Jan. 18, 2018, Lexology (長谷部)
    • 7】 サンチ号から燃料油漏出の恐れ
      • 7】 中国国家海洋局(SOA)が1月18日に沈没した船体のそばで発見した新たな油の帯は燃料油の可能性があると発表した。サンチ号には約1000トンの重油バンカーが積載されているが、船体は水深約115mの海底に沈没しており、SOAは海中ロボットを使用して沈没した船舶の状況を調査中で、バンカーが船体から漏出しているのであれば、漏出部分を封鎖することも検討されている。
      • 原文 Jan. 19, 2018, Splash 24/7(長谷部)
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