2018/1/23 LROニュース(9)

NEWS


※LROニュースの内容については、有料メールニュースなど営利目的での転載はご遠慮頂くとともに、2次使用の際はLROニュースからの転載である旨を明示していただきますよう、お願いいたします。

トップページ > LROニュース > 2018/1/23 LROニュース(9)

記事アーカイブ

  • 2018.01.23 UP
    2018/1/23 LROニュース(9)
    • 1】 サンチ号沈没現場周辺で広範な海上の油を確認
      • 1】 中国国家海洋局によれば、海上にいくつかの油の帯を既に確認しており、長いもので約15km、面積にして58㎢程度に及ぶものもある。サンチ号は衝突の際に。13万6千トンのコンセンデート油を積載しており、バンカーと併せて、中国の漁場を含め海洋生物の生態系に大きな損害を及ぼす可能性がある。一方でコンセンデート油はジェット燃料として使用されるように、揮発性・可燃性が高く、火災や爆発により既にほとんど燃焼しつくしたという見方もあり、早急に専門家を現場に派遣して、現場の状況を把握して環境被害を最小限に食い止める対策をとる必要がある。
      • 原文 Jan. 16, 2018, CNN (長谷部)
    • 2】 ReCAAP ISC、マ・シ海峡での海賊・武装強盗事件が増加も不安視はせず
      • 2】 アジア海賊対策地域協力協定情報共有センター(ReCAAP ISC)が発表した2017年の年次レポートによれば、アジア全体で前年比19%増の101件の海賊及び武装強盗事件が発生し、このうちマ・シ海峡では前年の2件に対して9件に増加したが、ReCAAP ISC事務局長は1月16日のブリーフィングで、最盛期の1990年代以降状況は相当に改善されており、心配する状況ではないとしている。同事務局長は、沿岸国間の協力が良好に機能し、特にマラッカ海峡においてはほとんど事件が発生していないと述べるとともに、シンガポールが近隣国との共同警備の調整において重要な役割を果たしており、巡視警戒の実施が海上安全環境の長期的な改善に向けたキーであるとした。専門家は、海賊・武装強盗事件を抑制し続けることを難しくする要因として、違法漁業や密輸など複数の海洋分野にわたる多様な問題を抱え、この地域の多くの治安当局が慢性的な能力不足にある点を指摘している。
      • 原文 Jan. 16, 2018 THE STRAITS TIMES (武智)
    • 3】 マースクとIBMが世界貿易デジタル化プラットフォームを開発
      • 3】 マースクとIBMは世界の海運企業に開放された世界貿易デジタル化プラットフォームを開発するために共同で新たな事業を開始すると1月16日発表した。毎年4兆米ドルを超える物品が海上輸送されるが、海上輸送に必要な諸手続きにかかるコストは輸送原価の約20%をしめ、国際的物流チェーンを効率化してこうした間接経費を減らせば、世界の貿易量を約15%増加させ、経済を拡大し雇用を増加することができると世界経済フォーラムは主張している。ブロックチェーン技術の優れたところは、異なる系統の大規模ネットワークにも対応可能で、ネットワークの中で行われたすべての取引の記録を共有し、承認された参加者はリアルタイムで信頼できる情報にアクセスできる。このブロックチェーン技術をデジタル化された世界貿易の過程に適用することにより、情報の流れの中で新たな形の命令や同意手続きを導入することができ、貿易に参加する多数の関係者が必要に応じて情報のプライバシーや秘密を保持しながら、協力し共通認識を持つことを可能とする。
      • 原文 Jan. 16, 2018, Maersk (長谷部)
    • 4】 比、中国によるベンハム隆起における海洋調査を承認
      • 4】 1月15日、比報道官は、中国が申請したベンハム隆起におけるフィリピン大学との合同海洋調査を、ドゥテルテ大統領が承認していたことを認めた。国連が比の大陸棚の一部と認め、過去に中国が反論した経緯もあるこの海域には、石油やガスの埋蔵の可能性がある。この問題を明らかにした野党議員は、例え比側との合同であっても中国の国立シンクタンクによる比海域の調査を許すことは不注意と言わざるを得ず、中国による比海域へのアクセスは特に慎重に考えるべきとして強く批判している。比外務省はこの承認について何ら問題はなく、比国内法に従う限り、いずれの国であっても科学調査を承認するとしている。過去中国は同様の海洋調査を申請したが、比国内法が要求するフィリピン人の参加を拒否したため、申請を却下された経緯があり、同野党議員は、比の承認を得たいがためだけに、フィリピン大学との合同調査の形としているに過ぎないと指摘している。
      • 原文 Jan. 15, 2018 The Maritime Executive (武智)
    • 5】 欧州委員会が「プラスチック戦略」を発表
      • 5】 1月16日に、欧州委員会は、循環型経済への移行目標の一環として、EU全体のプラスチックゴミ削減戦略を採択したと発表した。EUは2030年までに全てのプラスチック包装を再生可能とすること、使い捨てプラスチックの消費量の削減、プラスチック微細粒子の意図的使用を制限することを目指している。具体的な対策としては、①パッケージに使用されるプラスチックのリサイクル可能性を引き上げ、再生プラスチックの需要を引き上げることにより、プラスチックのリサイクル事業の収益性を向上させる。②プラスチック製ショッピングバックの利用を削減することなどにより、プラスチックごみの総量を削減する。③港湾におけるゴミの処理施設の整備を進めて、船舶から発生したゴミや海で回収されたが海に廃棄されないようにする。④リサイクル性の高いプラスチックの開発、リサイクル工程の効率性の向上、再生プラスチックにある有害物質の検出・除去に関する研究へ1億ユーロを出資する。⑤プラスチックゴミの削減がEUだけでなく、世界規模で取り組まれるよう、途上国支援を含め、世界的な働きかけを強める。
      • 原文 Jan. 16, 2018, 欧州委員会 (Dafnis)
    • 6】 ReCAAP ISC、2017年の年次レポートを発表
      • 6】 アジア海賊対策地域協力協定情報共有センター(ReCAAP ISC)が発表した2017年のアジア地域における海賊・武装強盗の発生状況についての年次レポートの概要は以下の通り。2017年は未遂・既遂を含め101件の海賊及び武装強盗事件の報告があり、前年の85件と比べ19%増加した。バングラデシュ(チッタゴン)、フィリピン(マニラ及びバタンガス)での錨泊中船舶への侵入事件、南シナ海での錨泊中または航海中の船舶への侵入事件、シンガポール海峡での航海中の船舶への侵入事件が増加した一方、インド、マレーシア、ベトナムの港湾・錨地での事件が減少している。スル海・セレベス海及び東サバ州沖での船員誘拐事件は前年の10件に対して2017年は3件であり、2017年3月以降は発生していない。2017年には荷油狙いのハイジャック事件が3件発生しており、この種の事件の再発が懸念される。
      • 原文 Jan. 16, 2018 ReCAAP ISC (武智)
    • 7】 ノルウェー政府年金基金が4船社を船舶の不適切解体で投資対象から除外
      • 【7】 1月16日、ノルウェー政府年金基金を運用するNorges銀行は、Evergreen Marine Corp, Korea Line, Precious Shipping and Thoresen Thai Agencies (TTA)の4社が、バングラデシュとパキスタンの労働環境が特に悪く、深刻な環境被害を発生しているbeaching方式の船舶リサイクル施設で船舶を解体し、深刻で体系的な人権侵害を引き起こしているとして、基金の投資対象から除外したと発表した。当該4社が、現状の船舶解体方式を中止することを通知すれば、4年後に投資対象とするかどうか再検討が行われる。Pan Ocean社も現在同じ理由で投資対象から外すか検討作業が行われている。4船社の他には、原子力爆弾の基幹部品を製造したという理由で米国の造船会社のHunting Ingall社など4社が投資対象から外された。
      • 原文 Jan. 17, 2018, Seatrade Maritime News (長谷部)
    • 8】 マースクとの提携によって現代商船がコンテナ船の輸送能力を大幅に縮小
      • 8】 現代商船は2016年にThe Allianceへの加盟を拒否されたが、韓国政府や債権者に説得力のある再建策を示すため、The Alliance加盟の代替策として、2M+HMMと呼ばれる不平等な船腹共有協定(VSA)をマースクとMSCとの間で締結したため、2017年中に世界の15大コンテナ船社の合計輸送能力が12.6%増加した中で、現代商船は456000teuから347000teuに23.9%も輸送能力を減らすこととなった。この大幅な輸送能力の減少はアジア=欧州、アジア=北米東岸航路から多くの自社船舶を引き上げる一方で、2Mに自社が用船していた船舶を再用船に出したためである。一方で、マースクは2017年中に、輸送能力を162万teuから180万teuに26.8%拡大することに成功している。現代商船はこうした状況を踏まえ、2022年までに輸送能力を倍増するとCEOが年頭の会見で発表している。
      • 原文 Jan. 17, 2018, Splash 24/7 (長谷部)
    • 9】 ベナン沖で消息不明のタンカー、海賊に襲撃されたことが判明
      • 9】 英国の海運会社Union Maritimeが運航するマーシャル諸島籍製品タンカーBarrettが、ベナンのコトヌー沖で錨泊中の1月9日以降消息不明となっているが、同社はこれが海賊の襲撃によるものと確認した。同社がBarrettと最後に通信したのは9日の午後で、同日以降AISデータも送信されていない。Barrettには22人の乗員が乗り組んでいる。
      • 原文 Jan. 17, 2018 Splash 24/7 (武智)
  • 資料閲覧 その他