2018/1/16 LROニュース(15)

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  • 2018.01.16 UP
    2018/1/16 LROニュース(15)
    • 1】 2018年1月より中国の3排出規制海域において硫黄分排出規制強化が実施
      • 1】12月22日、American Clubは中国の環渤海水域・長江デルタ・珠江デルタの3排出規制海域(Emission Control Area: ECS)内の主要港のバースに船舶が着岸中に、硫黄分排出規制を0.5%以下とする規制強化が2018年1月1日より実施されることを会員に周知した。但し、バースに着岸してから1時間以内と、バースから離岸する1時間前の時間は適用が免除される。詳細は以下のリンク参照。
      • 原文 Dec. 22, 2017, The American Club (長谷部)
    • 2】 IMO・FAL条約改正が1月1日から発効
      • 2】 IMOの国際海上交通円滑化条約(Convention on Facilitation of International Maritime Traffic: FAL)の改正が1月1日から発効した。主たる改正点は①港湾入港中に船員が上陸する権利の行使について、国籍・人種・皮膚の色・性別・政治的意見・社会的な出自・船舶の船籍に基づいて、一切の差別を禁ずる条項を新たに追加。②密航者が船舶に接近するのを防止するための条項を改正し、加盟国当局はIMOの「船舶と港湾施設の保安のための国際コード(ISPSコード)」に従った措置を実施し、密航者・密航未遂者・およびそれらのものを支援した者を訴追するための国内法を整備することを追加。③FAL条約に定められた様々な申告書の様式の改正と、SOLAS条約に基づく保安関係の情報の申告、税関がリスク評価するために電子媒体による貨物情報の事前申告、港湾受け入れ施設に引き受けを希望する廃棄物に関する事前申告について新たな様式の追加等となっている。
      • 原文 Jan. 1, 2018, IMO (長谷部)
    • 3】 韓国が国内各港湾の後背地を開発して港湾の国際競争力を向上
      • 3】 1月1日、韓国政府は韓国内の産業物流インフラの強化を図る広範な開発計画の一部として、国内の港湾の後背地を合計3000万㎡拡張して、港湾の貨物処理能力を拡大し港湾の国際競争能力を向上させると発表した。韓国海洋水産部によれば、釜山、仁川、光陽、ピョンテク唐津、蔚山、浦項、木浦、馬山の8港湾の後背地を拡大し、年間1000万トンの貨物取扱能力の向上を図る。韓国政府は後背地の取得開発に1.5兆ウォンを投入し、この事業の結果、11.9兆ウォンの投資誘発効果と新たに8万7千人の雇用創出を図る。
      • 原文 Jan 1, 2018, 聯合(長谷部)
    • 4】 ReCAAP ISC週間レポート
      • 4】 12月19日から25日にReCAAP情報共有センター(ISC)に報告があった海賊及び武装強盗事件は強盗事件4件で、概要は以下のとおり。①12月16日午後2時50分頃、バングラデシュのMaheshkhali島の南西約22マイルをチッタゴン錨地に向け艀を曳航して航行中のタグボート乗組員が、艀に接近する2隻の漁船を認め、8~10人が漁船から艀に乗り移ったのを目撃した。調査したところ、艀からロープや救命ブイなどが盗まれていた。②12月16日午後11時30分頃、ベトナムのHon Net錨地に錨泊中のばら積み船に6人の侵入者があるのを当直者が発見した。侵入者は警報を受けて逃走したが、塗料庫の鍵が壊され、塗料882リッターが盗まれた。③12月21日午前0時5分頃、インドネシアのMuara Berau錨地に錨泊中のばら積み船に3人の賊が侵入し、前部倉庫の鍵を破壊し係留索2本を盗んで逃走した。④12月21日午後10時15分頃、インドネシアのMuara Berau錨地に錨泊中のばら積み船にナイフを持った賊がホースパイプから侵入したが、乗組員が警報を作動させたため賊は何も盗らず逃走した。
      • 原文 Dec. 25, 2017 ReCAAP (武智)
    • 5】 カリフォルニア州が船底付着生物に関する新たな規制を1月1日から適用
      • 5】 カリフォルニア州は、既報のとおり、船底付着生物に関する新たな規制を導入し、カリフォルニア州の港湾に寄港する船舶に対し、従来から提出が要求されている年間船舶報告書・バラスト水管理報告書に加えて、船底付着物管理計画の提出と船底付着生物清浄記録簿の設置等を義務付けているが、当該新規制が新造船については1月1日から、既存船については、1月1日以降の最初の定期検査時から適用が開始されることを周知する通達を12月28日発表した。
      • 原文 Dec. 28, 2017, カリフォルニア州(長谷部)
    • 6】 ロシア北方艦隊が北極海上の航空機による哨戒を強化
      • 6】 ロシア北方艦隊は2017年中に北極海上空の航空機による哨戒を70回以上実施したが、2018年は、新シベリア諸島に建設した航空基地等を拠点に哨戒空域を大幅に拡大して哨戒活動を継続すると発表した。北極海の上空飛行には特別の訓練が必要だが、海氷の状況をよりよく観測し、北極海における船舶の運航の安全確保に貢献する。ロシアは近年フランツ・ヨシフ諸島のNagurskoye航空基地、新シベリア諸島のTemp航空基地、ノバヤ・ゼムリャ島のRogachevo航空基地などの整備を精力的に進め、新Nagurskoye航空基地にはミグ31やスホーイ34離発着できる2500m滑走路が整備される予定である。
      • 原文 Jan 2, 2018, The Barents Observer (長谷部)
    • 7】 各国が鎬を削る北極海開発競争
      • 7】 (論説)地球温暖化が進むにつれ北極圏開発の期待が膨らむが開発コストが高いことから、北極海沿岸諸国(北極評議会正式加盟国)以外の財力がある国=中国が付け入るすきがある。現在北極圏で計画中の事業の総事業費は約1兆米ドルに達すると見積もられている。その中で、ロシアは石油・天然ガス事業に伴う約250の事業を進めて他国を圧倒しており、フィンランド・米・加が後を追っている。どの国が率先して事業を進め、どの国がその事業費を負担するかが、今後数十年間、北極圏でどの国が経済的な支配権を握るかを決定する。全事業の中で、石油・ガス開発事業が約2000億米ドルと最も多額の投資を必要とし、北極海には世界中の未発見の資源の1/5以上が眠っているとされるが、原油価格がバレル当たり60米ドル前後で推移する現状では、さらなる開発は経済的に困難である。
      • 原文 Dec. 29, 2017, Bloomberg (長谷部)
    • 8】 BBNJ交渉今後の見通し
      • 8】 (論説)12月24日に、国連総会でBBNJ交渉の開始について合意されたが、新条約は1980年代前半に作成された国連海洋法が当時想定していなかった事項について国連海洋法を補完するものであり、公海における海洋保護区(MPA)の設定に加え、海洋遺伝資源の共有や、海洋環境を損なう可能性のある公海上の遠洋漁業や気候工学上の活動を行う際に科学的な環境影響評価を行うことを義務付けることなどが検討される。第1回目の交渉会議は9月に開催され2020年までに合計4回の交渉が予定されているが、4月に開催される準備会合が重要で、誰が議長になるのか(どの国が交渉をリードしていくのか)がまずポイントで、議長が優れた有能な人物であれば、期限内に全ての意見を取り入れたバランスの取れた条約案文ができるだろうが、議長が中立でなく、或いは指導力が足りない人物が選ばれると困難な交渉となる。9月の第1回会合の前に、環境保護推進派と見なされるEU、墨、NZ、多くのカリブ海・アフリカ諸国によって、議論のたたき台となる最初の条約案文が作成され、(希望的には)事前に交渉参加国が検討できることが望ましい。日本や韓国のような海洋国家は、今までも新条約に理解を示していたが、ロシアのように断固として拒否する立場の国や、米国のようにどういう対応をとるか全く予見不可能な国もある。まずは環境影響評価の対象の範囲、環境評価の方法等が重要論点になる。
      • 原文 Jan. 2, 2018, Oceans Deeply (長谷部)
    • 9】 ReCAAP ISC週間レポート
      • 9】 12月26日から1月1日の間にReCAAP情報共有センター(ISC)に報告があった海賊及び武装強盗事件は、強盗事件1件であった。12月28日午後8時58分頃、シンガポール海峡分離通航帯を西向け航行中のばら積み船に長刀で武装した4人の賊が侵入したのを乗員が発見したため警報を作動し、船内捜索をしたところ、乗員の携帯電話1台が盗まれていることが分かった。乗員にけがはなく、ばら積み船はシンガポールに向け航海を継続した。なおこの他、アジア域外の事案としてコートジボワールにおける係留索窃盗事案が報告されている。
      • 原文 Jan. 1, 2018 ReCAAP (武智
    • 10】 ロシア国防大臣:ロシアの北極圏における軍備拡張の実績と見通しを語る
      • 10】 ロシア国防大臣が年頭にあたり報道各紙に対し、ロシアの北極圏における軍備拡張のこれまでの実績と今後の見通しについて語ったところその概要は以下のとおり。過去5年間にロシア北極圏のコテリヌイ島、Alexandra Land島、ウランゲリ島、Smidt半島に合計70万㎡に及ぶ面積の425の建造物を建設し、北極海の三つ葉(Arctic Trefoils)と呼ばれる大規模な軍事拠点を3つ建設し、1000人以上の兵士が基地に常駐している。さらに2018年中にはフランツ・ヨシフ諸島のアルハンゲリスク航空基地が完成し、年間を通じた航空機の発着が可能となるほか、コラ半島のセヴェロモルスク空港の第1滑走路やノリリスクのアリケリ空港も新年には完成する予定である。またTor-M2DT短距離地対空ミサイルシステムの北極改良版も今年中に展開される予定であるが、これらの軍備拡張はあくまで防衛が目的であり、攻撃的な目的で配備したものではないとしている。
      • 原文 Jan. 3, 2018, The Barents Observer (長谷部)
    • 11】 インド洋MOUが各船舶のリスクに基づいたPSCの新基準の適用を開始
      • 11】 2017年8月にインド洋MOU(IOMOU)は、船舶ごとの個別の安全上のリスク(Ship Risk Profile: SRS)に基づいて集中的にPSCを実施するという新たな検査の枠組み(New Inspection Regime: NIR)の実施基準に合意したが、1月1日から当該新たな実施基準に基づきPSCが行われている。船舶の種類・船齢・旗国の安全面での実績・船級協会の実績・運航会社の安全運航実績・当該船舶の安全運航の実績などの一般的・過去の実績に基づいて、個別の船舶を高リスクの船舶 (High Risk Ship: HRS)、標準的なリスクの船舶 (Standard Risk Ship: SRS)、低リスクの船舶 (Low Risk Ship: LRS)に分類し、HRSは5-6か月ごとに集中的に、SRSは10-12か月ごとに、LRSは18-24か月ごとに、定期検査等を行うこととしている。
      • 原文 Dec. 22, 2017, IOMOU (長谷部)
    • 12】 ロシアの副首相が最新型の原子力砕氷船の建造計画を発表
      • 12】 ロシアの副首相は、同政府が商船による北極海北航路の通年運航を可能とするために、2023年から2025年にかけて新たなLider級の原子力砕氷船を3隻建造すると昨年末にタス通信に語った。同政府は現在既に20億米ドルをかけて、最大の原子力砕氷船を3隻、セントぺテルスブルグのバルチック造船所で建造中であり、今回発表された新たな砕氷船は建造中の3隻を凌ぐ5万5千トンで開発中のRITM-400新型原子炉を搭載し、4.5mの厚さの海氷も砕氷可能で、2m程度の厚さの海氷であれば砕氷しながら29 kphの速度で運航が可能であるとされている。この新型砕氷船の構想は、2015年に既に発表されていたが、今迄は夢物語と思われてきたが、現在ロシア国営原子力企業のロスアトムが北極海航路のあらゆる事項の全権を握る法案が提出されており、プーチン大統領の意向に従って、同法案が成立すれば、今迄陽の目を見てこなかったLider級新型砕氷原子力船の建造などの野心的な事業が実現に大きく近づくことになる。
      • 原文 Jan 3, 2017, The Maritime Executive (長谷部)
    • 13】 アムステルダム港が排ガスゼロ船舶に対し最優遇港湾料金割引制度を導入
      • 13】 アムステルダム港湾庁は、法定の環境基準以上の環境性能に優れた船舶を認証しインセンティブを与えるGreen Award 基金(GWF)の活動に2015年より参加し、GWFが認証した船舶に対して港湾使用料金の割引を提供してきた。GWFは2017年12月14日、内航船を対象に、二酸化炭素等の排ガスを一切出さない電気動力等の船舶に対する新たな認証制度を導入すると発表した。アムステルダム港湾庁は2017年11月1日にClean Shipping Vision 2030を発表し、2030年を目標に港湾から発生する排気ガスの削減にさらに積極的に取り組むことを発表した。その一環として、GWFの認証する新たな排ガスゼロ船舶に対し、従来からの港湾使用料金の割引率(環境貢献度に応じて5%から15%)を上回る最優遇割引率である20%が新たに適用される。GWFは2018年中に最初の排ガスゼロの内航船を認証する予定。排ガスゼロ船舶に対する優遇措置を導入するのはオランダ国内ではアムステルダム港と一緒に管理される近隣のザーンスタット港が最初である。
      • 原文 Dec. 21, 2017, アムステルダム港 (Dafnis)
    • 14】 香港籍タンカーが北朝鮮船に供給した油は燃料油か
      • 14】 業界筋がエネルギー関連情報配信会社のPlattsに述べたところによれば、香港籍タンカーLighthouse Winmoreが北朝鮮籍船に供給した油は、荷油ではなく燃料油である可能性が高いとのことである。即ち、600トンの燃料油が公海上の瀬取りによって北朝鮮に供給されたことになる。韓国に拿捕されたLighthouse Winmoreは11月下旬以降、韓国南部の麗水港に停泊している。
      • 原文 Jan. 4, 2018 Ship & Bunker (武智)
    • 15】 韓国政府がLNGを燃料とする新造船に対し建造費補助を検討
      • 15】 1月3日、韓国の大統領が大宇造船海洋の巨済造船所を視察した際に、19億米ドルの海事救済基金を活用して、韓国船社がLNGを燃料とする船舶を建造するのを韓国政府として支援することを検討していると表明した。同大統領はさらに、環境規制が強化される中で、今後LNG輸送船やLNGを燃料とする船舶の建造需要が増えると予測されるので、韓国の造船所が受注できるよう政府として最善を尽くすとも述べた。
      • 原文 Jan 4, 2018, Ship & Bunker (長谷部)
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