2017/9/11 LROニュース(5)
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2017.09.11 UP
2017/9/11 LROニュース(5)
- 1】中国がエーゲ海とドナウ川を結ぶ大規模水運ルートの開発を支援
- 1】中国は一帯一路政策の一環としてエーゲ海とドナウ川を連結する水運ルートの建設の支援を行う。この事業は、ギリシャ、中国、セルビア、マケドニアの首脳間で数年前から話し合われてきたが、最近では、ギリシャ=セルビア間の首脳会談で、エーゲ海北部のギリシャの主要港であるテッサロニキ港とブルガリアの黒海に面したブルガス港とセルビアの首都ベルグラードを結ぶ水路と鉄道の建設について話し合われた。この水運ルートが完成すれば、オランダのロッテルダムから黒海まで現在のジブラルタル・ボスポラスルートを利用するより、4日程度、物流所要日数を短縮することができる。 原文 August 31, 2017, The Seatrade Maritime News (長谷部)
- 2】韓進海運破綻1周年の教訓
- 2】(論説)韓進海運が裁判所による管理を申請した日から1周年を迎えた。145億米ドルの貨物と何百人もの船員が世界中の韓進海運の船舶上で行き場を失い、韓進海運の債権者は破産手続きの結果、約2%の債権しか回収できなかった。この1年間で、コンテナ海運業界を巡る状況は一変し、市況は上がり、海運会社が黒字転換する一方で、大規模な集約化が進んだ。コンテナ船の供給過剰の見通しがある一方で、割安な船舶建造価格が主要海運会社による投機的な投資を煽っている。韓進海運の破綻は、コンテナ海運が極めてリスクが高く、規模が必要な産業であることを明らかにし、多くの良識的な船社がコンテナ海運事業を売却することとなった。一方で今回の破綻により、各国政府は税金による競争力のない海運会社や造船会社の救済をやめ、世界的な自由競争による淘汰を受け入れることを教訓として学ぶべきであったが、現実はそのようには動いていないようである。 原文 August 31, 2017, Splash 24/7 (長谷部)
- 3】太平洋航路の相次ぐGRIとサービスの低下にいら立つ荷主
- 3】米国の港湾は1か月で総計175万TEUと史上最高となるコンテナ取扱量を記録し太平洋航路は活況を呈しているが、海運会社による相次ぐ運賃一括値上げ(GRI)に加え、アジアの一部の港では、コンテナの積み残しが発生する状況に世界荷主フォーラム(GSF)に代表される荷主はいら立ちを強めている。クリスマス商戦に向けて今後需要のピークを迎える9月・10月には更なる運賃の引き上げが予想される。船社も経営上の安定を求めたいのであれば、一方的な運賃の引き上げばかりでなく、大口で安定的な荷主に対する報償運賃などについて、荷主側と建設的な対話に応じるべきであるとGSFは主張している。 原文 August 31, 2017, Splash 24/7 (長谷部)
- 4】加熱する東南アジアのコンテナターミナル増設競争
- 4】(論説)マレーシア政府がクラン西港から申請されていた年間のコンテナ取り扱い能力を現在の約2倍の3000万TEUに引き上げるという拡張計画を承認したことにより、東南アジア地域におけるコンテナ港湾間の競争がさらに激化することとなった。シンガポールではトゥアスに6500万TEUの新ターミナルを、インドネシアも独自の巨大なハブ港湾の建設を計画中である。クラン港湾庁はこのほかにも北港やCarey島における大規模コンテナターミナルの建設計画中であり、同港から南に86kmしか離れていないマラッカ市においてもKuala Linggi国際港湾が建設中であるが、以上の全ての港湾が貨物積替えハブ港湾を目指しているため、集約化されたアライアンスの航路を誘致する競争がますます激化することが見込まれる。本年の各アライアンスによる航路集約・再編ではアジア=欧州航路に関してはクラン港は航路数を減らし、負け組となった。 原文 August 31, 2017, Splash 24/7 (長谷部)
- 5】ノヴァテクの子会社がヤマル・ジダン半島で新たなLNG開発権を取得
- 5】ロシアの独立系天然ガス生産・販売会社のノヴァテクの二つの子会社がヤマル・ジダン半島およびその沖合に新たな天然ガスの開発権を取得した。ノヴァテクは仏トータル社と組んで、第一次ヤマルLNG事業を実行し、年間1650万トンのLNGを生産し本年末までに輸出を開始する予定。同社はまだ正式には北極海第二次LNG事業(Arctic LNG II)事業に対する投資を最終決定していないが、同第二事業は第一事業と同程度の規模となる見込み。 原文 August 25, 2017, LNG World Shipping (長谷部)