2017/8/21 LROニュース(6)
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2017.08.21 UP
2017/8/21 LROニュース(6)
- 1】トランプ政権:3回目の「航行の自由作戦」を敢行
- 1】8月10日、米海軍巡航ミサイル駆逐艦は中国が領有権を主張している南シナ海のMischief礁周辺12カイリ以内の海域において、トランプ政権となって以来、3度目となる「航行の自由作戦(FONOps)」を敢行したとロイター通信が報道した。国防総省は正式には今回の作戦には言及せずに「米海軍は南シナ海を含めアジア太平洋地域で毎日任務を実施しており、国際法の範囲内で、米軍がどこでも飛行し、航行し、作戦を遂行できることを強調している。米海軍は今まで同様に今後とも定期的にFONOpsを実施していくが、個々の作戦の内容については個別に発表せず、FONOps年次報告書において明らかにする。」と発表した。南シナ海における中国の軍事施設の多くは領海を主張することが可能な高潮線より上の島に設置されているが、Mischief礁は低潮高地で領海も主張できず、従って周辺を航行する軍艦も無害通航をする義務がない。 原文 August 10, 2017, USNI (長谷部)
- 2】香港競争委員会が船舶共有協定について競争法の一括適用除外を認可
- 2】18か月の審査期間を経て、8月8日、香港競争委員会は定期船社による船舶共有協定(Vessel Sharing Agreements: VSAs)に対して、競争法の一括適用除外を5年間にわたり認可した。一方で、自主協議協定(Voluntary Discussion Agreements: VDAs)については、VDAsによってもたらされる経済的な効率性の立証が不十分として、適用除外が認められなかった。さらに、船社から補助的に出されていたVDAsの適用範囲から香港発着の運賃に関する協議を除いた限定的なVDAsについても競争制限的として適用除外を認められなかった。 原文 August 8, 2017, INCE & CO (長谷部)
- 3】中国国防部が米政府に南シナ海における挑発行為を直ちに中止するよう要求
- 3】中国国防部は8月10日に米海軍によって行われた「航行の自由」作戦に対し、二国間関係と両国軍間の相互信頼を損なう挑発行為として直ちに中止するように米政府に要求した。中国政府は7月にも西沙群島で米海軍によって行われた先回の航行の自由作戦に対し、中国外交部は中国法のみならず国際法にも反する重大な政治的・軍事的な挑発行為であると非難声明を発表している。 原文 August 10, 2017, Sputnik News (長谷部)
- 4】加政府がクジラとの衝突予防のため船舶の速度規制を導入
- 4】世界でも約500頭しかいない絶滅危惧種のタイセイヨウセミクジラが6月以降、カナダの大西洋岸で10頭以上死亡したことを受けて、カナダ連邦政府交通省はケベックからプリンスエドワード島北端までのセントローレンス湾の西側を航行する船長20m以上の船舶について運航速度を10ノット以下に規制することを発表した。運航速度制限に違反した船舶は最高2万5000ドルの罰金を科せられる。船長20m以下の船舶についても自主的に速度制限を守るように要請されており、規制は当該海域からセミクジラが移動するまで継続される見込み。 原文 August 11, 2017, National Post (Hannah)
- 5】北極海北航路のロシア沿岸の古くて厚い海氷が減少
- 5】米海洋大気庁(NOAA)の観測によれば、ロシア沿岸の北極海北航路に存在する古くて厚い海氷の多くが強い風によって、北米方向に流しだされ、ロシア沿岸の海氷のほとんどが海氷となってから一年以内の厚さ2m以内の新たな海氷に置き換わり、本年後半から積み出しが始まるロシアのヤマル半島からのLNGタンカーの運航を容易なものとしている。北極海北航路については、夏季の間に北極点周辺の海氷の範囲が世界的な気候温暖化によってどれだけ縮小するかということについて関心が集中しているが、強風によって厚くて古い海氷がロシア沿岸から押し流されることも北極海北航路の運航の促進に重要な働きをしている。1985年時点では対照的に北極海には海氷となってから5年以上で20m程度の厚さがある古い海氷が至る所にあった。 原文 August 11, 2017, Reuters (長谷部)
- 6】The Allianceが米連邦運輸委員会に緊急基金の設立を申請
- 6】8月7日、The Allianceは米連邦運輸委員会(FMC)に対し、加盟船社が経営破たんした場合に備えた緊急基金を設立するための協定の改定認可を申請した。FMCのドイル委員は、昨年8月の韓進海運破綻により、100隻以上の韓進海運の船舶に1400億米ドル以上の貨物が積載されたまま身動きが取れなくなった事態を踏まえ、アライアンス加盟のある船社が経営破綻した場合に、韓進海運の時と同様の混乱は生じないように、他の会員船社が責任をもって代わりに破綻船社の引き受け貨物を輸送する仕組みの構築を船社に求めていた。ドイル委員は提案された協定の変更について全ての利害関係者等の意見を聴取・検討したうえで判断を行うとしている。 原文 August 14, 2017, World Maritime News (長谷部)