2017/7/17 LROニュース(6)
NEWS
※LROニュースの内容については、有料メールニュースなど営利目的での転載はご遠慮頂くとともに、2次使用の際はLROニュースからの転載である旨を明示していただきますよう、お願いいたします。
記事アーカイブ
2017.07.17 UP
2017/7/17 LROニュース(6)
- 1】欧州船主協会がギニア湾における海上保安の現状に懸念を表明
- 1】6月30日、欧州船主協会(ECSA)はギニア湾における海上保安の状況につき、引き続き強い懸念を表明したところ概要以下のとおり。国際海事局(ICC IMB)によれば、2017年第一四半期においてもギニア湾では3件の誘拐事件が発生し、17名の船員が人質に取られなど、昨年から急増している身代金目当ての誘拐事件は収まる様子がない。ECSAは海賊対策として以下の措置を検討すべきと考える。①沿岸国による警備体制の強化②ソマリアで有効性が確認されている民間武装警備員(PCASP)の使用許可③海賊の刑事訴追体制の整備④法執行機関間の緊密な連携⑤信頼できる情報センターによる情報の透明化・共有⑥効率的な海賊事件報告・調整制度の確立等。 原文 June 30, 2017, ECSA (長谷部)
- 2】米大統領が米国食糧援助物資の100%米国船留保を断念
- 2】トランプ大統領は米国食糧援助物資の米国船留保比率を現行の50%から100%を引き上げることを検討していたが、共和党の上院外交委員会委員長が留保比率の引き上げは米国海外食糧援助予算の増加と、米国の援助物資によって救済される人数の減少をもたらすと大統領を説得した結果、留保比率の引き上げは断念された。食糧援助団体や議会は長年にわたり、米国船優先政策の撤廃または留保比率の引き下げを求めていた。米国は世界最大の食糧支援国であり、2016年の食糧支援予算は約28億米ドルであったが、予算の半分は海上輸送料と倉庫における保管料に充当されている。 原文 June 30, 2017, Reuters (長谷部)
- 3】トランプ政権が2回目の「航行の自由」作戦を南シナ海で敢行
- 3】7月2日、米国海軍の巡航ミサイル駆逐艦が南シナ海の西砂群島の一部で中国・台湾・ベトナムが領有権を争うトリトン島の沖合12海里以内で、トランプ政権になってから2回目となる「航行の自由」作戦を敢行した。中国外交部は声明を発表し、米国の軍艦が中国政府の了解なしに中国領海に侵入したのは「重大な政治的・軍事的な挑発である」と批判した。中国国防部も3日声明を発表し、「米国の行動は両国間の戦略的な信頼関係に深刻なダメージを与え、両国の軍事的な協力関係を発展させようとする政治的な雰囲気に水を差すものである。」とコメントした。 原文 July 3, 2017, Reuters (長谷部)
- 4】中国国家発展改革委員会が「一帯一路政策における海事協力の展望」を公表
- 【4】6月20日、中国国家発展改革委員会と国家海洋局は「一帯一路政策における海事協力の展望」を公表し、これまでの成果を発表したところ概要以下のとおり。中国は海洋開発に関する二国間協力協定をタイ・マレーシア・カンボジア・インド・パキスタン・モルジブ・南アフリカと既に締結している。マルチの場では、APEC・東アジア首脳会合・中国=ASEAN協力枠組みなどの場で、Blue Economy Forum,・海洋保護に関するセミナー・海洋協力フォーラム・中国=ASEAN海事協力センター・東アジア海洋協力プラットフォームなどを立ち上げてきた。財政面でも中国=ASEAN海事協力基金・中国=インドネシア海事協力基金・南シナ海とその周辺海域における国際協調枠組み計画を立ち上げまた、アジアインフラ投資銀行とシルクロード基金も主要な海洋協力計画に資金を提供している。 原文 June 20, 2017, 新華社(長谷部)
- 5】国際海事局が2017年第二四半期の海賊事件に関する報告書を発表
- 5】7月4日に国際海事局(IMB)から発表された2017年第2四半期における海賊事件に関する報告書によれば、2017年上半期にIMBに報告された海賊事件数は87件と前年同期の97件から減少した。過去5年間で最低の海賊事故発生数となる中で、2017年上半期においては、海賊に乗船された船舶は63隻、銃撃された船舶は12隻、乗っ取られた船舶は4隻、未遂事件は8件だった。63人の船員が誘拐され、そのうち3人が負傷し、2人が殺害された。インドネシア・マレーシア・フィリッピン当局の協力の進展で比周辺海域における海賊事件は、第一四半期の9件から第二四半期は4件に減少した。インドネシア周辺海域における窃盗などの軽微な事件数も2016年の24件から27年は19件に減少している。 原文 July 4, 2017, IMB (長谷部)
- 6】ロシアによる北極海北航路の開発
- 6】6月30日、ロシアと中国は副首相級の会談を行い、ロシアの副首相は北極海北航路(NSR)を活用した中国企業との更なる協力関係の振興のためには、運航船舶数の増加が不可欠であると述べた。NSR上にはムルマンスク港とペトロパブロスク・カムチャツキー港という二つの中核港湾があり、北東アジアから欧州に向けてコンテナを輸送する海運会社にとっては、スエズ運河またはパナマ運河を使用するのとほとんど同じ経費で航海日数を9日間短縮できる。ロシア極東開発担当大臣は、NSRの開発は別の省が担当することになると述べた。 原文 July 4, 2017, Ship & Bunker (長谷部)