2017/5/25LROニュース(10)

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  • 2017.05.25 UP
    2017/5/25LROニュース(10)
    • 1】欧州委員会が水族館と提携して海洋プラスチックゴミ削減啓蒙活動
      • 1】海洋ゴミの問題は、10月に開催される「私たちの海洋会議」の主要テーマの一つである。毎年大量のごみが海洋に投棄されており、2050年までに海洋プラスチックゴミの数が魚の数を上回ると予想されている。水族館は海洋プラスチックゴミの問題を来館者に示し、具体的な解決策を提示することによって、多くの人々がプラスチックゴミ削減に取り組むように啓発することができる理想的な場所である。欧州委員会は6月から水族館と協力して啓蒙活動を開始することにしており、既に数か国の水族館から参加の申し出を受けている。
      • 原文 May 5, 2017, EC (長谷部)
    • 2】英国の慈善団体が船員のメンタルヘルスの関するリーフレットを発表
      • 2】英国の慈善団体である「海の人権 (Human Rights at Sea)」は、英国のメンタルヘルス啓発週間に合わせて、5月8日、「惨劇の後に持ちこたえるために (Remaining Resilient after Traumatic Events)」と題し、海難事故に遭遇した船員、漁業者、その家族や友人が事故後もメンタルヘルスを維持するためのリーフレットを発表した。本リーフレットの作成はSeafarers UKの補助を受け、英国漁業団体連合、船員協会等によって船員等に配布される。リーフレットの本体は以下のリンク参照。
      • 原文 May 8, 2017, Human Rights at Sea (長谷部)
    • 3】世界的な船舶金融市場でシェアを伸ばす中国の船舶金融リース会社
      • 3】2008年には世界の船舶金融の80%を伝統的な西側金融機関が担っていたが、世界金融危機後、西側金融機関が次々と船舶金融から撤退し、2016年にはそのシェアを60%までに落としている。この間隙をついているのが、中国の金融リース会社でより柔軟かつ競争力のある条件で世界シェアを20%まで拡大している。しかし、中国のリース会社の最大の問題点は融資を受けるまでの(審査)交渉期間が、伝統的な金融機関より長いことにある。中国の5大船舶リース会社のうちの1社である交銀金融租賃(Bank of Communications Financial Leasing)は2013年に国際船舶金融ビジネスに参入し、最近ハンブルグに支店を開設したが、30社の海外の顧客を持ち、その半分が欧州、1/4がアジアの顧客である。
      • 原文 May 9, 2017, Seatrade Maritime News (長谷部)
    • 4】EMSAが2011年から2015年の間の海難事故を分析した報告書を発表
      • 4】5月8日、欧州海上保安庁(EMSA)は、2011年から2015年までに発生した海難事故の原因を分析した報告書を公表した。EMSAが2011年に海難事故調査のデータベースであるEMCIPを設立して以来、加盟国の海難調査機関から報告された海難事故調査の件数は12000件以上になっており、海難事故分析の重要なデータベースとなっている。欧州全域にわたる海難事故の分析は船舶の安全基準の向上や重要な政策の決定にも貢献しており、例えばEMCIPから得られる情報はIMOの公式安全評価の枠組みにおいて旅客船の事故時の安定性やRoRo船の甲板火災の防止などの検討に役立てられている。
      • 原文 May 8, 2017, EMSA (長谷部)
    • 5】国連海洋会議のための欧州議会議員ブリーフ資料
      • 5】6月に国連で海洋に関する持続可能な開発目標(SDGs)14の具体的な実施方法等に関する国際会議が開催されるが、欧州議会議員に対するブリーフ資料を入手したところ概要以下のとおり。①海洋会議は持続可能な開発目的(SDGs)の具体化を議論する会議としては最初のもの。従って、「求められる行動計画(Call for Action)」の説得力や監視・報告・検証といった目標の実施状況を検証する仕組みについて、本会議の結果は、今後の他のSDGsに関する会議の先例となる。②SDG14の内容は既存の条約に基づく合意を確認したものに過ぎず、海洋会議においては、既存のこうした政策合意を必要に応じ微修正するものの、基本的には政治的な合意を、合意内容の監視・報告・検証といった具体的な行動に移すことを目的とする。③SDG14は海洋に関する10の目標から構成されており、それぞれの目標は他のSDGsや目標と相互に関連している。このような異なる目標の間の相互関係を理解することが重要。④海洋会議の準備として参加国等はそれぞれの優先事項を定めている。EUとしての優先事項は、地域的な協力、海洋ゴミ問題をはじめとする海洋汚染、海洋を利用した経済発展、過剰漁獲・不法漁業を含む漁業問題、研究能力と知識の共有化、気候変動問題が挙げられる。
      • 原文 EU議会(長谷部)
    • 6】米国海洋大気庁が蘭政府と姉妹海洋保護区協定を締結
      • 6】米国海洋大気庁(NOAA)とオランダ政府は共同で北大西洋ザトウクジラの生態を研究・監視・保護するために、同クジラの年間回遊海域の両端に位置するマサチューセッツ沖のStellwagen Bank国家海洋保護区と、オランダ領小アンティル諸島周辺に設定されているYarari海洋哺乳類・サメ海洋保護区との間の姉妹協定を締結した。4月から12月までザトウクジラはStellwagen Bankで生活し、冬季は温かいカリブ海に移動し、繁殖活動に従事する。Yarari保護区には繁殖と子供の育成のために約1000頭のクジラが集まってくる。NOAAは2007年に同様の姉妹保護区協定をドミニカ共和国、仏領アンティル諸島、バミューダの海洋保護区と締結しており、今回蘭領小アンティル諸島がこのネットワークに加わった。
      • 原文 May 4, 2017, NOAA (長谷部)
    • 7】デンマークがソマリア沖と地中海に哨戒機を派遣
      • 7】5月5日、外交政策委員会の提言を受けて、デンマーク政府はソマリア沖の航路を監視するため、Challengerジェット哨戒機を展開させることを決定した。また同時に、地中海におけるFrontexによるEUの国境警備活動を支援するため、同哨戒機の展開を再開することも決定した。
      • 原文 May 5, 2017, デンマーク外務省(長谷部)
    • 8】世界海洋協議会が北極経済評議会に連携を提案
      • 8】北極経済評議会(AEC)は、北極海におけるB to Bの経済活動を支援し、ベストプラクティスや技術的な情報を共有することにより、経済開発を進めるための独立団体で、8の北極海沿岸国と6の先住民の団体で構成されるが、5月8日から9日に開催された第3回年次総会に世界海洋評議会(WOC)を招待した。会合ではWOCのCEOが、WOCは北極海で” Smart Ocean – Smart Industries”事業を推進しており、通常の商船に観測機器を搭載することにより、(専用の観測船で観測するのに比べて)効率的なコストで北極海の気候、大陸棚、生態系、海洋酸化の状況などを観測ができると説明し、AECとの幅広い連携の可能性を提案した。
      • 原文 May 9, 2017, WOC (長谷部)
    • 9】ECSA、地中海の移民問題の解決を要請
      • 9】欧州船主協会(ECSA)海上保安WGが欧州国境沿岸警備隊と行った意見交換において、ECSAは、地中海を経て欧州を目指す移民の救助に関し、商船が初期対応を求められる事例が多数あることを踏まえ、商船は大規模な海難救助に適した装備を持たず、船員もそのような訓練は受けていないとし、商船を移民問題の恒久的対策の一部とすべきではないと述べ、移民が欧州を目指す動機を除去するなど包括的な解決策を国際的枠組みで検討することを求めた。欧州国境沿岸警備隊が行うトリトン作戦において、2016年は1629件の救助を行い、そのうち商船が支援したものは4%であったが、2017年は現時点において12%に上っている。これに対し欧州沿岸警備隊は、商船が多くの移民救助に関与することの影響を認識しているとし、解決に向け議論していく用意があると述べた。
      • 原文 May. 24, 2017 ECSA(武智)
    • 10】週間海上保安情報(5月23日)
      • 10】イエメン:5月17日、アデン湾のQusayirの東南東45マイルにおいて、商船が7隻の小型船から30分にわたり追跡を受けた。また、5月16日にはインド海軍がソコトラ島北西135マイルの国際推奨回廊において臨検したダウ船から武器を押収している。インドネシア:5月20日、ドゥマイのLubuk Gaung港に停泊中のケミカルタンカーにナイフで武装した6人の賊が侵入、警報が作動したため船用品を盗んで逃走した。また、5月16日、北スラウェシ州タラウド諸島の南西26マイルで、航行中のプラットフォーム補給船が小型高速艇の追跡を受けた。フィリピン:5月19日、カグニパ島の北西56マイルを航行中の外洋タグボートが2隻の高速ボートの追跡を受けたが、タグボートが回避行動をとり被害はなかった。この追跡はアブ・サヤフによるものと思われる。ナイジェリア:5月17日、ボニー島の南西33マイルを航海中のアンティグア・バーブーダ籍貨物船から船員6人が誘拐された。襲撃された貨物船は残りの船員によりボニー錨地まで航海した。襲撃による負傷者の有無は不明で、ナイジェリア海軍が事件を調査している。ナイジェリア沖では2017年に入り船員誘拐を含む16件の襲撃事件が発生しているが、報告されていないものも多数あると思われる。襲撃事件の多くは、海賊が拠点としているナイジェリアデルタの沖15マイル~120マイルで発生している。中国:中国とアセアン諸国は、南シナ海における緊張と海軍等による偶発的衝突を回避することを目的とした行動規範の枠組み案について合意した。会合は貴州省貴陽市で行われ、海洋協力の促進、行動規範の協議の促進、地域の安定の維持への協力等について合意した。
      • 原文 May. 23, 2017 Protection Vessels(武智)
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