2017/5/10LROニュース(5)
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2017.05.10 UP
2017/5/10LROニュース(5)
- 1】デンマークの海運業界を中心とした政府諮問機関が提言を発表
- 1】4月21日、海事関係の事業者を網羅しデンマークの海事産業の競争力強化を目的とした政府の諮問機関が同国商工金融事業大臣に提言を提出したところ、その骨子以下のとおり。①海洋産業のデジタル化の促進②税制・政府規制上の国際競争条件の均衡化③船舶登録や各種証明のデジタル化④輸出信用・金融など海事産業の輸出競争条件の均衡化⑤自由貿易交渉における海事産業の自由化⑥船員教育・訓練における地域内・国際的な連携の強化⑦海事産業のニーズに即した教育・訓練の実施⑧海運経済発展のニーズに即した学術研究の実施⑨海事起業家の育成⑩地域海事クラスターの活用等。提言の英文の骨子は以下のリンク参照。 原文 Apr. 21, 2017, デンマーク船主協会(長谷部)
- 2】台湾、中国漁船による不法入域の抑止を中国政府に求める
- 2】5月6日、台湾は中国政府に対し、中国漁船に対する指導を強化し台湾海域への侵入を抑止するよう求めた。台湾海峡では同日、澎湖諸島近海で台湾海岸巡防署の臨検に抵抗した中国漁船に対して海岸巡防署職員がゴム弾を発砲し、中国漁船側に2名の負傷者が発生している。中国政府は台湾側の行為に対し、「正当な理由のない逮捕、押収であり、憤慨もの」として、中国漁船とその乗組員を速やかに釈放するよう求めるとともに、事件の調査と再発防止を要求している。海岸巡防署は昨年、1325隻の違法入域した中国漁船を追跡し、そのうち108隻を拿捕している。今年1月には海岸巡防署の臨検に抵抗した中国漁船の船長が指を3本切断する事故や、2月には海岸巡防署の巡視船と中国漁船が衝突する事故が発生している。 原文 May. 06, 2017 FOCUS TAIWAN(武智)
- 3】米海軍の「航行の自由」作戦に変更なし
- 3】5月8日、米海軍太平洋艦隊司令官は、トランプ政権において米軍の「航行の自由」作戦に変更はないと語った。トランプ政権発足後、同作戦は実施されておらず、ニューヨークタイムズ紙によれば、米海軍が今年2月と3月に実施を要求したものの、政権幹部に却下されていたと報じられており、弾道ミサイルと核兵器の開発を行う北朝鮮への圧力のため、米国が中国との対立を避けていることの現れと見られていた。同司令官は、米国にとっての南シナ海の重要性に何ら変化はなく、今年は延べ900隻以上の艦艇が南シナ海で活動する予定であると語った。 原文 May. 08, 2017 Reuters(武智)
- 4】外国漁船に獲り尽くされる西アフリカの漁業資源
- 4】かつては世界で最も豊かといわれた西アフリカの漁業資源は、欧州やアジアを市場とするトロール漁船により枯渇しつつある。セネガルにおいては、漁業資源の減少が住民の生計と食糧確保を危うくしている。世界銀行の統計では、セネガルの労働人口の約20%が漁業に従事し、国民の動物性たんぱく質摂取量の75%を魚に依存している。主に中国、欧州、ロシアの400隻以上の外国漁船が西アフリカで操業しており、その中には飼料用の小魚を獲る大型トロール漁船が多数含まれている。大型トロール漁船は1隻で年間2万トンの魚を獲るが、これはセネガルの伝統的な丸木舟漁船1700隻以上が1年で獲る量と匹敵しており、現地に大きな影響を与えている。地元漁業者の圧力を受け、セネガル政府は外国のトロール漁船に対する漁業許可を停止したが、外国漁船はモーリタニアなど近隣諸国から出漁して操業を続けているのである。 原文 May. 08, 2017 Reuters(武智)
- 5】日本海で米巡洋艦と韓国漁船が衝突
- 5】5月9日正午頃、鬱陵島付近の日本海で米海軍ミサイル巡洋艦Lake Champlainと韓国の小型漁船が衝突した。衝突による負傷者や海洋汚染は生じていない。漁船が巡洋艦の左舷中央部に衝突し、漁船の船首外板に亀裂が生じ、巡洋艦に小さな凹みが生じたが、両船の損傷は軽微で、両船とも自力航行可能である。報道によれば、漁船は衝突時AISを作動させておらず、衝突に至るまで無線や音響信号に対して反応しなかったという。米海軍と韓国海洋警備安全本部が詳細を調査中である。Lake Champlainは北朝鮮の核及び弾道ミサイル実験に対抗して日本海に派遣されている米国空母打撃群の1隻である。 原文 May. 09, 2017 The Maritime Executive(武智)