2017/4/4 LROニュース(9)
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2017.04.04 UP
2017/4/4 LROニュース(9)
- 1】ロールスロイス社が船舶周辺認識能力の向上のためにフェリー会社と提携
- 1】ロールスロイス社はセンサー技術等を活用した船舶周辺認識能力システム(Intelligent Awareness System: IAS)開発のためスウェーデンのフェリー会社のStena Line社と連携協定を締結した。IASは船舶に設置する様々なセンサーから入手する情報と既存の船舶自動識別装置(AIS)やレーダーから得られた情報を統合して、船舶周辺の状況認識能力を高めて、船舶をより安全・容易・効率的に操船することを目的としている。IASの技術は、2020年までに、遠隔操縦船舶を商業的に実用化するというロ社の目的実現のための重要技術である。ロ社は、フェリーの実船で試験をしたうえで、本年後半にはIAS技術の商業販売を開始するところまでこぎつけたいとしている。 原文 Mar. 20, 2017, ロールスロイス(長谷部)
- 2】中国の排出規制海域で中国海事局が規制強化後初めて外国船を摘発
- 2】国際P&Iグループの中国における顧問弁護士事務所からの情報によれば、河北省と天津市の中国海事局(MSA)は硫黄分0.5%以上のバンカーを岸壁に接岸中に使用していたとして、本年から規制が強化されて以来はじめて外国籍船舶を摘発した。(罰金等の内容は現時点では不明)天津港に入港した外国籍船舶の臨検に入ったMSAの係官がバンカーについて不審に思い、サンプル検査をしたところ規制値を超える0.866%の硫黄分が検出された。この摘発以降少なくても2隻の外国籍船が同様に摘発されている。出港禁止措置や莫大な違反金を避けるためには、中国の排出規制海域の中の全ての主要11港湾では、本年1月1日から強化された規制が適用され、MSCが岸壁に停泊中の船舶に対する臨検を強化していることに十分留意する必要がある。 原文 Mar. 17, 2017, The American Club (Hannah)
- 3】地球温暖化抑制のためには2050年までに積極的なエネルギー転換が必要
- 3】このほど国際エネルギー機関(IEA)は、G20議長国の独政府の要請を受けて、地球温暖化を2度以内の上昇に抑制するためにはエネルギーの分野で何をしなくてはいけないかを分析し、「エネルギー転換の見通しー温暖化ガス排出の少ないエネルギーへの投資が必要」と題する報告書をまとめて発表したところ概要以下のとおり。持続可能なエネルギーの導入、石炭から天然ガスへの転換、エネルギー効率の向上、世界経済の構造的な転換の結果、全世界で燃料から排出される二酸化炭素の量は3年間連続して減少したが、上記長期目標を達成するためには、世界的な二酸化炭素排出総量の増加を2020年以前に減少傾向に転じさせ、2050年までに現在の排出総量の70%にまで削減する必要がある。このためには、エネルギー転換のための投資額を倍増させ、エネルギー転換の速度をさらに加速する必要がある。 原文 Mar. 20, 2017, IEA (Hannah)
- 4】デンマーク技術大学が無人化船開発のための課題を分析
- 4】近年あらゆる交通分野において自動運転技術が進歩しており、海事分野においても様々な自動運航に関する技術が開発されることが予測される。デンマーク海事庁(DMA)はデンマーク技術大学(DTU)に委託して無人化船開発の可能性について具体的な分析を行い、DTUはこのほど「無人化船に関する事前分析」と題する報告書を発表した。事前分析は小型のフェリー、タグ、バージ、石油掘削リグへの補給船といった沿海を航行する小型船舶やオフショア船検査のための小型海上・海中ドローンなどを念頭において検討が行われている。今後引き続きDTUに委託して、センサー技術を中心にした検討を行う予定。報告書本文は以下のリンク参照。 原文 Mar. 20, 2017, DMA (長谷部)
- 5】マーシャル諸島がDWTベースで世界第2位の船舶登録国に
- 5】マーシャル諸島共和国(RMI)に登録された船舶のDWTが2億2326万DWTに達し、リベリアを抜いて、パナマに次ぐ世界第2位の船舶登録国となった。RMIはギリシャ船の登録国としては首位であり、791隻のギリシャ船の登録となっている。RMIはUSCGのQualiship 21の認証を2017年も受ける予定で、13年連続となる。多くのRMI船籍船が米国に寄港しているが、3年間の平均ベースで出港禁止命令を受けた船舶の比率が1%以下を維持している。こうした安全面での実績も船主や船社の信頼を得る根拠となっている。 原文 Mar. 21, 2017, IRI (長谷部)
- 6】米司法省が主要コンテナ船社首脳に召喚状を発出
- 6】3月22日、複数のコンテナ船社が確認したところによれば、米国司法省は主要コンテナ船社の首脳に対し、独占禁止法違反の容疑で証言することを求める召喚状を発出した。マースク、MSC、Hapag Lloyd、長栄海運(Evergreen)、OOCLは召喚状を受領したことを確認している。米司法省も召還を受けた船社も具体的な容疑の内容については明らかにしていない。召喚状はコンテナ船社の首脳が集まるthe Box Clubと呼ばれるICCOの会合が3月中旬にサンフランシスコで開催中に、各社に対して発出された。サンフランシスコのFBI報道官も捜査に着手していることは確認したが、捜査内容についてはコメントを避けている。米国に先立ち、南アフリカ政府とEUもすでに価格カルテルの疑いで捜査を行い、昨年の7月にはマースク等の14の船社は制裁金の支払いを回避するためEU反競争当局に対して、価格決定に関する慣行の見直しを申し出ている。 原文 Mar. 22, 2017, Reuters (長谷部)
- 7】英国海運労使が下院超党派議連で英国船員の減少防止策を要望
- 7】3月20日、英国海運労使代表は、下院の超党派港湾海事議連の会合に出席して、英国船員の減少などの窮状を説明したところ概要以下のとおり。過去30年間にわたる英国政府による英国船員の減少を止めるための政策は、減少の速度を遅くしただけで、減少を止めることができなかった。過去10年間で、英国人船員は14%減少している。現在の船員が引退することなどを考えれば、何もしなければ今後10年間に船員の数が現在の2/3になる可能性がある。欧州籍の船舶で働く船員中、欧州の船員は半分以下だし、英国籍船で働く部員のうち英国人はわずか1割である。船員の養成費に対する政府補助率は、アジア諸国では7-9割、欧州諸国の平均が5割なのに比べて、英国の政府補助比率は約1/3に過ぎない。船員になりたいと思っている英国の若者は多い。先日20名の部員の訓練生の募集をしたところ応募が1000名もあった。 原文 Mar. 21, 2017, Nautilus (長谷部)
- 8】ビッグデータ解析による密輸取締り
- 8】海上警備当局は長らく、密輸の発見を密告やパトロール、臨検に頼ってきたが、イスラエルのWindward社のシステムは、各種の情報源から得たAISデータを分析することで、リアルタイムに疑わしい船舶を特定することが可能である。同社のシステムは、独自のアルゴリズムを用いて、村落の沖合や人の居住しない湾内を徘徊する、密輸頻発海域付近でAIS装置の電源を落としたりAIS情報を変更する等の疑わしい行動をとっている船舶を特定することが可能である。また、前もって対象船舶を特定する必要はなく、全てのデータを分析し、疑わしい行動をする船舶がいれば警告を発する。 原文 Mar. 28, 2017 The Maritime Executive(武智)
- 9】ReCAAP ISC、船員誘拐事件に関する特別レポートを発表
- 9】ReCAAP情報共有センター(ISC)が3月31日に発表した特別レポートによれば、スールー海・セレベス海及び東サバ州沖における船員誘拐事件は、2016年3月以降22件が報告されており、うち13件が既遂、9件が未遂である。合計58人の船員が誘拐され、2017年3月31日現在で21人がいまだ人質にとられている。事件の約80%は日中に発生しており、3件を除いて、船員に人身被害は生じていない。ほとんどの事件にテロ組織アブ・サヤフが関与しており、特定の国籍の船舶または乗組員が標的になっているとの確証はない。 原文 Mar. 31, 2017 ReCAAP ISC(武智)