2017/4/11LROニュース(10)

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  • 2017.04.11 UP
    2017/4/11LROニュース(10)
    • 1】露・印が共同で北極海の海上ガス田を開発することで合意
      • 1】ロシアのガスプロムネフチ(GN)とインドのONGC Videshは北極海とサハリン諸島周辺においてGNが採掘権を有する鉱区で、互いの知見を持ち寄り共同開発にあたることを覚書で確認した。GNは北極海における生産を拡大しており、ロシアの北極海大陸棚上で唯一操業しているPrirazlomnoyeガス田は2016年の生産量が対前年比2.5倍となった。2016年末の段階で、GNが採掘権を有する油田の確定・推定埋蔵量は27億トンに達している。
      • 原文 Mar. 30, 2017, The Maritime Executive (長谷部)
    • 2】インドネシア造船業界が政府に官庁船舶の国内建造を要望
      • 2】インドネシア造船業協会の会長が現地メディアに語ったところによれば、14000隻を超えるインドネシア籍船のうち、同国内で建造された船舶は1割に満たない。運輸省は約150隻の沿海船を発注し、海事漁業省も1000隻以上の漁船を発注したが、国内造船所が受注した割合はあまり大きくない。関係官庁は政府の指針に従い、もっと国内の造船所に発注して模範を示すべきである。最近同国では初めての電気動力の船舶が建造されたが、国内造船所の技術力は十分国際水準に達している。
      • 原文 Mar. 31, 2017, Seatrade Maritime News (長谷部)
    • 3】DSME製の最新の砕氷LNGタンカーがロシアの北極海の港湾に入港
      • 3】韓国DSMEで建造されたLNGを8万トン搭載できる最新鋭のタンカーがヤマルガス田に近いロシア北極海のサベッタ港に初めて入港した。ヤマルガス田はロシアの天然ガス会社のノヴァテックが仏のTOTAL、中国のCNPCとシルクロード基金と共同で開発し、本年10月に操業開始する予定で、このタンカーはヤマルガス田からアジアにLNGを輸送するために使用される。北極海北航路を利用すればヤマルガス田から中国までの所要輸送日数が既存のスエズ運河経由の32日から18日に大きく短縮されるが、同船を運航するロシア国営船社のSovcomflot社によれば、2.1mの砕氷能力を持つこの最新鋭砕氷タンカーを利用しても、北極海北航路の運航は7月から9月までの期間に限定される。ヤマルガス田がフル操業した暁にはサハリン2事業と合わせて、ロシアは中国の年間輸入必要量の2700万トンを生産することが可能となり、カタールを抜いて、世界最大のLNG生産国になる可能性がある。
      • 原文 Mar. 39, 2017, Reuters (長谷部)
    • 4】欧州宇宙庁のガリレオ衛星が新たな衛星支援捜索救助システムを提供
      • 4】米、露、加、仏によって、これらの国の低軌道の衛星を活用して、1982年にCospas-Sarsat国際衛星支援捜索救助システムの運用が開始されて以来、42000人以上が救助されているが、4月6日欧州宇宙庁(ESA)はガリレオ衛星を活用した新たな捜索救助サービスを開始した。ガリレオ衛星は従来の低軌道衛星より高い軌道を周回しているので、より早く遭難信号を探知し、従来のシステムに比べてより正確に場所の特定もできる。このサービスにかかる経費は、ガリレオ計画全体の約1%で済み、ガリレオ衛星に備え付ける装置も約8㎏でガリレオ全体の消費電力の3%で運用できる。例えば、先日ノルウェーの北極圏でヘリコプターが墜落した事故の救難捜索では、従来システムに比べて46分速く救難信号を探知し、場所の特定も従来は1.5Kmくらいの幅があったが、100m以内の誤差で遭難場所を特定することができた。
      • 原文 Apr. 6, 2017, ESA (長谷部)
    • 5】欧州の環境NGOsが地中海ECA設定のためのローマ宣言を採択
      • 5】地中海諸国を中心にした環境NGOのアライアンスが、地中海に排出規制海域(ECA)設定を求める「ローマ宣言」を採択した。こうしたNGOsの動きは仏政府が3月の初旬に欧州理事会のWGで同様の提案をしたのと呼応するもの。宣言では既存のECAのように、硫黄、窒素酸化物だけでなく、微細粒子や黒煙の排出規制も含めた排出規制海域の設定を求めている。現在欧州域内では北海とバルチック海にECAが設定されおり、地中海に新たにECAを設定することにより、欧州域内の船舶運航事業者の競争条件の均衡化や、排気ガス削減のための技術を北から南に移転することができる。
      • 原文 Mar 29, 2017, Bird Life Malta (Hannah)
    • 6】米運輸省パイプライン・危険物安全局が危険物安全規則を改正
      • 6】米運輸省(DOT)パイプライン危険物安全局(PHMSA)は、最新の国際基準に準拠するために危険物規則(HMR)を改正し、3月29日に告示した。具体的には、IMOの国際海上危険物規定(IMDGコード)、ICAOの危険物の航空輸送に関する技術指針、国連危険物輸送勧告(モデル規則)の最新規定を参照しつつ、PHMSAは個別の改正点について、国際規則に従っても輸送の安全が確保されるか、業界に過度の負担を与えないか検討を加えている。本改正の自主的な適用は本年1月1日から、強制力を持った適用は2018年1月1日からとなる。
      • 原文 Mar. 29, 2017, PHMSA (長谷部)
    • 7】EU交通大臣が2020年までのEUの海上交通政策における優先事項を確認
      • 7】3月28日から、欧州理事会議長国のマルタで開催されていた欧州閣僚級海事関係者会議(訳者も出席)において、EU各国の交通大臣は「ヴァレッタ宣言」を採択し、2020年までのEUとしての海上交通政策において、国際競争力の確保、地球温暖化対策、デジタル化を優先分野として確認した。国際競争力の確保については、EUの海運活動に対する税制が国際的に見てEUの海運企業にとって不利にならないように求め、デジタル化については、EU全域で整合性のとれたシングルウインドウ制度を確立すること、地球温暖化対策については、IMOのイニシアティブを支援しEUの温暖化ガスの排出管理に関するMRV規則とIMOの規制の整合性を図ることなどの具体策について合意した。宣言本文は以下のリンクを参照。
      • 原文 Mar. 29, 2017, EU (長谷部)
    • 8】電力を動力に利用した船舶の建造が増加中
      • 8】クラークソンリサーチ社の週間報告が船舶の動力と燃料について分析しているところ概要以下のとおり。現在稼働している船舶の大部分(96%)のエンジンは機械的に直接プロペラに連結しているが、残りの4%はいわゆる「ディーゼル電化」型エンジンで、エンジンの動力がいったん電力に変換され、モーターを経由してプロペラを動かすエンジンである。エンジンへの付加を最適化することにより後者のエンジンの方が燃料消費も排気ガス量も少ないが、より大きく安定した動力が必要な大型貨物船には従来はあまり採用されてこなかったが、最新統計によれば、大型貨物船の新造船の22%が電力で駆動する船舶になっている。次の段階としては、電池を動力源とした船舶だが、現在22隻が稼働中で、14隻が建造中である。これらの船舶の多くは、電池だけではなく、従来型のディーゼルエンジンあるいは複数の燃料に対応できるエンジンも搭載しているが、短距離小型のフェリーならば電池だけを動力とした運航も可能である。電池の使用によって排気ガスが減るだけでなく、エンジンに対する負荷を最適化し、余った動力を電池に蓄電することが可能で、エネルギー効率が高まる。
      • 原文 Mar. 31, 2017, Clarksons Research (Hannah)
    • 9】欧州理事会が「国際海洋管理:将来の我々の海洋の課題」を採択
      • 9】外交保安政策に関するEU諸国の代表団と欧州委員会が共同で国際海洋管理に関するコミュニケを欧州理事会理事会に送付したことを受けて、欧州理事会は4月3日、「国際海洋管理:将来の我々の海洋の課題」に関する決議を採択した。本決議は、海洋の安全・保安と持続可能な使用・管理を担保するための、時宜を得た分野横断的な法の支配に基づく国際的な取り組みである。理事会はさらに10月5日から6日にかけてマルタで、第4回目のOur Ocean会合をEUが主催して開催することを歓迎し、安全・安心・クリーンな海洋を持続可能な形で管理することについて、会合の全ての参加者が自主的に合意することを期待すると表明した。
      • 原文 Apr. 3, 2017, 欧州理事会(長谷部)
    • 10】ソマリア海賊に拉致された船員の解放に失敗
      • 10】ソマリアのガルムドゥグ州治安当局者によれば、4月10日、同州治安部隊は4月初めに海賊によってハイジャックされたインド籍ダウ船を奪還したものの、拉致されていたダウ船乗組員11名のうち、9名は未だ海賊が連れ去ったままである。海賊は、拉致された船員を、インドに収監されている海賊メンバーの解放のための交渉材料とすると語っている。ソマリア沿岸の住民によれば、現地政府が外国漁船に対してソマリア領海内での漁業許可を出したことに対する反発として海賊行為が行われており、地元漁業者の漁網が外国漁船によって切断されるなどの被害が生じている。
      • 原文 Apr. 11, 2017 Reuters(武智)
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