2017/11/11 LROニュース(4)
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2017.11.11 UP
2017/11/11 LROニュース(4)
- 1】アラスカの北極圏国立野生動物保護区の石油・ガス開発に対する疑問
- 1】米国下院共和党は1.5兆ドルの減税財源を捻出するため、アラスカの北極圏国立野生生物保護区(ANWR)における石油資源開発を解禁し、今後10年間で10億ドルの開発区のリース料収入を得ることを内容とした予算決議案を作成し、議会エネルギー・天然資源委員会で、11月2日公聴会を開催し、ANWRにおける石油資源開発の解禁を目論んでいる。ANWRの石油開発を狙った業界筋は、以前はエネルギー安全保障と雇用の創出の観点から、ANWRの開発が必要だと主張していたが、シェールガス革命により、米国が世界最大の石油・ガス生産国となると、エネルギー安全保障の代わりに、連邦財政の赤字削減を理由として利用している。莫大なロイヤルティ収入が得られるのは、実際に有望な石油ガス資源が発見され、生産設備ができた後のことであり、さらにANWRの資源開発を進めるためには、事業採算性から言って、バレル当たり70ドルの原油価格水準が必要であり、現在のバレル55ドルの価格では、事業採算性が望めない。 原文 Oct. 31, 2017, Bloomberg (長谷部)
- 2】シンガポールが新たに「海事エネルギー・持続可能な発展センター」を設立
- 2】第7回Singapore Maritime Institute(SMI)フォーラムで、SMI会長は南洋理工大学(NTU)と共同で、「海事エネルギー・持続可能な発展(Maritime Energy and Sustainable Development:MESD)センター」を年末までに立ち上げると発表した。同センターは、海運と港湾部門における将来的なエネルギー管理・排気ガス管理・持続可能な海事活動の3分野に着目して、調査研究と若手研究者の育成を行う。新センターの創設・運営のためにSMIから1000万星ドル、NTUから400万星ドル、NTUの提携している民間企業から100万星が拠出される。 原文 Oct. 31, 2017, Singapore Maritime Institute (Dafnis)
- 3】中国政府が硫黄分10ppm以上のディーゼル油の国内販売を禁止
- 3】中国政府は同国の大気の清浄化対策の一環として、11月1日から、トラクターや船舶燃料としてよく使われる硫黄分10ppm以上のディーゼル油の国内販売を禁止した。冬季は暖房のためにより多くの石炭が炊かれ、空気の汚染が進むので、冬季の暖房の季節に入る前に今回の措置が実施されたが、今期の措置によって、中国国内で販売できなくなった高硫黄分のディーゼル油の海外への輸出が向こう数か月間増える可能性がある。今後問題となるのは、禁止措置を如何に担保するかであり、政府の検査官は抜き打ち検査しかできないので、販売者も購入者も安い高硫黄分ディーゼル油の売買を続ける可能性があるし、さらに取締が難しいのは零細な漁民で、彼らの多くは漁船の燃料として硫黄分が5000ppmを超えるマリンガスオイルを使用している。 原文 Oct. 31, 2017, Reuters (長谷部)
- 4】豪海事安全庁によるPSCの強化が船員放棄の予防に有効
- 4】(論説)豪の海事安全庁(AMSA)は、船員に対する賃金の未払いを理由として、過去6か月間に2隻の船舶に対し豪の港湾への6か月から1年間の入港禁止命令を発出したが、船主または船社が船員に対して適時に賃金の全額を支払わないことは、2006年の海上労働条約に明らかに違反するとAMSAは認定しており、適切に船員に賃金が支払われていないという十分な証拠がある場合には、当該船舶を出港禁止とし、適切に賃金が支払われるまでは出港許可を与えない。さらに、AMSAは当該船主または船社が同様の賃金未払いを繰り返す場合には、当該船舶または当該船主・船社が運航する全ての船舶に対して、豪の港湾への入港を禁じることができるとしている。したがって、賃金の支払いを正当に受けていない船員は、国際運輸労連(ITF)を通じて、AMSAに状況を通報し、AMSAによるPSCを通じて問題を解決することが可能である。 原文 Nov. 2, 2017, Splash 24/7 (長谷部)