2017/10/6 LROニュース(6)
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2017.10.06 UP
2017/10/6 LROニュース(6)
- 1】中国の金融機関が海事金融の分野でも積極的に進出
- 1】9月12日に、ロンドンで開催された「海事サービス・オフショアフォーラム」において、海事金融の現状について以下のようなコメントがあった。海事金融の分野では、伝統的に欧州の金融機関が市場を占有してきた。しかし、近年の海運不況を受けて、欧州の金融機関は海運企業向けの不良債権の縮減に努めている。例えば、本年6月にはドイツのコメルツ銀行が45億ユーロに達する海運企業向けの不良債権を処理するために、州立銀行が発行する債券の種類である「船舶ファンドブリーフ債」に関する事業活動を行う免許を返上した。こうして、欧米系の金融機関が撤退する隙間を中国の金融機関が担っている。元々多くの船舶が中国の造船所で建造されるので、これらの輸出される船舶に関する融資の需要は多く、また中国の輸出入銀行や中国国内のリース企業が積極的に応じている。 原文 Sept. 21, 2017, World Maritime News (Dafnis)
- 2】「船舶の航行に関する港湾情報の国際標準」が完成
- 2】海運の効率化のためには、船社にとって港湾に関する様々な詳細情報が必要となるが、これらの情報は今までばらばらに提供され非効率であった。この問題を解決するため、シェル、マースク、MSC、CMA-CGM、アルヘシラス港、釜山港、エーテボリ港、ヒューストン港、シンガポール港、寧波・舟山港と国際港長協会、英国水路部が、2014年に「寄港最適化タスクフォース」を結成して、船舶が使用する航海上の情報が、港湾や物流企業から提供される情報と相互互換性を持てるような国際標準の策定を始めた。このたびこの国際標準が遂に完成し、航海の安全性・持続可能性・効率性が向上することとなった。 原文 Sept. 21, 2017, ロッテルダム港(長谷部)
- 3】シンガポール海事港湾庁がバイオ燃料の振興に関する円卓会議を立ち上げ
- 3】9月21日、シンガポール海事港湾庁(MPA)は、将来の海運のための持続的・代替エネルギーとしてしてのバイオ燃料振興のための円卓会議を立ち上げた。MPA、大手資源会社のBHP、GoodFuels Marine社を中核として、さまざまな種類の船舶の船主等が集まって、今後ますます強化される環境規制を見据えながら、バイオ燃料の利用について協力していくことを目的としている。この中核3者は、来年からシンガポールでバイオ燃料のための試験事業を実施するための覚書も締結した。まもなく海洋環境・エネルギー問題の研究所を立ち上げる南洋理工大学も、MPAとシンガポール海洋研究院(SMI)の支援を受けて、海事環境問題とバイオ燃料の利用に関するシンガポールの対応能力を船主と協力して強化するために、本円卓会議に参加した。 原文 Sept. 21, 2017, MPA (長谷部)
- 4】ロシアが2035年までに北極海大陸棚における石油・ガス生産を5000万MTに
- 4】ロシアエネルギー省の副大臣がチュメニ石油・ガスフォーラムで、2035年までに同国は北極海大大陸棚における石油・ガスの製造量を現在の2800万MTから5000万MTにする拡大することを目標としていると語った。2014年に始まったロシアに対する経済制裁措置によって、同地域の生産・開発計画は大きな影響を受けておらず、同地域の生産に使用されている技術の過半はロシアで開発された開発で、その他の技術の多くもロシアの技術を模倣したものだと語った。 原文 Sept. 21, 2017, The Arctic (長谷部)
- 5】欧州の30の交通関係団体が更なる交通インフラの投資を共同で要望
- 5】欧州議会と理事会が「複数年にわたる予算枠組み(The Multi-Annual Financial Framework)」の見直し作業を行うにあたり、欧州の陸海空にわたる30の交通関係団体は既に計画されている汎欧州交通ネットワーク(TEN-T)を完成させるために、7500億ユーロの投資が必要であり、具体的には「欧州の機能を結びつけるための補助金(CEF)」の増額が必要であるとの要望書を共同発表した。この投資計画を完成させれば2030年までに1000万人の追加雇用を生み出すことにもなると付言している。 原文 Sept. 21, 2017, ECSA (長谷部)
- 6】国際船員福祉支援ネットワークが2016年の電話相談の結果を発表
- 6】国際船員福祉支援ネットワーク(ISWAN)は、心身の健康問題・給与の支払・船員放棄など様々な問題に悩む船員と船員の家族を対象に、無料で個人の秘密を守りながらかつ多言語で電話相談を受けるサービス(Seafarer Help)を提供しているが、このほど2016年分の相談実績についてまとめた報告書を発表したところその概要は以下のとおり。2016年は大手海運会社の経営破たんなどもあり、これまで最大の3073件(関係する船員数は11228人)の記録的な新規相談を受け付けた。新規相談の他にも、継続案件としてさらに4548件の相談を処理した。99の異なる国籍を持った船員が、世界122か国から電話をかけてきた。2016年の特徴としては、船員の社会的な孤立とメンタルヘルスの問題が問題として浮上し、心理面での支援対応も件数の増大とともにうまくできるようになった。この電話相談は、TK財団・国際運輸労連(ITF)船員信託・英国船員組合・Trinity Houseの支援で運用されている。 原文 Sept. 11, 2017, ISWAN (長谷部)