2017/10/5 LROニュース(6)
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2017.10.05 UP
2017/10/5 LROニュース(6)
- 1】地球温暖化を1.5度以下とするための野心的な世界海運行動計画サミット
- 1】11月にドイツのボンで開催される第23回の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)締約国会議(COP23)の平行イベントとして、海運業界の有志代表とCOP23参加者は「野心的な目標1.5度:世界海運行動計画サミット」を開催し、海運業界に特定した脱酸素化行動計画の作成に取り組む。2015年のパリ協定から外れた海運については、IMOのMEPCにおいて温暖化ガス削減の検討が進行中だが、IMOの審議過程が地球温暖化防止のための緊急性には対応できていないと考える海運業界の有志が多い。サミットの後、行動計画の報告書はCOP23参加者・各国の窓口担当者・UNFCCC事務局・全ての関連政策決定者に提出され、COP23で行われる海運に関する検討に活用される。 原文 Sept. 19, 2017, Rightship (Dafnis)
- 2】北極海の氷が今年最小に(歴代8番目に小さい記録)
- 2】9月19日、米国国立雪氷情報センター(NSIDC)の発表によれば、9月13日に今年の北極海の海氷面積が最小に達した模様で、464万平米で過去38年間の平均と比べると158万平米少なく、観測史上中8番目に狭い記録となった。過去最低の海氷面積となった2012年と比較すると、125万平米広く、本年は北極海の中心部分で低気圧が居座ったため、海氷の融解が抑制されたためと考えられる。北極海北西航路の南ルートは部分的に最大50%の海氷に覆われているが、砕氷船の援助があれば、航行が可能である一方、北ルートは多年性の厚い海氷に阻まれ、航行不能の状況となっている。 原文 Sept. 19, 2017, NSIDC (長谷部)
- 3】欧州船主協会:温暖化ガス削減のためには複数の手段の組み合わせが必要
- 3】欧州船主協会(ECSA)は二酸化炭素削減のために必要な対策について欧州委員会の政策当局者をはじめとする関係者を招請してセミナーを開催したが、セミナーの結論として、船舶からの二酸化炭素の削減のためには、特定の対策に偏ることなく、多面的な対策を組み合わせて実施することが重要であることが確認された。具体的には、船舶の機械的・運用面での効率化、代替燃料、船舶の速度の管理を含む物流システム全体の効率的な管理などの分野に分けて検討が進められるべきであると、ECSAの排ガス作業部会の議長で、ノルウェー船主協会の環境担当部長が語った。ECSAはEU加盟国がIMOの他の加盟国に強く働きかけて、IMOが引き続き船舶からの二酸化炭素削減に真剣に取り組みIMOとしての二酸化炭素削減戦略を早急に取りまとめることを要請する。 原文 Sept. 20, 2017, ECSA (長谷部)
- 4】欧州委員会が非EU国による直接投資に対する監査制度を提案
- 4】9月13日、EU大統領は年次演説で、増大する非EU国による直接投資について言及したところ概要は以下のとおり。EUは単純な自由貿易国であるべきでなく、自身の戦略的利益を常に擁護するために「投資監査のためのEUとしての枠組み」を提案した。外国(中国)の国営企業が欧州の港湾・エネルギー関係インフラ・防衛技術を買収しようとする場合には、情報が公開されたうえで十分な検討がされるべきである。EUの共通の国家保安上の利益を守るためには、EU域内(ギリシャ)で何が起こっているのか知るのが政治的責任である。 原文 Sept. 14, 2017, EU(長谷部)
- 5】マレーシアの海賊事件でオンラインAISアプリを海賊が利用
- 5】9月上旬にマレーシアのトレンガヌ沖で発生したタイ籍タンカーに対する乗っ取り事件に関し、マレーシアの裁判所は主犯と10名の実行犯に16年の懲役刑を科した。裁判記録によれば、主犯はジョホールのホテルからオンライン海上交通システムを見ながら、Ship Finderアプリを利用して、攻撃の対象となったタンカーの航跡を監視していたことが明らかとなった。 原文 Sept. 21, 2017, Seatrade Marine News (長谷部)
- 6】北朝鮮の船舶がウラジオストック港・ナホトカ港からディーゼル油等を密輸
- 6】北朝鮮の船舶は、ウラジオストック港やナホトカ港から中国・韓国向けの輸出として、ディーゼル油等を船積みし、航海の途中でAIS等の船舶の所在地がわかる機器の電源をオフにした状態で、北朝鮮の金策港・清津港・興南港等に陸揚げしている模様。ロイター通信は、船舶の航跡に関するデーターベースを持っているが、少なくても8隻の北朝鮮船が途中で航路を変更して北朝鮮に向かったことを把握している。米政府関係者によれば、航海の途中で目的地を変更するのは、北朝鮮が国連制裁措置を回避するための常とう手段とされている。 原文 Sept. 20, 2017, Reuters (長谷部)