2017/10/13 LROニュース(6)
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2017.10.13 UP
2017/10/13 LROニュース(6)
- 1】ノルウェーが2番目の自律運航船のための試験海域を設定
- 1】ノルウェー海事庁の発表によれば、Sunnmore地域のStorフィヨルドにノルウェーで2番目となる自律運航船のための試験海域が設定された。この110㎞にわたる新たな試験海域は、14の造船所及び20の海事関係企業の周辺にあり既に新造船や改装船の実験に使用されていることから選択され、自律運航の分野における前進とみなされる。同政府は2016年9月に、トロンハイムフィヨルドを最初の試験海域として設定している。 原文 Oct. 2, 2017, World Maritime News (Dafnis)
- 2】週間海上保安情報(10月3日)
- 2】タンザニア:9月29日午前2時頃、ダル・エス・サラム錨地において武装した5人の賊が商船に侵入、乗員を縛り上げた上で積荷の一部とVHF無線機を盗み逃走した。タンザニアでは小規模の犯罪が多発しているが報告されることは多くない。賊は夜陰に紛れて強盗に及ぶことから、錨泊中であっても警戒を怠らないことが肝要である。ダル・エス・サラム港はISPSコードに準拠しており、2隻の巡視艇も配備されている。ナイジェリア:10月2日、ブラスの南東34マイルにおいてパナマ籍タンカーに武装した賊が侵入し、3人の乗員が誘拐されるとともに乗組員の所持品が盗まれた。ナイジェリアデルタを拠点とする海賊は、荷油窃盗に対する取締りの強化と油価格の低下を受け、2016年1月以降、広範な船舶を狙った身代金目的の誘拐を働いている。海賊グループは時に沖合150マイルに及ぶ、ナイジェリア沿岸の広い範囲で活動し、ギニア湾を航行する船員に危険を及ぼしている。バングラデシュ:9月28日、ミャンマー軍による迫害から逃れるロヒンギャ難民が乗ったボートがコックスバザール沖で転覆し、少なくとも60人が死亡したと推定されている。8月25日以降、約50万人のロヒンギャ難民がコックスバザールに流入しているが、バングラデシュ国境警備隊の阻止活動により数千人が国境のナフ川流域に取り残されていると見られている。 原文 Oct. 03, 2017 PROTECTION VESSELS INTERNATIONALS(武智)
- 3】マラッカ・シンガポール海峡における第2次共同水路調査が実施
- 3】10月2日から3日にかけて、第10回マラッカ・シンガポール海峡(SOMOS)における安全運航と環境保護に関する協力フォーラムがマレーシアのコタキナバルで開催された。SOMOS沿岸3カ国であるシンガポール、インドネシア、マレーシアは、日本のマラッカ海峡協議会の支援のもと、第2次共同水路測量調査の実施について覚書を締結した。第2次調査では、第1次調査の対象となっていないSOMOSの分離通航方式(TSS)対象で水深30m以下の海域が対象となる。今回の調査で得られた情報は、対象海域の運航安全のためより縮尺の大きい新たな海図の作成のために使用されるほか、海運業界や学術研究にも利用される予定。 原文 Oct. 3, 2017, MPA (Dafnis)
- 4】ロールスロイスが自律運航船の開発でGoogle Cloudと提携
- 4】10月3日、スウェーデンで開催されたGoogle Cloudサミットで、ロールスロイス社は同社の周囲認識システムを改善するために、GoogleのCloud Machine Learning Engineを活用することで、Google社と合意した。このエンジンを利用すれば、船舶が海上で衝突する可能性のある物体を探知・特定・追跡するための同社の人工知能を使用した目的物認識システムをさらに訓練・向上させることができる。同システムは現在でも既存船の安全航行の向上のために利用されているので、同システムの改善は、将来の自律運航船の開発に役立つだけでなく、現在運航している船舶の安全性と効率の改善にも役立つ。 原文 Oct. 3, 2017, ロールスロイス (長谷部)
- 5】第9回欧州沿岸警備隊フォーラムが開催
- 5】EU加盟国の沿岸警備隊とシェンゲン協定加盟国の沿岸警備隊が多国間沿岸警備隊等による共同運用や沿岸警備隊の教育機関間の人材育成協力について話し合うため、欧州委員会の支援の下、2009年に欧州沿岸警備隊フォーラム(ECGFF)が設立されたが、9月28日から29日にかけて欧州海上保安庁(EMSA)本部で、第9回目のフォーラムが開催された。 原文 Oct. 4, 2017. 欧州委員会(長谷部)
- 6】中国が北極海第3の「中央航路」を模索
- 6】北極海における海氷の減少が続いているにもかかわらず、ロシアが北極海北航路の安定的な利用に必要な信頼できるガイダンスや事故発生時の連絡体制を整備していないため、中国はロシア北方のより北極点に近い「中央航路」の利用を模索している。ロシアの専門家は中国の「中央航路」案について、非現実的で無責任な案であるとこき下ろしているが、もし、この中央航路が実現すれば、北極海北航路においてロシアが有する経済的・地政学的な優位性を排し、中国が北極海航路でより影響力を行使することができる。中国は北極海航路の利用により、中国と欧州の間の海上輸送に必要な所要日数を15日間短縮できるため、過去1年間で、6隻の中国船が北極海北航路を運航した。中国の海運会社が北極海北航路を利用すれば、ロシアに砕氷船使用料という経済的なメリットをもたらすし、中露の二国間関係の強化につながると考えている。 原文 Oct. 3, 2017, Eurasian Daily Monitor (長谷部)