2017/10/11 LROニュース(9)
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2017.10.11 UP
2017/10/11 LROニュース(9)
- 1】南シナ海でのプレゼンスを強化する日・印・豪
- 1】安倍首相はインドのモディ首相と南シナ海における中国の影響力の拡大に対抗し、日印が海洋安全保障の面で協力していくための協定の最終交渉を行った。さらに日印外相はNYで米国務長官と会談し、いかに航行の自由と海洋での国際法の順守を擁護していくかについて協議を行った。インドはベトナムが南シナ海に有する海洋権益の共同開発を目指しており、昨年ベトナムに対し、5億米ドルの信用を供与し、ベトナムが海洋警備能力の強化に必要な軍備や哨戒艇をインドから購入できるようにした。豪は9月下旬に最大で最新の艦艇をインドネシアをはじめとする東南アジア諸国に寄港させ、南シナ海の海上保安の維持に豪も参加する能力があることを示しており、11月にジャワ島でインドネシアと共同海軍演習を行う予定である。 原文 Sept. 26, 2017, The Maritime Executive (Dafnis)
- 2】EMSAがTHETIS―MRVの利用に関する簡単なリーフレットを発行
- 2】9月26日、欧州海上保安庁(EMSA)はEU・MRV規則実施のためにEMSAが運用するTHETISシステムを利用するにあたっての簡単な手引きとなるリーフレットを発行したところその概要は以下のとおり。THETIS-MRVシステムは各船舶が排出する二酸化炭素に関連する信頼できる情報等を報告するためのWeb上の自動的な報告・通知システムである。本システムの利用により、船社・認定された検証者(船級協会)・旗国・欧州委員会等の全ての関係者が情報を共有し、モニター計画案の作成から、規則順守認定証の発給までの過程を管理することが可能で、一連の手続きに伴う手続き上の負担を削減することなどが可能となる。 原文 Sept. 26, 2017, EMSA (長谷部)
- 3】中国が露北極圏のアルハンゲリスの新港・鉄道建設に資金供与
- 3】9月上旬、ロシア北極圏のアルハンゲリスク州の代表が北京を訪れ、アルハンゲリスク市の北方約55kmに建設されるBelkomur港に鉱物資源等を搬入するための鉄道建設に必要な融資を中国輸出入銀行等の中国関係企業から受けることに合意した。中国の国営港湾運営会社はアイスランドの港湾施設の買収も手掛けている。アルハンゲリスクの東方には、中国が資金支援しているヤマルLNG事業も立地している。 原文 Sept. 27, 2017, Splash 24/7 (長谷部)
- 4】ブラジル競争当局がマースクによるHamburg Sudの買収申請を許可
- 4】9月22日、ブラジルの競争当局であるCADEはマースクによるHamburg Sud(HS)の買収申請を無条件で承認した。今回の承認の結果、同買収が成立するために必要な関係国の競争当局の認可は、中・韓・チリ・南アを含む10か国となった。今回の承認の前提として、マースクは6月13日に同社のカボタージュ子会社であるMercosul LineをCMA CGMに売却すると発表している。同社はさらにEU競争当局の承認を得るにあたって、合併後は地中海―南米東岸航路における船腹共有協定(VSA)であるMESAからHSを脱退させることも既に約束している。 原文 Sept. 26, 2017 (長谷部)
- 5】世界荷主フォーラム等がIMO加盟国にCTUコードの批准と適正な実施を要望
- 5】世界荷主フォーラム(GSF)等世界的なサプライチェーン全体に関係する団体は、ロンドン海運週間期間中に、IMOで加盟国に対し、「貨物輸送ユニット(CTU)の収納のためのガイドライン(CTUコード)」の批准と適切な実施の担保を求めた。これらの団体は、CTUの安全でしっかりした収納のための包括的なガイダンスを協議するための専門家グループを形成して、CTUコード案を作成し、2014年に同コードが国連の関係機関であるIMO・ILO・UNECE(国連欧州経済委員会)で採択された。今後も、このグループは貨物保険業界をリードする会社と協力し、同コードの適正な実施を求め続けている。 原文 Sept. 25, 2017, GSF (Dafnis)
- 6】中国企業がスリランカのハンバントータ港の石油精製施設を建設に投資
- 6】9月22日、スリランカ政府の高官は、中国招商局港口控股有限公司(CMPH)に99年間租借することが決まった同国のハンバントータ港南部に隣接して、25-30億米ドルを投資して年間製油能力500万トンの石油精製施設を建設することを同政府が二つの中国企業と交渉中であることを明らかにした。同政府は同島東方のトリンコマリー港に石油製品の輸出を目的に、一日当たり10万バレルの精製能力を持った精製施設を建設することをインド石油会社と既に契約しており、ハンバントータ港の石油精製施設が完成すれば同国で2番目の新精製施設となる。スリランカには国営セイロン石油がイラン原油の輸入を念頭に、一日当たり5万バレルの老朽化した精製施設があるが、米国のイラン制裁の影響で、イラン原油が輸入できなくなったので、近年は石油精製製品の輸入に頼っている。 原文 Sept. 22, 2017, Reuters (長谷部)
- 7】仏・伊政府が伊のフィンカンティエリ社によるSTX仏の買収に最終合意
- 【7】9月27日、仏・伊両国政府は、両国関係をぎくしゃくさせていた伊フィンカンティエリ社がSTX仏社の経営権を握ることについていくつかの条件のもとに合意した。この合意の見返りとして、両国政府は2018年6月までに、仏の軍用造船会社であるNaval Groupとフィカンティエリ社の合併の可能性について調査することで合意した。新合意の下で、フィ社、仏政府、Naval Group、STXの従業員、STXの地元下請け企業がそれぞれ、50%, 34.34%, 10%, 2%, 3.66%のシェアを分担することになるが、フィ社が経営権を握るため、仏政府の持ち分から1%を同社に貸与する。同社が現地従業員の雇用・経営管理・知的財産権の点で合意事項を遵守できなかったときは、仏政府は1%の返還を要求できることとなっている。 原文 Sept. 27, 2017, Reuters (長谷部)
- 8】EU共同研究センターが海上の不審船を発見するための新たなソフトを発表
- 8】9月27日、EUの共同研究センター(JRC)は、海上を撮影した大量の衛星写真を自動的にスキャンして、他の海上交通に関する情報と照合して、不審船を発見する新たなソフト「海上不審物捜索(Search for Unidentified Marine Objects: SUMO)」を発表した。このソフトはJRCで開発試験確認され、海上の不法な油の投棄・海賊・違法漁業などの取り締まりを支援し海上保安を向上させる。SUMOは曇天下や夜間でも不審船を把握できるようレーダー衛星写真を活用している。地球周回レーダー衛星からの衛星写真は多数入手可能であるが、SUMOのような専用ソフトを利用しないと、船舶を特定するのは容易ではない。 原文 Sept. 27, 2017, EU (長谷部)
- 9】USCGが小型船における一酸化炭素中毒事故に関し海上安全警告を発出
- 9】最近メキシコ湾岸で検査対象外小型船(100GT以下で定員6人以下の旅客船:UPV)における一酸化炭素中毒事故が発生し、複数の旅客が病院に搬送された。沿岸警備隊の調査の結果、当該船舶は法定の換気設備が設置されていたものの、釣った魚を入れておく保冷庫が船尾に張り出しており、排気ガスの出口が水中に没していたため、一酸化炭素が保冷庫の乗せた台の下にこもり、船尾の方に逆流したことが判明した。遊泳用のプラットフォームやその他の船尾に搭載した障害物が排気ガスの流出を変化させるリスクがあるため、同様な形をした船舶の所有者及び運航者に対してUSCGは以下のような海上安全警告を発した。①同様な事故が発生しないかどうか確認すること。②常に乗員乗客の健康状況を監視すること。③客室には一酸化炭素警報機の設置を検討すること。④乗客の具合が悪くなったときに、単なる船酔いとみなさないこと。 原文 Sept. 26, 2017, USCG (Dafnis)