2017/1/5 LROニュース(5)
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2017.01.05 UP
2017/1/5 LROニュース(5)
- 1】ガダニの船舶解体場でまた爆発事故
- 1】12月22日、パキスタンのガダニの船舶解体場で、解体中のLPGタンカーのガスシリンダーが爆発し、火災が発生したが、当時同船舶の解体作業に当たっていた約100人の作業員は無事だった。ガダニはインドのアランに続き世界で2番目に大きな船舶解体地で、15000人以上が解体作業に従事しているが、11月に大規模爆発事故があって、最低19人が死亡したため操業が停止されていたが、最近操業が再開されたばかりであった。 原文 Dec 22. 2016.The Express Tribune(長谷部)
- 2】ロイズがEU内に子会社を設置しEU内のビジネスを移管
- 2】現在ロンドンに拠点を置く主要金融・保険機関の先頭を切って、328年の歴史を持つロイズがBrexit対策としてEU域内に子会社を設置してEU関連ビジネスを移管する提案を2月にもメンバーに対して行うことを明らかにした。ロイズとしては依然として従来とおりロンドンで一元的に欧州の事業を管理できることが理想ではあるものの、英国政府が目指しているビジネス活動に関する”NoChange”交渉が欧州員会との間で難航し、EU内で自由にビジネスを行う「パスポート」を失う場合には、EU域内にEUビジネスの拠点を移転することもやむなしと判断した模様で、具体的な候補地としては5か所程度に絞られたようだが、語学的にも法律制度も同じなダブリンが有力視されている。 原文 Dec 15. 2016.Financial Times(長谷部)
- 3】欧州委員会、トン数税制適用条件としてEU籍船の維持を要求
- 3】欧州委員会は、トン数税制適用の条件として、船社に対して船舶の60%をEU域内で登録することを求めている。独の船社はこの条件を満たすために、EU域内でコスト的に有利なポルトガル領マデイラ諸島に多くの船舶の登録を移管している。マデイラ島船籍制度は1989年に創設されたが、2013年までは登録籍船の総トン数が190万dwt程度であったが、近年独船社のおかげで、現在総計約450隻・1660万dwtに船舶登録が急増している。欧州委員会はギリシャの海運優遇税制についての困難な見直し交渉を継続しているが、このトン数税制の要件についても2019年から適用するようにギリシャ政府に求めており、同国船社の対応が注目される。 原文 Dec 22. 2016.Lloyds List(長谷部)
- 4】極海コードの発効と海上保険業界にとってのビジネスチャンス
- 4】極海コードの発効によって、極海を航行する船舶の航行の安全性が高まることは保険業界にとっては一般的に好ましいことである。しかし、現在の原油価格の水準では、北極海航路をあえて使用する経済的なインセンティブがなく、北極海航路を運航する船舶が増えて新たな保険需要が増えるのは原油価格の水準の回復を待つ必要がある。また、適正な保険料の設定のためには、適正なリスクの把握が必要だが、通常の保険料金の設定のように過去の事故発生率からリスクを想定し、保険料を算出する方法は、ほとんど航行の実績のない北極海の航行リスクの算定には使えない。保険業界は北極海航路航行に伴う特有のリスクについての調査・研究が極めて遅れており、北極海航路航行の実需が増えるまでに、まずは様々なリスクに対する研究を進めなくてはいけない。 原文 Dec 16. 2016. Lloyds List(Hannah)
- 5】イエメン沖でロケット弾攻撃によりイラン籍船が沈没
- 5】12月21日夜、エジプトからドバイに向け航行中のイラン籍小型貨物船がイエメン沖でロケット弾攻撃を受け沈没した。この攻撃により、パキスタン人船員7人が死亡し、同船の一等航海士が自力で岸に泳ぎ着いた。12月初めには、イエメンのタイズ県モカ沖で、サウジアラビア機の爆撃により少なくとも6人のパキスタン人船員が死亡している。このような相次ぐ商船への攻撃を受けて、商船がバブ・エル・マンデフ海峡を安全に通航するのを支援するために、英国政府は11月からイエメン沖に最新の海軍艦艇を派遣している。 原文 Dec 23. 2016.Splash24/7(武智)