2021/01/20LROニュース(7)
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2021.01.21 UP
2021/01/20LROニュース(7)
- 【1】3隻の砕氷型LNG船が初めて真冬の北極海航路を単独で航行
- 【1】露の天然ガス企業ノヴァテクは過去3年間、夏季や秋季にヤマルLNG基地からアジア向けにLNGを輸送してきたが、今週アジア向けにLNGを輸送する3隻の砕氷型LNG船が砕氷船の援助を受けずに単独で冬の北極海航路を初めて航行し、一年を通してアジア向けにLNGを輸送するというノヴァテク社の目標が技術的に実現可能であることを裏付けた。3隻のうち2隻は、露のサベッタ港でLNGを搭載しそれぞれ韓国と中国に向かい、残りの1隻は中国でLNGを荷揚げ後にバラストを搭載してサベッタ港に向かい航行した。北極海の東部を通過するこのコースの航海はこれまで11月が最後であった。アジア向けのLNG輸送能力はノヴァテク社の長期的な経営計画にとって不可欠なものであり、実際に、現在アジア向けのLNG輸送コストが高騰しているなか、同社は来月複数隻のLNG船を原子力砕氷船の支援を受けつつ日本に向け航行させる予定である。北極海の氷が記録的なレベルで溶けているが、それでも冬季に北極海航路を通航することは決して容易ではなく、乗組員は24時間の暗闇と北極海の厳しい気象に直面することになり、また、海氷の位置を予測することは難しく、その場で確認しながら航行する必要があり、衛星画像を入手するのにも数時間あるいは数日を要することもある。ノヴァテク社は、3隻はいずれも国営の北極南極研究所(Arctic and Antarctic Research Institute)とアトムフロート社が推薦する航路に沿って航行したと説明している。
- 【1】露の天然ガス企業ノヴァテクは過去3年間、夏季や秋季にヤマルLNG基地からアジア向けにLNGを輸送してきたが、今週アジア向けにLNGを輸送する3隻の砕氷型LNG船が砕氷船の援助を受けずに単独で冬の北極海航路を初めて航行し、一年を通してアジア向けにLNGを輸送するというノヴァテク社の目標が技術的に実現可能であることを裏付けた。3隻のうち2隻は、露のサベッタ港でLNGを搭載しそれぞれ韓国と中国に向かい、残りの1隻は中国でLNGを荷揚げ後にバラストを搭載してサベッタ港に向かい航行した。北極海の東部を通過するこのコースの航海はこれまで11月が最後であった。アジア向けのLNG輸送能力はノヴァテク社の長期的な経営計画にとって不可欠なものであり、実際に、現在アジア向けのLNG輸送コストが高騰しているなか、同社は来月複数隻のLNG船を原子力砕氷船の支援を受けつつ日本に向け航行させる予定である。北極海の氷が記録的なレベルで溶けているが、それでも冬季に北極海航路を通航することは決して容易ではなく、乗組員は24時間の暗闇と北極海の厳しい気象に直面することになり、また、海氷の位置を予測することは難しく、その場で確認しながら航行する必要があり、衛星画像を入手するのにも数時間あるいは数日を要することもある。ノヴァテク社は、3隻はいずれも国営の北極南極研究所(Arctic and Antarctic Research Institute)とアトムフロート社が推薦する航路に沿って航行したと説明している。
- 【2】マースク:世界初のゼロエミッション船発注に向け代替燃料の開発を支援
- 【2】マースクは、船舶からのCO₂排出削減に対し戦略的な2つの目標を掲げており、一つは、2030年までに商業的に実用可能なゼロエミッション船を保有することを含め、2050年までに自社の海運活動を炭素中立化すること、もう一つは2030年までにCO₂排出量を2008年実績比で60%削減することである。同社はかねてより、同社の方針として、化石燃料からクリーンエネルギーへの転換に、LNGではなくCO₂を排出しない代替燃料を使用する意向を表明してきた。同社は2030年までにゼロエミッション船を保有するため、脱炭素化手段の技術的・財政的な実現可能性を向上させるための研究開発に大規模な投資を行うことを決定し、今後数年に渡って、資金の大部分をアルコール(メタノール・エタノール)・バイオメタン・アンモニアといった3つの代替燃料の開発に投入する予定である。アンモニアとアルコールは、両方とも再生可能エネルギーから生産可能だが、アルコールは引火点が低く、アンモニアは物質そのものが毒性を持つという安全性の問題があるものの、今後2、3年以内にこうした問題は解決できるとしており、3年後には特定の地域で運航可能な最初の小型コンテナ船を発注することを目指すとしている。
- 【2】マースクは、船舶からのCO₂排出削減に対し戦略的な2つの目標を掲げており、一つは、2030年までに商業的に実用可能なゼロエミッション船を保有することを含め、2050年までに自社の海運活動を炭素中立化すること、もう一つは2030年までにCO₂排出量を2008年実績比で60%削減することである。同社はかねてより、同社の方針として、化石燃料からクリーンエネルギーへの転換に、LNGではなくCO₂を排出しない代替燃料を使用する意向を表明してきた。同社は2030年までにゼロエミッション船を保有するため、脱炭素化手段の技術的・財政的な実現可能性を向上させるための研究開発に大規模な投資を行うことを決定し、今後数年に渡って、資金の大部分をアルコール(メタノール・エタノール)・バイオメタン・アンモニアといった3つの代替燃料の開発に投入する予定である。アンモニアとアルコールは、両方とも再生可能エネルギーから生産可能だが、アルコールは引火点が低く、アンモニアは物質そのものが毒性を持つという安全性の問題があるものの、今後2、3年以内にこうした問題は解決できるとしており、3年後には特定の地域で運航可能な最初の小型コンテナ船を発注することを目指すとしている。
- 【3】ICS:各国政府に対して船員の優先的なワクチン接種を要請
- 【3】国際海運会議所(International Chamber of Shipping:ICS)は世界の8割を超える船舶所有者を代表し、各国政府に対して、昨年の船員交代の危機的状況の再来を防ぐため、船員や現場第一線で働く海運労働者にワクチンを優先的に接種することや船員を基幹労働者(Keyworkers)に指定することを要請するとともに、変異種を警戒して各国が再び渡航に関して規制を強化する中、世界のサプライチェーンにおいて船員が果たす役割が不可欠なものであることを認識するよう求めている。特に2021年は各国がワクチン接種を本格的に開始することから、これに必要な注射器や感染防止保護具などの不可欠な物品の供給を維持する必要があるが、関連する規則により船員交代が厳しく制限されるなか、数十万人の船員が本来の契約期間を超過して乗務を続けており、船舶の安全運航や船員の疲労、医療機関の利用などに関して重大な懸念が生じている。昨年国際労働機関(ILO)の法律専門家委員会は、各国政府が船員の権利を侵害し海事労働条約の複数の規則を遵守していないと指摘している。また、これに先立ち国連総会ではすべての国が船員を基幹労働者として指定することを求める決議を採択し、ローマ教皇も交代できずに乗務を続ける40万人の船員を懸念して各国政府に解決に向けて取り得るすべての措置を取ることを求めている。
- 【3】国際海運会議所(International Chamber of Shipping:ICS)は世界の8割を超える船舶所有者を代表し、各国政府に対して、昨年の船員交代の危機的状況の再来を防ぐため、船員や現場第一線で働く海運労働者にワクチンを優先的に接種することや船員を基幹労働者(Keyworkers)に指定することを要請するとともに、変異種を警戒して各国が再び渡航に関して規制を強化する中、世界のサプライチェーンにおいて船員が果たす役割が不可欠なものであることを認識するよう求めている。特に2021年は各国がワクチン接種を本格的に開始することから、これに必要な注射器や感染防止保護具などの不可欠な物品の供給を維持する必要があるが、関連する規則により船員交代が厳しく制限されるなか、数十万人の船員が本来の契約期間を超過して乗務を続けており、船舶の安全運航や船員の疲労、医療機関の利用などに関して重大な懸念が生じている。昨年国際労働機関(ILO)の法律専門家委員会は、各国政府が船員の権利を侵害し海事労働条約の複数の規則を遵守していないと指摘している。また、これに先立ち国連総会ではすべての国が船員を基幹労働者として指定することを求める決議を採択し、ローマ教皇も交代できずに乗務を続ける40万人の船員を懸念して各国政府に解決に向けて取り得るすべての措置を取ることを求めている。
- 【4】UNEP:サンゴ礁の回復には長期的な計画が不可欠
- 【4】サンゴ礁は、海洋生物多様性の25%を支えると共に、沿岸の保護・漁業生産・医薬品の原料や観光資源として多くの人々の生活を支えているが、海洋温暖化の影響を受けやすく、地球上のサンゴ礁の約半分は既に失われており、地球の温度上昇を1.5℃以下に抑制できても、2050年までにサンゴ礁の最大90%が失われる可能性があるため、現存するサンゴ礁の保護は急務である。国連環境計画(UNEP)と国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)は、実務者/管理者/意思決定者が、サンゴ礁の修復を行うか、そして地域的・国際的にサンゴ礁を守るための戦略としていかにサンゴ礁の修復を利用するかを検討することを支援するための報告書を発表し、気候変動の影響を受けるサンゴ礁の耐性を強化するには、計画的で、資金が十分に投入された長期的なサンゴ礁の回復が有効としている。また昨年11月にUNEPが発表した報告書では、サンゴ礁の回復戦略における重要な原則として、①具体的な目標と目的に沿った計画/評価②リスクを緩和するための適応戦略の特定③全ての過程で地元の地域社会や利害関係者を関与させる④適応管理を可能にし、特定の目標に対する修復効果の有効性への理解を向上させる長期的な監視計画の策定の4つを挙げている。
- 【4】サンゴ礁は、海洋生物多様性の25%を支えると共に、沿岸の保護・漁業生産・医薬品の原料や観光資源として多くの人々の生活を支えているが、海洋温暖化の影響を受けやすく、地球上のサンゴ礁の約半分は既に失われており、地球の温度上昇を1.5℃以下に抑制できても、2050年までにサンゴ礁の最大90%が失われる可能性があるため、現存するサンゴ礁の保護は急務である。国連環境計画(UNEP)と国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)は、実務者/管理者/意思決定者が、サンゴ礁の修復を行うか、そして地域的・国際的にサンゴ礁を守るための戦略としていかにサンゴ礁の修復を利用するかを検討することを支援するための報告書を発表し、気候変動の影響を受けるサンゴ礁の耐性を強化するには、計画的で、資金が十分に投入された長期的なサンゴ礁の回復が有効としている。また昨年11月にUNEPが発表した報告書では、サンゴ礁の回復戦略における重要な原則として、①具体的な目標と目的に沿った計画/評価②リスクを緩和するための適応戦略の特定③全ての過程で地元の地域社会や利害関係者を関与させる④適応管理を可能にし、特定の目標に対する修復効果の有効性への理解を向上させる長期的な監視計画の策定の4つを挙げている。
- 【5】イラン軍がホルムズ海峡付近で軍事演習を実施
- 【5】イラン陸軍特殊部隊と空挺部隊は1月19日、ホルムズ海峡付近のジャースク港近郊で軍事演習を開始した。演習では模擬の敵の前線の背後に空挺部隊が降下してミサイル攻撃の準備を行った。先週、イラン革命防衛隊はインド洋において敵艦に見立てた目標に向けて長距離弾道ミサイルを発射し、イラン国内の中央に位置する砂漠地帯で国産無人機の飛行試験を実施している。イラン革命防衛隊は、これらの演習はイランがその独立と領土の完全性を守り抜くという決意を表しており、いつでも戦闘準備はできていると述べている。トランプ政権が2015年のイラン核合意を破棄し再びイランに制裁を課した2018年以降、米軍とイラン軍との間では度々対立が生じているが、バイデン次期米大統領はイランが核合意を厳格に順守するのであれば米国も再び核合意に復帰する考えがあることを明らかにしている。
- 【5】イラン陸軍特殊部隊と空挺部隊は1月19日、ホルムズ海峡付近のジャースク港近郊で軍事演習を開始した。演習では模擬の敵の前線の背後に空挺部隊が降下してミサイル攻撃の準備を行った。先週、イラン革命防衛隊はインド洋において敵艦に見立てた目標に向けて長距離弾道ミサイルを発射し、イラン国内の中央に位置する砂漠地帯で国産無人機の飛行試験を実施している。イラン革命防衛隊は、これらの演習はイランがその独立と領土の完全性を守り抜くという決意を表しており、いつでも戦闘準備はできていると述べている。トランプ政権が2015年のイラン核合意を破棄し再びイランに制裁を課した2018年以降、米軍とイラン軍との間では度々対立が生じているが、バイデン次期米大統領はイランが核合意を厳格に順守するのであれば米国も再び核合意に復帰する考えがあることを明らかにしている。
- 【6】ノルウェーで船上のサイバー攻撃に対抗する組織が正式に発足
- 【6】世界中で増大するサイバー犯罪の脅威に対抗するため、ノルウェー船主協会とノルウェー船主戦争保険組合(DNK)の協力で設立されたNorwegian Maritime Cyber Resilience Center (NORMA Cyber)が1月1日、正式にサービスを開始した。当該組織は、海上におけるセキュリティーサービスを提供するものとしては世界初であり、同国の海運業界に多様なサイバーセキュリティーサービスを提供すると共に、主に陸上で活動する海運業界の利害関係者に対しても支援を行う予定で、既に複数の海運企業が会員として参加している。同組織は防衛・海事産業・サイバーセキュリティ等に関する経歴を持つ専門家から構成され、4月以降には船舶システムに幅広い知見を有するエンジニアを加え、体制を更に強化する予定である。また3400隻の船舶・石油リグを運用する420社の海運企業・運航会社で構成されるノルウェー船主協会・DNKの会員は自動的に同組織の会員となる資格を有している。
- 【6】世界中で増大するサイバー犯罪の脅威に対抗するため、ノルウェー船主協会とノルウェー船主戦争保険組合(DNK)の協力で設立されたNorwegian Maritime Cyber Resilience Center (NORMA Cyber)が1月1日、正式にサービスを開始した。当該組織は、海上におけるセキュリティーサービスを提供するものとしては世界初であり、同国の海運業界に多様なサイバーセキュリティーサービスを提供すると共に、主に陸上で活動する海運業界の利害関係者に対しても支援を行う予定で、既に複数の海運企業が会員として参加している。同組織は防衛・海事産業・サイバーセキュリティ等に関する経歴を持つ専門家から構成され、4月以降には船舶システムに幅広い知見を有するエンジニアを加え、体制を更に強化する予定である。また3400隻の船舶・石油リグを運用する420社の海運企業・運航会社で構成されるノルウェー船主協会・DNKの会員は自動的に同組織の会員となる資格を有している。
- 【7】新型コロナウィルスによる死者数はさらに増加を続けるとの予測
- 【7】1月19日、英国内の新型コロナウィルスによる1日の死者数は1,610人となり過去最多を更新し、英国公衆衛生庁によると検査の結果陽性が判明してから28日以内に死亡した人の数の累計は91,470人となった。また、別のデータでは、死亡診断書に死因としてコロナウィルス感染症と記載された人の数などを合計すると国内の死者数の累計は108,000人に達し、既に10万人を超えたことになる。現在実施しているロックダウンの効果により新規感染者数は減少し始めたと考えられているが、新規感染者数の推移と入院患者数の推移には時間差があることから、死者数は今月末まで減ることはないと予測されており、専門家は今後も1日の死者数について記録的な数値を目にし続けることになると警告している。
※1/19の英国の感染者数:33,355人(日本4,928人の6.8倍、緊急事態解除基準47人の710倍)
※1/19の英国の死者数:1,610人(日本47人の34倍)
日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。 原文 January 20, 2021, Evening Standard (若林健一)
- 【7】1月19日、英国内の新型コロナウィルスによる1日の死者数は1,610人となり過去最多を更新し、英国公衆衛生庁によると検査の結果陽性が判明してから28日以内に死亡した人の数の累計は91,470人となった。また、別のデータでは、死亡診断書に死因としてコロナウィルス感染症と記載された人の数などを合計すると国内の死者数の累計は108,000人に達し、既に10万人を超えたことになる。現在実施しているロックダウンの効果により新規感染者数は減少し始めたと考えられているが、新規感染者数の推移と入院患者数の推移には時間差があることから、死者数は今月末まで減ることはないと予測されており、専門家は今後も1日の死者数について記録的な数値を目にし続けることになると警告している。