2021/02/12LROニュース(7)

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  • 2021.02.15 UP
    2021/02/12LROニュース(7)
    • 【1】仏が攻撃型原子力潜水艦や支援艦を南シナ海に展開
      • 【1】仏国防相は今週ソーシャルメディアで攻撃型原子力潜水艦と支援艦を同海域に展開し、これらの艦船が哨戒任務のために同海域を航行したことを明らかにし、「我々が航行するいずれの海域においても国際法が有効な唯一の規則であることを確認した。」と述べた。また同氏は、今回の仏艦船の南シナ海への展開は、仏海軍が豪、米、日本といった戦略的パートナーとともに遠方の海域に長期にわたり海軍を展開する能力を有することを示すものであると述べ、世界中の海上交通路における国際法を支持するための国際的な取組みの一環であることを強調した。1月に就任したバイデン米大統領は、中国との激しい競争という新時代の到来を警告し、欧州とアジアの同盟国との協力した対応の必要性を強調しており、英国や独など他の欧州の国も南シナ海へ艦船を派遣するとみられ、インド太平洋などにおけるこうした国際的関与の高まりは、アジアにおける緊張状態は米国の行き過ぎた行動によって引き起こされているという中国の主張を否定するものでもある。仏はそのインド太平洋戦略のなかで、「法の支配、航行の自由および公正で効率的な多国間主義に基づく安定した秩序」を求めており、仏大統領は「パリ・デリー・キャンベラ枢軸(Paris-Delhi-Canberra axis)」を提唱し、豪やインドと防衛や経済関係を拡大することで積極的な地域外交を展開している。また仏は昨年、国連への英国とドイツとの共同口上書の提出を主導し、南シナ海での中国による権益主張を批判している。
      • 原文 February 12, 2021, ASIA TIMES (若林健一) 
    • 【2】ロッテルダム港に水素製造施設を建設するための実現可能性調査が開始
      • 【2】独のエネルギー企業・Uniperとロッテルダム港湾当局は共同で、ロッテルダム港内のMaasvlakteに再生可能エネルギーから製造される水素(Green Hydrogen : GH)の大規模な製造施設を建設するための実現可能性調査を開始した。計画では100MW規模の電解槽を設置し、2025年までに運転を開始する予定で、将来的には規模を500MWに拡大することを目指している。Maasvlakteは、水の電気分解に必要な電力を洋上風力発電所から調達できるためGHの製造に最適な場所であり、既にUniperの用地内で様々な関連施設が利用可能となっている。欧州共通利益重要プロジェクト(EU IPCEI)の事前資格調査を無事に終えたのち、今後数か月間で新たな水素製造施設の理論的な設計と技術的側面の開発が行われる予定である。GHの潜在的な市場である独とロッテルダム港周辺地域と調査が行われる予定で、そのうちNorth Rhine-Westphaliaの主要な工業団地へもパイプラインを通じて供給可能になる予定である。またMaasvlakteでのGHの輸入/輸出/保管も検討されている。当該実現可能性調査は今夏までに完了予定。
      • 原文 February 8, 2021 Port of Rotterdam(植木エミリ)
    • 【3】自律運航技術の開発に向けDamenとSea Machinesが提携
      • 【3】Damen Shipyards社は過去4年間、自律運航技術の調査に関する複数の共同プロジェクトに参加してきたが、今回新たにSea Machines Robotics社と提携し、自律運航技術の採用に関するさらなる調査を実施する。Damen社は、完全な無人運航船を目指しているのではなく、船内での多くの業務を自動化することにより船舶が港に到着した際の様々な業務など依然として人的要素を必要とする業務に乗組員が集中できるようにすることを目指していると述べており、まずはSea Machines社の自律制御・遠隔操縦システム「SM300」の試験を行う予定としている。SM300は船舶がCOLREG条約に従い衝突を回避しつつ指定したルートを航行することを可能にし、レーダーやカメラなどの複数のセンサーを活用し、人工知能を使用して物体を認識することで、目的地まで安全に船舶を導くなど、様々な方法で乗組員を支援する。Damen社はこの技術を作業艇、巡視艇、タグボート、乗組員輸送船、フェリーなど、さまざまな船に組み込むことを計画している。この自律制御・遠隔操縦システムに加え、Damen社は、Sea Machinesの技術と完全に統合された社内のシミュレーターを介して自社の従業員や顧客がSea Machinesのシステムに慣れるための訓練も実施するとしている。
      • 原文 February 11, 2021, The Maritime Executive (若林健一)
    • 【4】米・露が海洋汚染に対処するための共同計画に合意
      • 【4】米国沿岸警備隊(USCG)と露の海洋救助局(MRS)は2月1日、両国国境のチュクチ海とベーリング海での海洋汚染に対処するため、越境的な海洋汚染に準備/対応するため1989年に制定された共同緊急時対応計画の最新の合意書に署名を行った。合意には探索救助活動や違法漁業への対処や、船舶からの汚染物質流出などの、一度発生してしまうと制御が困難な事故の防止が含まれ、両機関は近い将来、汚染対応に備えるための合同訓練を実施する予定である。ベーリング海・チュクチ海の境界線は、天候や季節的な条件によってアクセスが困難な場合があり、両国が当該海域における汚染や違法漁業に対処する手段は限られている。アラスカ大学安全保障・レジリエンスセンターの所長は、ベーリング海の繊細な生態系を考慮すると、今回の合意は特に重要であり、国際協力の場としての北極圏の立場を維持するためにも役立つとしている。USCGレベルで行われるこうした特定の協力的活動は防衛組織とは非常に異なったもので、北極沿岸警備隊フォーラムのメンバーは、軍事的な問題が協力関係の合意に影響を及ぼさないよう細心の注意を払ってきた。また州の認可を受けていない地域での違法行為への対処は衝突の元になるため取り扱いが難しい問題であるが、この合意は違法行為者への抑止力にもなると見込まれており、北極圏のように広大で物理的・作戦的課題を抱えた地域では、各国の協力が不可欠としている。
      • 原文 February 10, 2021 Arctic Today(植木エミリ)
    • 【5】EUのRecovery and Resilience Facilityに対し運輸部門が共同声明を発表
      • 【5】欧州議会は2月9日、新型コロナウィルスによって引き起こされた危機から回復するための財政支援として6,725億ユーロの予算を確保した「復興レジリエンス・ファシリティー」(Recovery and Resilience Facility: RRF)を設立する規則の提案に関する合意を承認した。これに関して、運送、インフラ管理者、オペレーター、すべての輸送モードと物流部門の労働者、請負業者、地方当局、荷送人、造船所、港湾、内陸水路、鉄道、道路、自転車、航空、空港などを代表する各団体は共同声明を発表し、運輸部門がRRFにおいて十分な考慮を受けることが保証されるよう加盟国や欧州委員会に対して以下の事項を訴えている。①輸送および物流部門は、EU市民に健康と福祉に不可欠な物資と機動性を提供するために重要で、欧州経済の持続可能で回復力のある回復を可能にする主要な要素でる。②欧州グリーンディール(EDG)は、輸送分野からのGHG排出量の90%削減を求めており、インフラなどへの多額の投資が必要。③EDGの目的は、運輸部門の持続可能性を高めることによってのみ達成できるが、コネクティングヨーロッパファシリティIIの予算は、必要な変革を実現するには不十分。④加盟国は、その復興計画において、輸送および物流部門における経済的および社会的に持続可能な輸送とデジタル化を促進するための対策などを提案すること。⑤欧州委員会は、RRFの評価において、経済的および社会的に持続可能な輸送手段の重要性を評価すること。
      • 原文 February 10, 2021, 欧州船主協会 (若林健一)
    • 【6】Seanegyが船団へのEEXI評価を完了
      • 【6】IMOは2050年までに国際海運におけるCO₂排出量を2008年実績比で50%削減することを目指しており、短期的な政策として、2020年11月に行われたMPEC75で、船舶の燃費性能を事前に検査・認証する制度である現存船への燃費性能規制(EEXI)の基準値の導入を含めたMARPOL条約付属書VIの改正案を採択した。新たな規制は早ければ2023年から発効となる予定だが、この度、ケープサイズの船団を有する海運企業で、唯一米国資本市場に上場しているギリシャのSeanegy Maritimeは、DNV GLと共同で同社の船団へのEEXI評価を完了したことを発表した。新たな基準では、船舶は2008年に設定された基準値から15-20%改善された船舶のエネルギー効率およびCO₂排出量の基準に準拠する必要があるが、評価の結果、同社の所有する総積載容量193万dwt、平均船齢は約12年の11隻のケープサイズ船は、追加費用無しで2030年までにCO₂排出規制の全ての要件を満たすことができるとしている。
      • 原文 February 10, 2021 Seatrade Maritime News(植木エミリ)
    • 【7】 英国内の新型コロナウィルスの実行再生産数が1.0を下回る
      • 【7】英国政府の緊急時科学諮問グループ(SAGE)は、国内の新型コロナウィルスの実行再生産数(R)の値が昨年の7月以降初めて1.0を下回り、現在は0.7から0.9の間にあると発表した。このことは国内の感染状況が縮小傾向にあることを意味し、SAGEによると新規感染者の数も一日毎に2%から5%の割合で減少を続けている。ジョンソン首相は2月22日の週にロックダウン緩和に関するロードマップを公表する予定であり、3月8日からとされる学校の再開を求める声も高まっている。さらに、学校に続き生活必需品を扱わない商店や接客業の再開を期待する声もある。

        ※2/12の英国の感染者数:15,144人(日本1,693人の8.9倍)
        ※2/12の英国の死者数:758人(日本人96の7.9倍)
      • 原文 February 12, 2021, The Guardian (若林健一)
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