2020/12/01LROニュース(8)

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  • 2020.12.01 UP
    2020/12/01LROニュース(8)
    • 【1】 国際海運団体円卓会議:船員交代問題/気候変動問題への対応を討議
      • BIMCO/INTERCARGO/ICS/INTERTANKOの4国際海運事業者団体から構成される国際海運団体円卓会議がオンラインで開催され、船員交代問題・気候変動対策等の緊急課題について検討を行った。船員交代問題については、4団体の長が連名でアマゾンのCEOに書簡を送付し、世界を代表する小売事業者としての同氏の影響力を行使して、依然として全世界の海上で超過勤務を続けている40万人の船員のために、米国の新政権等世界の首脳が、船員を基幹的労働者として認知するよう支援して欲しいと要請した。また、有効性が確認されたと報じられている数種類のコロナワクチンに関して、基幹労働者たる船員が迅速かつ効率的にワクチンの接種を受けられる方法についても話し合われ、船員に対するワクチン接種の特別プログラムを作らない限り、下船することを許されない船員がワクチン接種の優先対象から外されてしまうのではないかという懸念が表明された。
      • 原文 November 26, 2020, BIMCO(長谷部正道)
    • 【2】 ノヴァテクがムルマンスクでタンカー間のLNG積み替えに成功
      • ノヴァテクは露国外では既にタンカー間のship-to-shipのLNG積み替えを実施して、Arc7級の砕氷LNGタンカーの運用の効率化を図っていたが、ムルマンスク港内の洋上積み替え基地で、露国内では初めて、ヤマルLNG事業で生産されたLNGの砕氷LNGタンカーから普通のLNGタンカーへのship-to-shipの積み替えに成功したと11月25日に発表した。積み替えは、露の環境基準を遵守し、ムルマンスク港湾庁とROSMORPORTによる安全運航支援の下で実施された。
      • 原文 November 25, 2020, Novatek(長谷部正道)
    • 【3】 フーシ派が危険な状態にあるタンカーに対する国連による調査を正式許可
      • イエメン政府が紅海に面するフダイダ港の北約60㎞の沖合で洋上の原油貯蔵施設として使用してたタンカー「SAFER」は、2015年以降反政府組織フーシ派の支配下にあり、5年以上続く内戦の影響により保守作業が実施されておらず老朽化が進んでいる。SAFERには100万バレル以上の原油が搭載されたままで既に浸水が始まっているとの情報もあったことから、国連などはフーシ派に対して専門家による調査や応急修理の実施を認めるよう要求していたが、11月24日に国連の報道官は、同月21日にフーシ派が国連に対してSAFERの応急修理を実施するための専門家による調査を正式に許可することを通知したことを明らかにした。国連は、国連プロジェクト・サービス機関(UNOPS)が調査団の人選を行い調査・修理に必要な装備を整えたうえ、来年1月下旬又は2月上旬までには現場に入れるとの見方を示した。しかし、これまでフーシ派は幾度となく約束を反故にしてきたとして今回のフーシ派の動きを懐疑的に見ているイエメンの政治アナリストや活動家などもおり、また、北部のジャウフ県やマアリブではフーシ派と政府の間で戦闘が発生している。
      • 原文 November 25, 2020, Arab News(若林健一)
    • 【4】 FMC: アライアンスによるコンテナ超過保管料等の扱いに対し本格調査を実施
      • 2020年3月31日に、米国連邦海事委員会(FMC)は、パンデミックに関連し世界的な供給網が受けている課題を把握し、解決策を見つけるために、事実関係調査命令第29号 「国際外航海運供給網協定」を発出し、Dyeコミッショナーに調査権限が与えられた。この調査によって収集された情報を基に、FMCはNew York/New Jersey港とLong Beach/Los Angeles港に寄港するアライアンスに所属する海運会社が46 UCS §41102(c)に違反するコンテナの超過保管料や返却延滞料などに関する慣行/規制を行っているのではないかと疑念を持った。聞き取りを行った関係者からの苦情を受けて、FMCは、アライアンスによる慣行/規制によって上記港湾や米国内の他の場所において、前例のない規模の混雑を引き起こし、物流のボトルネックを助長しているのではないかということについて調査を実施する明白で不可避の責任があるとの結論に至った。船社によるこうした慣行/規制は米国の経済成長/雇用の拡大/米国の国際競争力に対して深刻なリスクとなっている。以上のことからFMCはDyeコミッショナーが引き続き上記調査を実施し、定期的にFMCに調査結果を報告するよう命じた。
      • 原文 November 20, 2020, FMC(長谷部正道)
    • 【5】 ナイジェリア沖で一般貨物船から10人の船員が誘拐
      • 11月25日夜から翌26日の間に、ナイジェリアのPennington石油ターミナルから北北西約14海里の海上を同国Escravosからカメルーンのドゥアラに向け航行していたセントクリストファーネイビス籍の貨物船が襲撃され、乗組員10名が誘拐されたという報告があった。船舶自動識別装置(AIS)の情報によると、当時貨物船は南に向け航行中で25日夜になって停船したが、事件発生の正確な時間は明らかになっていない。今回の情報が事実であれば、今年に入りギニア湾で発生した誘拐事件の数は24件となり合計128名の船員が誘拐されたことになる。また、本件は今年に入りナイジェリアの領海内で発生した6件目の事案であるが、最近の地域的な傾向としてはナイジェリアの海賊グループが同国の排他的経済水域を超えて犯行に及ぶ事案が増えている。
      • 原文 November 26, 2020, Dryad Global(若林健一)
    • 【6】 EU: 振興すべき水素の範囲を巡って対立する欧州諸国
      • 欧州委員会が7月に発表した水素戦略では、風力/太陽光といった再生可能エネルギーから生産される「再生可能水素」に重点を置き、2030年までに最大1000万トンのGreen Hydrogen(GH)を生産可能な電解槽の整備を提案した一方で、GHの生産体制を整えるには時間を要すことも認めており、短期間に水素の生産規模を拡大する間、炭素回収・貯留技術を併用して、暫定的に化石燃料を原料とすることもやむをえないとしている。11月27日には、EU加盟国の代表部大使が集まり、12月の理事会で最終決定される予定の「欧州における水素市場を創設する計画」について話し合われたが、現在の議長国である独は、原子力および天然ガスも水素の原料として認めるべきという仏・蘭・旧東欧諸国の意見も取り入れて理事会決定案を提案した。プレス向け資料によると、文書には支援すべき水素として「安全で持続可能な水素」というあいまいな表現が採用されていたが、この表現について明確な定義はなく、デンマーク・ルクセンブルグ・スペイン等の諸国は、あくまでGHに限って支援すべきとして原子力/天然ガス事業への支援に反対している。
      • 原文 November 27, 2020, EURACTIV(植木エミリ)
    • 【7】 GHG削減/短期的対策の包括的な影響評価運営委員会の委員推薦について C.L. 4343
    • 【8】 クリスマスを前に大学生を対象とした集団検査が全国でスタート
      • 学生が家族とクリスマスを過ごすために帰省することによりコロナウィルスの感染が拡大することを防ぐために、大学生を対象にしたコロナウィルスの集団検査が全国130ヵ所の大学で開始された。検査は強制ではないが、学生は検査の精度を上げるために3日の間隔を空けて2回検査を受け、2回目の検査で陰性が確認できれば24時間以内に目的地に移動することが推奨されている。検査結果は1時間ほどで判明するが、検査の結果陽性が確認された場合は移動せずに自主隔離を実施する必要がある。各大学はスポーツホールなどに検査会場を設置し、多くの職員や学生を動員して検査を実施しているが、急ごしらえの対応により混乱が生じるとの懸念や、すべての学生が検査を受けられる体制が整っていないとの指摘もある。また、検査数が多いことや安全対策の遵守など運用面での課題も多い。

        ※11/29の英国の感染者数:12,155人(日本2,688人の4.5倍、緊急事態解除基準47人の259倍)
        ※11/29の英国の死者数:215人(日本32人の6.7倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 November 30, 2020, BBC (若林健一)
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