2019/08/13LROニュース(6)

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  • 2019.08.14 UP
    2019/08/13LROニュース(6)
    • 【1】中国による比国内の戦略拠点に対する大規模投資計画が波紋
      • 【1】今年初めに、韓進重工業の現地法人が経営していたスービック湾にある経営破綻した造船所を中国企業が買収する動きを見せたが、比国防相が安全保障を理由にこれに異を唱え、今後米国と豪の企業も参加した合弁企業が引き継ぎ、比海軍も同施設の大部分を利用できる計画となっている。一方で、南シナ海と西太平洋を結ぶルソン海峡に位置し台湾にも近い比ルソン島北部のカガヤン州に属するフガ島や、かつて米軍基地がおかれたスービック湾の入口に位置し、スカボロー礁からおよそ260㎞の距離にあるグランデ島及びチキータ島では、地元行政庁の監督の下で中国企業の多額の投資による開発事業が進められている。このような動きに対して、比の国防関係者からは、中国の台湾に対する姿勢や南シナ海における行動を踏まえて安全保障上の懸念から反対の意見が示されており、比国防相は国防当局へ何ら相談もないまま事業を進める地元企業に対して事業の中止もあり得ることを示唆した。
      • 原文 August 8, 2019, Asia Times(若林健一)
    • 【2】EMSA: 2017年におけるEUの船員統計を発表
      • 【2】8月7日、欧州海上保安庁(EMSA)が2017年におけるEUの船員統計(2017 data STCW-IS)を発表したところその概要は以下のとおり。①2017年末現在で、EU諸国(アイスランドとノルウェーも含む。以下同じ。)の発行した船舶職員証書(Certificates of Competency:)を保有する船舶職員は202190人、EU以外の国が発行しEU加盟国が承認した証書を保有する船舶職員が87810人であった。②EU諸国が発行した証書を保有する船舶職員を国別で多い順にみると、英国(30833人)、ポーランド(20138人)、ギリシャ(18935人)、イタリア(15154人)、ノルウェー(14696人)となっている。③非EU諸国が発行した証書を保有する船舶職員については、マルタ(52938人)、サイプラス(23233人)、英国(13632人)、ノルウェー(10754人)、オランダ(9532人)となっている。
      • 原文 August 7, 2019, EMSA(長谷部正道)
    • 【3】世界的な海面の上昇は1960年代から始まったことが判明
      • 【3】気象衛星による観測が1992年に開始されて以来、グリーンランドや南極の氷河の融解等によって、世界的な海面上昇が加速してきたのが観測されてきたが、この海面上昇がいつから始まり、海面上昇の要因がほかにもあるのかが今までは解明されていなかったが、8月5日に、Nature Climate Change誌に発表された独のジーゲン大学や英国立海洋学センター(National Oceanography Centre: NOC)の科学者たちによる研究によれば、海面上昇は1960年代から始まり、陸上の氷河の融解に加えて、海水温の上昇による海水の体積の膨張が海面上昇に寄与していることが分かった。NOCは、もし地球の気温上昇が2℃以内に抑え込むことができなかった場合、海面上昇の結果、2100年までに地球全体で11兆ポンドの損失が発生するとする報告書を昨年発表している。
      • 原文 August 5, 2019, NOC(長谷部正道)
    • 【4】南シナ海:今回は中国の挑発に対して毅然とした対応をとったベトナム
      • 【4】今年5月にベトナムは、日本企業を下請けとするロシアとベトナムの合弁石油会社ロスネフチに対し、ベトナムが主張する排他的経済水域内に位置するバンガード礁付近での掘削開始を許可したが、中国は当該海域が自国の管轄海域に属するとして調査船や巡視船を展開させた。2017年7月と2018年3月に、中国がベトナムに対して係争海域の資源開発をやめなければ武力行使も辞さないと脅しをかけたときは、ベトナムは中国の挑発を見て見ぬふりをして一歩退いた。2018年には、スペインのエネルギー企業のRepsolと共同で2億ドルをかけて取り組んだ自国の排他的経済水域内における石油・ガス開発事業を中国の圧力を受けて廃止した。しかし今回は、これまでの対応が中国の姿勢をより積極的にさせたという反省と米国を含む多くの国からの支持を背景に、中国に対して公に正式な中止要請を行うとともに排他的経済水域及び大陸棚の権利を主張して国際社会に協力を呼びかけ、近隣海域におけるロシアとの共同開発調査を9月末まで継続すると明言した。
      • 原文 August 6, 2019, Asia Times(若林健一)
    • 【5】ホルムズ海峡:イラン側がGPS妨害装置等も使用か?
      • 【5】米国海事局(The US Maritime Administration)は8月7日、ペルシャ湾、ホルムズ海峡及びオマーン湾を航行する船舶に対して、何ら警告なくGPS装置の電波妨害、無線によるなりすまし、その他の通信装置の電波妨害を受ける可能性があると注意を呼びかけた。最近になり少なくとも2隻の船舶がGPS装置の電波妨害を受けたとの報告があり、また、米国やその同盟国の艦船を名乗った無線のなりすまし事案が複数の船舶から報告されており、これらは航行する商船の拿捕を狙うイランによる仕業とみられ、同国はホルムズ海峡付近にあるアビュー・ミューザ島にGPSの電波妨害装置を配備しているとの情報もある。
      • 原文 August 7, 2019, New York Post(若林健一)
    • 【6】ジブラルタル海峡運航の自由なしでは英国籍船の安全運航を保証せず
      • 【6】8月6日、イラン大統領は、「英国がジブラルタル海峡におけるイラン籍船の安全な運航を保証しない限り、イランは英国籍船のホルムズ海峡における安全運航を保証しない。」と語った。イラン籍のVLCCがジブラルタル政府に7月4日拿捕された後に、7月19日に英国籍船が23人の船員とともにイランに拿捕されたままとなっている。英国籍船主は既に英国のEU離脱問題の影響を受けていたが、約1/3の英国籍船がイランから標的とされるのを恐れて、他国船籍に転籍する見込み。米国主導の有志連合には、英国がすでに参加を表明したほか、中国・イスラエル・豪が参加を検討しているとされている。
      • 原文 August 7, 2019, Splash 247(長谷部正道)
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