2021/03/02LROニュース(7)

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  • 2021.03.03 UP
    2021/03/02LROニュース(7)
    • 【1】EMSA:2020年の油防除訓練等に関する年次報告を発表
      • 【1】欧州海上安全庁(EMSA)は、欧州議会及び理事会の規則(No 1406/2002)に従って、欧州の海域において、様々な汚染対応業務(PRS)を実施しており、これには、事案の発生に備え待機する油防除対応船の確保、防除資機材支援業務(EAS)の体制整備、油処理剤の備蓄、化学物質の専門家によるネットワークの確保が含まれる。PRSは、海上の船舶や石油・ガス掘削施設からの油や化学物質の漏洩事故に対応するEU加盟国、船主や施設の管理者、欧州委員会からの要請によって利用可能となり、2020年末現在で、17隻の油防除対応船(うち8隻は無人航空機(RPAS)を搭載)、油処理剤の備蓄基地8カ所、および4つのEASが利用可能となっている。EMSAが要求する汚染対応のレベルを常に維持するために、契約防除実施者はEMSAによる定期的な訓練や資機材の状態確認(ECT)を受け、演習を実施し、ガイダンスに従って評価を受ける必要がある。2020年はパンデミックによる渡航制限などによりEMSAによる直接的な管理が難しい年であったが、契約防除実施者の協力などにより、加盟国主催の訓練の回数は減少したもののEMSAによる訓練等の回数は前年と同レベルを維持し、その結果、全体としてPRSの利用者が期待するレベルを維持していることが確認された。EMSAは2009年以降、化学物質が関連する事案が発生した場合に加盟国が専門家の助言を得られる体制(MAR-ICE Network)を24時間確保しており、加盟国が利用手続きに慣れるための演習も毎年実施している。
      • 原文 March 1, 2021 欧州海上安全庁(若林健一)
    • 【2】ドローンを利用して潮力タービンの最適な設置場所を探る計画が始動
      • 【2】スコットランドのHighlands and Islands大学の研究者を筆頭に、スコットランドとウェールズの複数の大学により、ドローンを利用して潮流を測定し、潮力発電タービンの設置に最適な場所を特定するための共同研究計画が発足した。海洋再生可能エネルギーサイトでの表層海流の検証(Validating surface currents at offshore renewable energy sites:V-SCORES)と名付けられた当該計画は、プリマス大学が主導する900万ポンド(約13.9億円)規模の工学・物理化学研究評議会プロジェクト、Supergen Offshore Renewable Energy Hubの資金提供を受け、ドローンによって海水の動きを撮影し、海洋再生可能エネルギーの開発に重要な水流の速度を測定する。研究者によると、現在潮流を測定する方法は測量船を使用するか、海底センサーを設置する方法に依存しており、これらの手段は時間がかかるうえに高額であるという。研究チームはスコットランド北部のペントランド海峡やウェールズのRamsey Soundの様々な天候下でテストを実施する予定で、この実験によって、水中潮力タービンの設置場所を特定するためのより低コストで、簡単かつ効果的な方法が提供されると期待されると共に、測量船の適切な利用ができない遠隔地や開発途上国での利用機会を生み出し、海洋再生可能エネルギーの開発に社会全体的なアプローチができない地域を支援できると見込まれている。
      • 原文 March 2, 2021 Offshore Energy(植木エミリ)
    • 【3】EEXI規制によるタンカー部門の選択と課題
      • 【3】既存船への燃費性能規制(EEXI)は未施行であるが、その影響は既に業界全体で感じられており、タンカー輸送部門においては商業的、技術的、安全性の面で重大な課題をもたらすと認識され始めている。世界のタンカーの70%がEEXIの適用を受けることになり、国際海事機関(IMO)のガイドラインに従いEEXIを測定する必要がある。米国船級協会(ABS)の分析によると、7,000隻近くのタンカーが目標のEEXI値を満たすために何らかのオプションを検討する必要があり、これにはエンジン出力の制限(EPL)が含まれ、さらに不十分な場合にはエネルギー効率技術(EET)の追加を検討する必要がある。商業的な面では、データの不足から全体的な影響を定量化できないが、EPLによりタンカーが輸送契約上の要件を満たせなくなる可能性もあり、老朽化した船舶は技術的に可能でも費用対効果の面から廃船にする選択肢もあり得る。また、EPLを適用した場合、使用率の低下により収入が減少する可能性もありる。さらに、用船者による指示が船舶を不遵守に追いやる可能性があるため、用船者と船主の連携がこれまで以上に重要になる。運用面では、荒天時の航海で予備出力が必要となり船舶がEPLから離脱する場合にその影響を船級協会や旗国に報告する必要や、復旧した場合の証明が必要になる。また、EPLの適用により主機を低出力で運転することで保守管理の費用が増加することも懸念される。安全面では、速力の低下による操縦性の低下が懸念され、船舶が商業的に実行可能で、運用上安全であるために、EPLとEETの最適な組み合わせが重要である。
      • 原文 March 2, 2021 Splash (若林健一) 
    • 【4】ロッテルダム港と米最大のエネルギー輸出港がMOUを締結
      • 【4】米最大の原油輸出港であり、テキサス州及び米国経済の主要な原動力であるコーパス・クリスティ港と、欧州有数のハブ港湾であるロッテルダム港は2月25日、国際的に重要な二港が協力して、より良い海上業務を実現するためのMOUを締結し、内容には、貿易と商業的機会の共同開発・情報交換の促進・特に航行の安全と環境保護に関連した革新的技術の開発と展開の促進といった共通の目標が盛り込まれた。2015年に12月に米国連邦議会が国際市場への原油輸出禁止を解除して以来、コーパス・クリスティ港は同国の原油輸出をリードする存在であり、総収入トン数でも米国最大となっている。2020年には、主に原油・LNG・農業輸出に牽引されて1億5,970万トンの貨物を取り扱い、年間トン数記録を4年連続で更新した。同港の世界のエネルギー市場における存在感は増し続けているが、環境・社会・ガバナンス的な政策にも力を注いでいる。一方ロッテルダム港も、2020年は4億3,680万トンの貨物を取り扱い、年間約3万隻の外航船と10万隻の内航船が寄港している。ロッテルダム港もコーパス・クリスティ港同様に、炭素回収・貯留(CCS)技術・港湾の事業やパトロールにハイブリッド・電気または水素を動力源とする車の仕様や、法定環境要件の基準を上回っている外航船への費用の割引を提供するなど、CO₂排出量を削減し、環境保護を強化するための積極的な取り組みを行っている。
      • 原文 February 25, 2021 Port of Rotterdam(植木エミリ)
    • 【5】IMOのREMPECがイスラエルの油防除を支援
      • 【5】国際海事機関(IMO)が管理する地域海洋汚染緊急時対応センター(REMPEC)はイスラエルからの支援要請を受け、同国の海岸に大量のタールが漂着した件に関して対応の支援を実施している。2月23日時点で回収されたタールの量は1,000㎥に達しており、イスラエルを襲った最悪の環境被害の一つに数えられる。漂着したタールは、暴風雨となった2月11日に沖合約50kmに位置する船舶から流出した油であると考えられているが、排出源の特定には至っていない。REMPECは、過去3週間における汚染を報告するよう近隣諸国に求めたが、汚染を報告した国はなかった。また、REMPECの地中海支援ユニット(MAU)は、MAUのメンバーであるMONGOOSの漂流予測モデルの結果を使用して、近隣諸国への潜在的な影響の評価に取り組んでいる。REMPECはレバノンの海岸での汚染の報告を受け、レバノン当局とも連絡を取っている。
      • 原文 February 26, 2021 SAFETY4SEA (若林健一)
    • 【6】オマーン湾での爆破事故によって中東諸国間の緊張が高まる
      • 【6】イスラエルの首相は3月1日、サウジアラビアからシンガポールに向かうためオマーン湾を航行していた同国の車両運搬船Helios Rayが、2月25日未明から26日の朝にかけて海上で爆発し、船体に複数穴が開いた事件について、イランが関与していることは明白であるとして同国を非難した。イスラエルのメディアは、同国が先週末に報復としてシリアに向けミサイルを発射したと報じているが、これについてイスラエル軍からのコメントはなかった。同船の乗組員にけがはなく、現在は修理のためドバイに停泊している。イラン・イスラエル間の関係は、イラン核合意への復帰の意向を示す米国によって緊張感が高まっている。米国は2018年の離脱後対イラン制裁を強化してきたが、その後イランは濃縮ウランの製造を制限するという合意内容から徐々に逸脱しており、イスラエルは米国の復帰により、イランが核兵器保有に近づく懸念があるとして反対の立場を示していた。イラン外務省の報道官は、今回の爆発事件の背景にはこうした核合意を巡る摩擦があるとするイスラエル側の主張を断固否定し、イラン側もイスラエルに対し、同国が2020年7月にイランの核施設に破壊工作を行ったことや、11月に同国の著名な核科学者をテヘラン近郊で暗殺した事件などについてイスラエルを糾弾している。
      • 原文 March 1, 2021 gCaptain(植木エミリ)
    • 【7】変異種の国内流入を防ぐための規制対象国のリストは十分か?
      • 【7】英国政府は、新型コロナウィルスの変異種による感染リスクが高いとする30以上の国を「レッド・リスト」の対象とし、これらの国からの直行便の到着を禁止し、過去10日間にこれらの国での滞在歴がある入国者に対しては政府が指定するホテルで10日間の隔離措置を義務付けている。しかし、世界保健機関(WHO)によると、英国内で新たに感染が確認されたブラジルのマナウス由来の変異種(P.1)については、日本、米国、仏、独など、レッド・リストに含まれない15カ国でも感染事例が確認されており、さらにその他の国でも感染が確認されているとの報告もある。英保健相は、これらの国でのP.1への感染件数は非常に少ないとしているが、変異種の国内への流入を防止するためには、現在のレッド・リストでは不十分であるとの懸念を示す専門家もいる。
        ※3/1の英国の感染者数:5,455人(日本999人の5.5倍)
        ※3/1の英国の死者数:104人(日本人27の3.9倍)
      • 原文 March 2, 2021, METRO  (若林健一)
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