2021/03/01LROニュース(7)

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  • 2021.03.02 UP
    2021/03/01LROニュース(7)
    • 【1】 EEXI規制の基準を満たすばら積貨物船の割合は現在3割程度
      • 既存船舶への燃費性能規制(EEXI規制)に関しては、昨年11月に国際海事機関(IMO)で開催された第75回海洋環境保護委員会(MEPC75)において、同規制を導入するための海洋汚染防止条約(MARPOL条約)附属書Ⅵの改正案が承認され、本年6月に開催予定のMEPC76において同改正案が採択された場合、2023年に発効することになる。ばら積貨物船が全船舶に占めるトン数の割合は35%で、昨年は推定約1億6千万トンのCO2を排出しており、これは世界の総排出量の約0.5%、海運業界の総排出量の約20%に相当する。一方で、ばら積貨物船が世界の海上貿易の輸送量に占める割合は約50%で、これはコンテナ船の3倍以上に相当するが、ばら積貨物船は2008年以来平均速度を18%低下させており、CO2の排出量はコンテナ船と比較して600万トン少なく、さらに、昨年は輸送需要が40%増加したにもかかわらず、CO2排出量は2010年のレベルを僅かに下回った。しかし、調査を実施したClarkson Research Servicesは、現在ばら積貨物船のうちEEXI規制に適合するエコな船舶の割合は3割程度にとどまっており、既存船舶の緊急的な改修や大幅な代替が必要になるとしている。現在代替燃料を使用できるばら積貨物船は7隻のみであるが、発注済みの新造船の4.5%(13隻)はLNGを燃料とすることができる。同社の報告によると、現在、ばら積貨物船が入港する世界中の約1,800の港のうち、LNG燃料を供給できるのはわずか77港にとどまっている。
      • 原文 March 1, 2021 Splash (若林健一)
    • 【2】 SEA-LNG:バイオLNG燃料はポセイドン原則下での資金調達に有利
      • ポセイドン原則(Poseidon Principles:PP)は、船舶金融を通じて海洋の脱炭素化を促進し、ポートフォリオにおける気候変動との整合性を評価・開示する枠組みであるが、舶用燃料としてのLNGの利用を推進している業界団体SEA-LNGは、LNGとバイオLNGを混合した舶用燃料は、PPにおいて船舶が資金調達を行う上でその資格をより得やすくなると主張している。PPでは、2050年までに船舶からのGHG排出量を50%削減するという目標に従い、年間効率比(AER)という基準を用いて目標に対する進捗状況を測定しているが、SEA-LNGによると、LNGにバイオLNGを10%混合することによって、当該燃料を使用する船舶はAERの遵守を2年以上維持することが可能であり、LNG単独で達成された平均7年間の競争優位性が更に拡大されることになるという。バイオLNGは既存のLNGインフラおよび技術への完全な互換性を有しているため、SEA-LNGはバイオLNGを現時点で最も実行可能な脱炭素化手段の一つであるとしている。LNGは燃料の生産から消費までのGHG排出量を最大21%、消費時に排出されるGHGを最大28%削減可能であるが、バイオLNGは家庭ごみや農業廃棄物から製造される場合、その過程で強力なGHGであるメタンを回収することができるため、こうした点は代替燃料について議論する上で重要とSEA-LNGは指摘している。
      • 原文 February 26, 2021 Offshore Energy(植木エミリ)
    • 【3】 米国沿岸警備隊がフィリピン海でIUU漁業の取締りを実施
      • 米国沿岸警備隊(USCG)はハワイを基地とする巡視船Kimballをフィリピン海に2週間にわたって派遣し、違法・無報告・無規制漁業(IUU漁業)の取締りを実施した。今回の取締りはブルー・パシフィック作戦(Operation Blue Pacific)の一環として、インド太平洋における安定と安全という米国の国家安全保障上の目標を支援するために行われ、フィリピン海での約3,600海里に及ぶしょう戒中に、同船の法執行チームが初めて海上における立入検査を実施し、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)といった漁業取締に関する多国間協力を拡大した。WCPFCは43の国や国際機関で構成され、加盟国は協定で13カ国に対して各国の漁船への立入検査を行い、違反の可能性を記録することを許可することに同意しており、その調査結果はWCPFCに送られ、WCPFCはさらなる調査のために、違反の疑いがあることを当該漁船の旗国に通知する。USCGは、米国と太平洋島嶼国の資源を確保し、主権を保護するために、太平洋全域にわたり違法な漁業活動やその他の脅威と戦っており、違法な漁業活動の取締りは、自由で開かれたオセアニア地域にとって不可欠である海上における統制や法に基づく国際秩序を推進する活動の一部である。また、Kimballはしょう戒中にミクロネシア連邦において小型無人航空機(sUAS)を使用して捜索救助活動の支援も行っている。
      • 原文 February 24, 2021 米国沿岸警備隊 (若林健一)
    • 【4】 地中海油濁事故:容疑をかけられていたギリシャ船の潔白が証明される
      • 2月上旬に地中海沖で発生した油濁汚染事故について、2月4日から11日にかけて地中海沖を航行・待機していたギリシャのタンカー・Minerva Helenに流出元の疑いがかけられていたが、イスラエルとギリシャの検査官が27日にアテネのピレウス港にて当該船舶に抜き打ち検査を行った結果、当該事故と無関係であったことをイスラエル環境省が発表した。当該船舶の運航会社・Minerva Marineは、当初より流出事故との関連性を否定しており、流出事故発生時に船舶に搭載していたのはバラスト水のみで貨物はなかったと説明した。IMOとイスラエル環境省は当初、流出に関与した可能性のある10隻の船舶を特定していたが、同省は27日、調査対象を更に多くの船舶に拡げることも併せて発表した。ヘブライ大学の研究者の分析によると、イスラエル沿岸部を埋め尽くしたタール状の物質は、HFOではなく原油の可能性が高いとしており、流出元となったのは原油タンカーで、船舶から船舶への原油移送中に事故が起きたか流出した可能性を指摘している。イスラエルでは現在、安全を考慮して国内での全ての地中海産の海産物の販売を禁止しているが、一部の漁師はパンデミックで大きな打撃を受けた収入を維持するため、規制を無視して漁を行っている。
      • 原文 February 28, 2021 Maritime Executive(植木エミリ)
    • 【5】 風力発電が2020年のEUの電力量の16%を供給
      • 風力発電は昨年にEUと英国の電力量の16.4%を供給し、風力発電の業界は2050年までに地域の総電力量の50%を生産するという目標に一歩近づいた。現在、欧州では約220 GWの風力発電容量がありドイツがはるかに進んでいる。また、スウェーデンやトルコも増設を進めており、ポーランドでも今後5年から10年をかけて容量の増加が見込まれている。しかし業界関係者は、課題、ロックダウンおよび規制の変更が、さらなる発展を遅らせる恐れがあると警告している。昨年は14.7GW分が新たに操業を開始したが、サプライチェーンの遅延やロックダウンの影響により設備の減少が見られ、陸上では風力発電設備の22%が減少した。また、現在のシナリオでは今後5年間で105GW分が新たに設置されると予想されているが、ロックダウンの影響で79GW分まで低下する可能性があるとの予測もある。さらに専門家は、EU各国は、2030年までのEUの新しい気候目標はおろか再生可能エネルギー目標を達成できるほど野心的ではないと警告しており、目標達成のためには各国は毎年18 GW分を増設する必要があるが、現在の計画では少なくとも3GW分が不足していると述べている。もう一つの課題は風力タービンの老朽化で、今後5年間で約26GW分に相当するタービンが設置後20年以上経過し、このうち1.5GW分が30年以上経過する。新しいタービンは古いものに比べはるかに効率的だが、高さ制限の規則によって交換の許可を得ることが難しい場合があり、7GW分が失われると予想されている。
      • 原文 February 25, 2021 EURACTIV (若林健一) 
    • 【6】 AMOCの弱体化で西欧州の気候が大きく影響を受ける可能性
      • AMOCとして知られる大西洋深層循環は、メキシコのガルフ湾から北大西洋に向かって暖かい表層水を運び、北アイルランドに沈むまでに冷えて塩分濃度を増したのち、カリブ海から多くの暖かい海水を引き出す世界最大の海洋循環システムの一つで、アイルランドや英国をはじめとする西欧州に穏やかで湿潤な気候をもたらしている。2月27日にポツダム気候影響研究所等の研修者がNature Geoscienceに発表した研究によると、AMOCの循環は過去千年以上の間で最も弱まっており、更なる弱体化が進むと英国はより多くの暴風雨や厳しい冬の寒さに見舞われ、欧州全体で深刻な熱波・干ばつの被害が出る可能性があることが明らかになった。研究者達は長年、AMOCの弱体化は温暖化が原因と想定しており、AMOCが完全に崩壊する懸念も提唱してきた。循環は既に15%鈍化してその影響も現れ始めており、更なる温暖化が進めばAMOCは今世紀末までに34-45%弱体化し、循環システムが取返しのつかないほど不安定になる「転換点」に近づく可能性があると予想されている。AMOCの大部分を占めるメキシコ湾流は、北極圏の気温上昇と共に、北極の氷が融解すると大量の冷水がグリーンランド南部に流れ込んで海流を妨害するという影響も受ける。こうしたAMOCの弱体化は欧州や米国東海岸でより多くの異常気象を発生させるだけでなく、大西洋の海洋生態系にも深刻な打撃を与え、魚類の個体数や海洋生物にも影響を与える恐れがある。
      • 原文 February 26, 2021 The Guardian(植木エミリ)
    • 【7】 英国内でブラジル由来の変異種への感染事例が6例確認される
      • 2月28日、ブラジルのマナウスで発見された新型コロナウィルスの変異種への感染事例が英国内で初めて確認された。英国公衆衛生庁(PHE)によると、同変異種への感染事例は既にイングランドで3件、スコットランドで3件の計6件確認されており、これまでのウィルスと比較して感染力がより強く、既存のワクチンによる効果も低い可能性が指摘されている。イングランドで確認された感染事例3件のうち2件は同世帯から感染者が確認されており、政府が同国からの入国者に対して指定場所での隔離を義務図ける前の2月中旬に帰国した感染者が、家族がいる自宅で隔離を実施した結果感染が広がったとみられている。残りの1件については、感染者が検査の際に登録を完了させていなかったことから所在の特定にすら至っていない。
        ※2/28の英国の感染者数:6,035人(日本1,214人の4.9倍)
        ※2/28の英国の死者数:144人(日本人53の2.7倍)
      • 原文 March 1, 2021, Evening Standard  (若林健一)
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