2021/01/19LROニュース(7)

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  • 2021.01.20 UP
    2021/01/19LROニュース(7)
    • 【1】 Equinor社が荒天下での浮体式洋上太陽光発電パネルの実証実験を計画
      • 【1】ノルウェーのエネルギー企業Equinor社は、Moss Maritime社と協力して、荒天下において浮体式洋上太陽光発電パネルが受ける影響を検証するために、2021年の夏からノルウェーのトロンハイムの沖合に浮体式洋上太陽光発電パネルを設置することを計画している。設置を予定している太陽光発電パネルの大きさは約260平方フィートで、海面上10メートル以下の高さに設置する。ノルウェーの沿岸や大陸棚は、石油・ガス開発や風力発電においては世界的にも有数の好条件である一方、太陽光発電については条件的に他の地域の方が適しており、実験の主な目的は発電量の検証ではなく、気象・海象が洋上太陽光発電パネルに与える影響を検証することにある。Equinor社の技術開発責任者は、ノルウェー沿岸の厳しい環境に耐えることが出来れば、他のどの海域の環境にも耐えることが出来るだろうと述べている。同社は少なくとも一年間の検証を実施するためノルウェー水資源・エネルギー庁に申請を提出している。今回の実証実験は同社にとって太陽光発電に関する3つ目のプロジェクトで、同社は既にスリランカ沖合の平穏な海上で発電量に着目した検証実験を実施しており、また、オランダの湖では3つの異なるタイプの浮体式太陽光発電施設の実験を進めている。
      • 原文 January 15, 2021, The Maritime Executive (若林健一)
    • 【2】 パナマ運河の混雑は3月まで継続する可能性
      • 【2】パナマ運河の渋滞・供給不足・アジアでの需要逼迫により、LNGの価格と輸送費は記録的に高騰し、現在米国からパナマ運河を経由したアジアへのLNG輸送には2週間前後を要している。パナマ運河当局は1月4日、混雑解消のため、通航の80日~15日前までにLNG輸送船が通航スロットを1つではなく2つ予約できるよう変更し、また直前のキャンセルによって通航の数日前に空きが出たスロットをオークションで譲渡する制度も導入しており、現在までに5回入札が行われ、4つのスロットがLNG輸送船により落札された。しかし、こうした輸送速度を上げるための措置にも関わらず、混雑は北半球の気温が上昇し、暖房の需要が緩和する3月まで続くと見込まれている。米国からアジアへのLNG輸送の代替策としては、南アの喜望峰を周回する航路があり、当該航路によるアジアへの航海日数は38日前後を要するため、通常LNG輸送船は利用を避けているが、Energy Aspectsの調査によると、12月に米国からアジアへ出発したLNG輸送船の約3分の1が喜望峰航路を利用したという。
      • 原文 January 14, 2021, gCaptain(植木エミリ)
    • 【3】 米国防総省の試験無人運航船が4,700海里の航海を行い洋上演習にも参加
      • 【3】米国防総省戦略的能力室(Strategic Capabilities Office:SCO)は米海軍と共同で、自律運航船を海軍の艦隊に取り入れるための取組みの一環として、2018年後半からGhost Fleet Overlord計画を進めているが、今回その試無人運航験船Ghost Fleet Overlordがメキシコ湾沿岸からカリフォルニア沿岸までの4,700海里以上に及ぶ航海を行い、航海に要した時間のうち約97%を自律運航にて航行することに成功した。同船には乗組員も乗船していたが、乗組員が操作したのはパナマ運河通航時など僅か数回だけで、作戦司令や操作は海軍で無人運航船の開発を担当する部隊Surface Development Squadron One(SURFDEVRON ONE)が遠隔で実施した。カリフォルニア沿岸に到着後、同船は海軍と海兵隊が合同で実施する海上演習Dawn Blitzに参加し、衝突回避や船位の保持など国際規則に則った行動ができることを実証した。また、同船は今回の演習で初めて米海軍艦船と相互連携を図り、演習全体の98%にあたる130時間以上、約950海里を自律運航にて航行した。Ghost Fleet Overlord計画は、既存の2隻の民間船を無人運航船に改修して試験を実施しているもので、昨年9月から第2段階に進んでいる。SCOは2021年度末までに、この2隻のGhost Fleet OverlordをSURFDEVRON ONEに移管する予定で、米海軍はこの2隻に加えてさらに2隻のGhost Fleet Overlordを取得して無人運航システムの試験や艦隊としての実験を進める予定。
      • 原文 January 16, 2021, The Maritime Executive (若林健一)
    • 【4】 米国土安全保安省が初の北極戦略を発表
      • 【4】米国では、2019年に米国防衛省とUSCGが新たな北極圏戦略を発表し、2020年には米空軍が初の北極圏戦略を発表したが、この度国土安全保安省(DHS)は、過去数年にわたって各省庁や北極圏の米国政府利害関係者と共に発表してきた北極関連の政策文書を踏襲し、同省の北極圏地域における役割を概説する初の北極圏戦略「北極圏の国土安全保障のための戦略的アプローチ(Strategic Approach for Arctic Homeland Security)」を発表した。戦略によると、DHSは「北極圏地域全体での米国の経済的繁栄、安全・危機管理を前進させるために必要な条件を創出しつつ、同盟国らと顕密に協力・調整し、同等の競争相手に対抗するため必要な人材育成と能力の構築を通して」北極圏における戦略的環境を形成するうえで重要な役割を果たすとしている。また同省が実現を目指す戦略的目標として、①永続的なプレゼンスと全ての領域における状況把握②北極圏へのアクセス・対応の強化および国土強靭化③国内的又は国際的な関与と協力を通じた北極圏の統制と規則に基づいた秩序の促進の3つを挙げている。戦略では、DHSが取り組むべき課題には物理的環境の変化に起因するものも含まれるとしているが、気候変動に関する記述は省かれている。
      • 原文 January 15, 2021, HIGH NORTH NEWS(植木エミリ)
    • 【5】 原油価格の高騰に伴いHFOとLSFOとの価格差が拡大
      • 【5】昨年9月上旬から原油価格は41%上昇し、1バレル55ドルとなっており、サウジアラビアによる原油の追加減産の表明により先週の1週間だけで8%上昇した。同じ期間で、スクラバー搭載舶が使用する重油燃料(HFO)の価格は36%上昇し、1トン当たり327ドルとなっている一方、国際海事機関(IMO)の規制に適合する低硫黄分燃料油(LSFO)の価格はより原油価格に近い形で43%上昇し、1トン当たり403ドルとなり、1トン当たりの両者の価格差は41ドルから76ドルに拡大し、LSFOを使用する船舶にとって著しいコスト増加が生まれている。スクラバー搭載船であったとしても、スクラバーの使用を規制する港に入港する場合は、使用する燃料をLSFOに切り替える必要がある。The Loadstarの調査によると、荷主は早ければ2月1日からLSFOサーチャージが増額されるとの警告を受けているとされるが、契約条項に従って自動的にバンカーサーチャージが増額される荷主もいると思われる。既に輸送コストの高騰に苦しむ荷主やフォワーダーからは、パンデミック当初石油価格が下落した際にはサーチャージの廃止に二の足を踏んだのと同様に、船会社は今回サーチャージの増額を控えることもできるはずであるとの声も聞かれる。運航する船舶の多数をスクラバー搭載船が占めるMSCやEvergreenなどは、HFOとLSFOの価格差の拡大によって、スクラバーに対する投資をより早期に回収することが期待できる。
      • 原文 January 15, 2021, gCaptain (若林健一)
    • 【6】 2050年までの炭素中立のため再生可能エネルギーへの投資を強化する韓国
      • 【6】2020年10月、韓国の文大統領は2050年までの炭素中立を目指すことを宣言し、選挙公約であった韓国版Green New Dealを政策に組み込んだ。世界第4位の石炭輸入国である同国が炭素中立を実現するには、石炭の撤廃とクリーン技術の促進が不可欠である。12月には、国内の発電/農業/交通分野の脱炭素化のため、太陽光/風力発電とともに水素の利用を柱に据えた戦略を国連に提出し、世界最大級の浮体式洋上風力発電事業の実施や、2026年までに洋上風力発電能力を4.6GWにすることを目指している。またGreen New Dealの一環として、2025年までに113万台の電気自動車、20万台の水素自動車の普及を目指しており、同国の大手石油会社のSK Groupは、米の電気自動車用の水素電池メーカーであるPlug Powerへの15億ドル(約1558億円)の投資を発表した。しかし、依然として同国にとって石炭は大きな問題であり、戦略では全ての石炭火力発電所を廃止または燃料をLNGに置き換えるとしているが、石炭火力発電をいつまでに終了するかは明確に定めておらず、現在同国内で建設中の石炭火力発電施設の規模は7.2GWにのぼっている。
      • 原文 January 14, 2021, Climate Home News(植木エミリ)
    • 【7】 ジョンソン首相が市民に対して改めて自宅待機を要請
      • 【7】ロンドンの病院に入院して治療を受けている新型コロナウィルスの感染者の数が記録的な数字に達している。昨年春の感染拡大の第一波における入院患者数は4月9日がピークで5,201人、人工呼吸器を必要とした患者数は4月10日がピークで1,057人であったのに対し、今年1月18日現在の入院患者数は7,917人、人工呼吸器を必要とする患者の数は1,220人となっている。この状況を踏まえジョンソン首相は、現在も多くの感染者が発生しており外出することは非常に危険であるとし、辛いことは理解するが医療機関にこれ以上負担をかけないためにも規則に従って自宅に留まることを継続して欲しいと述べ、改めてロンドン市民に対して協力を要請した。

        ※1/18の英国の感染者数:37,535人(日本5,759人の5.5倍、緊急事態解除基準47人の821倍)
        ※1/18の英国の死者数:599人(日本55人の10倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 January 19, 2021, METRO (若林健一)
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