2020/12/17LROニュース(7)

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  • 2020.12.17 UP
    2020/12/17LROニュース(7)
    • 【1】 欧州首脳会合で天然ガスを炭素中立への過渡的燃料として容認
      • 【1】12月11日、EU首脳会合において、2030年までのGHG削減目標を、1990年実績比で40%減から55%減に引き上げることが合意され、さらに「EU全体としての2030年までの削減目標を達成するために、過渡的なエネルギーとしての天然ガスを含むエネルギーの構成や適切な技術の選択については各加盟国が独自に決定する。」と決定文書(EUCO 22/20)に明記された。石炭への依存率が高いポーランドや独にとっては、天然ガス火力発電所は石炭火力発電所と比較して約半分のCO₂しか排出しないので、天然ガスは過渡的な燃料として理想的であると天然ガス支持派は主張しているが、天然ガスにとってより強みとなるのは、天然ガスのために建設されたインフラが将来的には、バイオメタンや水素ガスといった新たなガスにも使用できるという点である。現在の技術を利用すれば天然ガスから水素を製造する際に発生するCO₂を90%回収したBlue Hydrogenの生産が可能で、将来的には100%のCO₂の回収も可能となるという見方もある。2019年には、欧州全体で石炭火力発電が24%減少したが、天然ガス発電と再生可能発電が半分ずつ石炭火力発電減少分を代替した。
      • 原文 December 14, 2020, Euractiv(長谷部正道)
    • 【2】 EU ETSの負担軽減のために非EU国の近隣港湾に寄港する経済的得失
      • 【2】交通と環境 (Transport & Environment: T&E)が標記分析を行った報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①欧州委員会は、現在EU排出権取引制度(ETS)の適用から除外されている海運をETSの適用対象とした場合、適用の対象となる航海をEU域内間のものに限定するか、EU域外国とEUとの間の航海も含むか検討を行っている。②仮に、後者をETSの対象にした場合に、例えば米国からスペインに直行せずに、途中でモロッコに寄港すれば、EU ETSの対象となるのはモロッコとスペインの間のみとなり、排出権購入額が大幅に節約できるので、そうした脱法行為が起こるのではないかと懸念されている。③T&Eは多くの港湾間の組み合わせを基に、節約効果を試算したところ、途中で寄港することに伴う追加の燃料費や港湾料金などに相殺されて、経済的な節約効果は排出権購入額の7%に過ぎなかった。④仮に、域外国に対する主権侵害を避けるため、ETSの対象を域外国とEU間の航行距離の半分に限定した場合は、節約分はすべて追加コストで相殺されることが分かった。⑤排出権購入コストをCO₂1トン当たり30ユーロ(約3780円)とすると、仮に域外国とEUとの間の航海全部がETSの対象となった場合でも、排出権のコストが全運航コストに占める割合は2%以下にすぎず、航海距離の半分が対象になった場合は、1%にも満たないことが分かった。
      • 原文 December 14, 2020, 交通と環境(長谷部正道)
    • 【3】 サウジのジェッダ港の錨地でタンカーが攻撃を受け爆発。ジェッダ港閉鎖。
      • 【3】12月14日午前0時40分ころ、紅海に面するサウジアラビアのジェッダ港の錨地で荷揚げ作業中のシンガポール籍タンカーで外部からの攻撃による爆発と火災が発生し、ジェッタ港が閉鎖された。火災は沈下し、同タンカーの乗組員22名に被害はなかったが、左舷5番バラストタンクと左舷4番カーゴタンクに損傷を受けた。また、別の船も被害に遭ったとの情報もあり現在調査が行われている。11月23日には同じく紅海に面するサウジアラビアのAl Shuqaiq港において、フーシ派が仕掛けた爆発物によりマルタ籍タンカーが被害を受けたとの報告もあり、また、Aramcoの燃料貯蔵施設がフーシ派のロケット砲による攻撃を受けている。本件の詳細はまだ明らかでないが、発生場所は通常フーシ派が活動する地域から300海里も北に離れた場所であり、フーシ派の犯行であった場合はその標的範囲や意図に根本的な変化があることを意味する。
      • 原文 December 14, 2020, Dryad Global(若林健一)
    • 【4】 中国がClimate Ambition Summitで新たな気候変動対策を表明
      • 【4】パリ協定合意5周年を機会に開催されたClimate Ambition Summitで、習近平国家主席は2060年までに炭素中立を実現するための中期的な目標として、①2030年までに単位GDP当たりのCO₂排出量を2005年比で65%削減。②2030年までに一次エネルギー消費量に占める非化石燃料の割合を25%まで拡大。③対2005年比で森林資源を2005年比で60億㎥増加。④2030年までに太陽光/風力発電量を1200GW以上に拡大することを表明した。地球の環境と開発に関する政策研究を行っている米国の世界資源研究所(World Resources Institute)の報告書によると、中国はCO₂の排出量を2022年までに安定化させ、2026年以降は減少に転じさせることが可能で、こうした野心的な気候変動対策を採用すれば、今後30年間に渡って5300億ドル(約55兆円)燃料/運転/維持管理コストを節約可能で、更に190万人の早期死亡者を減らし、2050年には1兆ドル(約104兆円)の純経済社会的な利益を生むことが可能であるとされている。
      • 原文 December 12, 2020, World Resources Institute(植木エミリ)
    • 【5】 英国政府:エネルギー白書「Powering our Net Zero Future」を発表
      • 【5】標記白書の中で示された主要政策の概要は以下のとおり。①2030年までに洋上風力発電の発電能力を40GW(浮体式1GWを含む)まで拡大する。②2025年までに2工業地域に炭素回収使用貯留施設(CCUS)を建設するため10億ポンド(約1394億円)を投資し、2030年までにさらに2工業地域にCCUSを整備して、同年までに年間10MtのCO₂を回収できるようにする。③英国独自の排出権取引市場を創設する。④最低1か所の新たな大規模原子力発電所の建設計画について、今国会会期中に最終投資決定まで進める。⑤2025年以降建設される住宅については、環境にやさしいエネルギーを優先するため、ガスの供給を停止することについて協議を開始する。⑥2028年までに、電気ヒートポンプの年間設置台数を3万台から6万台に拡大する。⑦2030年までに3か所の低炭素工業地域を、2040年までに1か所の炭素中立工業地域を作る。⑧2030年までに天然ガスを原料とし、CCUSを併用した低炭素水素を5GW製造する。
      • 原文 December 14, 2020, 英国政府(長谷部正道)
    • 【6】 米エネルギー省:流体力学タービンの開発に3500万ドルを支援
      • 【6】米エネルギー省は、エネルギー高等研究局の潜水海洋/河川キロワット発電システム(SHARKS)開発計画の一環として、11の事業に対し総額3500億ドル(約36億円)の資金援助を行い、米国の潮流・河川流・海洋資源を利用した経済的に価格競争力のある流体力学タービン(HKT)を開発することを発表した。潮流や河川流といった流体力学上のエネルギーは、電力供給システムの安定性を強化し、インフラの脆弱性を軽減することのできる豊富な再生可能資源であるが、発電に使われる他のエネルギー資源と比べると、現状では全く価格競争力がないため、SHARKSの開発チームは、新たなエネルギー効率の高いHKTの設計を目指している。
      • 原文 November 24, 2020, 米エネルギー省(植木エミリ)
    • 【7】 新型コロナウィルスの変異種への感染が急速に拡大
      • 【7】新型コロナウィルスの変異種による感染事例は、首都ロンドンやイングランド南東部のケント州などで確認されていたが既に他の地域にも広がりを見せており、最新のデータでは東部ノーフォーク州で確認された新規感染者数の20%がこの変異種への感染であったことが確認されており、また、スコットランドやウェールズでも感染事例が報告されている。この変異種については、その感染力や免疫機能への影響などについて現在緊急の調査が進められており、重症化リスクやワクチンへの耐性の有無については明らかになっていないが、英保健相はこの変異種がロンドンやイングランド南東部での急速な感染拡大の要因になっている可能性があると述べている。科学者は、感染が拡大するに連れこの変異種がさらなる変異を起こす可能性が高まることから、国民による感染拡大防止のための一層の努力やワクチン接種を加速させることが必要であると訴えている。
        ※12/15の英国の感染者数:18,450人(日本1,677人の11倍、緊急事態解除基準47人の393倍)
        ※12/15の英国の死者数:506人(日本58人の8.7倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 December 15, 2020, The Guardian (若林健一)
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