2020/12/08LROニュース(8)

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  • 2020.12.08 UP
    2020/12/08LROニュース(8)
    • 【1】 EU首脳会合で2030年までの新たなCO₂削減目標について激論も
      • 【1】12月10日からEU首脳会合が開催され、EUの予算案と復興基金について合意を目指すが、ポーランドとハンガリーは既に拒否権の行使をちらつかせている。また同時に、2030年までのCO₂排出削減目標を対1990年実績比で40%削減するという現在の目標を見直し、削減率を最低でも55%に引き上げることも審議される。削減目標を引き上げるためには、再生可能エネルギーの生産設備等に対し、年間3500億ユーロ(約44兆円)の追加投資が必要となる見込み。ポーランド・ブルガリア・チェコなど依然として化石燃料に多く依存している経済的な余裕のない旧東欧諸国は、削減目標の引き上げはこれらの諸国にとって過剰な負担になるとして、首脳会合の最終宣言案を変更して、旧東欧諸国へのより厚い財政支援を明記するよう求めている。もし、今回の首脳会合で排出削減目標の引き上げに合意できなければ、EU排出権取引市場の排出権の取引価格を引き下げ、民間企業による目標引き上げに対応した準備作業を遅らせ、気候変動対策に関する欧州の主導権の信頼性を損なうこととなる。
      • 原文 December 3, 2020, Financial Post(長谷部正道)
    • 【2】 パリ協定の目的達成には大気中からのCO₂回収が必要
      • 【2】2020年に入ってから、マイクロソフトやイケアなどの環境問題に率先して取り組む企業は相次いで2030年までに、carbon negativeを達成すると宣言しているが、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、パリ協定に従い、地球の気温上昇を産業革命以前と比べて1.5℃以内に抑制するためには、GHG排出削減だけでは不十分で、大気中のCO₂を回収する必要があるとしているが、具体的な方法としては、天然の炭素吸収源の活用・天然の炭素吸収能力の強化・新技術開発といった選択肢がある。天然の炭素吸収源を活用する上で、最も簡単な手段としては森林伐採の中止と植樹の促進である。産業革命以前は地球の表面積の46%が森林だったが、無秩序な伐採によって現在は31%まで減少している上、最近では森林火災が頻発・大規模化し、新たな脅威となっている。天然の炭素吸収力の具体的な強化策としては、公園や庭から出る有機廃棄物を乾燥・炭化してbiocharを生産することで、biocharは土壌として使用することができるため、廃棄物を最小限に抑えながら新たな炭素吸収源を確立することが可能である。また海藻は、大気中のCO₂を吸収して、恒久的に海底の土壌に溜め込むことが可能なため、天然の藻場を管理することで気候危機に対処すると共に、海藻の養殖によって将来的な食糧危機の解決にも役立つ可能性がある。
      • 原文 December 1. 2020, Forbes(植木エミリ)
    • 【3】 エネルギーに関する汎欧州ネットワークに港湾の適切な位置づけが必要
      • 【3】2013年に作成されたTrans European Network for Energy (TEN-E) ガイドラインに関する規則を欧州Green Dealの目的に沿う形で見直す作業を、欧州委員会は2020年に入ってから開始し、12月に改正案を公表する予定だが、欧州港湾協会はこの見直しについて見解を発表したところその概要は以下のとおり。①現在の規則の中では、港湾が燃料の輸送や配送に果たす役割が十分に認識されておらず、エネルギー分野の中で積極的な役割をはたしているごく一部の港湾しか、事業の回廊(project corridor)の中で位置づけられていない。②一方、今後の水素エネルギーの発展にあたっては、水素の製造・貯蔵・供給・補給・配送施設や洋上再生可能エネルギーからGreen Hydrogenを生産する施設まで、各港湾当局は大規模な投資を行うという需要な役割を果たす。③従って、欧州委員会が欧州Green Dealに従って、2050年までに炭素中立のエネルギーネットワークの構築を目指すために、TEN-Eに関する規則を見直すにあたっては、欧州の港湾がエネルギー転換に果たす重要性を認識し、新規則の中にきちんと位置付けることを要望する。
      • 原文 December 3, 2020, ESPO(長谷部正道)
    • 【4】 BIMCO: EUの船舶リサイクリング制度は改善したが多くの課題が残存
      • 【4】欧州委員会の「欧州籍船舶が利用できるリサイクル施設のリスト」の改訂版を評価したBIMCOの報告書の概要は以下のとおり。①リストに記載されている施設だけでは、Panamax以上の大型船舶を中心に、EU籍の船舶をリサイクルする十分な処理能力がない。②船舶リサイクル後の鉄くず価格が欧州市場においては、インドの市場と比べて、トン当たり150ドル(約1.6万円)安く、リスト掲載施設でリサイクルするのは経済的なメリットがない。③欧州北部のリサイクル施設では、船舶のリサイクルより利益が上がる洋上オイルリグなどの解体作業を優先している。④トルコの施設のリストへの追加により、大型船舶のリサイクルの道が開かれたが、現在トルコの施設ではより利益率の高いクルーズ船の解体で手いっぱい。⑤インドのリサイクル施設が改善し、国際的な安全・環境基準をクリアできるにもかかわらず、まだリストから除外されている。
      • 原文 December 3, 2020, BIMCO(長谷部正道)
    • 【5】 微小甲殻類が海洋による大気中のCO₂を吸収するメカニズムに関与
      • 【5】海面上の植物性プランクトンと呼ばれる微視的生物は、大気中からCO₂を吸収して有機物を作るが、この活動によって、地球上で生産される有機物質の約半分が生み出されている。この有機物の破片が、海洋学者が「海の雪」と呼ぶ小破片となって海底に沈殿していく。これらの細片は死んだ細胞や、動物の死骸や糞の塊からできており、深海に沈む時に一緒にCO₂も運ぶので、数千年にわたって、海面上のCO₂を海底に固定することになる。このプロセスは、大気中のCO₂の濃度を最高50%削減し、地球の気候を安定化させる「生物学的炭素ポンプ」の一部であり、このプロセスを理解することは、将来的に海洋がどれだけ炭素を貯蔵でき、気候にどういう影響を与えるかを正確に予測することにつながる。英国国立海洋学センターの研究達は、海洋に沈殿した小破片の表面にカイアシ類の微生物が発見されることに着目して、この微生物が「海の雪」を生物学的に不可逆的に分解する仕組みを解明した。このメカニズムを利用すれば、海洋のどこにどの程度CO₂を含んだ小破片が蓄積されているかを割り出すことができ、その結果、海洋のCO₂蓄積可能量や地球の気候に与える影響をより正確に予測でき、将来的に有効な気候変動対策を立案することにつながる。
      • 原文 December 3, 2020, 英国海洋学センター(長谷部正道)
    • 【6】 ECSA: 船員交代問題の早期解決と船員へのワクチン優先接種を求める
      • 【6】12月8日に欧州交通大臣非公式会合が開催されるのにあたり、欧州船主協会(ECSA)は加盟国交通大臣あてに表記公開書簡を送付したところその概要は以下のとおり。①10月15日に欧州委員会が発表したコロナウィルスに対するワクチンの開発状況と接種戦略の中でも推奨されているとおり、EU加盟各国は自国のワクチン接種戦略を策定するにあたり、船員をワクチンの優先接種対象とすること。②船員の交代/帰国の促進に関する欧州委員会の勧告やMSC 102で船員交代のためのプロトコルが承認されたにもかかわらず、未だすべてのEU諸国が船員を「基幹的労働者」と認定していないので、改めてEU全加盟国が船員を「基幹的労働者」として直ちに認定すること。③船員交代が円滑に進まない大きな原因として、船員の査証取得が困難なことが挙げられるので、EU加盟各国は、船員交代のための船員の査証取得義務を免除すること。④コロナの第2波の到来を見替え、PCR検査で陽性となった船員が、適切な医療を受けられるよう交通大臣は健康担当大臣に働きかけること。⑤国際的に海運業界はクリスマスを船上で迎える船員に対して支援キャンペーンを実施するが、交通大臣も同様の支援を行うこと。
      • 原文 December 4, 2020, ECSA(長谷部正道)
    • 【7.1】MEPC 75で合意されたMARPOL Annexes I, IV, VI改正案の告示 C.L. 4350
    • 【7.2】MEPC 75で合意されたAFS条約の改正案の告示 C.L. 4351
    • 【8】 コロナウィルスのワクチンが英国内の病院に到着
      • 【8】英国の医薬品・医療製品規制庁は先週他国に先駆けてPfizer社とBioNTech社が共同開発したコロナウィルスのワクチンの使用を承認し、既に英国各地の病院には同ワクチンが到着しつつあり、政府は12月8日から介護施設の入所者や職員、80歳以上の高齢者などを対象に接種を開始するとしている。しかし、同ワクチンはマイナス70℃以下の環境で保存する必要があり、小分けにして各介護施設などに配布することが困難であることから、政府は先ず全国50カ所の拠点となる病院で接種を開始することとしており、物流の面で大きな障害が立ちふさがってる。このため国民保健サービス(NHS)は、ワクチンを接種すべき高齢者など感染した場合のリスクが高い人々に対する接種を終えるには数カ月を要するとしており、ワクチン接種の開始がパンデミックの終わりを意味するものではないと警告している。

        ※12/6の英国の感染者数:17,272人(日本2,514人の6.9倍、緊急事態解除基準47人の367倍)
        ※12/6の英国の死者数:231人(日本32人の7.2倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 December 6, 2020, The Guardian (若林健一)
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