2020/11/26LROニュース(8)

NEWS


※LROニュースの内容については、有料メールニュースなど営利目的での転載はご遠慮頂くとともに、2次使用の際はLROニュースからの転載である旨を明示していただきますよう、お願いいたします。

トップページ > LROニュース > 2020/11/26LROニュース(8)
  • 2020.11.26 UP
    2020/11/26LROニュース(8)
    • 【1】 燃料油のサンプルの検査方法に関するMARPOLの改正について
      • 【1】IMO2020規制では、燃料の硫黄含有分の上限は0.50%と規定されているが、石油の不均質性上、硫黄含有分が0.50%の燃料を使用していても、燃料サンプルの試験時に数値がわずかに上回ることがある。全ての試験方法はISO 4259に従って計算された、個別の再現性と反復性に関する許容範囲があり、硫黄成分に関する検査方法の信頼性は95%とされているが、これは、形式的に硫黄含有分が0.50%とされている燃料に、試験時±0.03%の差異が生じる可能性があることを意味している。MEPC75では、燃料油のサンプルの新たな検査方法に関するMARPOLの改正案が採択され、試験時に検出された硫黄含有分が0.53%までの燃料に関しては規制適合油とみなされることになった(95%信頼性ルール)。本改正はMEPC 76の承認を経て、2022年4月1日から発効することとなるが、国際バンカー産業協会(IBIA)は、MEPC 74で採択されたCircular(MEPC.1/Circ.882)に従い、燃料油サンプルの検証方法の整合性を確保するため、加盟国に対し、改正発効を待たずに合意された新たな検証方法を直ちに採用することを求めている。一方で、IBIAは燃料供給業者に対し、販売段階でわずかでも0.50%を超えるような燃料油は従来とおり販売すべきでなく、規制適合油の生産にあたっては、best practice guidanceに従い、95%信頼性ルールの下限値である0.47%を超えないようにすべきと指導している。
      • 原文 November 22, 2020, Ship & Bunker(植木エミリ)
    • 【2】 Clean Arctic Alliance: MEPC 75の決定を激しく批判
      • 【2】Clean Arctic Alliance(CAA)はMEPC 75の決定を強く批判する声明を発表したところその概要は以下のとおり。①北極海における重油燃料の使用の禁止に関して、第7回汚染防止・対応小委員会(PPR 7)において、広範な適用除外と免除が含まれた禁止案が合意され、2029年半ばまで重油燃料の使用が完全に禁止されないこととなったことについて、先住民やCAAをはじめとする環境NGOは抗議を続けてきた。②しかし、MEPC 75でPPR7の禁止案がそのまま了承されたことを受けて、今後は北極海沿岸国が、自国籍船に対する義務の免除(waiver)を実施しないよう働きかけるとともに、適用除外規定を2029年より前に失効させるように働きかけていく。③International Council on Clean Transportation (ICCT)によれば、今回合意された禁止案が発効する2024年7月の時点では、重油燃料の使用の16%、重油燃料の輸送の30%しか削減されず、北極海における海運活動の74%が影響を受けないと分析しており、適用除外や免除措置が廃止される2029年まで、北極海における重油燃料の使用量は増え続けると分析している。
      • 原文 November 20, 2020, Clean Arctic Alliance(長谷部正道)
    • 【3】 再生可能水素連合が結成
      • 【3】ビル・ゲイツ氏らが出資する、再生可能エネルギーの投資基金Breakthrough Energyの支援を受けて、欧州の風力発電の業界団体であるWindEuropeと太陽光発電の業界団体のSolarPowerEuropeは、再生可能エネルギーから製造される水素(Renewable Hydrogen : RH)に関する発明家/起業家/企業トップ/先行投資家によるハイレベルで分野横断的なネットワークの構築を目指して、EU水素週間開催中の11月23日に、EUのエネルギー担当コミッショナーの立会いの下、再生可能水素連合を発足させた。RHは、気候中立を目標とする欧州Green Dealの達成に重要な役割を果たし、航空/海運/重工業などを含む欧州経済の完全な脱炭素化を可能にする。当該連合は、世界でも主導的な位置にある欧州の再生可能エネルギー産業を基盤に、世界的な電解槽製造産業を創出し、RHをエネルギーの主流とするビジネスモデルと市場の創設を目的とする。また政策決定当局に対し、RH生産の規模拡大やRH生産の規模拡大や市場への浸透方法などについて具体的な提言を行い、RHの市場の拡大を促進するために、研究開発投資の拡大を求めていく。
      • 原文 November 23, 2020, Wind Europe(植木エミリ)
    • 【4】 カナダ政府も2050年までのGHG中立目標を発表
      • 【4】カナダ政府は、2019年に既にGHG中立を目指す意向を表明していたが、11月19日、連邦政府に2050年までのGHG中立を義務付ける法案を提出し、英/独/仏/日などの2050年までの炭素中立を表明している120か国以上の国々に名を連ねた。法案の概要は以下のとおり。①環境・気候変動省(MECC)は、科学的な情報に基づいて2030年から5年毎のGHG削減目標を策定する。現在の目標は2030年までに対2005年実績比でGHGを30%削減することとしている。②MECCは、5年毎の削減目標を達成するためのGHG削減計画、削減計画の実施状況と有効性を評価した進捗状況報告、目標の達成と計画の有効性を評価した最終報告書を議会に提出しなくてはならない。③政府から独立した第三者機関である「環境と持続可能な開発に関するコミッショナー」に対し、少なくとも5年に1度、連邦政府の実施する気候変動緩和策に関して検討・報告を求める。④財務省とMECCは協力して、連邦政府部局と国営企業が、意思決定においていかに気候変動に関する財務上のリスクとその機会を考慮したかについての年次報告書を作成する。④連邦政府に対して、GHG中立を目指しながら経済成長を達成するための助言を与えるために、専門家から構成される政府から独立したNet-Zero Advisory Bodyを設置する。
      • 原文 November 20, 2020, McCarthy Tetrault(植木エミリ)
    • 【5】 コロナの影響を受けずに西アフリカで増え続ける海賊事件
      • 【5】アフリカ東岸ではかつて海賊が高速艇を使用して船舶を乗っ取る事例が多発していたが、2018年以降は海賊による襲撃事例は報告されていない。また、今年8月にはソマリア沖で海賊に誘拐され人質とされていた最後の船員が開放されている。今や海賊事件の発生海域は西アフリカ沿岸に移り、全世界で発生する海賊事件の件数が減少傾向にあるなかギニア湾では今年11月以降8隻の船舶が海賊による襲撃を受けている。コロナウィルスの感染拡大により海上貿易が停滞している状況にも関わらず、国際海事局(IMB)の報告によると今年1月から9月までの間にギニア湾だけで132件の海賊事件の発生が報告されており、乗っ取り事件は対前年度比で40%も増加している。背景にはコロナウィルスの感染拡大による経済へのダメージがあるとみられ、資源が乏しい国や政府の体制が脆弱な国では既に苦労している自国の水域での取締りが一層厳しい状況となっており、また、船舶を運航する側も船員の配乗が制限を受ける状況のなか、収入の減少により船舶を海賊の襲撃から保護するための対策に影響が生じている。
      • 原文 November 24, 2020, Dryad Global(若林健一)
    • 【6】 ICS:業界提案のIMRB構想がMEPC 75で継続協議となったことを評価
      • 【6】国際海運会議所(ICS)をはじめとする国際海運業界団体は共同で、MEPC 75に、船舶燃料1トン当たり2ドル(約209円)を10年間強制的に課金して得る総額50億ドル(約5200億円)の収入を原資に、海運の脱炭素化を進めるための国際海事研究基金を創設することを提案した。加盟国からは提案に対し、①基金を管理する国際海事研究開発理事会(International Maritime Research and Development Board: IMRB)の運営管理やIMOによる監督の問題。②強制的な燃料課金による加盟国への経済的な影響評価。③後発開発途上国や小島嶼開発途上国の利益を勘案する必要性について懸念が表明され、提案は継続協議されることとなった。海運業界としては、こうした加盟国の懸念について加盟国と早急に調整し、2050年までに海運から排出されるCO₂を半減するというIMOの目標を達成するために必要なゼロ炭素燃料や技術の研究開発を早急に進めるため、2023年からIMRBの運営を開始することを目指す。
      • 原文 November 20, 2020, ICS(長谷部正道)
    • 【7】 外航船で12人以上の作業員を運搬することに関する中間作業部会の開催
    • 【8】 英国政府がクリスマス期間中のコロナ対策の緩和を発表
      • 【8】イングランド、スコットランド、ウェールズ及び北アイルランドでは現在それぞれ独自のコロナウィルスの感染防止対策を実施しており、各地域を跨ぐ移動も制限されているが、国内で離れて暮らす家族などが一緒にクリスマスを過ごせるように12月23日から27日の間は規制を緩和して共通のルールを適用することで11月24日に合意がなされた。対象期間中は各地域を跨ぐ移動の制限は解除され国内を自由に移動できる。また、対象期間中同じ3世帯で「Christmas bubble」を形成することで人数の制限なく自宅や屋外で集まることが可能になり、同じbubbleの中では社会的距離の確保も求められない。パブやレストランなど飲食店には対象期間以前の規則の適用が維持される。一方で、同日公表された共同声明は、今回の共通ルールの範囲内であっても、友人や家族と会うことはあくまで個人の判断であり自身や他人に危険を及ぼす行為であることに留意する必要があるとしており、テレビ電話などの技術の活用や屋外で会うことなどを検討することを求めている。

        ※11/24の英国の感染者数:11,299人(日本1,522人の7.4倍、緊急事態解除基準47人の240倍)
        ※11/24の英国の死者数:608人(日本8人の76倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 November 24, 2020, BBC (若林健一)
  • 資料閲覧 その他