2020/11/24LROニュース(8)

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  • 2020.11.24 UP
    2020/11/24LROニュース(8)
    • 【1】 海運から排出されるCO₂は2030年までピークアウトせず
      • 【1】スウェーデンのビッグデータ企業のMarine Benchmark社が、AISを利用した船舶追跡情報/船舶の性能情報/新造船の発注状況を分析して、今後の船舶からのCO₂排出量を予測した報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①今後船舶から排出されるCO₂の量は、船腹量の増加に対応して増加を続ける。②その理由としては、現状の技術で実現できる船舶のエネルギー効率化の殆どは過去10年間で達成されており、新たに市場に参入するエコ船舶の割合は過去最低基準で、過渡的な燃料としてのLNG燃料の普及も依然として限定的なためである。③こうした新船建造意欲の低下と、経済復興による輸送需要の増加によって、今後数年間は既存船のスクラップが低水準となり、老朽船が今後とも運航を続けることになる。④国際貿易に影響を与えず、船舶からのCO₂排出量を削減するには、大規模な低炭素燃料の導入とそれを使用する新造船の大規模な投入が不可欠である。⑤しかし投資家の多くは技術の進歩と規則の確立を待って積極的な投資を行っていないため、2030年までは海運から排出されるCO₂の削減は不可能と考えられる。⑥海運業界は2008年以降、輸送単位当たりのCO₂排出量を30%以上削減してきたが、全体的なCO₂排出量は年平均2.1%上昇し、2019年は8億トンに到達した。⑦国際海運から排出されるCO₂の82%は、タンカー/ばら積み船/コンテナ船から排出されているが、2011年から2019年までこれらの船種全体で、年間4%船腹量が増加した。
      • 原文 November 18, 2020, AJOT(植木エミリ)
    • 【2】 ICS: 代替燃料の可能性等を検証した報告書を発表
      • 【2】標記報告書の概要は以下のとおり。①再生可能発電から生産されるアンモニア(Green Ammonia: GA)は、低炭素代替燃料の中では最も可能性の高い選択肢の1つで、国際エネルギー機関によれば、2070年までに舶用燃料として1.3億トンが使用されるようになると予測しているが、石油燃料に比べて、エネルギー密度が低く、体積ベースで既存燃料の5倍を必要とするので、既存燃料を完全に代替するためには、現在世界で発電されている再生可能総発電量の2537GWの60%にあたる750GWの再生可能電力を使用して4.4億トンのGAを生産する必要がある。②水素自体はゼロカーボン燃料だが、現状では水素の多くは天然ガスから製造されており、生産過程も含めば多くのGHGを排出することになる。また、アンモニアと同様にエネルギー密度が低いうえに、新たな供給インフラを建設する必要がある。IEAは2070年までに1200万トンの水素が舶用燃料として使用されると予測しているが、この量は2019年に世界で使用された舶用燃料の16%に匹敵する。③燃料電池とバッテリーについてはさらに現実的でなく、平均的なコンテナ船を稼働させるためにはテスラが製造している電気自動車に搭載されているバッテリーが1万個必要で、1週間の航海には7万個のバッテリーが必要となる。風力を補助推進力として活用することは可能だが、今後の技術革新の余地はあるが、現状ではバッテリー動力船は短距離の航海にしか対応できない。
      • 原文 November 11, 2020, ICS(長谷部正道)
    • 【3】 マースクCEO:LNGを経ずに直接炭素中立燃料への転換を表明
      • 【3】マースクのCEOは、LNGは所詮化石燃料であり、同社としては過渡的な代替燃料としてのLNG燃料には依存せず、既存の燃料から直接炭素中立燃料への転換を目指すが、時間がかかるだろうと表明した。この発言は、今後数年間は唯一の現実的な代替燃料としてLNG燃料を推進しようとする船社や燃料事業者を失望させるかもしれないが、Society for Gas as a Marine Fuel (SGMF)の調査によれば、現在187隻のLNG燃料船が運航中で、247隻が建造中だが、商船の全隻数が6万隻であることを踏まえれば、LNG燃料船はわずかな割合に過ぎない。ICSが表明しているように、海運業界では脱炭素化のための手段はまだ存在しないというのが共通認識であり、さらに近い将来、IMOの排ガス規制がさらに強化されることが広く予想され、IMO2020規制に関するスクラバー投資を巡る大失敗も多くの船主の頭に記憶されており、マースクのCEOも現時点で新造船を発注するのは技術的にリスクが高く、将来、代替燃料が確定した時点で、当該燃料に対応した船舶を建造するのが理想なので、代替燃料に関する決定が現状ではできない以上、新船の建造を急ぐ必要はないと語った。
      • 原文 November 19, 2020, Ship & Bunker(長谷部正道)
    • 【4】 IEA: Renewables 2020報告書を発表
      • 【4】標記報告書の概要は以下のとおり。①パンデミックの影響を受ける他の燃料とは異なり、再生可能エネルギー(RE)は発電部門の需要に支えられて、2020年も7%成長し、投資家の投資意欲も衰えない。②中国と米国がけん引役となって、RE発電施設の新設は2020年に対前年比4%増加し、特に風力と水力発電施設の新設は過去最高となった。③2021年には、欧州とインドがけん引役となって、REの発電能力は10%拡大する見込み。④中国や米国におけるREに対する国家助成期間が数年中に終了する見込みで、終了後の政策的支援が不透明なため、これらの国家における以降のRE拡大の速度が見通せない。政策的支援の継続がRE成長の大きな支援となる。⑤太陽光/陸上風力発電は、新たな発電施設を建設する場合、既にほとんどの国において最も安い選択肢となっており、2025年までに世界で新設される発電所の95%がREとなる見込み。⑥交通分野における2020年のバイオ燃料の生産量は、燃料需要の減少と、化石燃料価格の低下によって、過去20年間で初めて対前年比12%の減少となった。⑦暖房等の熱源として使用されるREの市場シェアは、2025年までわずか12%と低迷する見込み。⑧世界全体のエネルギーに関連する経済復興策は4700億ドルにのぼり、それに伴い、Clean Energyを中心に1080億ドルの経済成長が期待でき、さらにEUに続き日中韓が2050(中国は2060)年までの炭素中立を政策目標として掲げたことはREの成長に大きな追い風となる。
      • 原文 November 10, 2020, IEA(長谷部正道)
    • 【5】 ESA: 宇宙空間における太陽光発電を計画
      • 【5】欧州宇宙機関(ESA)は、軌道上の衛星で太陽光発電をして地球にエネルギーを送電する技術開発研究を進めているところその概要は以下のとおり。①衛星軌道上では、地球上のように大気によってエネルギーが吸収されないので、太陽光の密度が地上に比べて非常に高い。また、天体の傾斜や自転の影響を受けることなく、24時間太陽光を受ける事ができる軌道に発電衛星を設置することが可能。②この太陽光を発電衛星の太陽光パネルで電流に変換する。③さらに電流をレーザーやマイクロ波などのエネルギー光線に変換して、地球や他の天体に送る。初期の段階では、月や火星における探査活動の支援に利用される可能性が高い。④地球では、エネルギー光線を太陽電池または電磁エネルギーを電気に変換できるアンテナで受け、衛星からは地球上の複数の場所にエネルギー光線を送ることができる。⑤このようにして発電した電力は、Clean Energyなので、気候変動対策として有効。 以上の構想を実現するにあたっては、非常に大きな発電衛星の部品をどうやって軌道上に運び、組み立てるか、どのように効率的に太陽光エネルギーを電気さらにレーザーやマイクロ波に変換するかなど解決すべき技術的課題が多いので、ESAは広く技術的な提案と資金援助の申請を募集している。
      • 原文 October, 2020, ESA(長谷部正道)
    • 【6】 EU Taxonomy: 環境的な持続可能性を判定する基準についてパブコメを開始
      • 【6】11月20日、欧州委員会は7月12日に発効したEU Taxonomy Regulation(TR)に従って、具体的な経済活動の環境的持続可能性を判定する2セットの基準についてパブコメを開始した。投資家や企業が気候や環境に良い影響を大きく与える事業や経済活動に投資する際に判断基準として使用出来る世界で最初のGreen Listを作成することを目的としている。欧州委員会はTaxonomyをさらに完全なものとするための技術的な選別基準を作成することをTRによって授権されているため、授権法の一部として、今回はじめて2セットの基準が公表され、パブコメに付されたもの。今回発表された基準や具体的な活動は、2020年3月に発表された「持続可能な金融に関する技術的専門家グループ」の勧告に従って作成されている。パブコメの受付期間は4週間で、欧州委員会は提出された意見を検討したうえで、授権法案を最終化し、欧州議会と理事会との調整を経て、2022年1月1日から授権法を適用する予定。
      • 原文 November 20, 2020, 欧州委員会(長谷部正道)
    • 【7.1】 WHOによる海運等に関するコロナ関連e-learningの開催について
    • 【7.2】 IMSBCコードの34回編集/技術G会合(1/18-22)の段取りについて
    • 【8】 ジョンソン首相が全国的なロックダウン解除後の対策を発表
      • 【8】11月23日ジョンソン首相は記者会見を行い、現在イングランドで実施している全国的なロックダウンは12月2日で解除し、その後は以前実施していた3段階の警戒レベルに応じた対策(Three tire system)を地域ごとに実施することを発表した。これにより、外出制限は解除され、飲食店、生活必需品を扱わない店舗、スポーツジムなどの営業も再開し、パブやレストランの営業時間の制限も1時間緩和されて午後11時までとなる。一方で、最高の警戒レベル(Tier3)に該当する地域の飲食店は持ち帰りや配達営業のみ認められ、次に高い警戒レベル(Tier2)に該当する地域では食事を提供しないパブの営業は認められず、一番低い警戒レベル(Tier1)に該当する地域でも在宅勤務の継続が求められるなど、各レベルの対策は強化される。どの地域がどの警戒レベルに該当するかについては11月26日に発表される見通しであるが、以前より多くの地域がTier3又はTier2に該当することになるとみられている。

        ※11/22の英国の感染者数:18,662人(日本2,528人の7.4倍、緊急事態解除基準47人の397倍)
        ※11/22の英国の死者数:398人(日本11人の36倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 November 23, 2020, BBC (若林健一)
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