2020/11/16LROニュース(8)

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  • 2020.11.16 UP
    2020/11/16LROニュース(8)
    • 【1】 UNCTAD: Review of Maritime Transport 2020を発表
      • 【1】標記報告書の概要は以下のとおり。①パンデミックによるサプライチェーンの混乱・需要の縮小・不透明な経済の先行きなどによって、2020年の国際海上輸送は前年比4.1%減少する見込み。②2019年の実績でみると、長引く貿易摩擦などにより、国際的に経済成長と貿易量が悪影響を受けて、海上輸送貿易量は対前年比0.5%増の111億トンにとどまった。③特に米中貿易戦争による関税の引き上げによって、海上輸送貿易量を0.5%引き下げる悪影響があった。④一方、世界の合計船腹量は2019年に対前年比4.1%増加し、100GT以上の船舶が98140隻、トン数ベースでは21億dwtとなった。⑤船種別でみるとLNG輸送船が最も増加し、次に石油タンカー・ばら積み船・コンテナ船の順番で増加した。最大のコンテナ船の可能積載量は11%増加した。⑥船舶の大型化に応じて、大規模港湾の荷役効率が上昇し、港湾に入港するコンテナ船の平均的なサイズが1%増加すると、コンテナ1個当たり荷役時間が0.52%減少した。⑦パンデミックによる輸送需要の減少以上に、海運会社が輸送船腹力を絞ったため、ほとんどの航路において、2020年上期の運賃水準は対前年比で上昇した。
      • 原文 November 12, 2020, UNCTAD(長谷部正道)
    • 【2】 欧州投資銀行がEIB Group Climate Bank Roadmap 2021-2025を発表
      • 【2】標記ロードマップの概要は以下のとおり。①欧州投資銀行(EIB)の気候変動対策や持続可能な環境のためのファイナンスの割合は現在総ファイナンス額の30%だが、2025年までに50%以上に引き上げる。②全ての新規ファイナンスをパリ協定の原則や目的に適合したものとする。③気候変動対策や持続可能な環境のための対策に、2021年から2030年の間に1兆ユーロ(約124兆円)投資されるのを支援する。④化石燃料関係の事業へのファイナンスを停止する。⑤EIBは世界で最初にGreen Bond(GB)を発行した金融機関で、現在も最大のGB発行実績をもつ国際金融機関だが、引き続き資本市場においてGreen Financeの主導権を維持する。⑥産業の近代化と脱炭素化を推進するのに重要な役割を果たすClean Energy/革新的な技術開発/デジタル化の推進に重点を置く。⑦気候変動関係のリスクをより良く把握するために、信頼性の高い気候変動に関する情報を収集するための新たな手段を導入する。⑧現在発生している気候変動に適応し、将来の気候変動問題に対する経済・社会の抵抗力を強化することを支援するためのファイナンスを増加させる。
      • 原文 November 12, 2020, EIB(長谷部正道)
    • 【3】IMOが船員交代の可能な港湾のリストをまとめて公表へ
      • 【3】現在は、世界中のどこの港湾でどういう条件で船員交代ができるかの信頼できる情報を得るためには、例えばInchcapeのCrew Change Trackerなどを利用することが可能で、同社によれば、現在世界の26か国の港湾で船員交代が可能となっている。11月第1週にIMOで開催された海上安全委員会においては、5月にすでに発表されているIMOの船員交代に関する手順(プロトコル)が承認され、また船員交代が可能な港湾の情報等も今後IMOが集約し、海運会社が船員交代の計画を立てやすくするために公表することが合意された。同プロトコルの作成に協力した国際海運会議所の広報担当者は、依然として多くの船員が交代できずに船上に取り残されている実情は継続しており、このプロトコルを活用して安全な船員交代が迅速に進むことを期待するとコメントした。世界最大の船員供給国のフィリッピンでは、マニラ港の他に、バターン・スービック・セブの各港湾において既に船員交代のためのハブが設置されているが、同国運輸省はさらにダバオとバタンガスにもハブを開設することを発表した。
      • 原文 November 12, 2020, Splash 247(長谷部正道)
    • 【4】露:新型砕氷船の導入で北極海における優位性を維持
      • 【4】ロシア政府は北極海北航路を利用した海上輸送を活性化して、同国北極圏の経済的可能性を拡大するための努力を積み上げてきたが、同時に北極圏の伝統的なライバルである加・米・ノルウェーとさらに新興勢力である中国に対抗するために、ソ連時代に建設されその後放棄されていた北極圏の陸軍・海軍の基地やレーダー施設をここ数年再建してきた。11月3日にサンクト・ペテルブルグで開催された新型砕氷船のお披露目式で、プーチン大統領は砕氷船船隊の近代化を継続していくと表明した。お披露目された新型のディーゼル・電気駆動の砕氷船は世界最大で、厚さ2mの海氷を砕氷することが可能で、2つのヘリパッドを持ち、科学的な研究活動や有害物質の輸送等にも活用することもできる。同国は9月にも世界最大で最も砕氷能力が高い原子力砕氷船を就航させている。同大統領は、最低でも13隻以上の砕氷船艦隊(うち半数以上は原子力砕氷船)を整備すると2019年に表明している。
      • 原文 November 3, 2020, Reuters(長谷部正道)
    • 【5】米国最大の洋上風力発電ファームの環境影響評価が遅れる
      • 【5】マサチューセッツ州の23km沖合に、800MW規模の洋上風力発電施設を建設するVineyard Wind Projectは、施設が完成すれば40万世帯以上に電力供給可能な米国初の大規模洋上風力発電事業である。トランプ政権による大規模エネルギー事業推進の方針を受けて、当初2019年8月までに海洋エネルギー管理局(BOEM)の承認がfast-trackで降りる予定であったが、漁業や船舶の運航への影響に対する懸念から13000件以上の意見が寄せられ、環境影響調査報告書の作成が遅延していた。BOEMは11月12日、環境影響調査を12月11日までに終了し、トランプ大統領が退任する1日前の1月15日までに最終決定を行うと発表した。同施設は当初、2022年までの運用開始を予定していたが、政府の承認プロセスの遅れにより、運用開始は早くとも2023年からに遅延する見込みである。
      • 原文 November 12, 2020, Reuters(植木エミリ)
    • 【6】英国政府:2030年までに300万人分のGreen Jobの創出方法を模索
      • 【6】英国ではパンデミックによるロックダウンの影響で失業者数が記録的な水準に達しており、英国政府は、パンデミック経済復興対策の重要な柱として、Green Job Taskforceを招集して、2030年までに200万人の新たな雇用を環境分野で創出するための具体的な方策の検討を始めた。同政府は、環境政策の一貫として、2035年までにディーゼルエンジンの自動車を禁止することを検討しているが、こうした環境・エネルギー政策の結果、発生する失業者を吸収するために、電気自動車や洋上風力発電などの新規分野での雇用創出を目指している。同政府は、2050年までの炭素中立を実現するための新たなエネルギー政策に関する方針の発表を遅らせているが、原子力・水素・炭素回収などの代替エネルギーの開発には、コストがかかるため、投資家は政府の政策が決まりどれだけの支援が受けられるか予測できないと、新たな投資決定をし、Green Jobの創出にも協力できない状況にある。労働組合会議(Trades Union Congress)は住宅の断熱工事・電気自動車の充電・植林などのGreen Jobに850億ポンド(約11.7兆円)の投資をすれば、124万人の新規雇用を創出できると試算している。
      • 原文 November 12, 2020, The Global Warming Policy Forum(長谷部正道)
    • 【7】次回FALは2021年6月1日から7日までオンラインで開催 Circular Letter No 4337
    • 【8】病院での治療の順番を1年以上待つ人の数がこの1年で100倍以上に急増
      • 【8】イングランドの病院では、緊急でない患者の場合であれば通常18週間以内に病院での治療を受けることが想定されている。しかし、病院での治療の順番を待つ人の数は今年9月末時点で435万人いるとされ、このうち1年以上にわたって治療の順番を待っている人の数は今年2月時点で1,600人であったが、コロナウィルスの感染拡大の影響により急増し、9月末時点で約14万人に達し、2008年以来最多を更新した。この数は昨年9月末時点では1,305人であったことから、わずか一年間で100倍以上に増加したことになる。感染拡大の第2波により感染者数が増加を続ける中、ブラッドフォード、リーズ、ノッティンガム、バーミンガム、リバプールなど感染者数の増加が顕著な都市の主要な病院では既に緊急でない患者への対応を中止しており、状況はさらに悪化すると予想されている。

        ※11/12の英国の感染者数:33,470人(日本1,546人の22倍、緊急事態解除基準47人の712倍)
        ※11/12の英国の死者数:563人(日本10人の56倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 November 12, 2020, BBC (若林健一)
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