2020/10/12LROニュース(7)

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  • 2020.10.12 UP
    2020/10/12LROニュース(7)
    • 【1】プラスチックから製造される再生炭素燃料はまやかし
      • 【1】(論説)プラスチック製造業界は、プラスチックごみから製造されるプラスチック燃料を、環境問題と廃棄物問題を一挙に解決する手段であると喧伝しており、プラスチックごみを燃料に変換するという部分だけを評価すれば、再生可能エネルギー指令(Renewables Energy Directive : RED)上、プラスチック燃料は低炭素エネルギーのように位置づけられる可能性がある。しかし環境NGOのZero Waste Europaによれば、プラスチック燃料の原料となるプラスチックごみのなかに含まれている化石炭素が生産されてから、大気中にCO₂として放出されるまでのライフサイクル全体で評価すれば、プラスチック燃料は、石油精製により製造されたプラスチックを原料とするものであり、プラスチックからプラスチック燃料に変換する際にも多量のエネルギーが追加で必要とされることから、プラスチック燃料を低炭素燃料と主張するのはまやかし(greenwashing)であると主張している。いずれにせよ、プラスチック燃料が炭素中立を実現する為の手段として認められるかどうかは、REDに従って判断されることになる。
      • 原文 October 8, 2020, Forbes(植木エミリ)
    • 【2】City of Londonが2040年までの炭素中立を目標に掲げる
      • 【2】ロンドンの古くからの中心的な金融・証券街であるCity of Londonを管理するThe City of London会社は、同行政区から排出されるCO₂について、英国全体より10年早く2040年までの炭素中立を目指すことを内容とする気候行動戦略を10月8日発表した。The City of London会社は目標を達成するために経済を犠牲にすることなく、今後6年間に6800万ポンド(約93億円)を投資し、800人の新たな「緑の雇用」を創出すると表明した。同政府は、都市計画に関する規則を改正して、新たな建物の建設申請にあたっては、炭素削減計画の添付を求めるとともに、屋上や壁に植物を植えた持続可能な建物を推奨する。またCity of London会社は他の大企業とともに、気候行動基金を設立し、CityからのCO₂排出を削減するための低炭素・脱炭素技術開発に共同で投資する。さらに、歩道の幅を広げ、時間を限定して自動車の通行を制限し、水はけのよい道路舗装をすることによって、多くの通りが歩行者や自転車に専用に改装される。
      • 原文 October 8, 2020, City of London(長谷部正道)
    • 【3】大事故が起こると全ての責任が船長・船員の責任となりやすい理由
      • 【3】(論説)過去の重大な海難事故においては、船長が雇用主の海運会社によって、スケープゴートにされてきた。二重底でない船舶のリスクの問題等長きにわたって放置されてきた大きな制度上の安全問題を検討する代わりに、「船員のせいにする。」ことは、多くの船主・運航者・海上保険会社・便宜置籍国の規制当局が良くとる行動である。このような行動の原因としては、①船舶の設計上の問題・不適切な維持管理・ずさんな法令の遵守の問題を解明するより、船員の過失の方が問題にしやすいこと。②船舶事故調査官も根本的な問題点を解明するより、表面上の運航上の問題に焦点を当てるよう仕向けられること。③船員の問題とすることによって、船主や造船所、船舶の維持管理者の責任を回避できることなどが考えられる。エクソンヴァルディス号事件・COSCO Busan号事件・MV New Carissa号事件・MV Heibei Spirit号事件などが典型的な例として考えられる。
      • 原文 October 7, 2020, Forbes(長谷部正道)
    • 【4】トランプ政権によって米国のCO₂排気量はどうなったか?
      • 【4】先の米国大統領候補同士の討論会で、トランプ大統領は米国のCO₂排出量が最低となったと主張し、米国エネルギー情報庁によれば、2019年における米国のCO₂排出量は1992年以降最低の水準となり、国民一人当たりの排出量も1950年以降最低となった。しかし、トランプ政権下での米国のCO₂排出量の削減ペースはオバマ政権時代より鈍化しており、EUや日本などの他の先進国と比べても削減の速度は遅い。米国のCO₂の排出量は中国に次いで世界第二位であり、19世紀半ばから中国に抜かれる2005年までは世界最大の排出国であった。国民一人当たりのCO₂排出量でも、米国民は年間一人当たり16.56トンのCO₂を排出しており、中国やEUの国民の2倍、インド国民の8倍のCO₂を排出している。こうした結果は、例えば中国で生産されて米国で輸入・消費される商品の生産から発生するCO₂は中国の排出量として計算されるが、実際に消費する米国の排出量として計算しなおせば、米国民と中国民の一人当たりのCO₂排出量の差は更に拡大する。
      • 原文 October 6, 2020, Climate Change News(植木エミリ)
    • 【5】Global Maritime Issues Monitor 2020
      • 【5】10月6日、Global Maritime Forumと保険ブローカーのMarshと国際海事保険連合(IUMI)は、海事関係者の将来的な懸念事項を調査したGlobal Maritime Issues Monitor 2020を発表したところその概要は以下のとおり。①海事政策関係者は、今後10年間に海事関係産業に最も影響を与えうる要因として「世界経済危機」を挙げている。②パンデミックにかかわらず、「気候変動と環境」の問題も優先事項として認識されている。③パンデミックが懸念事項として挙げられたのは2020年が初めてとなったが、脅威に対する準備状況の面では、19の懸念事項の中で最も準備できていない懸念事項として認識されている。④次のパンデミックに対する抵抗力を上げるために、船員の福祉・健康問題を含めた労働力の確保が課題として認識されている。⑤回答者は次のパンデミックは必ず来ると認識しているものの、脅威の発生の蓋然性でみると、19の懸念事項の中で10番目の位置づけとなっており、実際に次のパンデミックに向けてどの程度真剣に対応準備がなされるか懸念される。
      • 原文 October 6, 2020, Global Maritime Forum(長谷部正道)
    • 【6】英ウィリアムズ皇太子が総額5千万ポンドのEarthshot賞を創設
      • 【6】英国のウィリアムズ皇太子は①自然の保護と回復②大気の清浄化③海洋の再生④廃棄物のない世界の建設⑤気候問題の修復といった5つの課題について、2030年までの今後10年間、優秀な解決策を提案した者に100万ポンド(約1.3億円)を賞金として毎年与えるEarthshot賞を創設すると10月8日発表した。この賞は米国のケネディ大統領が1960年代に月への有人宇宙船事業を成功させるために発案したMoonshotからヒントを得ている。Earthshot賞は、気候変動に対して前向きな影響を与え、気候変動によって生活が脅かされている共同体で生活する人々等の生活の質を向上させられる新たな解決策を発見するのが目的で、受賞者は個人や団体、科学者・活動家・地域事業・政治家・政府・金融機関・企業・自治体など幅広い範囲の中から、Earthshotsを達成するのに重要な貢献ができる現実的な提案をしたものに授与される。2021年から2030年までの10年間、王子とEarthshot賞審議委員会は、全世界から毎年5つの課題ごとに5人の受賞者を選定する。受賞候補者の受付は11月1日から開始され、世界の100を超える推薦団体から候補者が推薦される見込み。
      • 原文 October 6, 2020, Earthshot Prize(長谷部正道)
    • 【7】イングランド北部の病院はあと1週間で病床がいっぱいに
      • 【7】コロナウィルスの感染者数の増加が著しいイングランド北部では、感染者数の増加に伴い入院患者も急増し、複数の病院で今後1週間ほどで病床がいっぱいになる状況が予想されている。職員や病床を確保するために通常行っている手術の実施を再び停止することを予定している病院や、何も対策を講じなければ今後22日以内に集中治療を必要とする患者の数が今年春の感染ピーク時を凌ぐとされる病院もすでに複数あり、医療機関の機能に深刻な影響が出ることが懸念されている。政府内からもイングランド北部の状況は制御不能な状態に陥りつつあるとの声も聞かれ、政府は週明けにもパブやレストランの閉鎖など感染拡大防止のための新たな規制を導入すると見られている。

        ※10/8の英国の感染者数:17,540人(日本511人の34倍、緊急事態解除基準47人の373倍)
        ※10/8の英国の死者数:77人(日本8人の9.6倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 October 9, 2020, The Guardian (若林健一)
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