2020/09/30LROニュース(7)

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  • 2020.09.30 UP
    2020/09/30LROニュース(7)
    • 【1】AMSA: 船員の資格証明書の一部の有効期限を延長
      • 【1】欧州海事安全庁(AMSA)は、COVID-19による船員交代の実施が円滑に進まない中、IMOの助言に従って、STCW条約に基づく船員の資格証明書と健康適格証明書で、2020年3月26日から2020年7月31日までに失効したものについては、本来の有効期限を1年間延長し、2020年8月1日から2021年1月31日までに失効するものについては、2021年7月31日まで有効期限を延長すると発表した。この結果、延長された期限まで引き続き船員は職務を継続し、船主と船長は引き続き当該船員を雇用することができる。以上の証明書の有効期限の延長は自動的に行われ、船主・船舶運航者・船員等が有効期限延長の申請を行う必要はない。また船員資格証明書の更新ができる船員については、資格証明書が失効する前に更新手続きをとること、コロナの影響で資格証明書が失効してしまった場合には、可及的速やかに更新の手続きをとることを強く勧奨する。その場合、更新後の資格証明書の有効期限は、更新の対象となる証明書の本来の有効期限から起算して5年とする。
      • 原文 September, 2020, AMSA(長谷部正道)
    • 【2】World Maritime Day:国連事務総長メッセージ
      • 【2】9月24日、World Maritime Day (WMD)のセレモニーがオンラインで開催されたが、国連事務総長のメッセージの概要は以下のとおり。①今年のWMDのテーマは「持続可能な地球のための持続可能な海運」だが、海運は、重要な医薬品・食料を含む輸出入物資の8割以上を輸送し、コロナ対応や復興にも重要な役割を果たし、さらに、全世界の商船で働く200万人の船員の専門性と犠牲的な精神が、コロナ禍の下で改めて明らかになった。②パンデミックによる前例のない困難な状況の中で、船員たちは休むことなく、世界の物流チェーンを支え続け、家族や愛する人たちからも離れ、物理的にも精神的にも疲労困憊の状況にあるにもかかわらず、国際条約に定められた継続労働期間をはるかに超えて、17か月以上も働き続けているという状況は、船員の人権という意味でも、船舶の安全運航の確保の観点からも大きな懸念事項である。③私は、各国政府に、船員を「重要な労働者」に位置づけ、国連関係機関・国際海運会議所・国際運輸労連が共同で作成した手順に従って、船舶に取り残された船員の下船と帰国を支援し、交代要員の乗船も認めるよう改めて要請する。
      • 原文 September 23, 2020, 国連(長谷部正道)
    • 【3】DNV GL: Maritime Forecast to 2050を発表
      • 【3】DNV GLが表記報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①世界の海上輸送量は、原油と石油製品の輸送を除く全船種類で増加し、合計でトン・海里ベースで、2030年までに対2016年実績比約32%増加する。②規制面で最も大きな課題はGHGの削減であり、2050年までに排出量を半減するというIMOの目標は野心的だが、現時点では確立していない技術の採用や、運航速度の削減、ゼロ炭素新燃料の採用などが具体的な課題となる。③IMOの目標を達成するための新燃料の候補としては、アンモニア・バイオ燃料・電化・合成燃料(水とCO₂を原料として電力を使って生産されるディーゼル・メタン・メタノールなどの総称)・水素・原子力などが考えられるが、どの燃料においても、燃料が再生可能エネルギーを原料として生産される、あるいは化石燃料を原料としながらも炭素回収・貯留(CCS)技術を併用するなどの生産段階での脱炭素化も重要である。④IMOのGHG削減目標を達成することを前提とすると、2035年以降、新船のエネルギー効率が徐々に向上し、代替燃料への転換が明らかになり、トン・マイル当たりの燃料消費量は2050年までに30%減少する。
      • 原文 September, 2020, DNV GL(植木エミリ)
    • 【4】欧州委員会が排出権取引制度に関する国家助成ガイドラインを改訂
      • 【4】EUは排出権取引制度(ETS)を2005年から導入したが、エネルギー多消費型の産業がETSの負担を回避するためにEU域外国に流出する(carbon leakage)を防止するため、特定のエネルギー多消費型産業が負担するETSに伴う負担を国家が助成することを可能とするためのガイドラインを制定していた。欧州委員会委員長は9月16日、初めての施政方針演説の中でETSの強化を表明し、これを受けて欧州委員会は9月21日、2021年以降の新たなETSに適用される「EU ETS国家助成ガイドライン」の改訂をパブコメを経て発表した。主な改訂点は、①国家助成の対象となるのは、客観的な基準を適用し、アルミニウム・鉛・亜鉛・銅の精錬、石油精製、プラスチック製造などの10業種と20の副業種とする。②国家助成の助成率を現行の85%から75%に削減し、対象企業が引き続きエネルギー効率化を進めるインセンティブを維持するために、エネルギー効率の悪い技術を使用している企業を助成の対象から外し、それぞれの業種ごとに最も電気消費効率の高い技術を特定し、当該技術を使用している企業への補償を最大化する。③助成を受ける企業が、エネルギー効率化に関する監査勧告に従い、脱炭素化へ向けた更なる努力を行っていることを、助成受給の条件とする。
      • 原文 September 23, 2020, Freshfields Bruckhaus Deringer(植木エミリ)
    • 【5】ReCAAP ISC: フィリッピンの港湾と錨泊地における事件特別報告書
      • 【5】9月25日、アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)情報共有センター(ISC)は比の港湾と錨泊地における事件特別報告書を公表したがその概要は以下のとおり。①今年1月から9月にかけて比の港湾や錨泊地で発生した強盗や窃盗事件などの事件数は2019年の1年間で発生した件数(7件)のほぼ倍の13件に達した。②13件のうちマニラ港の錨泊地で発生した件数は9件で、昨年の1年間で発生した件数(3件)と比較して急増しているが、これはコロナウィルスの感染拡大の影響により船員を交代させるために指定された海域(Green Zone)に錨泊する船舶の数が増加したことが原因。③13件のうちバタンガス港で発生した件数は3件で、昨年の1年間で発生した件数(4件)と比較すると少ないが、犯行手口の凶悪化が懸念され、3件のうち2件で船員が賊から暴行の被害を受けた。④13件のうち約7割が重要度4(賊は武装せず乗組員に負傷者なし)の事件で、例年の傾向と一致している。⑤マニラ港の錨泊地で発生した9件のうち8件で、空気呼吸器、イマ―ションスーツ、化学防護衣、塗料、溶接器具などが盗まれ、バタンガス港の錨泊地で発生した3件のうち1件で乗組員の所持金や所持品が奪われる被害が発生した。⑥マニラ港ではマニラ国際コンテナ埠頭の付近でコンテナ船が被害に会うケースが最も多く、バタンガス港ではガスや石油の貯蔵施設が複数所在するためタンカーが被害に会っている。⑦マニラ港の錨泊地で発生した9件すべて及びバタンガス港で発生した3件のうち2件が夜間に発生した。
      • 原文 September 25, 2020, ReCAAP ISC(若林健一)
    • 【6】中国:CO₂排出量を2030年までに減少に転じ2060年までに炭素中立化
      • 【6】習近平国家主席は国連総会のスピーチで、エネルギー転換を促進して、2030年までに同国のCO₂排出量を減少に転じ、2060年までの炭素中立を目指すという野心的な目標を明らかにした。これに伴い、未だに国営企業が多い海運を含む同国のCO₂を多く排出している産業は今後、上記の目的に従った独自のCO₂排出計画を作成することとなる。大連海事大学の教授によると、同国の海運におけるCO₂削減に関する計画は、代替燃料やエネルギー効率の高い船舶の設計などの分野で既に実証段階に進んでいるという。中国内では、国内物流の多くが大河川を利用した水運が担っているが、従来の重油燃料からLG燃料への転換を図るため、国外からのLNG輸入を促進するとともに、燃料としてのLG供給施設の整備を進めている。特に中国最大の河川である長江では、近年精力的に水運に従事する船舶の近代化が進み、CO₂の削減が進んでいる。また、中国最大の海運企業であるCOSCOは、2008年実績比で、輸送単位当たりのCO₂排出量を2030年までに4割削減する事を目標として掲げている。
      • 原文 September 25, 2020, Splash 247(植木エミリ)
    • 【7】インフルエンザ予防接種を希望する人の数が例年より増加
      • 【7】コロナウィルスとインフルエンザウィルスの双方に同時に感染する危険性や、その場合重症化して死に至るケースもあることを示す研究結果も存在し、英国では再びコロナウィルスの感染者数が増加するなかインフルエンザの予防接種を希望する人の数が例年より増加しており、既にワクチンを切らして受付を停止している医療機関も複数発生している。政府は、ワクチンの数に不足は生じておらず、今後数週間から数カ月をかけて感染した場合のリスクが最も高いとされる約3,000万人分のワクチンを供給することが可能であるとしているが、一方で現在使用可能なワクチンは感染した場合のリスクが高い65歳以上の人を対象に接種を行い、その後50歳から64歳までの健康な人にも対象を拡大するなど、優先順位をつけて接種を実施するとしている。

        ※9/28の英国の感染者数:4,044人(日本485人の8.3倍、緊急事態解除基準47人の86倍)
        ※9/28の英国の死者数:13人(日本3人の4.3倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 September 29, 2020, BBC (若林健一)
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