2020/09/07LROニュース(7)

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  • 2020.09.07 UP
    2020/09/07LROニュース(7)
    • 【1】ノルウェー:高緯度の北極海海域で新たな石油開発を計画
      • 【1】ノルウェー政府は今まで手が付けられていなかった緯度の高い9海域について石油開発を進めることに関するパブコメを8月26日に締め切ったが、米国政府が8月に発表したアラスカにおける新たな石油開発地域よりはるかに高緯度の海域で、環境面でも経済採算性の面でも、他の関係国との政治的な関係からもリスクの高い海域であると専門家は指摘している。ノルウェー政府はスヴァールバル諸島南方の海域に、海氷が来る南限を予測しこの「海氷限界」より北部の海域における石油開発は許可されていないが、最近の海氷の後退と併せて、石油開発の海域の上限を少しづつ北方に引き上げて、他の北極海関係諸国が許容しうる北限まで近づいている。WWF等の環境団体は、8月24日、政府に公開書簡を送り、北極海において、石油開発に伴う油濁事故が発生した場合に、清掃活動を行う技術が確立していない以上、これ以上の石油開発に反対することを表明している。
      • 原文 August 27, 2020, Euractiv(長谷部正道)
    • 【2】北極海における重油燃料の使用と輸送の禁止に関するPPR案の効果
      • 【2】南氷洋においては、2011年から既に重油燃料(HFO)の使用と輸送が禁止されているが、北極海においてもHFOの漏出による環境汚染の懸念から、南氷洋と同様の規制の導入を求める動きが高まった結果、2020年2月にIMOの第7回汚染防止・対応小委員会 (PPR 7)において、北極海におけるHFOの使用と輸送の禁止に関する条約の改正案がまとまった。この改正案によれば、HFOの禁止は原則として2024年7月から実施されるが、2029年7月まで、特定の船舶については引き続きHFOの使用が認められることとなっている。The International Council on Clean Transportation (ICCT)は、この例外/猶予措置の影響を検証するため、PPR案がそのまま2019年に適用された場合の効果を検証したところ、HFOの輸送量は30%、HFOの使用量は16%、Black Carbonの排出量は5%しか削減できないことが分かった。2020年11月には、PPR 7で合意された禁止案が親委員会である第75回海洋環境保護委員会 (MEPC 75)において審議されることとなるが、HFOの輸送/使用禁止の効果を高めるため、PPR案より、例外/猶予措置の範囲を狭くしたときに、どれだけの効果があるかいくつかの場合に分けてICCTは検証を行った。例えば、内水と領海においてのみ猶予措置を認め、適用除外をなしとすれば、HFOの輸送量は70%、HFOの使用量は75%、Black Carbonの排出量は22%も削減できることが判明した。
      • 原文 September 3, 2020, ICCT(長谷部正道)
    • 【3】北極圏の山火事によって過去最高のCO₂が排出
      • 【3】欧州中期気象予想センター(ECMWF)は、欧州委員会のために世界中で発生する山火事をモニターしているが、ECMWFが運営するコペルニクス大気観測サービス(CAMS)の観測情報によると、6月以降北極圏で発生した山火事によって放出されたCO₂の量は、2019年の最高記録を既に超過して2003年以来最高となり、2020年全体のCO₂排出量は2.44億トンと、2019年の総排出量である1.81億トンから約34%も増加する見込みとなっている。増加の要因の大半を占めた、露サハ共和国を含む露東部全体では、6月から8月にかけて約5.4億トンのCO₂が大気中に放出され、当該地域における2003年の最高記録を上回った。CAMSの専門家によると、北極圏での活発な山火事は、CO₂排出量に反映されているように強度・規模の面で2019年の記録を既に超えており、CAMSと並行して運用しているコペルニクス気候変動サービス(C3S)によると、平年より温暖で乾燥した気候が北極圏に広く拡大したことが原因と考えられる。
      • 原文 September 3, 2020, Evening Standard(植木エミリ)
    • 【4】EUが2040年までの中間的なGHG削減目標を策定へ
      • 【4】欧州理事会は、欧州を2050年までに世界で最初の炭素中立大陸とする目標を法的拘束力のあるものとして定め、欧州Green Dealの法的基盤である欧州気候法(European Climate Law : ECL)案について9月7日から審議を行う。審議に先立ち、現在の理事会議長国である独から加盟国に配布された提案によると、2050年までの炭素中立達成を確実なものとするため、2040年までの中間的なCO₂削減目標をECLに盛り込むことを目指している。独は10月までにECLについて理事会としての合意を取りまとめることを目指しているが、欧州委員会から提案されている法案に対し、更なる改正案を近日中に追加で提案する可能性もある。欧州議会もまた、10月までに現在のECL案に対する立場を取りまとめ、11月以降は欧州理事会・議会・委員会の間で、法案の最終的な調整協議が行われる予定となっている。なお現在EUは2030年までに1990年実績比でCO₂排出量を40%削減することを目標としているが、欧州委員会は9月末までに、2030年までの削減率を55%まで引き上げる提案を行う予定である。
      • 原文 September 3, 2020, Bloomberg(植木エミリ)
    • 【5】海運各社がようやくlow-sulphur surcharges廃止を表明
      • 【5】海運各社は2019年12月からIMO 2020年規制実施に伴う規制適合燃料油のコスト高を補うためにLow-Sulphur Surchargesを導入していたが、原油価格の暴落に伴い、規制適合油の価格も大きく低下したにもかかわらず、船社が当該サーチャージをなかなか廃止しないことに対して荷主は不満を抱いていた。こうした不満に対応して、9月1日、CMA CGMが先陣を切って、10月1日から同サーチャージの廃止を表明した。規制が開始された本年当初には、規制適合油の価格はトン当たり約600ドルであったが、最近のロッテルダム港における価格例では約半値の同約320ドルまで価格が低下している。こうした燃料コストの劇的な低下と、運賃価格の高騰により、海運各社の第2四半期の収益は予想に反して極めて高収益となっている。
      • 原文 September 3, 2020, The Loadstar(長谷部正道)
    • 【6】ベーリング海の冬季の海氷の面積が過去最低に
      • 【6】2018年と2019年の冬季の海氷面積は、過去数千年と比較しても最低のレベルとなったことが、9月2日にScience Advances誌に発表された研究で明らかになり、北極海における加速化する地球温暖化による影響について、改めて新たな懸念材料となった。過去40年間については、衛星写真の記録によって、北極海と北部太平洋との間の海氷の範囲が縮小してきたことを明確に把握できるが、それ以前の海氷の範囲については、これまでは船舶の航海日記等の記録にあたるしかなかったが、今回発表された研究では、アラスカ沖のセント・マシュー島の泥炭地の土壌に含まれる1000年以上も前の植物の有機化合物を分析したところ、約5500年前までの大気や海洋の状況や降雨量や海氷面積などを推測することに成功し、2018年と2019年の海氷面積が過去5500年以来、最低の水準となっていることが判明した。
      • 原文 September 2, 2020, Reuters(長谷部正道)
    • 【7】コロナウィルスの検査件数を増やすも処理が追い付かず
      • 【7】英国政府はコロナウィルス感染拡大の防止策として、6月中旬に約10万件であった1日当たりの検査件数を約17万件まで増加させたが、検体の検査を行う施設の対応が追いついていない。加えて、感染率が高い地域や介護施設の住民の検査を優先して処理していることなどもあり、一部の地域では家庭用検査キットが入手できず、自宅近傍の施設で検査を受けることもできない状態が発生している。検査を希望した人の中には、家庭用検査キットも受け取れず検査施設での検査を希望したところ自宅から約400㎞離れた施設を指定された人もいる。専門家からは、こうした状況が続けば検査を受ける人の数が減り、感染者を把握できずに感染拡大を招くとして、改善を求める声が上がっている。

        ※9/3の英国の感染者数:1,735人(日本598人の2.9倍、緊急事態解除基準47人の36倍)
        ※9/3の英国の死者数:13人(日本12人の1.1倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 September 4, 2020, BBC (若林健一)
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