2020/09/03LROニュース(7)

NEWS


※LROニュースの内容については、有料メールニュースなど営利目的での転載はご遠慮頂くとともに、2次使用の際はLROニュースからの転載である旨を明示していただきますよう、お願いいたします。

トップページ > LROニュース > 2020/09/03LROニュース(7)
  • 2020.09.03 UP
    2020/09/03LROニュース(7)
    • 【1】 ソマリアの海賊による最後の人質が解放されるも引き続き警戒が必要
      • 【1】2015年3月25日にソマリア沖で漁船の乗組員19名が海賊に誘拐される事件が発生し、同年11月に4名が、その後数年をかけて他の乗組員も順次解放され、残り3名の乗組員が今年8月20日にようやく解放された。これにより、ソマリア周辺の海賊によって人質とされている船員はいなくなった。2007年から2012年の間ソマリア周辺海域は海賊の多発海域とされ、2010年から2013年の間に海賊に人質として拘束された人数は約3,000人に及び、2011年には年間の海賊による襲撃件数は237件を数えた。しかし、海賊対策のためのベストプラクティス集(BMP4)が2011年8月に策定され、その後、高危険度海域の設定や安全な航行速力、民間武装警備員の乗船などの対策がとられ、襲撃件数は過去5年で激減し、海運業会からは、ソマリア周辺海域はもはや海賊の多発海域ではないとの喜びの声も聞かれる。しかし、専門家によれば今現在も多くの治安上のリスクが潜在しており、主な海賊の主導者は今なお健在であり海賊行為に及ぶための十分な資金も蓄えているとして、ソマリア周辺における海賊は決して過去のものではないと警戒を呼び掛けている。
      • 原文 September 1, 2020, ARX MOULDINGS (若林健一)
    • 【2】 水素大国になるのはどちらか:EUと中国
      • 【2】(論説)再生可能エネルギーから製造される水素(Green Hydrogen : GH)は、重工業や航空業といったGHGの排出削減が難しい分野の脱炭素化を促進する有効な手段とされているが、普及にあたっては、製造コストの削減が目下課題となっている。水素経済を確立すべく大規模なGH製造計画を打ち出し、製造技術や政策面で世界をリードしているEUに対し、中国はGHの製造技術においては品質や信頼性の面で後れを取っているが、市場の大きさから、規模の経済や製造の自動化といった利益をEUや米国に先んじて享受し、コスト面でメリットを得ることができている。こうしたEU・中国間の競争によって、高額なGH製造コストは下がっていき、より多くの国が脱炭素化に向けた目標を実現できる可能性がある。またEUの2050年までに炭素中立を実現するという目標は、水素の利用を促進して製造規模の拡大が見込めるが、中国は、水素技術に関しては早い段階から政策を推し進めてきたものの、EUとは対照的に国全体で脱炭素化へ向けた取り組みは行っていないため、GHに対してあまり力を入れてこなかった。しかし、中国がGHに関する具体的な目標や戦略を打ち立てた場合、世界全体が大きく変わる可能性があり、いずれにしても、EU・中国間の健全な競争によって、世界が求める「競争力の高いGH価格」の実現が加速していくと見られている。
      • 原文 August 31, 2020 Energy Post EU 植木エミリ)
    • 【3】 米国防総省の年次報告書が中国の海軍力を世界一と指摘
      • 【3】米国防総省は9月1日に中国軍に関する年次報告書を公表し、中国は海軍の増強を急いでおり、現在米海軍が有する艦船や潜水艦の数は295隻であるのに対して中国海軍は350隻を有しその海軍力は世界一であると指摘している。昨年の報告書では中国海軍はアジア地域一という評価であった。報告書は、中国は造船能力の強化も図っており世界の中でもトップクラスの造船大国であるという評価や、中国の指導者らは中国軍を2049年までに米軍などを凌ぐ世界一の軍隊に発展させる狙いがあるといった指摘もしている。また、中国軍は、造船能力、地上配備型の弾道ミサイルや巡航ミサイル、統合防空システムの3つの分野で既に米国を上回っていると評価し、核の分野においても近代化や増強を進めており、その保有量は今後10年間で少なくとも倍増し、武装形態の多様化や配備場所の拡大が図られると予想している。
      • 原文 September 1, 2020, Stars and Stripes (若林健一)
    • 【4】 海洋の温暖化によってハリケーンの急速な激化が増加
      • 【4】8月27日未明に米ルイジアナ州に上陸したハリケーン・ローラは、大きな被害を及ぼす可能性の低いカテゴリー1のハリケーンとして観測されてからわずか24時間以内に、5段階中上から2番目の強度にあたるカテゴリー4へ成長し、50万人以上が避難を余儀なくされた。ローラは、メキシコ湾で観測されたハリケーンの中で最も速い速度で成長したものの一つであるが、国立ハリケーンセンターの研究者によると、こうした急速な激化(rapid intensification)は、気候変動に伴う海洋の温暖化により高頻度で発生しているという。米国海洋大気庁は、8月上旬、2020年のハリケーンシーズンは大西洋で25もの暴風雨が発生すると予測していたが、ローラはその13番目にあたる。風速177km/時を超すカテゴリー3以上の大型ハリケーンの発生頻度は過去40年間でますます増えており、海水温が高いと、海面と大気の間の熱によって移動中もハリケーンの勢いが保たれるため、ローラは2005年に甚大な被害を及ぼしたカトリーナ同様、強い勢いを保ったまま上陸し、その後弱体化した。GHGによって大気中に閉じ込められた熱の大部分は最終的に海洋へ吸収されるため、地球温暖化が進行すればするほど暴風雨の勢いは増すと科学者は警告している。
      • 原文 August 31, 2020  BELLONA (植木エミリ)
    • 【5】 WHOが貨物船及び漁船の向けコロナウィルス感染防止対策を公表
      • 【5】世界保健機関(WHO)は8月25日、貨客船を除く貨物船及び漁船の船員がコロナ禍においても健康を保ちつつ業務を継続できるよう必要な対策をまとめたガイダンスを公表したが、その概要は以下のとおり。①このガイダンスは、船主、船員、健康や運輸に関係する団体や当局向けに、貨物船及び漁船の船員の感染防止対策や感染者が発生した場合の対応を提供する。②これらの船舶は旅客船と異なり通常船内に医者はおらず医療施設も備わっていないこと、コロナウィルスに特化した感染防止対策がなく一般的な呼吸器疾患用のガイダンスでは対策が不十分であること、船員が感染防止用保護具を使用できない場合や使用するための訓練を受けていない場合があること等の問題点を解決するための基礎的事項を提供する。④内容には、スクリーニング検査など船員を乗船させる場合の対策、船内におけるリスク分析や一般的な感染防止対策、感染の疑い事例への対応、医療機関を利用するための対応、帰宅や通勤など陸上移動時における対策などが含まれる。④このガイダンスを踏まえ、船主は、観察及び報告、感染者が発生した場合の対応、清掃や消毒、連絡方法、訓練などを内容とする緊急時対応計画を策定することが推奨される。
      • 原文 August 25, 2020, WHO (若林健一)
    • 【6】持続可能な船舶用燃料油の基準確立に向けた取り組みが始動
      • 【6】海運業界は、持続可能性を判断するための公的な基準や、関連する認証スキームのない中で、環境を汚染しない船舶用燃料を見つけることに苦労しており、こうした問題を解決するため、Sustainable Shipping Initiative (SSI)とコペンハーゲン・ビジネススクール(CBS)は、燃料が持続可能であるかどうかの基準を定義し、持続可能な燃料の認証の促進を目指す。このパートナーシップでは、船舶用燃料の持続可能性についての基準を定め、その基準を利用して船舶から炭素を排出しない海運の実現に向け検討されている代替燃料の評価を行う。またこの基準は、海事産業・エネルギー産業全体で行われている、多くの脱炭素化に向けた取り組みへも適用される。SSIは、その後も引き続き認証機関と協力しながら、船舶用燃料の持続可能性基準または認証スキームの開発を促進していく予定。当該研究は、CBSとブリティッシュコロンビア大学が共同で管理する国際的な研究パートナーシップ・Green Shipping Projectの下で行われる。Green Shipping Projectは、カナダ社会科学・人文学研究評議会の助成により、18の大学と19の政府・産業界・NGOの協力の下2017年発足した。
      • 原文 September 2, 2020 Splash 247(植木エミリ)
    • 【7】 イングランド北部の都市でロックダウン緩和が延期に
      • 【7】英国政府は、新規感染者数の増加を踏まえイングランド北部の複数の都市に地域的なロックダウンを発令して異なる家庭間の行き来などを規制してきたが、このうち一部の地域については8月に入り新規感染者数が減少したことから、9月2日にロックダウンを緩和する方針を8月28日に明らかにしていた。しかし、この僅か数日間で新規感染者が2~3倍に急増したことを受け、政府はロックダウンの解除を延期することを発表した。政府のこうした急激な方針転換に対して地元などからは困惑の声が上がっているが、政府は感染拡大を防止するため必要な判断であると説明している。

        ※9/1の英国の感染者数:1,295人(日本434人の3倍、緊急事態解除基準47人の28倍)
        ※9/1の英国の死者数:3人(日本17人の0.2倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 September 2, 2020, BBC (若林健一)
  • 資料閲覧 その他