2020/08/25LROニュース(7)

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  • 2020.08.25 UP
    2020/08/25LROニュース(7)
    • 【1】 グレタがメルケル首相に気候変動問題に対する指導力強化を要請
      • 【1】グレタ氏が気候変動活動のために初めてのストライキを行ってから2周年の節目となる8月20日、グレタ氏を含む4人の若手環境活動家は、独のメルケル首相と90分に及ぶ会談を行った。会談に際し、12万5千人の活動家や有識者らが署名した公開書簡を手交し、化石燃料に対する補助金および化石燃料資源開発に対する投資を直ちに打ち切り、拘束力のある年間炭素許容排出枠(Carbon Budgets)制度の導入を求めた。書簡では、気候変動問題が未だに政治家/メディア/産業界/金融界から「危機」として真剣にとらえられておらず、大方の人は、人類がGHG排出量を削減するための正しい道筋をたどっており、このままのやり方で気候変動による厄災を防げるかのように装っているが、そうした都合の良い考え方を抜け出して、政治家などのリーダーが気候変動対策を直ちに強化する必要があると述べた。またこれまでに世界で排出されたGHG総量の22%はEUと英国によって排出されており、欧州が世界のリーダーとして気候変動問題に取り組むためにも、現在EU理事会の議長国を務めている独の役割は重要だとしている。
      • 原文 August 20, 2020, Euronews(植木エミリ)
    • 【2】 わかしお:座礁後なぜすぐに燃料油の抜き取り作業が実施されなかったのか?
      • 【2】わかしお事件では、なぜわかしおが通常の航路を逸脱したか?という疑問の他に、座礁後、なぜ迅速なサルベージ作業が実施されなかったのか?という疑問がある。わかしおの船主の長鋪汽船はJapan P&Iに加入しているが、本件の賠償にあたっては、国際P&Iグループにより、最大10億ドル(約1058億円)までの再保険が掛けられており、損害賠償の問題は国際P&Iグループ加盟の他のP&I保険会社をはじめ保険業界全体の問題である。長鋪汽船はサルベージ作業を実績のあるSmitに依頼したが、Smitが油の抜き取りのために用船しようとしたタンカーの使用が、国内のバージの使用にこだわるモーリシャス政府によって却下されたために、貴重な時間が失われたという情報もある。P&Iクラブは当然のことながら、メンバーである船主の利益を守るのが通常であるが、今回のような大規模な油濁事故で、結果として多くの保険会社が巻き込まれるような場合には、全ての関係当事者の法律事務所は、わかしおの座礁から実際に燃料油の漏出が始まるまで、何が起こったのか慎重な検討を行うことが予想される。
      • 原文 August 20, 2020, Seatrade Maritime News(長谷部正道)
    • 【3】 COP26: 2050年までに炭素中立を目指さない企業はスポンサーになれず
      • 【3】英国政府はCOP26のスポンサー企業の募集にあたり、①当該企業の有する(人的・財政的)資源・目標・経験により、COPの成功と、気候変動に関する国際的な取り組みに貢献できる②COPの目的に沿い、気候変動問題に取り組むため真に貢献できる③これまで気候変動問題に取り組んだ顕著な実績があり、少なくとも2050年までの炭素中立実現に向けた確かな短期的行動計画であるScience Based Targetsを持つことを要件とすることを発表した。これまでのCOPでは、環境汚染に加担する企業がスポンサーとなることが認められており、パリ協定が合意されたCOP21では、Air France/Renaut/電力会社のEngieが、ポーランドで開催されたCOP24では、国営石炭企業のJSWがスポンサーとなったが、環境団体等からは、環境汚染企業をCOPのスポンサーとすることに強い異論が表明されていた。COP26の開催コストは現段階で約2.5億ポンド(約345億円)と見込まれており、英国に本拠を置くオイルメジャーであるBPとShellはともに2050年までの炭素中立を目標としているが、両社の計画は炭素回収貯留(CCS)などの未確立の技術に大きく依存しており、両社の計画が「信頼できる(credible)」ものとみなされない限り、スポンサーとしての参加は認められないことになる。
      • 原文 August 18, 2020, Climate Change News(植木エミリ)
    • 【4】 気候変動によりカリフォルニアの山火事が助長
      • 【4】カリフォルニア州北部では、8月14日から数千回にも及ぶ落雷によってサンフランシスコ湾岸地域を中心に数百件に及ぶ大規模な山火事が発生しており、火は瞬く間に燃え広がって多くの住民が非難を余儀なくされ、空には煙が充満し、地域の大部分に灰が降り注いだ。当該地域では、冬季の極度の乾燥と、夏の記録的な熱波によって森林や草原が薪のような状態になっており、2018年の山火事に次いでカリフォルニア史上最も破壊的な山火事のひとつとなった。気候変動の専門家たちは、地球温暖化と特定の極端な現象を結びつけるのに慎重だが、人類の活動によって生じた地球の温暖化によって、山火事の頻度・規模が大きくなっているのはほぼ確実であるとしている。カリフォルニア大学バークレー大気科学センターの科学者は、夏季の日中最高気温の平均が、20世紀初頭に比べて既に約2℃上昇しており、気温が1℃上昇するごとに、落雷の発生率が12%増加する可能性があると指摘している。
      • 原文 August 20, 2020, MIT Technology Review(植木エミリ)
    • 【5】 米国の北極政策:中国と安全保障政策に重点を傾斜
      • 【5】今年6月にトランプ政権は北極政策に関する大統領覚書を発出し、2029年までに3隻の大型砕氷艦を就役させるための計画の策定や国内の基地及び国外の支援拠点をそれぞれ2カ所ずつ設置することを関係省庁に対して指示したが、この覚書からは現在の米国による北極政策について2つの重要な側面を知ることができる。一点目は、トランプ政権による北極政策が軍事面の強化について大きく注目している点である。トランプ政権は、既に原子力艦9隻を含む約40隻の砕氷艦を有するロシアなど他国に北極海で対抗すべく、6隻の新たな砕氷型巡視船の建造の必要性について議会とも同意しており、また、北極海における活動能力を拡大すべく、バレンツ海で1990年以降初めてとなる洋上演習を実施するなどNATOの同盟国との合同演習を実施している。二点目は、トランプ政権の北極政策が中国について大きく注目している点である。2018年以降北極海における中国のプレゼンスは高まっており、トランプ政権は、中国による新たな砕氷艦の完成、グリーンランドの資源開発への投資、露との協力強化などの動きを脅威と捉えている。オバマ政権の北極政策では中国について一切言及していなかったが、中国による活動の増加を踏まえトランプ政権では北極政策の中心的な対象として中国を捉えている。
      • 原文 August 21, 2020, The Arctic Institute (若林健一)
    • 【6】 荷主がコンテナ船社にCO₂排気ゼロ船舶の建造を働きかけるInitiativeが発足
      • 【6】CO₂排出ゼロ船舶(ZEV)実現のために現段階で最も有力なのが、再生可能エネルギーによって製造された水素(Green Hydrogen: GH)を燃料として使用することであるが、GHを燃料とする最初のZEVを実現するためには莫大な投資が必要で、消費者の目にさらされにくい海運業界にとっては、こうした莫大な投資を行う動機を持ちにくい。一方で、世界で有名なブランドを持つ荷主企業は、既に生産/流通の全過程でCO₂の排出量を削減し、地球の気温上昇を1.5℃以内に抑制するために、炭素中立を宣言する企業も出ている。こうした世界的にも有名なブランドメーカーは、海運業界にとっても大手荷主であり、大きな影響力を行使できるので、米のAspen Instituteが中心となって、Cargo Owners Zero Emission Vessel Initiative (coZEV)を立ち上げ、現在、上記有名荷主企業等の参加について交渉を進めている。coZEVはZEVを導入する船社を支援するため、最初のZEVに対して一定期間貨物量を保証するとともに、将来的に、ZEVを優先的に使用する荷主としての目標を設定するなどの支援策を講じる一方で、船社に対してGHG削減目標を設定し、利用可能な技術を活用して目標を達成することを求めていく。
      • 原文 August 12, 2020, The Aspen Institute(長谷部正道)
    • 【7】 イングランド及びスコットランドで家庭用検査キットが枯渇
      • 【7】イングランド及びスコットランドにおいて家庭用検査キットの在庫が枯渇し、感染の疑いがあり検査キットの送付を希望する人が検査施設まで赴くよう指示を受ける事例や、検査施設も最寄りではなく遠隔地の施設を指定される事例が多く発生しており、特に都市部に生活せず車も所有していない人々にとって大きな支障となっている。コロナウィルスの検査数の4分の1は家庭用検査キットを使用して行われているが、今回の原因は未だ明らかになっていない。また、検体の確認作業にもこの数週間で急激な遅れが生じており、2日以内に検査結果が判明する割合は3分の1程度に減少し僅か14.5%にとどまっている。政府はこの原因についてはシステム上のトラブルや検査数の増加が影響していると説明しているが、感染の第2波を防止するためにも検査体制の改善が求められる。

        ※8/23の英国の感染者数:1,041人(日本989人の1.1倍、緊急事態解除基準47人の22倍)
        ※8/23の英国の死者数:6人(日本7人の0.9倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 August 24, 2020, The Guardian (若林健一)
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