2020/08/11LROニュース(7)

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  • 2020.08.11 UP
    2020/08/11LROニュース(7)
    • 【1】欧州委員会: 今後の北極政策についてパブコメを開始
      • EUの北極政策については、最初の政策が2008年に作成されて以来、定期的に見直しが行われ、現在の政策は2016年に作成されているが、2019年12月に、欧州理事会は欧州委員会と外務・安全保障政策上級代表(High Representative)に対し、既存の政策を引き続き実施するとともに、北極政策の見直しのための手続きを介することを要請したため、7月20日、欧州委員会と欧州対外行動局は北極政策の見直しについてパブコメを開始することを発表した。現在の北極政策は①気候変動と北極の環境保護②北極周辺の持続可能な発展③北極に関する課題についての国際連携が3本の政策的柱となっているが、今回のパブコメで集まった意見をもとに、①北極問題に果たすEUの果たすべき役割の再検討②現行の北極政策の中の3本柱とそれに関する施策の見直し③新たに検討すべき政策課題の確定を実施することを目的としている。パブコメの提出期限は11月6日とされている。
      • 原文 July 20, 2020, 欧州委員会(長谷部正道)
    • 【2】英国大蔵委員会が英国経済の脱炭素化とGreen Financeに関する調査を再開
      • 英国下院大蔵特別委員会(UK Treasury Committee)は2019年6月、英国政府の気候変動対策において大蔵省(HMT)や金融機関等の果たす役割を精査し、英国経済の脱炭素化の可能性を検討するための調査を行い、これを受け英国政府は2050年までの炭素中立を達成する法律を議会の承認を経て策定した。その後、パンデミックの影響により状況が大きく変化したことを受け、2050年までの炭素中立実現のため、コロナ復興を契機としてさらなるGreen Economyを促進できるかを問うものとして、以下の事項について意見を聴取し、再度調査を行うことを7月24日決定した。①支援を受ける企業の環境汚染の程度に応じて、HMTが行う復興支援の内容を区別すべきか。②HMTはコロナ復興政策として、Green Infrastructureに対し直接金融支援を実施すべきか。③パンデミックの結果、炭素中立への転換を促進するため、HMTは既存の環境政策を変更または新たな政策を実施すべきか。④ポストコロナ経済において、政府は炭素中立を実現するための財政政策をどのように変更すべきか。⑤パンデミックによって、HMTや国税・税関省が炭素中立をより実現しやすくなるような結果はもたらされたか。
      • 原文 July 24, 2020, 英国議会(植木エミリ)
    • 【3】ロスアトム:バレンツ海・カラ海に海洋投棄された放射性廃棄物を回収
      • ソ連邦時代の1960年代後半から1980年代後半にかけて、ロシア領の北極海には約1万8千件の放射性廃棄物が意図的に投棄され、これまでは環境に与えるリスクは低いとみなされてきたが、近年北極海の生態系に重大な危険を及ぼすとの指摘が増えてきたことを受けて、ロシア国営原子力企業のロスアトムは、今後8年間で最も放射能汚染の危険性が高い廃棄物6つを海底から引き上げる計画を発表した。その内訳は、原子力潜水艦の原子炉3つと砕氷船レーニン号に搭載されていた原子炉内の使用済み核燃料に加え、カラ海・バレンツ海から2隻の潜水艦が丸ごと引き上げられる予定である。潜水艦はそれぞれ、1982年に意図的に沈められ、カラ海のノバヤ・ゼムリヤ島沖の水深33m地点に沈んでいるK-27と、2003年の曳航作業中に沈没し、バレンツ海のコラ半島沖の水深200m地点に沈んでいるK-159で、これらの潜水艦は専門家から「時限放射能爆弾」になる可能性があると指摘されている。廃棄物の引き揚げ作業は、技術的に難しいだけでなく、欧州委員会とロスアトムによる共同調査では、2.78億ユーロ(約348億円)の経費が必要と見積もられている。
      • 原文 August 5, 2020, The Moscow Times(植木エミリ)
    • 【4】米・中の国防長官が南シナ海・台湾問題で電話会談
      • 米・中の国防長官は、6月中旬にハワイで会談を行ったが、7月6日、約1時間半、電話会談を行い、南シナ海・台湾問題で、お互いに警告を発した。国防省の報道官によれば、米側は、台湾・南シナ海周辺海域における中国軍の地域を不安定化する動きに懸念を表明するとともに、中国が国際的な義務を尊重し、WHOの協定に従い、コロナウィルスのサンプルなど必要な情報を提供するよう要請した。米・中の間には南シナ海における軍事衝突への懸念が高まっており、米軍大型哨戒機の同海域の飛行回数も7月に入って急増し67回に達している。南シナ海海域ばかりでなく、米空軍の対地早期警戒管制機であるE-8Cが、7月に入って、広東省沿岸部上空で7回も確認されている。
      • 原文 August 7, 2020, South China Morning Post(長谷部正道)
    • 【5】BPの再生可能エネルギーの目標の達成は困難
      • 欧州の石油会社は環境運動家・銀行・投資家・環境問題に関心の高い政府から、化石燃料中心のビジネスモデルから、単なる再生可能エネルギーの発電ばかりでなく、より利益率の高いビジネスモデルを追求することを求められている。この結果、イタリアの石油企業のEniに引き続き、BPは8月4日、石油・ガスの生産を2030年までに4割削減し、毎年50億ドル(約5300億円)の投資を低炭素エネルギー事業に投資をし、風力・太陽光・水力などによる再生可能エネルギーの発電量を現在の2.5GWから2030年までに20倍の50GWTにする計画を発表した。専門家によれば、こうしたBPの野心的な目標達成のためには、大規模な洋上風力発電施設の整備が最も手っ取り早い方法であろうが、洋上風力発電施設の開発には時間と膨大な初期投資が必要なため、自前で開発する代わりに洋上風力発電施設を買収するという選択肢もあるが、将来的に安定した高収益が見込める事業のため、買収コストも高くつくことが考えられる。BPは既に、410億ドル(約4.3兆円)の借り入れがあり、世界の投資家は化石燃料製造事業から低炭素エネルギー事業に乗り換えようとしているため、BPの株価は過去2年間で半減し、市場価値が800億ドル(約8.5兆円)まで低下しており、市場競争力のなくなった石油・ガス資源を売却して250億ドル(約2.6兆円)を捻出してエネルギー転換に対応しようとしているが、洋上風力発電施設を自前で建設するにしろ、買収するにせよ資金的に目標達成は厳しい状況にある。
      • 原文 August 10, 2020, Reuters(長谷部正道)
    • 【6】豪で船員の運航拒否により運航停止を余儀なくされる船舶が相次ぐ
      • 豪で合計3隻の船舶の乗組員が帰国を求めて、船舶の運航ができない状況になっている。8月6日にパースのフリーマントル港で運航を停止したリベリア籍で独の船社が運航するコンテナ船にはルーマニア・中国・スリランカ等の国籍の船員が乗り組んでいるが、これらの船員の労働契約期間は超過しており、これ以上の船舶の運航の拒否と帰国を要求している。もう一隻の船舶は、マーシャル諸島籍でギリシャの船社が運航するばら積み船で、ビクトリア州のジーロング港で運航を停止しているが、5名の船員が国際運輸労連(ITF)に乗務の拒否と帰国を求めており、最も長く乗務している船員は17か月以上乗務している。乗務を拒否している船員は当初の9か月の契約期間後、契約延長期間が終了したら必ず帰国させるという船主の約束のもとに5か月の勤務期間の延長に応じたが、延長期間終了後も、具体的な帰国計画が全くないという。ITFと豪船員協会は、今後も乗務を拒否する勇気ある船員を支援していくとしている。
      • 原文 August 10, 2020, Offshore Energy Biz(長谷部正道)
    • 【7】英国政府が近日中に携帯端末用ウィルス追跡アプリの実証実験を開始予定
      • 英国政府は、独自開発を断念しAppleとGoogleが提供する技術を新たに採用して開発を進めてきた携帯端末用ウィルス追跡アプリについて、近日中に一部の地域で実証実験を開始すると見られている。このアプリは、訪れた場所に掲示してあるQRコードを読み取ることや、接近した他人の携帯用端末を検知することで、周囲にいた人がウィルスに感染していたことが後日判明した場合などに連絡を受けることを可能とする。さらに、各地域の感染状況に関する情報も提供し、また、一日当たり他人と密な状況になった回数をカウントすることで、使用者に対して注意を促す機能も有するとみられる。このアプリは多くの人が使用することで初めて機能を発揮するものであり、導入後は社会全体で利用を促進してくことが求められる。しかし、本格的な導入時期はまだ明らかになっておらず、開発にかかわる技術者の中からは、政府が開発を急ぐあまりにアプリが未完成のまま導入されようとしていると懸念を示す声も聞かれている。

        ※8/6 の英国の感染者数:950 人(日本1,358 人の0.7 倍、緊急事態解除基準47 人の20 倍)
        ※8/6 の英国の死者数:49 人(日本4 人の12 倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1 週間の新規感染者数の合計が人口10 万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644 万人)に適用した場合、1 週間当たりの新規感染者数は332 人、1 日当たり約47 人となる。
      • 原文 August 7, 2020, BBC(若林健一)
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