2020/08/05LROニュース(7)

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  • 2020.08.05 UP
    2020/08/05LROニュース(7)
    • 【1】海面上昇によって変わる将来の海の観光の在り方(3つの選択肢)
      • 【1】現在、観光産業の半分は海岸地域で行われているが、今後80年間で海面が約2m上昇した際の海の観光の在り方について、3つのシナリオを検討する。第1の選択肢は、既にカリブ海の島嶼リゾートで実施されているように、海上にプラットフォームを建設しその上にホテル等必要な観光施設を設置する方法である。今後更なる技術開発および法律上・経済面での検討が必要とされる。第2の選択肢は、パリ・セーヌ河畔の人工ビーチで有名になったような、街中に人口海浜を造成する都市型ビーチの構想である。遠出が減ると、CO₂排出量の削減にも繋がり、実際の海岸への負担も減らすことができる。第3の選択肢は、自然を受け入れ、海面の上昇による地形の変化を制御しないことである。香港やスペインの例にもあるように、海面上昇によって多くの海岸が湿地となり、多様な生態系を育んでいる。マングローブや塩性湿地が大気中のCO₂を回収・貯蔵するBlue Carbon効果も期待でき、埋め立てられた海を自然な状態に戻すことによって、持続可能な観光モデルが可能になるという見方もある。
      • 原文 July 31, 2020, The Conversation(植木エミリ)
    • 【2】ギニア湾における海洋統治と海上保安
      • 【2】アフリカ諸国の経済や国際海運にとって重要な海域であるギニア湾では海賊・武装強盗などの海上犯罪が一般化しており、海上保安機能が果たす役割は重要である。ギニア湾では近年、海賊・武装強盗が増加しており、特にナイジェリアのデルタ地帯では顕著であり、2007年には100件以上の襲撃事件が記録されており、国際海事局(IMB)の2016年の報告書ではギニア湾を最も危険な海域と位置付けている。国連は安保理決議2039号により国際的な協力を求め、国際海事機関(IMO)などの国連機関も課題の把握や解決に貢献しており、EU(欧州連合)も独自の地域戦略を策定して海上保安機能を提供する重要な役割を担っている。また、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)や中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)などにより地域的な戦略も策定されている。しかし、これらの取組みにもかかわらず、海賊・武装強盗事件は未だ重大な課題となっており、これに対処し、健全な国際貿易を確保するためには世界規模で協調のとれた海洋統治が必要であり、そのためには、海洋環境問題と人口増加の関係に目を向けること、関係国の政府が連携した組織的な対応や新たな技術の活用などが求められる。
      • 原文 July 31, 2020, CIMSEC(若林健一)
    • 【3】民間武装警備員によってばら積み船が3日間乗っ取られる
      • 【3】7月21日、インド洋において大型貨物船が紅海に入域する前に通常通り3人の民間武装警備員を乗船させた。しかし、乗船後1人の民間武装警備員が船長への武器の提出を拒み、会社から未払いとなっている給料の支払いを求め苦情を訴え、同船を乗っ取った。同武装警備員は船上で所持していた銃を発砲するなどしたが、乗組員に対して直接の脅威はなく負傷者も発生していない。同船の運航会社は専門家の指導を仰ぎつつ事態の鎮静化につとめ、約3日後に同武装警備員は武器を提出し同船も航海を再開することができ、同武装警備員は7月30日に下船した。
      • 原文 August 3, 2020, Splash 247(若林健一)
    • 【4】MPA: シンガポール船籍船向けコロナ予防のためのBest Practice
      • 【4】7月24日、シンガポール海事港湾庁は同港で船員交代が許されているシンガポール船籍船向けに、コロナ感染予防のためのBest Practiceを求めて通達(Shipping Circular No. 14)したところその概要は以下のとおり。①船舶から下船する船員については、シンガポールに上陸する前の2週間は継続して船内勤務をし(他港で上陸せず)、当該期間中健康だったことと、上陸前の24時間以内に医師の診断を受けて、シンガポール上陸後、最終目的地に向かうための旅行が問題なくできることを証明する診断書の交付を受けること。②シンガポール港で乗船する交代要員については、㋐シンガポール向けの航空便にのる前に、自国で2週間の隔離期間を過ごし、家族等との接触も避けること。㋑船員斡旋事業者は、船員が自国で隔離期間を送る場所を把握し、独立のトイレのある隔離部屋が船員の住居に無ければ、代替の隔離施設を手当てすること。㋒船員斡旋異業者は毎日抜き打ち的に船員が自主隔離を実施しているか確認し、確認の記録を残すこと。船員は毎日の体温を記録し保存すること。
      • 原文 July 24, 2020, MPA(長谷部正道)
    • 【5】ノルウェー政府:100人乗り以上のクルーズ船乗客・乗員の下船を禁止
      • 【5】ノルウェーのクルーズ船社のHurtigruten社は、乗船定員を削減し、social distancingなど厳しい衛生ルールを導入したうえで、世界で最初に6月中旬から外航クルーズ船の運航を開始していたが、同社が運航するMS Roald Amundsen号が、ノルウェーのトロムソ港に7月31日に入港した際に4人の乗員が入院し、その後他の37名の乗客・乗員とともにコロナ陽性が確認された。残りの何百人にも上る乗客・乗員は船内で10日間の隔離措置が取られている。この感染事例を受けて、ノルウェー政府は乗船定員100名以上の全てのクルーズ船に対し、今後2週間、同国内の港湾での乗員・乗客の下船を禁止する決定を行った。(決定の時点ですでに同国に向けて出港しているクルーズ船及びすべてのフェリーには適用されない。)
      • 原文 August 3, 2020, gCaptain(長谷部正道)
    • 【6】南シナ海:米軍による偵察飛行が7月はほぼ倍増
      • 【6】中国のシンクタンクthe South China Sea Strategic Situation Probing Initiative (SCSPI)によると、米軍が今年7月に南シナ海で実施した偵察飛行は計67回に及んでおり、5月の35回、6月の49回と比較してその回数が倍増している。また、SCSPIは、偵察飛行には、最新鋭の対潜哨戒機P-8A Poseidon、電子偵察機EP-3E、高高度で長時間飛行可能な無人偵察機MQ-4Cなども投入され、夜間偵察飛行の回数も13回を数えており、米国が「予防的」から「対立的」な姿勢に移行し、軍事行動の準備を進めていると捉えることができるとした上で、現状の米中関係を踏まえた場合、仮に何らかの不測の事態が生じれば事態を収拾することは難しく一気にエスカレートするだろうと述べ、警鐘を鳴らしている。
      • 原文 August 3, 2020, South China Morning Post(若林健一)
    • 【7】 現状のまま学校を再開すれば2倍以上の規模で感染第2波が襲来
      • 【7】英国政府は9月から学校を完全な形で再開させるとしているが、ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンなどの研究結果によると、政府が運用する感染者の検査・追跡システムは、感染者に接触した人の約半数しか追跡できておらず、これが十分機能しないままに完全な形で学校を再開させた場合、実行再生産数(R)の値は1.0を超え、今年の12月をピークに感染第1波の2倍以上の規模で第2波がやって来ると予想されており、専門家らは感染者や感染のおそれがある人の検査・追跡体制の拡充が必要であると警告している。

        ※8/3の英国の感染者数:938人(日本1,331人の0.7倍、緊急事態解除基準47人の20倍)
        ※8/3の英国の死者数:9人(日本1人の9倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 August 4, 2020, Reuters(若林健一)
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