2020/07/14LROニュース(7)

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  • 2020.07.14 UP
    2020/07/14LROニュース(7)
    • 【1】 コロナパンデミックで海賊件数が増加に転じる兆候
      • 【1】南米エクアドルのグアヤキル港では、4月に被害船舶の積荷等に関する内部情報が事前に犯人側に漏れた疑いがある武装強盗事件が発生するなど、南米諸国や西アフリカ諸国などでは、すでに巧妙化する海上犯罪の取り締まりに苦慮している。これらの地域ではコロナウィルスの感染者が増加しており、その影響が本格化すれば政府も海賊対策からコロナウィルス対策にその重点を移さざるを得ず、海賊事件が増加することが懸念される。また、感染防止策として各国が実施する移動制限の影響により、多くの船舶で船員の交代が困難な状況となっているが、これにより船員が疲弊しており、仮に船員が病欠となった場合でも船員の補充ができない。さらに、世界規模での輸送需要の減少による収益の悪化が、武装警備員の乗船等の海賊対策に費やす予算の削減につながり、これらが結果として船舶に対する海賊行為を容易にすることになる。2020年1月から3月までの海賊事件の発生件数は、未遂も含めると前年同期と比べ約24%増となっているものの、2009年から2012年にかけてソマリア沖での発生がピークとなった時期に比べればまだ少ない状況にある。しかし、世界経済の状況がさらに悪化を続ければ、生活苦から海賊行為に走る人の数も増加し、その手口もより悪質化することで、船舶が海賊に狙われる危険性が高まることになる。
      • 原文 July 10, 2020, Dryad Global(若林健一)
    • 【2】 IEA: Clean Energy Innovation報告書を発表
      • 【2】7月2日、国際エネルギー機関(IEA)が表記報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①炭素中立目標の達成のためには、更なるCleanエネルギー技術革新が必要。②エネルギーの効率化と再生可能エネルギーが炭素中立化のための中心的な手段となるが、海運・航空や鉄鋼・セメントなどの重工業の脱炭素化にはさらなる技術革新が必要。③エネルギー分野での脱炭素化のための主たる技術は、㋐暖房や交通などエネルギーの最終消費段階における電化の促進。㋑炭素回収・使用・貯留技術(CCUS)の開発。㋒低炭素水素と水素から製造されるアンモニア等のゼロ炭素燃料の使用。㋓バイオエネルギーの開発である。④試作品の作成から大量商業生産段階に至るまで、LEDsやリチウムイオン電池の場合、10-30年かかっているが、脱炭素化の促進のためには、初期的な段階にある脱炭素化に必要な技術について、商業化までの期間を短縮する必要がある。⑤鉄鋼などの重工業のプラントの投資サイクルは約25年なので、2050年までの炭素中立を目指すためには、2030年頃までに、脱炭素化に必要な新技術が開発されないと、約60GWのCO₂がさらにもう1投資サイクルロックインされることになる。⑥目標達成のためには、今後20年間、毎年3500億ドル(約37.5兆円)の技術開発投資が必要な一方、技術開発のために75万人の雇用を確保することができる。
      • 原文 July 2, 2020, IEA(長谷部正道)
    • 【3】 船員交代に関する制約で豪のサプライチェーンが混乱する可能性
      • 【3】豪国内では、Queensland州では円滑な船員交代が実施できるが、シドニーの存在するNew South Wales州やパースのある西オーストラリア州では、同国に到着した交代要員の船員が2週間のホテルでの検疫期間を要求されるため、船員交代が非常に難しい状況である。一方、豪海事安全庁(AMSA)は、14か月を超えて継続して勤務している船員が乗務している船舶については、当該船員が交代するまでは、出港を許可しないとしているので、豪の海運事業者団体のShipping Australiaはこのままでは今後多くの船舶が出港禁止状態に置かれ、結果として同国内の食料や医薬品のサプライチェーンに大きな影響が出る可能性があると主張している。マースクは、現在同社が運航するコンテナ船で6600人の船員が勤務しているが、その約1/3が当初の雇用契約をはるかに超えた期間、いつ帰国ができるか目途が立たない中、勤務を継続しているが、治療が必要な船員に対して医療機関の受診が拒否され、健康上の問題があることを理由として帰国や下船を拒否する港湾当局が世界中に複数あると指摘している。港湾当局の検疫上の制限ばかりでなく、船員交代をする国からの帰国するための航空定期便の運航がまだ再開されず、船員の大部分を占めるインドやフィリッピン自体が厳しい旅行制限を依然続けていることが問題であり、船員交代の円滑化のためには船員交代を実施する世界の主要港湾とインドとフィリッピン国内の拠点空港の間で、定期便またはチャーター便の運航が確保される必要があると同社は指摘している。
      • 原文 July 10, 2020, The Loadstar(長谷部正道)
    • 【4】 CSIS研究報告:中国政府による海運・造船分野の隠れた国家助成について
      • 【4】米国戦略国際問題研究所(CSIS)が中国政府による海運・造船分野の隠れた国家助成について研究報告を発表したところその概要は以下のとおり。①中国政府による比肩しがたい規模と範囲の公式・非公式の国家助成によって、中国の海運・造船企業は海事サプライチェーンにおいて支配力を強化している。②CSISの調査によれば、2010年から2018年の間の海運・造船分野の中国企業に対する国家支援の額の合計は約1320億ドル(うち国営金融機関からの出融資が1270億ドル、政府による直接助成が50億ドル)にのぼった。③これまでの大部分の研究は、中国政府による直接助成など伝統的な支援手法に着目してきたが、中国政府は自国企業を支援する手法を、新たな金融手法の活用など洗練した手法にシフトしてきており、中国政府による戦略的に重要な産業分野において、中国企業の国際競争力を支援する方法の全体像を把握するために更なる研究が必要である。
      • 原文 July 8, 2020, CSIS(長谷部正道)
    • 【5】 IEA: 40ヵ国の大臣が参加してClean Energy Transition Summitを開催
      • 【5】7月9日、国際エネルギー機関(IEA)が開催した第一回Clean Energy Transition Summitに全世界のGDPの8割以上を占める米・中・印・日・英・加・伊・墨・西・EU・南ア・インドネシアなどの40か国のエネルギー担当大臣がオンラインで出席し、コロナウィルスから持続可能な復興を実現する方法について話し合った。会合には国連事務総長(UNSG)・各地域の開発銀行総裁・主要エネルギー業界のCEO・投資家・新旧COP議長および環境団体の代表も同席し、パンデミックが各国のエネルギー供給体制に及ぼす影響とClean Energyへの転換を促すための方策の重要性を強調すると共に、水素関連技術をはじめとする技術開発の必要性や、電力部門をいかにより持続性が高く災害に強いものとするか等について議論を行った。またUNSGは石炭関連事業への投融資と新たな石炭火力発電所建設の中止についても要請した。
      • 原文 July 9, 2020, IEA(植木エミリ)
    • 【6】 2020年第2四半期における船舶解体の実績
      • 【6】2020年第2四半期においては、全世界で98隻の船舶が解体されたが、コロナウィルスの影響でほとんどの船舶解体場が閉鎖されていたにもかかわらず、そのうち60隻が南アジアの諸国の海岸で解体され、バングラデシュで最低3人の解体労働者が重傷を負った。第2四半期において、南アジアの解体場で船舶を解体した船主の中で最も多かったのが、ギリシャ船主で、シンガポールと韓国の船主が僅差で続いた。南アジアの解体場に売却された船舶の約1/3はコモロ・パラオ・セントキッツネービスの船籍に解体場に送られるわずか数週間前に変更されている。これら3か国の船舶登録は通常運航される船舶には用いられないが、旗国としての船舶検査が緩やかで、PSC当局からの灰色または黒の登録国として認定されている登録国だが、登録料が安いので、スクラップ船を本来の船主から現金で買い取って転売する仲買人が、解体場までの最後の航海の時に使用する際に登録替えを行う。スクラップ直前の船籍の変更は、EUの船舶リサイクル規則のようにEU籍船にしか適用されない規則を脱法するための手段として用いられている。
      • 原文 July 9, 2020, Shipbreaking Platform(長谷部正道)
    • 【7】 コロナウィルスへの免疫は短期間で低下するとの調査結果
      • 【7】英国の大学キングス・カレッジ・ロンドンの研究チームは、コロナウィルスの感染者など90人以上を対象に調査を実施した結果、コロナウィルスに感染してウィルスに対する免疫力を得た人のうち3カ月後も有効な免疫力を保持していた人はわずか17%に留まり、免疫力は多くの場合症状が現れてから3週間後をピークにわずか3カ月の期間で失われる結果となったことを明らかにした。このことは、一度ウィルスに感染した人でも繰り返し感染する可能性や、一回のワクチン接種により長期間にわたって感染を防ぐことは難しい可能性があることを示している。また、「集団免疫」という対策も期待できないことになる。

        ※7/12の英国の感染者数:650人(日本386人の2倍、緊急事態解除基準47人の14倍)
        ※7/12の英国の死者数:21人(日本0人)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 July 13, 2020, The Guardian(若林健一)
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