2020/07/10LROニュース(7)

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  • 2020.07.10 UP
    2020/07/10LROニュース(7)
    • 【1】 欧州委員会: エネルギーシステムの統合と水素に関する戦略を発表
      • 【1】欧州委員会が7月8日発表した表記2戦略の概要は以下のとおり。エネルギーシステム統合戦略は、2050年までの気候中立達成のため、これまで交通・暖房・発電などの部門ごとに縦割りで構築されてきたエネルギーシステムを統合し、一括して計画・運用する戦略で、具体的には①エネルギーの効率化を図るため、工場からの廃熱や下水処理場から発生するエネルギーを地域の建物や住民の生活に活用する「循環型エネルギーシステム」の強化。②再生可能エネルギーによる発電率の高まりを受けて、電気自動車の普及・ボイラーの電化など、エネルギーの最終消費者レベルにおける電化の推進。③電化が困難な分野においては、再生可能水素や持続可能なバイオ燃料・バイオガスの利用を促進。水素戦略は、段階的なアプローチを採用し、①2020-2024年:EU域内に6GW分の再生可能水素を製造可能な電解槽を建造し、最大100万トンの再生可能水素を生産。②2025-2030年:水素が統合されたエネルギーシステムの中核を担い、40GW分の電解槽を建造し、1千万トンの再生可能水素を生産。③2030-2050年:再生可能水素製造技術は成熟化し、製鉄・セメント・海運・航空等の脱炭素化が困難な全ての分野へ再生可能水素がエネルギー源として大規模に使用されることを目標とする。また欧州委員会は同日、加盟国や産業界、市民団体、欧州投資銀行と連携したEuropean Clean Hydrogen Allianceを立ち上げ、水素量産のための投資パイプラインの構築と欧州内におけるクリーン水素の需要拡大を支援する。
      • 原文 July 8, 2020, 欧州委員会(植木エミリ)
    • 【2】 EEB: EU水素戦略に対する懸念
      • 【2】(論説)European Environmental Bureau(EEB)が、欧州水素戦略に対し懸念を表明しているところその概要は以下のとおり。①戦略では、再生可能水素(Green Hydrogen; GH)に重点を置く一方で、天然ガスから水素を生産するインフラへの新規投資も前提としており、EUが気候中立を達成する2050年においても、天然ガスが依然としてEUのエネルギー供給源の15%を占める前提となっているのは憂慮すべき問題である。②天然ガスを原料とする水素(Blue Hydrogen: BH)を工業レベルで生産することは現在でも既に可能であり、BH生産設備への投資を進めることは、結果としてGHの価格競争力を弱める可能性がある。③従って、欧州議会と政府は、化石燃料関連の技術開発や生産インフラに対する投資を禁止するための将来計画を明らかにすべきである。④地球の気温上昇を産業革命以前と比較して1.5℃以内に抑え込むためには、天然ガスの使用を2035年までに停止する必要があるが、BHや炭素回収貯留(CCS)技術への投資は化石燃料への依存を反対に高めることとなる。⑤水素戦略では、BH生産の過程で排出される炭素を回収するためのCCSや、CO₂の熱分解技術開発にも多額の投資を行うとしているが、こうした技術が商業的に採算の取れるようになるには、化石燃料を継続的に使用する必要があるうえ、CCSも排気されるCO₂を完全に回収できる訳ではないという問題点がある。⑥天然ガスへの継続的な依存は、結局ロシアや米国へのエネルギー依存度を高め、気候中立への転換を遅らせるだけである。
      • 原文 July 8, 2020, EEB(植木エミリ)
    • 【3】 中国:継続する石炭の生産量と消費量
      • 【3】中国政府は、公式には石炭へのエネルギー依存度を減らすと宣言しているものの、実際には石炭の生産量・消費量ともに拡大しており、世界最大の石炭生産・消費国である。特にロックダウンに伴う工場封鎖が3月中旬に終了して以降、生産活動が再開し、電力需要が急増したため4月の石炭の輸入量は対前年比35%と急増した。中国国内の年間石炭消費量も、中国政府の削減宣言にもかかわらず2017年から3年連続で増加している。また消費量ばかりでなく生産量も増えており、2018年は年間2500万トン以下に制限されていたにもかかわらず、2019年は上半期だけで前年比2.6%増となる1億4100万トンの生産が許可されている。さらに、これまで老朽化し非効率な石炭鉱山を閉山するよう地方政府にかけてきた圧力を緩和して、石炭の増産を認め、新規の石炭火力発電所も建設している。中国は人口で見れば世界の総人口の18%を占めるが、GHGの排出量でみると人口比より高い世界の総排出量の27%を排出している。パリ協定の目標を達成するためには、アジアの非OECD加盟国は2030年までに石炭火力発電を63%削減し、2037年までには全廃しなくてはならないが、中国の石炭消費・生産・石炭火力発電量の増大は、明らかにパリ協定の目的に反している。
      • 原文 July 8, 2020, Asia Times(植木エミリ)
    • 【4】 交通と環境:再生可能水素を航空・海運における主たる脱炭素燃料とすべき
      • 【4】(論説)交通と環境(T&E)が欧州委員会の水素戦略についてコメントしているところその概要は以下のとおり。①欧州委員会は2020年中に海運と航空分野の代替燃料としてバイオ燃料に力点を置いた規制案を提案する予定だが、今回発表された水素戦略に従い、EUは海運・航空事業者に、水素・アンモニア・合成ケロシンを代替燃料として使用することを義務付ける法整備を進めるべき。②水素戦略では再生可能水素に重点を置いている一方で、天然ガスを原料とするBlue Hydrogenも認めている点は問題であり、欧州委員会が現在計画しているように再生可能電力から生産されたGreen Hydrogenを認証する制度を創設すべきである。
      • 原文 July 8, 2020, 交通と環境(長谷部正道)
    • 【5】 英運輸省:交通システムの脱炭素化のために炭素中立交通審議会を設立
      • 【5】7月8日、英国運輸省は英国の交通システムの脱炭素化を進めるためにNet Zero Transport Board (NZTB)を設立した。審議会は国民の行動変革や政策面での有識者に加えて、環境・科学・航空・技術分野の専門家から構成される。初回の会合では、運輸大臣と環境に配慮した経済成長(Clean Growth)担当大臣に対して、環境問題に配慮したコロナ経済復興(Green Recovery)を実施するにあたって、政府がとるべき施策について各委員から意見が表明された。審議会では交通分野の脱炭素化を進めながら、炭素中立化のための投資を通じて、雇用の増大と経済の発展を如何に進めるかについても議論が行われる。運輸省は2020年中に、陸海空の全てのモードの交通手段ごとに、審議会の意見を基に、脱炭素化計画を策定し、2050年までの炭素中立化を英国として実現するために交通分野におけるCO₂排出枠(carbon budget)の削減に貢献する。
      • 原文 July 8, 2020, 英国運輸省(長谷部正道)
    • 【6】 デンマーク船協:欧州議会環境委員会における決定等に対するコメント
      • 【6】デンマーク船主協会が欧州議会環境委員会における海運に関する部分の議論についてコメントを発表したところその概要は以下のとおり。①IMOは海運分野におけるCO₂削減目標の基準年を2008年としているが、環境委員会では基準年を2018年とすることが提案されたが、合意することができず、基準年の選定について欧州委員会に決定を委任することとなった。デ船協は、「同国の海運会社は2050年までの炭素中立実現に向けて様々な施策を既に講じてきており、基準年の変更によって不利益を被ることがあってはならない。」としている。②MRV制度の報告内容として、船舶が実際に輸送した貨物量を含めることについて、欧州委員会は要件を緩和し、自主的な報告事項にすべきと提案していたが、環境委員会は義務的報告事項とすることを決定した。デ船協は実際の船舶のエネルギー効率を計算するためには貨物積載量が必要なので環境委員会の決定を支持する。③環境委員会では、海運をEU ETSの対象に含めることが合意されたが、デ船協は、通常の立法手続きに従い、影響評価をきちんとしたうえで判断されるべきであると非難している。
      • 原文 July 7, 2020, デンマーク船主協会(長谷部正道)
    • 【7】 英国政府が屋内スポーツジムの再開など新たなロックダウンの緩和を発表
      • "【7】英国政府は7月9日にさらなるロックダウンの緩和策を公表した。7月11日から屋外プールを再開させ、屋内のスポーツジムやプールその他のスポーツ施設も7月25日から再開させる。また、チームスポーツについても今週末のクリケットを皮切りに活動の再開を認める。さらに屋外の劇場も7月11日から再開させ、7月13日からはネイルサロン、日焼けサロンなどの接触を伴うようなサービスも複数の制限を設けた上で営業の再開を認める。

        ※7/8の英国の感染者数:630人(日本213人の3倍、緊急事態解除基準47人の13倍)
        ※7/8の英国の死者数:126人(日本2人の63倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。"
      • 原文 July 9, 2020, BBC(若林健一)
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