2020/06/30LROニュース(7)

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  • 2020.06.30 UP
    2020/06/30LROニュース(7)
    • 【1】 ノルウェーの炭素回収・貯留事業計画の採算面の問題が浮上
      • 【1】 現在ノルウェーでは、Northern Lightsと呼ばれる同国内の1,2か所の工場から回収されたCO₂を液化して、船舶またはパイプラインで北海海底に輸送・保管する大規模な炭素回収・貯留(CCS)計画が検討されている。6月25日公表された中立機関の報告書によると、今後10年間で政府は総事業費の8割の250億クローネ(約2768億円)を負担する必要があり、これまで推定されていた予算より80億クローネ多かった。同国では、過去に巨額を投じたCCS計画を中断した事例があり、この報告は多くの議員を再考させる可能性がある。この計画で事業採算を取るためには、CO₂排出権の価格が現在より10倍高くなる必要があり、政府は本事業の可否を判断する材料を10月末までに準備することになっているが、もし議会がこの計画を承認した場合、残りの2割の事業費は液化CO₂の輸送と貯留場所を管理することになる北欧最大のエネルギー会社であるエクイノール社、オイルメジャーのTotal/Royal Dutch Shellが負担する。欧州のいくつかの企業も計画に参加する意思を表明しているが、それでもなお多くの国際的、産業的支援が必要であるとノルウェー政府はコメントしている。
      • 原文 June 25, 2020, gCaptain(植木エミリ)
    • 【2】 国連気候変動中間交渉も再度延期:2020年中の気候変動交渉ゼロに
      • 【2】 6月22日、11人の主要外交官によって構成される国連気候変動Bureauは、10月にドイツで開催予定だった国連気候変動サミットの中間会合の2度目の延期を発表した。本来6月に開催予定だった当該会合は、パンデミックの影響により既に延期されていたが、開催国である独政府が大規模な集会を禁止する方針を10月末まで延長したことを受け、再度延期となった。中間会合では、パリ協定のrulebookで積み残しとなっている、新たな世界的な炭素排出権取引制度、排出量削減の報告に関する枠組みの透明化、各加盟国の実施期限の調整などについて話し合われる予定だった。この決定により、2021年まで主要な気候変動交渉の場は失われてしまったが、LDCグループの議長を務めるブータンの代表は、中間会合の再延期に関わらず、全ての加盟国は自国の気候変動計画を強化するとともに、先進国は途上国の気候変動対策支援として、2020年までに1000億ドル(約11兆円)を拠出する約束を履行すべきだとコメントした。
      • 原文 June 23, 2020, Climate Change News(植木エミリ)
    • 【3】 ベトナムが南シナ海問題を国際仲裁裁判所に提訴する可能性
      • 【3】 ベトナムが南シナ海における領有権問題を国際仲裁裁判所に持ち込んだ場合の対策を中国側も検討している。フィリッピンが国際仲裁裁判所に提訴したときは、中国は無視して、審議に参加しなかったが、今回は選択肢の一つとして審議に参加する可能性があると、中国海南省にある南シナ海国家研究院の院長はコメントした。その場合、中国はベトナムに対して、南沙諸島の領有権問題を対抗提訴し、ベトナムの強硬な抗議で1994年以来凍結している南沙諸島における石油・ガス開発を再開することもできる。中国は、南沙・西沙諸島については、1958年に、当時の北ベトナムの首相が南沙諸島と西沙諸島に対する中国の領有権を認めた外交文書を、中国の領有権の根拠にしている。これに対し、ベトナム政府は両諸島の領有権の問題は当時の南ベトナムの問題で、北ベトナムの首相に権限はないと反論している。上海交通大学の教授は、1986年にニカラグアが米国を国際司法裁判所に提訴した際に米国が採用した方法をまねて、もし今回ベトナムが提訴すれば、フィリッピンの時とは異なり、中国も仲裁人を指名して、事前審査に参加したうえで、提訴を受けて立つかどうか判断することも可能だと指摘している。
      • 原文 June 20, 2020, South China Morning Post(長谷部正道)
    • 【4】 ギリシャ政府がピレウス港湾管理会社による新規造船所の建設を認めず
      • 【4】 ギリシャ政府が2016年にCOSCO Shippingと締結したピレウス港の既存のコンセッション協定では、COSCOが支配権を握ったピレウス港管理会社(PPA)は新たな造船所を建設することができないが、ギリシャ政府が協定を見直してPPAに造船所の新設を許可するのではないかという噂が流れており、議会において海運大臣に対して真意を質す質問が出された。これに対して、同大臣は政府として協定を見直すつもりはなく、政府としては地元で2万人の正規雇用と7千人の臨時雇用を生む地元の450の造船所と1500の関連企業を守ると言明した。同国においては、National Registerに登録された(国内)事業者しか造船業と船舶修理業を営むことはできず、同協定によってPPAは同港内の特定された開発事業しか行うことができないと答弁した。同協定によれば、PPAは浮体式ドックの建造を含め5500万ユーロ(約66億円)を投資することが求められているが、これまでに3100万ユーロ(約38億円)が投資されている。
      • 原文 June 29, 2020, Seatrade Maritime News(長谷部正道)
    • 【5】 米空軍機が南シナ海で中国海軍の潜水艦に対する哨戒活動を実施
      • 【5】 中国のシンクタンクThe South China Sea Strategic Situation Probing Initiative(SCSPI)によると、6月26日、米空軍の哨戒機など3機が中国海軍の潜水艦の動きを追跡するために相次いでバシー海峡から南シナ海にかけて飛行したとみられている。SCSPIは、米空軍の哨戒機3機は、台湾の防空識別圏の南西部をバシー海峡に向けて短時間飛行したのち南シナ海に向かったとしており、米軍機が同海域を飛行するのは6日連続となる。台湾の国防部は、台湾周辺における外国の軍隊の動きは把握しているとしたうえで、具体的に米軍機の動きに関してコメントすることは避けつつ、同日中国軍機が台湾の航空識別圏の南西部に接近したことから台湾の戦闘機が警告を実施したと述べているが、中国軍機は米軍機を追跡していたと見られる。中国の弾道ミサイルを搭載した潜水艦はフィリピン海などから米国を攻撃可能であるとして、米軍機がバシー海峡において中国海軍の潜水艦の特異動向を監視していたということは、中国海軍の潜水艦の行動について何か具体的な情報を得ていた可能性があると指摘する専門家もいる。
      • 原文 June 26, South China Morning Post(若林健一)
    • 【6】 4割以上の船舶の船底に多くのフジツボが付着
      • 【6】 スウェーデンのバイオテクノロジー企業1-Tech AB社が、4年毎の定期検査(2015-2019)のためにドライドックされた249隻の船舶を対象に船底の付着物を調査したところ、船種を問わずほとんど全ての船舶の船底でフジツボなどの固形生物付着物が発見された。船底の1割以上が固形付着物におおわれていると、船舶の燃費効率が著しく悪化するが、船底の1-2割、2-3割、3-4割、4割以上が固形付着物でおおわれていた船舶の比率は、それぞれ15%、10%、10%、10%だった。この割合を世界全体の商船に当てはめると、フジツボ等の固形生物の船底付着により、必要な船舶燃料が増え、今日の比較的安い原油価格に基づいた計算でも、世界全体で最低1億1千万トンの余分なCO₂が排出され、60億ドル(約6500億円)の余計な燃料費がかかることになる。フジツボの付着は、船舶が沿岸域で数週間に渡って係留・錨泊された場合発生するため、今回のパンデミックの影響により長期に渡って係留された船舶では、船底のフジツボの固着範囲が拡大していることが懸念される。
      • 原文 June 25, 2020, Sea News(植木エミリ)
    • 【7】 地域的な感染者の増加を受け一部の都市でロックダウン緩和を延期へ
      • 【7】 イングランド中部の都市レスターでは、これまでの感染者数2,987人のうち29%に当たる866人が6月23日までの2週間で確認されている。こうした状況を踏まえ英国政府はレスター市について、7月4日からイングランド全域で導入する予定のパブやレストランの再開といったロックダウンの緩和策について、導入を2週間見合わせたい考えを示した。今後政府と同市で議論が行われる予定であるが、政府は必要な場合には政府の判断で地域的なロックダウンを実施する権限を有するとの立場を示している。
        ※6/28の英国の感染者数:901人(日本92人の10倍、緊急事態解除基準47人の19倍)
        ※6/28の英国の死者数:36人(日本0人)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 June 29, 2020, BBC(若林健一)
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