2020/06/08LROニュース(7)

NEWS


※LROニュースの内容については、有料メールニュースなど営利目的での転載はご遠慮頂くとともに、2次使用の際はLROニュースからの転載である旨を明示していただきますよう、お願いいたします。

トップページ > LROニュース > 2020/06/08LROニュース(7)
  • 2020.06.08 UP
    2020/06/08LROニュース(7)
    • 【1】パンデミックの影響で米国内の気候変動対応インフラ事業が危機に
      • 【1】ハリケーン・サンディによる大きな被害を契機として、オバマ政権時代に気候変動に対して抵抗力の強い米国を作るため実施されたNational Disaster Resilience Competitionでは、13の都市・州で総額10億ドル(約1090億円)の気候変動対応インフラ事業が採択された。この事業には、配分された予算を2022年秋までに執行するという条件が議会によって付されていたが、パンデミックの影響によって各事業の進捗は遅れており、このままでは期限までに執行できなかった連邦予算を使用する権利を失い、事業はとん挫することとなる。そのため補助金が交付される13の都市・州は共同で、執行期間を3年間延長することを要請する書簡を議会に提出した。本事業の所管省庁である米国住宅都市開発省によれば、2020年2月末の段階で、13事業の平均予算執行率は20%にも満たず、執行期間の延長には新たな法律を要するが、新たな法律は共和党が過半数を占めている上院での可決と、気候変動はでっち上げだとしているトランプ大統領の署名が必要となる。
      • 原文 June 1, 2020, NY Times(植木エミリ)
    • 【2】船舶からのSOx排出を自動検知するブイがフィンランドで試験運用開始
      • 【2】フィンランドの企業は、IMO2020規制の順守を監視するため、船舶から排出されたSOxを自動検出するブイ(Sniffer Buoy:SB)を開発し、試験機は既に5月末にフィンランド西部のトゥルク・ナーンタリ沖に配置されており、8月末まで試運転が実施される。SBの内部には収集された空気を分析する装置と自動船舶識別装置(AIS)が搭載されており、規制値以上のSOxが検出された場合、直ちにAIS情報と照合して、排出された船舶を特定することができる。SBのパイロット試験は、EUが資金提供を行ったIntelligent Sea事業の一環で、様々な先進技術を用いたブイとともにナーンタリ港やストックホルム港で試験が実施されている。SBはほぼどこにでも設置することができ、季節的な風向きや船舶の運航ルートの変更に合わせて簡単に動かすことが可能。太陽パネルで必要なエネルギーを充電できるので定期的なバッテリー交換も不要で、完全自動化されているため海上で何年にも渡って年中無休で情報を収集し送信することができる。
      • 原文 June 2, 2020, Arctia(植木エミリ)
    • 【3】海事関係団体が海上貿易と物流のデジタル化の加速を共同で要望
      • 【3】6月2日、国際港湾協会(IAPH)・BIMCO・国際海運会議所(ICS)等の海事関係団体が海上貿易と物流のデジタル化を加速することを求める共同声明を発表したところその概要は以下のとおり。①いくつかの港湾は、第4次産業革命の機会をとらえて、スマート港湾への進化を目指している一方で、多くの港湾はデジタル化に乗り遅れて、従来型の人間が介在する書類ベースの情報交換に依存している。②IMOの全加盟国174か国中、わずかに49ヵ国においてのみ、港湾のデジタル化の基礎となるPort Community Systemが稼働している。③コロナウィルスによる経済封鎖を脱出するにあたり、海上貿易・物流に係る国際機関・各国政府・業界は一致協力して、デジタル化を加速し、全世界の港湾で基礎的な電子商取引や電子的な情報交換ができるようにするべき。④デジタル化により、安全性の向上・CO₂排出削減・コストの削減が可能となる。⑤まずはIMOのFAL条約ですでに義務付けられている事項が各港湾できちんと履行されているか確認し、履行されていない場合は、履行させるための方法を見つける必要がある。⑥特に税関・入管・港湾保安管理者に対する船舶に関する情報提供が完全なsingle window制度の下で電子媒体で行えるようにすべきである。
      • 原文 June 2, 2020, BIMCO(長谷部正道)
    • 【4】相次ぐ事業の遅延・事故により露の北極海の戦略・事業遂行能力に疑問符
      • 【4】(論説)10年以上にわたって、露大統領は、北極海北航路(NSR)・北極海沿海部・北極海の海底資源の開発に重点を置き多くの戦略を発表してきたが、事業の遅延・災害・コストの大幅な上昇など、問題が相次いで顕在化し、露政府の事業推進能力や北極海戦略に疑問符がついている。最近問題が明らかになった事業・事故は以下のとおり。①最新鋭の原子力砕氷船の1番船の機関のひとつが機能せず交換が必要となる。(2020年2月)②露海軍唯一の空母の修理のために、北極関係の新船建造費を削減(2019年12月)③ロシア北部の最も重要な軍港であるムルマンスク港口の橋の崩落によって、露海軍の北極海の行動能力が当分の間制限(2020年6月)④ノリリスクにおける大規模油濁事故と地方政府による隠ぺい工作(2020年6月)⑤露政府が北極海中心部に勢力を拡大するために最も力を入れ、2020年に就航予定であった最新鋭北極海探査船が、建造コストの高騰や汚職によって、就航が早くても2022年以降に延期(2020年5月)。以上のような問題が継続して発生するのは、露大統領が北極海に関する新たな戦略を発表する際に、実際に当該事業を推進するに足る財源・技術・人材等のリソースの裏付けなしに発表されているのが原因と考えられる。
      • 原文 June 4, 2020, The Jamestown Foundation(長谷部正道)
    • 【5】NOAA: 5月の大気中のCO₂濃度が観測史上最高を更新
      • 【5】米国海洋大気庁(NOAA)等の測定によると、大気中のCO₂濃度が2020年5月は観測史上最高の417ppmを記録し、過去300万年で最高となったことが明らかになった。かつて大気中のCO₂濃度が同レベルだった時には、地球の気温は現在よりも遥かに高く、海面も15mから25m高かったと推測される。ロックダウンによる活動制限で地球のGHG排出量は著しく減少し、4月初頭には最大で17%減少したにも関わらず大気中のCO₂濃度が増加していることは意外な結果かもしれないが、CO₂濃度は人間の活動のみならず、森林や海洋の働きによっても年単位で変動しており、季節的なサイクルを加味しても明らかな上昇傾向にある。大気中のCO₂濃度を目に見えて減少させるためには、人為的なCO₂の排出量を半年から1年間継続して2割から3割削減する必要がある。大気中のCO₂濃度の上昇速度は、1960年代には年間0.8ppmだったものが1980年代には倍増し、最近の10年間では年間2.4ppmとなり、科学者はこの傾向が続けば、大気中のCO₂濃度は21世紀半ばには450ppmに達すると警告しており、これ以上の濃度になるとパリ協定に従い地球の気温上昇を2℃以内に抑え込むのは困難になると指摘している。
      • 原文 June 4, 2020, The Washington Post(植木エミリ)
    • 【6】IRENA: 「2019年における再生可能エネルギーの発電コスト」報告書
      • 【6】国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が6月2日発表した「2019年における再生可能エネルギーの発電コスト」の概要は以下のとおり。①2019年に発電を開始した再生可能エネルギー発電事業の過半数の発電コストは、最もコストの安い最新鋭の石炭火力発電所よりも低く、再生可能エネルギーによる発電は、既存の石炭火力発電所を今後ますます弱体化させていくことが見込まれる。②新しい太陽光発電所(PV)や陸上風力発電所の平均発電コストは、現在稼働中の多くの石炭火力発電所の発電コストを下回っており、今後この傾向は拡大し、石炭火力による発電は段階的に廃止されていくことが見込まれる。③2020年には、発電量規模にして、1200GW分の現在稼働中の石炭火力発電所の発電コストが新しい大規模なPV発電所の発電コストを上回ることになる。④仮に2020年中に最も発電コストの高い500GW規模の石炭火力発電所をPV発電と陸上風力発電に転換すれば、毎年発電コストを230億ドル(約2兆5300億円)削減し、全世界の総CO₂排出量の5%に相当する1.8ギガトンCO₂を削減することができる。また世界のGDPの約1%に相当する9400億ドル(約103兆円)の投資を創出することも見込まれる。⑤2010年以降現在までに、PV発電は82%と最も発電コストが削減され、次いで集中太陽熱発電(CSP)が47%、陸上風力発電が39%、洋上風力発電が29%と続いている。⑥今回初の試みとして、発電コストの低下に伴う投資金額の推移を検証したところ、10年前と同じ額でも、今日の方がより多くの電力を生産しており、2019年は再生可能エネルギーの発電容量が2010年の2倍になったが、必要な投資額はわずか18%増だった。
      • 原文 June 2, 2020, IRENA(植木エミリ)
    • 【7】英国政府が公共交通機関や病院でのマスク着用義務化を発表
      • 【7】6月4日、英国政府は6月15日からイングランドにおいて、バス、電車、地下鉄、フェリー、航空機などの公共交通機関の利用者に対してマスクの着用を義務化し、従わない場合には罰金を課すことを発表した。現在のガイドラインは、社会的距離の確保が困難な閉鎖された場所においてはマスクを着用することを推奨しているが、政府は、ロックダウンの緩和により6月15日から中学・高校や大学も段階的に再開し、営業を再開する店舗も増えることから公共交通機関の利用者数が増加するため義務化に踏み切ったと説明している。また、6月5日には、院内感染を防止するために病院の職員や外来患者に対しても6月15日からマスクの着用を求めることを明らかにした。一方で英国医師会は、マスク着用の義務化を公共交通機関の利用時などに限定せず、社会的距離を確保できない他の場所も対象にすべきだと主張し、義務化を直ちに開始することで感染リスクを大幅に下げることができると訴えている。6月5日、英国での死者数は前日から357人増え4万261人となり4万人を超えた。
        ※6/5の英国の感染者数:1,650人(日本48人の34倍、緊急事態解除基準47人の35倍)
        ※6/5の英国の死者数:357人(日本4人の89倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 June 5, 2020, BBC(若林健一)
  • 資料閲覧 その他