2020/05/18LROニュース(7)

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  • 2020.05.18 UP
    2020/05/18LROニュース(7)
    • 【1】 WEF: 海運の脱炭素化が世界全体のエネルギー転換の触媒に
      • (論説)Global Maritime Forum(GMF)のManaging Directorが世界経済フォーラム(WEF)に表記テーマで寄稿しているところ、その概要は以下のとおり。①海運業界は世界の石油需要の約4%にあたる2億5千万トンから3億トンの舶用燃料を毎年消費しており、海運分野の脱炭素化を進めることにより、世界全体のエネルギー転換を進めることができる。②マッキンゼーの報告によれば、世界全体の船舶のわずか2.5%が風力や太陽光から発電した電力を燃料として使用すれば、持続可能エネルギーによる発電コストは規模の経済により現在のコストの1/6に低下させることが可能である。③また海運分野で安定した持続可能エネルギーに対する需要が見込まれれば、発展途上の中所得国における持続可能エネルギー生産施設への投資を進めることができる。④以上のことからGMFと14か国の政府が支援するThe Getting to Zero Coalition (GZC)は、2030年までに商業的に採算がとれるZero Emission Vessels (ZEVs)の開発を実現し、併せて必要な規模の脱炭素エネルギーの生産・貯蔵・船舶供給インフラを整備することを支持する。⑤2008年の世界金融恐慌の時の復興は現状復旧を目指して失敗した。コロナ復興は現状復旧ではない「偉大な変革(Great Transformation)」を目指すべきで、海運分野においても偉大な変革を実現する好機である。
      • 原文 May 12, 2020, 世界経済フォーラム(長谷部正道)
    • 【2】 韓・台・仏の政府支援に対し不公正競争の批判が高まる
      • 韓国の現代商船(HMM)は同国政府から5億9100万ドル(約632億円)の支援を受けたうえで、船腹需給バランスをさらに崩す世界最大の5隻の24000teuのコンテナ船の建造を進めている(2隻は受け取り済み)。一方、台湾のYang Mingは既に48%国営化されているが、コロナ不況を乗り切るために、3億株の優先株を政府に対して追加発行して、政府からの追加支援を得ようとしていると報道されている。こうしたアジア船社の動きに対して、マースクの社長は、「この2社は最近5-6年間利益を上げていないにもかかわらず、政府支援で経営継続しているのは、不公正競争でEUとして何らかの対処をすべき」とコメントしている。同社長は2018年にも韓国政府が行った同国造船事業者への救済措置について、「利益を上げない船社のために(採算を度外視して)船舶を安く建造するために政府支援を受けるのはおかしい。」と抗議している。仏政府がCMA CGMに対する政府保証を決めたことは、アジア船社ばかりでなく、欧州船社も巻き込んで、コンテナ船社の不公正競争の問題が議論されることが予測される。
      • 原文 May 14, 2020, The Loadstar(長谷部正道)
    • 【3】 トランプ政権下で約100の環境保護関連の規制が後退(進行中)
      • トランプ大統領は、3年前大統領に就任してからすぐに、前任のオバマ大統領が打ち出した主要な環境・気候政策を、産業界に不要で害をなす政策として白紙に戻し始め、就任して1週間も経たないうちから、オバマ政権下で一貫して承認を却下していた石油パイプライン計画を復活させた。また各州に発電所からのGHGガス排出削減を義務付けたClean Power Planの撤回を進め、パリ協定の離脱に向けても迅速に動き出した。NYTimesの気候変動チームがトランプ政権発足後最初の100日時点で後退された環境関連の規制を精査したところその数は23にものぼっており、今日では60の環境関係規制が正式に無効化または放置され、大気汚染防止、水、有害物質に関するものも含む34の規制の交代が進行中であることが判明した。NYTimesは今後も状況の監視を続け、最新の状況をまとめたリストの公開を継続していく。
      • 原文 May 14, 2020, NY Times(植木エミリ)
    • 【4】 将来的な北極海における武力衝突の準備を着々と進める露海軍
      • 北極海における軍事力の強化は露の国防政策の主要な優先課題の一つであり、過去10年で冷戦時代に建設した基地の再整備や拡張、新たな基地の建設等を進めるなど、その戦略を劇的に変化させている。2012年以降、露海軍は定期的に艦隊を北極海航路に展開し、また、露は2014年12月に北方艦隊を元に北極海全域の防衛を担う統合戦略司令部を設置し、さらに2014年から2015年にかけてバレンツ海からチュクチ海に至る島々で近代的な軍地基地の建設を始めている。気候変動の影響により、欧州とアジアを短時間で結ぶ国際的に重要な航路として北極海航路への期待が高まるなか、露は北極海航路が自国内の水路であるとして、他国の船舶は露の明示的な同意、露の水先人の乗船、砕氷サービス料の支払がない場合は通航できないと主張している。米国は露の主張が国際法に違反すると主張しており、海軍や沿岸警備隊による航行の自由作戦を行うことで露に対抗していくと思われ、5月4日には英国とともにバレンツ海に艦隊を約30年振りに派遣した。露はこれに対しミサイル巡洋艦率いる艦隊を派遣し、複数の基地のミサイルシステムを稼働させた。露の軍事専門家は、米国は北極海の重要性に気付き始めたが時すでに遅く、今や露の北方艦隊が北極海で軍事的優位性を確保するに至っており、米国は手出しできない状況にあると述べている。
      • 原文 May 14, 2020, The Jamestown Foundation(若林健一)
    • 【5】 VPS: VLSFOによる機関損傷の原因は40BNシリンダーオイルか?
      • VLSFOは重油燃料に比べて酸性度が低いため、VLSFOを使用する際には、従来のシリンダーオイル(70BN)に比べて、アルカリ性の低いシリンダーオイル(40BN)の使用が推奨されている。船舶燃料・潤滑油の試験・検査会社のVPSは、VLSFO使用後に重大な機関故障を起こした40隻の船舶の原因を調査した結果、機関故障の原因として、カルシウム固形物によるシリンダーライナーの過剰な損耗によるもので、カルシウム固形物が発生する原因はシリンダーオイルが原因となっている可能性が判明した。より具体的には、燃料燃焼中に発生する酸性物質がシリンダーオイル中のアルカリ成分によって十分に中和されず、この結果ピストン上部にカルシウムの固形物が付着し、固くなって、シリンダーライナーを損耗させ、ピシトンリングを破断させることにより、重大な機関故障が発生することが分かった。この問題は特定のエンジンにかかわらず、多くのメーカーのエンジンで発生し、使用されたVLSFOの品質にも問題が無かったことが確認されたが、シリンダーオイルとして40BNのアルカリ性の潤滑油が使用されていたことが判明している。
      • 原文 May 15, 2020, Ship & Bunker(長谷部正道)
    • 【6】 DNV GL: 石油ガス産業にとっての水素エネルギー投資戦略
      • DNV GLが石油ガス産業の1000人以上の専門家に今後の水素エネルギー戦略についてアンケート調査を行い、報告書を取りまとめたところその概要は以下のとおり。①回答者の1/5が既に水素エネルギーの市場に参入していると回答。②原油価格の暴落を受けて、水素エネルギーに投資したいと回答した割合が昨年の20%から42%に倍増した。③低炭素化を目指したエネルギーミックス戦略を追求していると回答した割合が、2018年には44%だったが、今回の調査では6割に達した。④再生可能エネルギーから生産される炭素を排出しない水素の生産・輸送・供給が今後の石油ガス産業にとっての脱炭素化戦略の中心となる。⑤政府も業界も、水素エネルギーの導入を漠然とした目標ではなく、家庭・産業・交通の各分野に導入する具体的なスケジュールを立てる必要がある。⑥アジア・太平洋地域、中東・北アフリカ、欧州地域の回答者の半分以上が10年以内に水素エネルギーが様々なエネルギーの中で、重要な割合を占めるようになると回答している。
      • 原文 May 14, 2020, DNV GL(長谷部正道)
    • 【7】 英国内の実行再生産数(R)が上昇
      • 英国政府の発表によると、5月15日時点の英国内の感染者数の累計は前日から3,560人(99人)増えて236,711人(16,193人)、前日からの死者数は384人(23人)で死者数の累計は33,998人(710人)となった。コロナウィルスの感染拡大が収束するためには実行再生産数(R)が1.0未満を維持する必要があるが、英国政府の科学諮問委員会は5月15日、これまで0.5から0.9の間を維持してきた英国内のRがわずかながら上昇し0.7から1.0となったと発表した。Rが上昇すれば制限措置の緩和が困難になる。また、新規感染者数は現在も減少を続けているが、横這いに近づきつつあるとの情報もある。
        ※括弧の数値は厚生労働省発表による日本国内の5月15日時点の状況
      • 原文 May 15, 2020, BBC(若林健一)
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