2020/05/12LROニュース(7)

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  • 2020.05.12 UP
    2020/05/12LROニュース(7)
    • 【1】 船舶乗組員と陸上要員との間の安全な接触を担保する共通ガイドライン
      • 【1】船舶乗組員と代理店職員・検査官・水先人・港湾荷役労働者・サーベイヤー等の陸上要員が接触する際の安全担保措置については、現在、各国政府・港湾管理者・事業団体等がばらばらに定めており、またパンデミックの期間、どのような対策がリスク分析に基づいて適切かについても世界的な統一な基準はない。そこで国際海運会議所(ICS)・国際港湾協会(APH)・BIMCO等海事関係16団体は、共同でコロナウィルス対策として「船舶乗組員と陸上要員との間の安全な接触を担保するガイドライン」を5月6日発表した。ガイドラインでは、海運会社・陸上サービス提供事業者・港湾管理者/出入国/税関関係当局がそれぞれ講ずべき対策や、効率的に安全を管理しリスクを減らすための対策の優先順位などが記載されている。具体的なガイドラインは以下のリンクを参照。
      • 原文 May 6, 2020, ICS(長谷部正道)
    • 【2】 中東から欧州向けスーパータンカーが喜望峰ルートを選択
      • 【2】5月2日、サウジアラビアから200万バレルの原油を積載したスーパータンカーが喜望峰を経由して北仏のアンティフェール港に到着したが、スエズ運河経由と比較してほぼ2倍の時間がかかるルートをスーパータンカーが選択するのはほぼ2年ぶりのことで、現在、他にも2隻のスーパータンカーが同様の選択を行って欧州に向かっている。原油の大量増産と歴史的な価格の暴落の一方、将来的には原油価格の上昇が見込まれる中で、陸上の備蓄施設は満杯で、世界中で大型タンカーが洋上保管施設として使用されている。原油の売主は原油価格が少しでも今後上昇することを期待する一方、燃料油価格は下落しているので、長距離の喜望峰ルートをあえて選択することとなっている。スーパータンカーは原油を満載していると、スエズ運河を通航することができず、紅海のパイプラインターミナルで原油の一部を下ろして、スエズ運河を通過した後に、地中海側で再び原油を積み増して欧州市場に向かうのが通常で、普通は中東から欧州まで約3週間で原油を輸送している。
      • 原文 May 7, 2020, gCaptain(長谷部正道)
    • 【3】 IEA: Global Energy Review 2020を発表
      • 【3】国際エネルギー機関(IEA)が4月30日発表したGlobal Energy Review 2020の概要は以下のとおり。①2020年のエネルギー需要は、過去に前例のない6%の減少が見込まれており、減少幅は2008年の金融危機時の7倍の規模となり、世界第三位のエネルギー消費国であるインドの1年分のエネルギー消費量に相当する。②先進国での需要の減少は更に大きく、米国では9%、EUでは11%の減少が見込まれている。③電力需要については、完全なロックダウンが実施されると20%以上の需要削減効果があり、全世界では2020年に5%の電力需要減が見込まれ、この減少幅は、1930年代の世界恐慌以来の落ち込みとなる。④風力・太陽光・水力・電子力といった低炭素エネルギーによる発電量は、既に2019年に石炭による発電量を上回ったが、2020年にはこれらの低炭素エネルギーによる発電シェアは全発電量の4割に達し、石炭火力発電のシェアを6%上回ることが見込まれている。⑤2020年は、石炭火力発電による発電量が減る一方で、再生可能エネルギーによる発電量は風力・太陽光・水力とも増加し、合計で年間5%増加すると見込まれている。
      • 原文 April 30, 2020, IEA(植木エミリ)
    • 【4】 米空軍:北極海高緯度地域の通信手段改善の必要性
      • 【4】5月4日、米北方軍司令官兼北米航空宇宙防衛司令部司令官を務めるTerrence O’Shaughnessy氏は、静止衛星軌道を回る通信衛星は赤道上を飛行しており北極圏をカバーできていないことから、米軍が従来から使用する衛星通信システムでは北緯65度から70度以北の高緯度地域における通信の信頼性が著しく低下するとして、北極海においてロシアや中国に対抗していくためには、これを改善する必要があると訴えた。米北方軍はその結果として、地球低軌道衛星、地上レーダー、グローバル・ホークを含む長距離無人航空機などを利用した信頼性の高い通信システムを優先的に整備していくと述べている。米空軍は旧式のグローバル・ホークを廃止したい意向であるが、砕氷船を使用せずともグローバル・ホークがあれば情報収集、監視及び偵察任務を長時間にわたり広範囲に実施できることから有効であり、考えを改める必要があるとの専門家の意見もある。
      • 原文 May 6, 2020, Janes(若林健一)
    • 【5】 米海軍:南シナ海でマレーシアを支援
      • 【5】5月7日、米海軍の沿海域戦闘艦モントゴメリー及び補給艦セザール・チャベスの2隻が、南シナ海の公海上においてマレーシアの資源探査船の付近を航行し、同船に対して何週間にもわたり海洋調査船などで執拗に付きまとうなどの嫌がらせを続け、コロナウィルス感染拡大の事態に乗じて南シナ海での覇権を拡大しようとする中国に対し警告を発した。米太平洋艦隊司令官は、米艦船は南シナ海において規則に従って行動しており、東南アジア諸国の多くの人々が資源開発や漁業活動で生計を立てており、中国はこれらの活動に対するいやがらせ行為を中止しなければならないと述べた。米国務長官は、中国は台湾に対する軍事的圧力を強め、ベトナム漁船を沈めるなど南シナ海周辺諸国に対しても抑圧を強めているとして非難しており、米国防長官も、南シナ海における中国の侵略的な振る舞いを注視していかなければならないと述べている。米海軍はここ数週間の南シナ海における行動を公表しているが、これはコロナウィルス感染の影響により空母セオドア・ルーズベルトがグアムに停泊を続けている状況において、同海域における米軍の貢献と力を示すためと見られる。
      • 原文 May 8, 2020, Breaking Defense(若林健一)
    • 【6】 米国で再生可能エネルギーの発電量が石炭火力を4月中全日で上回る
      • 【6】米国エネルギー情報局(EIA)によると、米国の太陽光・風力・水力を合わせた再生可能エネルギーによる発電量は、3月25日から5月3日にかけて40日間連続で石炭火力発電量を上回ったことが5月4日、明らかとなった。2019年4月には合計で19日間(年間では合計38日間)上回った記録があるが、1か月全ての日で再生可能エネルギーの発電量が上回ったのは初となる。エネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)は今まで、再生可能エネルギー発電と石炭火力発電の逆転は2021年に起こる可能性が高いと予測していたが、2020年第一四半期にして既に、天然ガス価格の下落や温暖な気候、送電網に接続されている再生可能エネルギー発電施設の増加、そしてコロナウィルスによる経済減速がもたらした電力需要の低下等によって予想を上回るスピードで逆転が発生し、この傾向が第二四半期も継続していることから、2020年中に逆転が起こる可能性が高くなってきた。EIAによると、1月における米国の石炭火力発電の発電シェアは史上初めて20%を下回ったが、その後減少の一途をたどり、4月のシェアは15.3%だった。
      • 原文 May 4, 2020, IEEFA(植木エミリ)
    • 【7】英国政府が制限措置緩和策に関する文書を公表
      • 【7】ジョンソン首相は5月10日に国民に対し制限措置緩和に関する計画を説明したが、これに続き政府は緩和策に関する文書を公表した。緩和策は3段階に分けられており、第1段階は今週以降で、可能な限り公共交通機関の利用を避けることなどを前提とした在宅勤務が困難な労働者の通勤許可、運動のための外出回数制限の撤廃、社会的距離を確保したうえで屋外で家族以外の友人等1名と会うことや車での遠方への外出、公共交通機関や商店で口や鼻を覆う措置の要請などを内容としている。第2段階は6月1日以降で、小学校などの段階的な再開、生活必需品以外を扱う商店(パブやレストランなどは除く)の段階的な再開、無観客での文化・スポーツイベントの開催などを内容としている。第3段階は7月4日以降で、事前に掲げている5つの条件を満たし科学的な助言に基づき可能と判断される場合、パブ、レストラン、美容院、教会、映画館などを再開するとしているが、社会的距離の確保が困難な場合などは除かれる。英国政府の発表によると、5月11日時点の英国国内の感染者数の累計は前日から3,877人(70人)増えて223,060人(15,798人)、前日からの死者数は210人(8人)で死者数の累計は32,065人(621人)となった。
        ※括弧の数値は厚生労働省発表による日本国内の5月11日時点の状況
      • 原文 May 11, 2020, The Guardian(若林健一)
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