2020/01/23LROニュース(6)

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  • 2020.01.24 UP
    2020/01/23LROニュース(6)
    • 【1】 IMO 2020: VLSFO価格の高騰を除けば現時点で大きな混乱なし
      • 【1】 規制が開始されるまでは、規制適合の低硫黄分燃料油(VLSFO)の円滑な供給、低品質のブレンド油による機関故障、PSC当局による規制不適合船の出港禁止などの問題点が懸念されていたが、これまでのところ中国当局が2隻の船舶に対して、規制不適合の指導を行っただけで、懸念されていた大きな混乱は生じていない。唯一最大の問題点は、VLSFO価格の高騰により、燃料油価格がほぼ倍増し、舶用ガスオイルとの価格差がほとんどなくなり、船主がこれまで負担したことのある燃料費の水準の上限に近づいている。但し、このVLSFOの価格高騰の原因は、IMO2020規制ばかりでなく、米中の貿易戦争・魚雷攻撃・空爆・ミサイル攻撃といった経済・治安情勢の悪化による原油価格の高騰によるもの。VLSFOと重油燃料の価格差は、港湾によって異なるが概ねトン当たり280ドルから400ドルの間を推移しており、スクラバーの装備を選択した船主の投資回収期間がどんどん短くなっている。
      • 原文 January 16, 2020, Hellenic Shipping News(長谷部正道)
    • 【2】 スエズ運河通航中の船舶の燃料油及び開放型スクラバー排水の取り扱い
      • 【2】 スエズ運河庁は、12月26日船舶運航に関する回章(No 8/2019)を発表し、①エジプトがMARPOL第VI付属書を批准するまで、同運河通航中の船舶の燃料油について何ら規制がない(=重油燃料を従来とおり使用することが可能)こと。②スエズ運河通航中は、スクラバー排水を放出できないことを確認した。
      • 原文 December 26, 2019, スエズ運河庁(長谷部正道)
    • 【3】 2019年も記録的な海水温の上昇が続く
      • 【3】 中国科学アカデミーの研究者達の国際共同研究によれば、人類が排出する温室効果ガスにより、長期に渡って明確な地球温暖化が進行している。地球上の9割以上もの余剰熱は海へと溜め込まれ、その熱が蓄積することにより海水温の上昇が引き起こされる。海水温を計測することは地球温暖化の進捗状況を測る最も良い方法であるが、記録によると、2019年は海水温が人類の歴史上最も温暖であったことが明らかになった。海洋に蓄積された熱は地球全体の海域に分散されるが、大西洋と南極還流に沿った南極海において、最も大きな海水温の上昇が観測され、1970年以降、南氷洋が全海洋に吸収された熱量の大部分を吸収している。こうした海水温の上昇に従って引き起こされる海水の熱膨張と陸上の氷河の融解により海面は大幅に上昇する。衛星観測によると、過去10年間は1900年以降最も海面の平均水位が高く、また海水温の上昇は海水の低酸素化を招き、特に珊瑚などの海水温の変化に敏感な海洋生態系に著しく影響を及ぼした。
      • 原文 January 13, 2020, Springer(植木エミリ)
    • 【4】 ロイズ船級協会・サムソン重工等がアンモニアを燃料とするタンカーを開発
      • 【4】 炭素排出ゼロ船舶(ZEVs)の開発については、2019年に海運・エネルギー・インフラ・金融業界の有志が集まって、Getting to Zero Coalitionを設立し、2030年までに炭素を排出しないエネルギー源を使用する商業的に採算の取れるZEVsの開発に合意したところであるが、1月15日、ロイズ船級協会・サムソン重工・マレーシアの海運会社であるMISC等は、ZEVs開発のための経過的な1つの手段として、アンモニアを燃料とするタンカーを共同で開発すると発表した。
      • 原文 January 15, 2020, ロイズ船級協会(長谷部正道)
    • 【5】 グレタ:化石燃料の開発・生産、化石燃料への補助金の即時中止を要求
      • 【5】 1月の末にダボスでは第50回世界経済フォーラムが開催され、世界から企業経営者・投資家・政策決定者が集合する。若い環境運動家や学生たちも世界のリーダーたちに圧力をかけるためにやってくる。私たちは今年のフォーラムでは世界のリーダーに化石燃料の開発・生産に関する投資を直ちにやめるとともに、政府関係者には化石燃料に対する全ての補助金の撤廃を直ちに実行することを求めたい。以上のことを実施するのは簡単でないことは分かっているが、緊急な地球環境問題に対応することは、簡単・快適・楽しいことではない。年寄りで権力を持った人から見れば我々の要求は無理難題に見えるかもしれないが、迅速に持続可能な社会に移行するためには、最低限の要望であり、いまだ実現されていないこと自体とても残念である。パリ協定が合意された後でも、世界の主要33の銀行は合計1.9兆ドルを化石燃料に投資し、2017年1年だけでも全世界で5.2兆ドルの補助金が化石燃料に支払われている。こうしたことは直ちにやめなくてはいけない。
      • 原文 January 10, 2020, The Guardian(長谷部正道)
    • 【6】 パリ協定6条:いい加減な妥協より合意無しの方がまし?
      • 【6】 マドリッドで開催されたCOP25では、2018年のCOP24において議論されたパリ協定のルールブックの中で唯一積み残しとなっていた排出権取引に関する第6条について、何ら議論の進展がないまま終了した。第6条は加盟各国が自主的に決定した削減目標(NDCs)を達成するために、市場原理に基づき各国が協力するための制度(排出権取引制度)のための法的枠組みを定めている。排出権取引制度によって各加盟国のNDCsの達成が容易になるばかりでなく、GHG削減の意欲を促進し排出総量の削減に寄与することが期待されている。第6条に関する議論は、京都議定書の下で実施されたClean Development Mechanismでも問題となった排出権の二重計上を避けるための透明性が高く正確な排出権の算定方法が主たる論点となったが、ブラジル等いくつかの国が排出権の二重計上等にこだわったため、COP25の議長国のスペインは、この点についていい加減な妥協をするより、合意しないほうがましであるとして合意が見送られた。
      • 原文 January 7, 2020, Florence School of Regulation(長谷部正道)
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