2019/12/20LROニュース(6)

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  • 2019.12.23 UP
    2019/12/20LROニュース(6)
    • 【1】 MSCがNGO「交通と環境」の報告書に反論
      • 【1】MSCはNGOの「交通と環境」の最新の報告書で、欧州内において8番目(海運界では最大)のGHG排出事業者と名指しされたのを受けて、自社の環境政策について反論したところその概要は以下のとおり。①MSCは運航効率を最大化し、環境への影響を最小化するため、積極的な投資を進めており、例えば、2015年から2018年の間に、CO₂排出量を13%削減することに成功した。また最近建造した世界最大のコンテナ船は1トンの貨物を1海里運ぶのにわずか7.49gのCO₂しか排出しないように設計されている。②MSCはEU MRVシステムを支持しているが、MRVに従って同社が報告した1100万トンのCO₂排出量のうち、EU域内で排出された量は40-45%程度であり、1100万トン全部をあたかもEU域内で排出したとみなして、8番目のGHG排出事業者として名指しするのは誤っている。③MSCはフィーダー輸送も自社で行い、その部分も併せてCO₂排出量を報告しているが、フィーダー輸送を他社にアウトソースしてその部分のCO₂排出量を報告していない海運他社と同じベースで比較するのは正当でない。
      • 原文 December 12, 2019, MSC(長谷部正道)
    • 【2】 European Green Dealの今後の見通し
      • 【2】12月12日、欧州委員会はEuropean Green Deal (EGD)を発表し、2050年までに炭素中立化を実現すると発表したが、今後全てのEUの法令がこの目的に合致するか検討され、2020年3月までに欧州気候変動法(European Climate Law)案が発表され、さらに2030年までにGHG排出量を50-55%削減するための包括的な計画が発表される見込み。計画の主たるポイントは以下のとおり。①海運・自動車分野を新たにEU排出権取引制度の範囲に含め、航空については自由に排出できる枠を削減することを検討。②スマートで安全な「炭素排出ゼロの移動」を実現するため、新たな大気汚染基準と持続可能な交通戦略を2020年末までに作成。③環境に配慮した金融と投資を促進。④クリーンで、価格的にも妥当で安定したエネルギー供給体制への転換。⑤大気・水質汚染を含むすべての環境汚染源の除去。⑥生態系・生物多様性の保存と回復。⑦リサイクル可能な循環型で環境に影響を与えない持続可能な産業の促進。
      • 原文 December 11, 2019, CMA Law(長谷部正道)
    • 【3】 ABSが燃料電池に関するガイダンスを発表
      • 【3】12月11日、ABSが「燃料電池を利用した船舶・オフショア向け動力システム」に関するガイダンスを発表したところその概要は以下のとおり。①技術の進展と政府の脱炭素化に向けての規制が強化される中で、燃料電池は今後益々重要な役割を果たす。②本ガイダンスは、あらゆるタイプの燃料電池を対象として、燃料電池と推進機関や補助機関との連結・調整について、新造船と既存船の改修両方を対象にし、重要な安全上の原則にも配慮して、船主や運航船社を支援することを目的とする。③本ガイダンスは国際ガス燃料船安全コード(IGHコード)の暫定ガイドライン案を勘案して作成され、このガイドラインに従って設置された燃料電池については、船主が希望すればFC-EやFC-NEなどの証明書を発給する。④ABSは大宇造船海洋と固体酸化物形燃料電池(solid oxide fuel sell)とガスタービン発電機とのハイブリッド技術開発と、次世代のLNG運搬船に実際に当該ハイブリッド装置を装備する可能性調査を行い、理論的には電力の極めて高い効率的な利用や熱電併給システムとして利用できることが確認された。
      • 原文 December 11, 2019, ABS(長谷部正道)
    • 【4】 COP25最終結果
      • 【4】COP25の最終結果の概要は以下のとおり。①NDCsの強化:EUを含む74ヵ国が2050年までに炭素中立化することを表明。80か国が2020年に既存のNDCsを強化することを約束。中国・ブラジルは2020年にNDCs強化を義務付けることに反対。②先進国による途上国に対する既に約束された支援の実行: 中国とインドは途上国を代表して、先進国が既に約束している後進国に対する支援を実施するまでは、途上国のNDCs引き上げを検討しないと主張したが、妥協策として、COP26で、先進国が既に約束した支援の実施状況について議論する円卓会議を開催することに合意。③新排出権取引制度:排出権の二重計上を認めるか、京都議定書の下での排出権の繰り越しを認めるか、二国間協定に基づき取引された排出権にも市場で取引された排出権と同様の2%以上の削減率をかけるか等について合意が得ることができず、COP26に議論を持ち越し。④ワルシャワ国際メカニズム(WIM)の取り扱い: 気候変動によってもたらされた途上国における損失・被害を支援するための先進国による新たな財政支援措置について検討するために2013年に設立されたWIMの下に新たな財政支援制度を創設することを途上国が要求したのに対し、米国はいかなる新たな財政支援も拒否し、本件をCOPで取り上げることすら反対。
      • 原文 December 16, 2019, Climate Change News(長谷部正道)
    • 【5】 Ocean Clean Up: 第1期事業を終了。回収したプラスチックをリサイクル
      • 【5】12月12日、Ocean Clean Up(OCU)はバンクーバーで、太平洋ゴミベルトから持ち帰った海洋プラスチックごみを公開し、このごみをリサイクルして製品化するなど今後の計画を発表したところその概要は以下のとおり。① OCUは2018年9月から、太平洋ゴミベルトにおいて第1号機を使用して、海洋プラスチックごみの回収実験を開始したが、1号機が破損して、2019年1月に実験を中断し、2019年6月から改良型を再度太平洋ゴミベルトに設置し、試行錯誤を重ねた結果、ごみが想定とおり回収できることが確認された。②海から回収したごみをこのほどバンクーバー港に持ち帰り、このごみを再生リサイクルして、2020年9月を目途にリサイクルした商品を販売し、その収益を今後の活動継続に充てる予定。③OCUはDNV GLと協力して、OCUが販売する再生プラスチック製品が海洋プラスチックごみから生産されたものであることを認証するシステムを導入する。過去1年半にわたって、DNV GLは原料の原産地(陸上のプラスチックごみか海洋のプラスチックごみか)を決定する基準や「海洋プラスチック」の定義について検討を行ってきたが、「海洋プラスチック」の認定基準は、全ての関係者に公表される予定。④1号機の経験を踏まえ、耐久性の向上や回収したプラスチックの持続的な保管などの設計上の課題を検討したうえで、実用レベルの2号機の設計・製作を今後進めていく。
      • 原文 December 12, 2019, Ocean Clean Up(長谷部正道)
    • 【6】 中国で最初の自律貨物船の運航実験が成功
      • 【6】珠海市に本社を置くYunzhou Tech社は、武漢理工大学と中国船級協会と協力して2017年から自律運航船の研究開発を進めてきたが、このほど、珠海市沖の東奥島から、香港―珠海―マカオ橋第一岸壁までの間の、貨物船の自律運航試験に中国で初めて成功した。同社は今後も技術開発を進め、自律運航船の実用化を目指していく。珠海市は自律運航船開発企業の受け皿となる世界で最大の771.6㎢の面積を持つ万山自律運航船海事試験海域の整備を進めており、自律操舵や障害物回避などの要素技術開発に利用される見込み。
      • 原文 December 16, 2019, Splash 247(長谷部正道)
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